河野委員提出資料

河野委員提出資料
第 5 回機能性表示食品における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会
2016 年 5 月 26 日
(一社)全国消費者団体連絡会
河野
康子
本日の会議を都合により欠席するため、議題について以下のように意見を申し述べます。
○機能性表示食品制度の施行状況について
先般パブリックコメントに付された「消費者基本計画工程表」改定素案において、「機能性表示食品制度を始
めとする食品の機能性等を表示する制度を適切に運用する。さらに、消費者、事業者等に対し、制度に関する普
及啓発を行い、理解促進を図る。また、機能性表示食品制度については、関係者からの意見を踏まえ、様々な視
点から検討し、必要に応じ食品表示基準の改正等の見直しを行う。さらに残された検討課題についても速やかに
検討に着手する。」と記述されています。
全国消団連では、改定素案全般に関して意見集約を行ったところ、この項目に対して会員から多くの意見要望
が寄せられ、
7つにまとめて提出したところです。制度発足以来 1 年が経過し届出商品数が増加している一方で、
今回を含め消費者から出された疑問、意見、要望からは、機能性表示食品制度への理解は甚だ不十分であること、
また、トクホや栄養機能食品を含む保健機能食品全般に対しての理解も不足している現状が見て取れます。
全国消団連では、機能性表示食品制度スタート直後の昨年 5 月、また販売開始後の昨年 11 月末と 2 回に渡っ
て「機能性表示食品に関する意見」を公表し、その中で、消費者から見たこの制度に対する問題点を指摘し改善
を求めてきましたが、未だ明確な回答を得ていません。
今回の資料「機能性表示食品制度の施行状況について」において、この制度施行後のデータが初めて提示され
ました。中でもH27 年度予算事業として取り組んだ「消費者意向等調査結果」
「機能性表示食品制度における機
能性に関する科学的根拠の検証」「機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業」については、現制
度の見直し、改善につながるよう調査事業の内容を精査して対応していただきたいと思います。
○機能性関与成分が明確でない食品の取扱いについて
およそ食品として供されるものには、何らかの機能が備わっています。故に食品として私たちの食卓に上りま
す。一方、病気になった場合は医療(医薬品)が必要であり、医薬品が効くためには、製造方法、容量用法等厳
しい基準のもとで、リスクが最小限になるように管理されます。
今回の機能性関与成分が明確でない食品の検討は、安全性、機能の有効性を担保する成分そのものが特定でき
ないにもかかわらず機能を謳いたい、という消費者からすると理解しがたい提案です。私たち消費者は、医薬品
と見間違うような形状で提供され、派手な広告や宣伝からそのイメージだけが独り歩きするような機能性を標榜
する食品の実態を見抜く力は残念ながら十分ではありません。昨年 12 月には食品安全委員会から「いわゆる健
康食品に関する検討WGの報告」として社会への警告ともいえる報告書が公表されました。「健康食品市場」が
拡大しているのは、健康で長生きをしたいという人々の願望を反映していると言えますが、人々の願望に応えて
いるように見えて実は食に対する誤った認識を植え付けかねない状況を生み出しています。
健康維持増進には、バランスの良い食事と適度な休息と適度な運動が肝要であることは言うまでもありません。
一方、機能性関与成分が明確でない食品にまで機能性表示食品のカテゴリーが拡大すれば、ますます消費者の食
に対する認識は横道にそれてしまいます。自らの食生活や生活習慣を見直す代わりに、何が効くのか明確でない
食品やサプリメントの摂取に解決策を求めることに誘導しかねない今回の検討は進めるべきではないと考えま
す。