県内初、小児腫瘍の陽子線治療を開始 - 社会医療法人財団 慈泉会 相澤

 2016 年 5 月 26 日 信州大学医学部附属病院、長野県立こども病院と治療連携協定を締結 県内初、小児腫瘍の陽子線治療を開始 社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院では、本年度の診療報酬改定により 4 月に保険収載された 「小児腫瘍*1 の陽子線治療」において、長野県内で 1 人目となる患者さんの治療を 5 月 17 日に開始 いたしました。 小児腫瘍の陽子線治療を円滑かつ安全に行うために、今回の治療に先立ち、5 月 12 日に信州大学 医学部附属病院、5 月 18 日には長野県立こども病院と小児陽子線治療の連携協定を締結いたしました。
当協定により、患者さんは小児血液・がん専門医の在籍する信州大学医学部附属病院または長野県立
こども病院に入院または通院をして診療を受けながら、相澤病院 陽子線治療センターへ通院して 陽子線治療を受けられるようになります。また、治療適応に関しては、各病院の主治医(小児血液・
がん専門医)と相澤病院の陽子線治療担当医で検討の上、決定いたします。 *1 限局性の固形悪性腫瘍に限る。 治療連携の流れ
< このリリース・取材に関するお問い合わせ > 信州大学医学部附属病院 総務課 担当:古澤 真紀 Tel.0263‐37‐2737 長野県立こども病院 事務部総務課 担当:植松 健一 Tel.0263‐73‐6700 < 発信元 > 社会医療法人財団 慈泉会 広報企画室 社会医療法人財団 慈泉会 広報企画室 担当:寺澤 大治 Tel.0263‐33‐8600 参考資料
小児がん 小児がかかるさまざまながんの総称。主に白血病、脳腫瘍、神経芽腫、悪性リンパ腫、腎腫瘍(腎芽腫、 ウィルムス腫瘍)などがある。血液のがんである白血病や悪性リンパ腫を除くと、成人では稀ながんが多く、 胃がんや肺がんなどは子どもにはみられない。日本では年間 2,000~2,500 人の子どもが小児がんと診断されて おり、これは子ども 10,000 人に約 1 人の割合となる。 白血病 血液のがんで、小児がんの約 40%を 占める。 脳腫瘍 頭蓋骨の中にできた腫瘍。白血病に 次いで多く、 小児がんの 約 20%を 占 め る 。 子 ど も に 多 い 脳 腫 瘍 は グリオーマ(神経膠腫)、胚細胞腫瘍、
髄芽腫など。 神経芽腫 交感神経のもとになる細胞から発生
す る 腫 瘍 。 腎 臓 の 上 に あ る 副 腎 や 交感神経節(背骨のわき)などから 発生する。 悪性リンパ腫 リ ン パ 節 、 脾 臓 、 骨 髄 な ど 細 菌 や ウ イ ル ス の 排 除 な ど の 免 疫 機 能 を 司るリンパ組織から発生するがん。 リンパ組織は全身に及んでいること
から、全身のあらゆる部位に発生する
可能性がある。 ウィルムス腫瘍 子どもの腎臓にできる腫瘍。胎児期に
(腎芽腫) あ る 程 度 大 き く な り 、 ほ と ん ど が 乳幼児期に発症する。 国立がん研究センター 小児がん情報サービス より抜粋 小児腫瘍の陽子線治療 病巣に充分なダメージを与え、その奥にある正常組織への照射を最小限に抑えることができる陽子線治療。 この特性を活かすことで、放射線による正常組織が影響を受けるために、治療を終えた数年から数十年後に 生じる後遺症や晩期合併症、二次発がん(別の種類のがんや白血病)の低減が期待されている。 陽子線治療は、1983 年から 2014 年までの間に 343 例が行われている。 <小児腫瘍の施設別陽子線治療数 1983~2014 年>
<腫瘍内訳 1983~2014 年>
筑波大学附属病院 202 静岡がんセンター 111 国立がん研究センター東病院 21 兵庫県立粒子線医療センター 9 合計 343 ※小児腫瘍(20 歳未満)として陽子線治療が行われた 先進医療施設の全症例 先進医療会議発表資料(日本放射線腫瘍学会 粒子線治療委員会)より抜粋 相澤病院では先進医療として陽子線治療を行う場合、陽子線技術料として 300 万円の治療費用がかかるが、 小児腫瘍(限局性の固形悪性腫瘍に限る)においては、本年度の診療報酬改定によって保険収載されたため、 保険診療での治療が可能となった。