玉野市国民健康保険保健事業実施計画 (データヘルス計画書)

玉野市国民健康保険保健事業実施計画
(データヘルス計画書)
平成28年度~平成29年度
平成28年3月
玉野市
-目次-
Ⅰ.保健事業実施計画(データヘルス計画)の策定にあたって
1.目的と背景
1
2.保健事業実施計画(データヘルス計画)の位置付け
2
3.計画期間
2
Ⅱ.玉野市国民健康保険の状況
1.人口と国民健康保険の加入状況
3
2.医療費等の動向
5
(1) 医療機関受診環境と医療費等の状況
5
(2) 県内における玉野市国民健康保険の状況
7
3.介護保険の状況
10
4.過去の取組みの考察
12
Ⅲ.現状分析と課題
1.医療費等の状況
13
(1) レセプトの件数及び医療費
13
(2) 高額レセプトの件数及び要因
13
(3) 疾病別医療費
16
(4) 医療機関受診状況の把握
22
2.特定健康診査及び特定保健指導の実施状況の把握
23
(1) 特定健康診査の受診状況
23
(2) 特定保健指導の実施状況
25
3.生活習慣病重症化予防対象者の把握
28
(1) 人工透析患者の把握
28
(2) 保健指導対象者としての糖尿病患者の把握
29
(3) 特定健康診査データによるCKD(慢性腎臓病)重症度分類
30
(4) COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の把握
31
4.ジェネリック(後発)医薬品使用状況の把握
33
Ⅳ.目標項目・目標値の設定
1.目指すべき方向性
34
2.目標項目・目標値の設定
35
(1) 特定健康診査受診率向上対策事業
35
(2) 特定保健指導利用勧奨事業
35
(3) 糖尿病性腎症重症化予防事業
35
(4) CKD(慢性腎臓病)予防教室
35
(5) 重複・頻回受診者対策事業
36
(6) COPD(慢性閉塞性肺疾患)啓発事業
36
(7) ジェネリック医薬品差額通知事業
36
-目次-
Ⅴ.実施事業
1.特定健康診査受診率向上対策事業
1-1.特定健康診査
37
37
(1) 目的
37
(2) 対象者
37
(3) 実施要領
37
(4) 目標
38
1-2.特定健康診査受診率向上対策
39
(1) 目的
39
(2) 対象者
39
(3) 実施要領
39
(4) 目標
39
2.特定保健指導利用勧奨事業
2-1.特定保健指導
40
40
(1) 目的
40
(2) 対象者
40
(3) 実施要領
41
(4) 目標
41
2-2.特定保健指導利用勧奨
42
(1) 目的
42
(2) 対象者
42
(3) 実施要領
42
(4) 目標
42
3.糖尿病性腎症重症化予防事業
43
(1) 目的
43
(2) 対象者
43
(3) 実施要領
43
(4) 目標
43
4.CKD(慢性腎臓病)予防教室
44
(1) 目的
44
(2) 対象者
44
(3) 実施要領
44
(4) 目標
44
5.重複・頻回受診者対策事業
45
(1) 目的
45
(2) 対象者
45
(3) 実施要領
45
(4) 目標
45
-目次-
6.COPD(慢性閉塞性肺疾患)啓発事業
46
(1) 目的
46
(2) 対象者
46
(3) 実施要領
46
(4) 目標
46
7.ジェネリック医薬品差額通知事業
47
(1) 目的
47
(2) 対象者
47
(3) 実施要領
47
(4) 目標
47
Ⅵ.計画の評価,見直し及び事業運営上の注意
1.保健事業実施計画(データヘルス計画)の公表・周知
48
2.保健事業実施計画(データヘルス計画)の見直し
48
3.事業運営上の留意事項
48
(1)各種検(健)診等の連携
48
(2)健康づくり事業との連携
48
4.個人情報の保護
48
Ⅰ.保健事業実施計画(データヘルス計画)の策定にあたって
1.目的と背景
近年,生活環境の変化や高齢化等により,生活習慣病が増加しており,その医療費の増加は,
国民健康保険の財政に大きな影響を与えています。このような生活習慣病の多くは,日常的な食
事,運動の改善により,その発症や進行を未然に防ぐことが可能とされており,保険者にその支
援が求められています。
また,特定健康診査の実施結果や診療報酬明細書等(以下「レセプト等」という。)の電子化
の進展,国保データベース(KDB)システム等の整備により,保険者が健康や医療に関する情報
を活用して,被保険者の健康課題の分析,保健事業の評価等を行うための基盤整備が進められて
います。
このような中「日本再興戦略」
(平成25年6月14日閣議決定)においては,「全ての健康保険組
合に対し,レセプト等のデータ分析,それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画とし
て「データヘルス計画」の作成・公表,事業実施,評価等の取組みを求めるとともに,市町村国
保が同様の取組を行うことを推進する。」とされました。
また,平成26年4月に国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第82条第4項の規定に基づき厚
生労働大臣が定める国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針(平成16年厚生労働
省告示第307号。以下「保健事業実施指針」という。)の一部が改正され,保険者は健康・医療情
報を活用してPDCAサイクルに沿った効果的かつ効率的な保健事業の実施を図るため保健事業の
実施計画(以下「データヘルス計画」という。)を策定した上で,保健事業の実施及び評価を行
うものであります。
このような背景を踏まえて,玉野市国民健康保険においては,データヘルス計画を定め,生活
習慣病対策をはじめとする被保険者の健康維持増進を図ってまいります。
計画に基づく保健事業の実施にあたっては,費用対効果を考慮することや,レセプト等情報を
活用し,生活習慣の改善により予防効果が大きく期待できる対象者を明確にし,優先順位をつけ
て行い,効果の測定及び評価を行ったうえで,必要に応じて事業内容等の見直しを行うこととし
ています。
1
2.保健事業実施計画(データヘルス計画)の位置付け
玉野市国民健康保険保健事業実施計画(データヘルス計画)は,特定健康診査等実施計画と一
体的に策定します。そのため,平成25年度から平成29年度までを実施期間としている「第二期玉
野市国民健康保険特定健康診査等実施計画書」の平成28年度以降については,保健事業実施計画
(データヘルス計画)と一体的に定めるものとします。
関連の計画との関係性については,国の「21世紀における第2次国民健康づくり運動(健康日
本21(第2次)」に示された基本方針を踏まえるとともに,岡山県における「第2次健康おかやま
21~健康長寿社会の実現を目指して~」
,玉野市における「玉野市総合計画」や「第2次健康たま
の21計画・玉野市食育推進計画」,
「第6期玉野市老人保健福祉計画・介護保険事業計画」 等と調
和を図りながら推進していくこととします。
図1
玉野市国民健康保険保健事業実施計画(データヘルス計画)の位置付け
玉野市総合計画
●第2次健康たまの21計画・玉野市食育
推進計画
●第6期玉野市老人保健福祉計画・介護
保険事業計画
●玉野市障害福祉計画(第4期) など
調
和
玉野市
国民健康保険
保健事業実施計画
(データヘルス計画)
3.計画期間
計画期間は,平成28年度から平成29年度までの2年間とします。
2
第二期玉野市
国民健康保険
特定健康診査
等実施計画書
Ⅱ.玉野市国民健康保険の状況
1.人口と国民健康保険の加入状況
本市の平成26年度人口は63,022人で,高齢化率(65歳以上)は33.7%です。岡山県の28.1%や
国の26.0%と比較すると,県内でも全国的に見ても高齢化率が高い市といえます。
国民健康保険は,被用者保険等に加入していない75歳未満の人を対象にした医療保険です。玉
野市では市民全体の26.3%が国民健康保険に加入しています。
表1
人口構成概要
人口総数(人)
高齢化率
(65歳以上)
国保被保険者数
(人)
国保加入率
出生率
死亡率
玉野市
63,022
33.7%
16,545
26.3%
6.7%
13.1%
同規模
68,299
24.2%
18,546
27.2%
8.3%
10.1%
1,924,147
28.1%
461,859
24.0%
8.3%
11.0%
127,082,819
26.0%
33,734,718
26.5%
8.0%
10.1%
県
国
※
※
※
「同規模」は,全国における人口規模50,000人~100,000人の市の平均値。以下,全ての表においても同様。
「人口総数(人)」は平成26年10月1日現在の数値。
「国保被保険者数(人)」は平成26年度平均値。
図2と図3は,男女別・年齢階層別の人口(図2)及び被保険者数(図3)の構成割合をピラミッ
ドグラフにしたものです。
県や国と比較して,人口構成割合では,55歳以上から全ての年代で割合が高くなっています。
また,被保険者数構成割合でも同様に,60歳以上から全ての年代で県や国の平均を上回っていま
す。
3
図2
男女別・年齢階層別人口構成割合ピラミッド
男性
玉野市
玉野市
0.0%
100歳~
0.1%
6.0%
8.0%
0.5%
1.9%
3.6%
5.4%
80歳~84歳
5.1%
6.5%
75歳~79歳
6.3%
6.8%
70歳~74歳
8.5%
8.4%
65歳~69歳
9.8%
9.7%
60歳~64歳
7.8%
7.1%
55歳~59歳
5.6%
45歳~49歳
5.3%
5.4%
40歳~44歳
5.4%
6.3%
35歳~39歳
5.5%
30歳~34歳
5.4%
25歳~29歳
4.9%
20歳~24歳
4.9%
15歳~19歳
4.7%
4.5%
4.2%
4.0%
4.2%
4.0%
10歳~14歳
4.0%
6.0%
3.5%
5歳~9歳
3.5%
8.0%
5.6%
50歳~54歳
5.3%
6.9%
2.9%
0歳~4歳
4.0%
2.0%
0.0%
男女別・年齢階層別被保険者数構成割合ピラミッド
男性
玉野市
玉野市
24.8%
女性
国
5.0%
10.0%
15.0%
3.5%
45歳~49歳
5.4%
4.4%
40歳~44歳
4.3%
3.0%
35歳~39歳
3.5%
30歳~34歳
2.6%
2.6%
2.7%
2.1%
2.0%
1.5%
10.0%
3.1%
50歳~54歳
4.4%
15.0%
5.0%
55歳~59歳
4.0%
5.0%
25歳~29歳
20歳~24歳
15歳~19歳
10歳~14歳
5歳~9歳
0歳~4歳
2.7%
2.0%
2.1%
2.1%
2.0%
1.5%
1.4%
0.0%
国保データベース(KDB)システム 「人口及び被保険者の状況」(平成28年2月18日抽出)より
4
構成割合(%)
25.0%
25.7%
14.3%
60歳~64歳
4.3%
20.0%
27.3%
65歳~69歳
11.5%
25.0%
20.0%
構成割合(%)
県
0.0%
70歳~74歳
24.4%
※
4.0%
85歳~89歳
3.8%
図3
2.0%
90歳~94歳
1.8%
構成割合(%)
10.0%
12.0%
女性
国
0.1%
95歳~99歳
0.6%
12.0%
10.0%
構成割合(%)
県
0.0%
2.医療費等の動向
(1) 医療機関受診環境と医療費等の状況
病院数や病床数が多く,医療機関受診環境は充実していますが,患者数は入院,外来ともに多
く,受診率(※1)が高く,医療費が高い状況です。(図4~図9)
図4
千人当たり病院数(単位:箇所)
0.7
0.60
0.6
0.5
0.36
0.4
0.26
0.3
0.22
0.2
0.1
0.0
玉野市
玉野市
図5
同規模
県
国
千人当たり診療所数(単位:箇所)
4.0
3.48
3.5
3.16
3.0
2.56
2.52
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
玉野市
玉野市
図6
同規模
県
国
千人当たり外来患者数(単位:人)
900.0
800.0
786.7
662.5
700.0
702.4
652.3
600.0
500.0
400.0
300.0
200.0
100.0
0.0
玉野市
玉野市
同規模
県
国
※ 国保データベース(KDB)システム 「地域の全体像の把握」
(平成28年2月18日抽出)より
※1 受診率はひと月当たりのレセプト件数を被保険者数で割り千分率で算出。
5
図7
千人当たり入院患者数(単位:人)
30.0
25.5
25.0
22.4
19.2
20.0
18.1
15.0
10.0
5.0
0.0
玉野市
玉野市
図8
同規模
県
国
千人当たり受診率(月間レセプト件数/被保険者数)
900.0
812.3
800.0
681.7
700.0
724.9
670.4
600.0
500.0
400.0
300.0
200.0
100.0
0.0
玉野市
玉野市
図9
同規模
県
国
被保険者一人当たり医療費(単位:円/月)
35,000
30,164
28,741
30,000
24,081
25,000
23,292
20,000
15,000
10,000
5,000
0
玉野市
玉野市
※
同規模
県
国
国保データベース(KDB)システム 「地域の全体像の把握」
(平成28年2月18日抽出)より
6
(2) 県内における玉野市国民健康保険の状況
①受診率
本市国民健康保険のひと月当たりの入院・外来を合わせた受診率(※1)は812.3で県内では最
も高い状況に位置しています。(図10)
図10
岡山県内各保険者別受診率
県全体
745.2
岡山市
745.5
倉敷市
729.0
津山市
742.2
玉野市
玉野市
812.3
笠岡市
745.2
井原市
796.8
備前市
746.6
総社市
741.1
高梁市
690.6
新見市
791.8
和気町
765.7
早島町
760.3
里庄町
780.9
矢掛町
759.7
新庄村
710.1
勝央町
740.2
奈義町
713.4
美作市
735.4
西粟倉村
717.0
久米南町
757.6
吉備中央町
660.8
瀬戸内市
734.6
赤磐市
793.3
真庭市
694.9
鏡野町
782.8
美咲町
749.9
浅口市
805.7
0.0
100.0
200.0
300.0
400.0
500.0
600.0
※ 国保データベース(KDB)システム 「市町村別データ」(平成28年2月18日抽出)より
※1 受診率はひと月当たりのレセプト件数を被保険者数で割り千分率で算出。
7
700.0
800.0
900.0
②ひと月当たりの被保険者一人当たり医療費
本市国民健康保険の被保険者一人当たり医療費は30,164円であり,県平均28,741円よりも高
く,県内27保険者中10番目に高額となっています。外来医療費17,163円は県内で11番目に高く,
入院医療費13,001円は県内で14番目に高いです。
(図11)
図11
岡山県内各保険者別一人当たり医療費(単位:円/月)
一人当たり医療費
一人当たり医療費(外来)
県全体
12,330
一人当たり医療費(入院)
28,741
16,411
28,357
岡山市
27,322
倉敷市
29,420
津山市
玉野市
玉野市
13,001
30,164
17,163
29,827
笠岡市
井原市
30,897
備前市
31,021
27,078
総社市
32,824
高梁市
33,646
新見市
28,932
和気町
31,476
早島町
28,038
里庄町
31,042
矢掛町
24,084
新庄村
27,398
勝央町
29,001
奈義町
29,966
美作市
24,369
西粟倉村
29,821
久米南町
27,420
吉備中央町
26,554
瀬戸内市
赤磐市
28,710
真庭市
28,494
31,141
鏡野町
美咲町
30,416
浅口市
30,180
0
※
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
国保データベース(KDB)システム 「市町村別データ」(平成28年2月18日抽出)より
8
30,000
35,000
③生活習慣病保有者率
本市国民健康保険の被保険者に占める生活習慣病保有者(※1)の割合は,45.3%で県平均
40.3%よりも高く,県内保険者の中でも3番目に高い状況に位置しています。(図12)
図12
岡山県内各保険者別生活習慣病保有者率(単位:%)
県全体
40.3
岡山市
37.0
倉敷市
37.6
津山市
40.4
玉野市
玉野市
45.3
笠岡市
40.0
井原市
45.1
備前市
43.3
総社市
40.0
高梁市
41.0
新見市
46.2
和気町
43.4
早島町
39.2
里庄町
43.3
矢掛町
43.9
新庄村
43.3
勝央町
40.7
奈義町
40.0
美作市
41.4
西粟倉村
43.4
久米南町
45.0
吉備中央町
36.4
瀬戸内市
40.5
赤磐市
41.9
真庭市
41.5
鏡野町
44.7
美咲町
42.7
浅口市
0.0
45.4
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
40.0
45.0
50.0
※ 国保データベース(KDB)システム 「市町村別データ」(平成28年2月18日抽出)より
※1 生活習慣病保有者率は「糖尿病」「高血圧症」
「脂質異常症」
「高尿酸血症」「脂肪肝」「動脈硬化症」「脳出血」「脳梗塞」「狭心症」
「心筋梗塞」
「がん」「筋・骨格」
「精神」に該当するレセプトを集計して被保険者数で割り算出。
9
3.介護保険の状況
本市の介護保険認定率は24.6%で,県の22.4%,国の20.0%と比べて高い状況に位置していま
す。(図13)
また,レセプト一件当たりの要介護度別給付費は,同規模や国に着目すると要介護2以降から
高くなっています。
(図14)
図13
介護保険認定率(単位:%)
30.0%
24.6%
25.0%
22.4%
20.0%
19.3%
20.0%
15.0%
10.0%
5.0%
0.0%
玉野市
玉野市
図14
同規模
県
国
レセプト一件当たり要介護度別給付費(単位:円)
一件当たり
給付費(円)
玉野市
玉野市
同規模
県
国
160,000
137,512
140,000
121,850
120,000
100,000
92,180
80,000
60,072
54,944
60,000
35,198
40,000
17,889
20,000
10,722
0
給付費
※
要支援1
国保データベース(KDB)システム
要支援2
要介護1
要介護2
要介護3
「地域の全体像の把握」(平成28年2月18日抽出)より
10
要介護4
要介護5
本市の要介護認定者の疾病別の有病率は,図15のように,同規模,県及び国と比較すると高い
状況にあります。
(図15)
図15
要介護認定者の疾病別有病状況(単位:%)
玉野市
玉野市
有病率(%)
同規模
県
国
80.0%
68.0%
70.0%
61.0%
58.8%
60.0%
50.0%
42.2%
40.0%
36.5%
32.0%
30.0%
24.9%
20.0%
11.7%
10.0%
0.0%
糖尿病
※
高血圧症
脂質異常症
心臓病
脳疾患
悪性新生物
国保データベース(KDB)システム 「地域の全体像の把握」
(平成28年2月18日抽出)より
11
筋・骨格
精神
4.過去の取組みの考察
事業名
特定健康診査
事業目的
及び概要
【目的】
被保険者の健康状態の把握
生活習慣病の早期発見
振り返り
対象者
実施状況・成果
40~74歳の
被保険者
平成26年度受診率
法定報告値 21.4%
【概要】
主に生活習慣病に関連する検査
【目的】
特定健康診査の受診率向上
特定健康診査
受診率向上支援
【概要】
特定健康診査未受診者に対する文
書通知及び電話勧奨
【目的】
生活習慣病該当者及び予備群の減
少
特定保健指導
【概要】
対象者に対して生活習慣改善を促
す保健指導を実施
【目的】
特定保健指導の利用率向上
特定保健指導
利用勧奨事業
【概要】
特定保健指導対象者に対する文書
通知及び電話勧奨
【目的】
慢性腎臓病の予防
CKD(慢性腎臓病)
予防教室
【概要】
特定健康診査によるCKDハイリス
ク者に対する健康教室を2クール
(全2回/クール)実施
【目的】
ジェネリック医薬品の普及率向上
ジェネリック医薬品
差額通知事業
【概要】
ジェネリック医薬品に切り替えること
で医療費の削減効果が見込まれる
者を対象に文書通知
特定健康診査
対象者のうち
未受診の方
生活習慣病で通院してい
る者(60~74歳)を除く特
定健康診査未受診者4,529
人に対して文書通知及び
電話勧奨
課題
平成29年度厚生労働省目
標値60%に対し,低迷して
いる。
平成29年度厚生労働省目
標値60%に対し,低迷して
いる。
平成25年度受診率法定報
告値20.7%から0.7%向上
特定健康診査
受診者のうち
特定保健指導
対象者
になった方
特定保健指導
対象者のうち
未利用の方
特定健康診査
受診者のうち
特定保健指導
非該当で
CKD重症度分類
のハイリスクに
判定された
70歳未満の方
先発医薬品
利用者で
ジェネリック医薬品
への切り替え
による
薬剤費軽減額が
一定以上の方
12
平成26年度実施率
法定報告値 13.4%
特定保健指導対象者のう
ち未利用者174人に対し,
文書通知及び電話勧奨(2
~3回/人)を実施
平成25年度より本事業を
実施し,平成25年度実施率
は18.6%で過去最高
CKDハイリスク者(70歳未
満)180人に対して健康教
室の案内を通知
予防教室では,CKDに関す
る情報提供や食事管理に
ついての健康教育を実施
平成29年度厚生労働省目
標値60%に対し,低迷して
いる。
平成29年度厚生労働省目
標値60%に対し,低迷して
いる。
定員に対する申込状況も
良く,アンケートによる満
足度も高かった。
継続と拡充を図りたい。
平成26年度参加者数
延べ 56人
平成26年度普及率
年間平均 48.7%
平成29年度末厚生労働省
目標値60%に対し,未達状
態である。
Ⅲ.現状分析と課題
1.医療費等の状況
(1) レセプトの件数及び医療費
平成26年度における医科・調剤の電子レセプトのみを対象に医療費を集計しました。
被保険者数は月間平均16,545人,レセプト件数は20,754件,患者数は月間平均9,404人です。
患者一人当たりの月間平均医療費は53,772円,被保険者一人当たりの月間平均医療費は30,562円,
レセプト一件当たりの月間平均医療費は24,364円です。
(表2)
表2
医科・調剤レセプトの件数及び医療費統計
12カ月平均
A
B
C
D
C/D
C/A
C/B
被保険者数
(人)
レセプト件数(件)
医療費
(円)
患者数
(人)
患者
一人当たりの
平均医療費(円)
被保険者
一人当たりの
平均医療費(円)
レセプト
一件当たりの
平均医療費(円)
53,772
30,562
24,364
16,545
12カ月合計
入院外
入院
調剤
合計
12,950
414
7,389
20,754
505,641,811
9,404
155,404
4,971
88,669
249,044
6,067,701,730
112,842
(2) 高額レセプトの件数及び要因
①高額レセプトの件数及び割合
診療点数5万点以上の高額レセプトは,月間平均168件で,レセプト件数全体の0.8%を占め
ています。また,高額レセプトの医療費は,月間平均1億5,814万円程度で,医療費全体の31.3%
を占めています。
(表3)
表3
高額(5万点以上)レセプト件数及び割合
A
B
B/A
C
D
D/C
レセプト
件数全体
(件)
高額レセプト
件数
(件)
件数
構成比
(%)
医療費全体
(円)
高額レセプト
医療費
(円)
金額
構成比
12カ月平均
20,754
168
12カ月合計
249,044
2,012
0.8%
505,641,811
158,141,649
6,067,701,730
1,897,699,790
13
31.3%
②高額レセプトの年齢階層別統計及び高額レセプトの要因となる疾病傾向
高額レセプトにおける医療費,患者数及びレセプト件数の割合を59歳以下と60歳以上で比
較すると,60歳以上からの割合が多くなっています。(図16~18)
図16
高額レセプトの年齢階層別医療費割合(単位:%)
~39歳
6.6%
40歳~44歳
45歳~49歳
2.3%
2.8%
50歳~54歳
3.5%
70歳~
42.4%
55歳~59歳
5.0%
65歳~69歳
27.4%
図17
60歳~64歳
9.9%
高額レセプトの年齢階層別患者数割合(単位:%)
~39歳
5.8%
40歳~44歳
45歳~49歳
1.8%
3.1%
50歳~54歳
3.7%
70歳~
42.8%
55歳~59歳
4.4%
65歳~69歳
27.4%
図18
60歳~64歳
10.9%
高額レセプトの年齢階層別レセプト件数割合(単位:%)
~39歳
7.8%
40歳~44歳
3.3%
45歳~49歳
3.5%
50歳~54歳
3.8%
70歳~
39.1%
55歳~59歳
5.0%
65歳~69歳
27.2%
60歳~64歳
10.4%
14
また,高額レセプトの要因となる疾病を患者一人当たりの医療費で見ると,「腎不全」が
最も高額で,以下「パーキンソン病」
「結腸の悪性新生物」
「気管,気管支及び肺の悪性新生
物」「その他の心疾患」等があります。(図19)
生活習慣病は,かなり進行しないと症状が出にくいのが特徴的で,10年,20年とほぼ無症
状な状態で進行し,気づいたときには重症化してしまうことがあるので,健康管理のために
40歳から受診できる特定健康診査は重要です。
図19 高額レセプトの要因となる疾病別患者一人当たり医療費(単位:千円/年)
腎不全
6,795
パーキンソン病
4,481
結腸の悪性新生物
3,765
気管,気管支及び肺の悪性新生物
3,648
その他の心疾患
3,547
その他の神経系の疾患
3,301
統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害
3,286
その他の呼吸器系の疾患
3,210
その他の悪性新生物
2,980
脊椎障害(脊椎症を含む)
2,801
0
2,000
15
4,000
6,000
8,000
(3) 疾病別医療費
①疾病分類表による大分類疾病別医療費統計
(ⅰ)玉野市国民健康保険全体
疾病分類表(※1)の大分類による疾病別の医療費総計,患者数,患者一人当たり医療費に
ついて,高血圧症や脳卒中等が属す「Ⅸ.循環器系の疾患」や糖尿病や脂質異常症等が属す
「Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝疾患」といった生活習慣病に注目して分析しました。
医療費総計では,
「Ⅸ.循環器系の疾患」が約10億円で医療費全体の16.6%を占めており,
「Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝疾患」も約6億円(9.8%)で上位に位置しています。(図20~
図23)
図20
大分類による疾病別医療費総計(単位:千円/年)
Ⅰ.感染症及び寄生虫症
160,869
Ⅱ.新生物
770,555
Ⅲ.血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害
33,603
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝疾患
591,596
Ⅴ.精神及び行動の障害
419,795
Ⅵ.神経系の疾患
353,890
Ⅶ.眼及び付属器の疾患
240,444
Ⅷ.耳及び乳様突起の疾患
31,134
Ⅸ.循環器系の疾患
Ⅹ.呼吸器系の疾患
997,460
364,988
ⅩⅠ.消化器系の疾患
600,892
ⅩⅡ.皮膚及び皮下組織の疾患
118,686
ⅩⅢ.筋骨格系及び結合組織の疾患
530,746
ⅩⅣ.腎尿路生殖器系の疾患
393,231
ⅩⅤ.妊娠,分娩及び産じょく
9,175
ⅩⅥ.周産期に発生した病態
13,280
ⅩⅦ.先天奇形,変形及び染色体異常
10,546
ⅩⅧ.症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの
119,221
ⅩⅨ.損傷,中毒及びその他の外因の影響
225,732
ⅩⅩⅠ.健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用
17,812
ⅩⅩⅡ.特殊目的用コード
0
分類外
7,490
0
200,000
400,000
※1 疾病分類表は,
「疾病及び関連保健問題の国際統計分類ICD-10(2003年版)
」準拠
16
600,000
800,000
1,000,000
図21
大分類による疾病別医療費割合(単位:%)
Ⅸ.
循環器系
の疾患
16.6%
Ⅱ.
新生物
12.8%
Ⅳ.
内分泌,
栄養及び
代謝疾患
9.8%
ⅩⅢ.
筋骨格系
及び結合
組織の疾患
8.8%
ⅩⅠ.
消化器系
の疾患
10.0%
Ⅸ.循環器系の疾患
Ⅱ.新生物
ⅩⅠ.消化器系の疾患
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝疾患
ⅩⅢ.筋骨格系及び結合組織の疾患
Ⅴ.精神及び行動の障害
ⅩⅣ.腎尿路生殖器系の疾患
Ⅹ.呼吸器系の疾患
Ⅵ.神経系の疾患
Ⅶ.眼及び付属器の疾患
ⅩⅨ.損傷,中毒及びその他の外因の影響
Ⅰ.感染症及び寄生虫症
ⅩⅧ.症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの
ⅩⅡ.皮膚及び皮下組織の疾患
Ⅲ.血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害
Ⅷ.耳及び乳様突起の疾患
ⅩⅩⅠ.健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用
ⅩⅥ.周産期に発生した病態
ⅩⅦ.先天奇形,変形及び染色体異常
ⅩⅤ.妊娠,分娩及び産じょく
ⅩⅩⅡ.特殊目的用コード
分類外
17
図22
大分類による疾病別患者数(単位:人)
Ⅰ.感染症及び寄生虫症
4,819
Ⅱ.新生物
5,583
Ⅲ.血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害
1,485
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝疾患
8,677
Ⅴ.精神及び行動の障害
2,143
Ⅵ.神経系の疾患
4,200
Ⅶ.眼及び付属器の疾患
5,422
Ⅷ.耳及び乳様突起の疾患
1,833
Ⅸ.循環器系の疾患
7,700
Ⅹ.呼吸器系の疾患
8,560
ⅩⅠ.消化器系の疾患
9,218
ⅩⅡ.皮膚及び皮下組織の疾患
5,166
ⅩⅢ.筋骨格系及び結合組織の疾患
7,034
ⅩⅣ.腎尿路生殖器系の疾患
4,233
ⅩⅤ.妊娠,分娩及び産じょく
79
ⅩⅥ.周産期に発生した病態
17
ⅩⅦ.先天奇形,変形及び染色体異常
371
ⅩⅧ.症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの
4,481
ⅩⅨ.損傷,中毒及びその他の外因の影響
3,118
ⅩⅩⅠ.健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用
1,380
ⅩⅩⅡ.特殊目的用コード
0
分類外
120
0
図23
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
10,000
大分類による疾病別患者一人当たり医療費(単位:千円)
Ⅰ.感染症及び寄生虫症
33
Ⅱ.新生物
138
Ⅲ.血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害
23
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝疾患
68
Ⅴ.精神及び行動の障害
196
Ⅵ.神経系の疾患
84
Ⅶ.眼及び付属器の疾患
44
Ⅷ.耳及び乳様突起の疾患
17
Ⅸ.循環器系の疾患
130
Ⅹ.呼吸器系の疾患
43
ⅩⅠ.消化器系の疾患
65
ⅩⅡ.皮膚及び皮下組織の疾患
23
ⅩⅢ.筋骨格系及び結合組織の疾患
75
ⅩⅣ.腎尿路生殖器系の疾患
93
ⅩⅤ.妊娠,分娩及び産じょく
116
781
ⅩⅥ.周産期に発生した病態
ⅩⅦ.先天奇形,変形及び染色体異常
28
ⅩⅧ.症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの
27
ⅩⅨ.損傷,中毒及びその他の外因の影響
72
ⅩⅩⅠ.健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用
13
ⅩⅩⅡ.特殊目的用コード
0
分類外
62
0
50
18
100
150
200
(ⅱ)年齢階層別医療費(疾病大分類)
年齢階層別の医療費の推移を見ると,30歳~34歳から徐々に上昇しており,60歳~64歳で
大きく医療費が伸びています。60歳~64歳で医療費が高い疾病は,1位が「Ⅸ.循環器系の
疾患」で2位が「Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝疾患」です。
(図24)
図24
年齢階層別の医療費の推移(単位:億円)
医療費
( 億円)
30
25
20
15
10
5
0
20歳~
25歳~
30歳~
35歳~
40歳~
45歳~
50歳~
55歳~
60歳~
65歳~
24歳
29歳
34歳
39歳
44歳
49歳
54歳
59歳
64歳
69歳
医療費構成(全体)
Ⅰ .感染症及び寄生虫症
Ⅱ .新生物
Ⅲ .血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害
Ⅳ .内分泌,栄養及び代謝疾患
Ⅴ .精神及び行動の障害
Ⅵ .神経系の疾患
Ⅶ .眼及び付属器の疾患
Ⅷ .耳及び乳様突起の疾患
Ⅸ .循環器系の疾患
Ⅹ .呼吸器系の疾患
Ⅹ
ⅩⅠ
ⅩⅡ
Ⅹ
ⅩⅢ
Ⅹ
ⅩⅣ
Ⅹ
ⅩⅤ
Ⅹ
ⅩⅥ
Ⅹ
ⅩⅦ
Ⅹ
ⅩⅧ
Ⅹ
ⅩⅨ
Ⅹ
ⅩⅩⅠ
Ⅹ
Ⅹ
ⅩⅩⅡ
.消化器系の疾患
.皮膚及び皮下組織の疾患
.筋骨格系及び結合組織の疾患
.腎尿路生殖器系の疾患
.妊娠,分娩及び産じょく
.周産期に発生した病態
.先天奇形,変形及び染色体異常
.症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの
.損傷,中毒及びその他の外因の影響
.健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用
.特殊目的用コード
分類外
19
70歳~
表4の年齢階層別医療費の大分類上位5疾病では,生活習慣病の可能性がある「Ⅳ.内分泌,
栄養及び代謝疾患」と「Ⅸ.循環器系の疾患」を網掛け表示しています。40歳以降から両疾
病は上位に位置し,特に「Ⅸ.循環器系の疾患」については,60歳以降は全年代で1位にな
っています。(表4)
表4
年齢階層別医療費 大分類上位5疾病
年齢階層
2位
3位
4位
5位
0歳~4歳
Ⅹ.呼吸器系の疾患
.周産期に発生した病態
Ⅹ
Ⅵ
Ⅻ.皮膚及び皮下組織の疾
Ⅷ.耳及び乳様突起の疾患 Ⅰ.感染症及び寄生虫症
患
5歳~9歳
Ⅹ.呼吸器系の疾患
Ⅴ.精神及び行動の障害
Ⅵ.神経系の疾患
10歳~14歳
Ⅹ.呼吸器系の疾患
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝 Ⅹ
.先天奇形,変形及び染
Ⅶ
疾患
色体異常
Ⅻ.皮膚及び皮下組織の疾
Ⅴ.精神及び行動の障害
患
Ⅹ.呼吸器系の疾患
Ⅴ.精神及び行動の障害
.筋骨格系及び結合組織 Ⅻ.皮膚及び皮下組織の疾
Ⅹ
Ⅲ
の疾患
患
Ⅸ.循環器系の疾患
15歳~19歳
.損傷,中毒及びその他
Ⅹ
Ⅸ
の外因の影響
Ⅺ.消化器系の疾患
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝
疾患
20歳~24歳
Ⅱ.新生物
Ⅹ.呼吸器系の疾患
Ⅴ.精神及び行動の障害
Ⅺ.消化器系の疾患
25歳~29歳
Ⅴ.精神及び行動の障害
Ⅹ.呼吸器系の疾患
Ⅺ.消化器系の疾患
.筋骨格系及び結合組織
Ⅹ
Ⅲ
Ⅹ
Ⅳ
.腎尿路生殖器系の疾患
30歳~34歳
Ⅴ.精神及び行動の障害
Ⅵ.神経系の疾患
Ⅺ.消化器系の疾患
.損傷,中毒及びその他
Ⅹ
Ⅸ
.腎尿路生殖器系の疾患
Ⅹ
Ⅳ
35歳~39歳
Ⅴ.精神及び行動の障害
Ⅹ.呼吸器系の疾患
.腎尿路生殖器系の疾患 Ⅵ.神経系の疾患
Ⅹ
Ⅳ
40歳~44歳
Ⅴ.精神及び行動の障害
Ⅺ.消化器系の疾患
Ⅵ.神経系の疾患
45歳~49歳
Ⅴ.精神及び行動の障害
50歳~54歳
の疾患
の外因の影響
Ⅺ.消化器系の疾患
.腎尿路生殖器系の疾患
Ⅹ
Ⅳ
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝
疾患
.腎尿路生殖器系の疾患 Ⅱ.新生物
Ⅹ
Ⅳ
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝
疾患
Ⅸ.循環器系の疾患
Ⅴ.精神及び行動の障害
Ⅸ.循環器系の疾患
Ⅺ.消化器系の疾患
Ⅱ.新生物
55歳~59歳
Ⅴ.精神及び行動の障害
Ⅸ.循環器系の疾患
Ⅱ.新生物
Ⅵ.神経系の疾患
60歳~64歳
Ⅸ.循環器系の疾患
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝
疾患
Ⅱ.新生物
.筋骨格系及び結合組織
Ⅹ
Ⅲ
Ⅺ.消化器系の疾患
65歳~69歳
Ⅸ.循環器系の疾患
Ⅱ.新生物
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝
疾患
Ⅺ.消化器系の疾患
Ⅱ.新生物
.筋骨格系及び結合組織
Ⅹ
Ⅲ
Ⅺ.消化器系の疾患
70歳~
※
1位
Ⅸ.循環器系の疾患
の疾患
.損傷,中毒及びその他
Ⅹ
Ⅸ
の外因の影響
Ⅺ.消化器系の疾患
の疾患
.筋骨格系及び結合組織
Ⅹ
Ⅲ
の疾患
Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝
疾患
主な生活習慣病が属す「Ⅳ.内分泌,栄養及び代謝疾患」と「Ⅸ.循環器系の疾患」は網掛け表示している。
20
②疾病分類表による中分類疾病別医療費統計
疾病分類表(※1)の中分類による疾病別の医療費総計,患者数,患者一人当たり医療費です。
(表5~表7)
表5
中分類による疾病別統計(医療費上位10疾病)
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
表6
0901
1112
0403
0402
0210
1402
0503
0903
0606
0902
表7
314,462,583
294,002,074
291,098,470
261,553,017
256,145,091
246,068,720
222,478,558
213,792,816
192,130,392
155,475,139
医療費
(円)
中分類疾病項目
0403
0402
0901
1105
1112
1800
0703
1202
0606
0704
5.2%
4.9%
4.8%
4.4%
4.3%
4.1%
3.7%
3.6%
3.2%
2.6%
患者数
(人)
5,674
5,290
7,062
5,825
2,762
254
589
2,715
3,820
1,957
その他の内分泌,栄養及び代謝疾患
糖尿病
高血圧性疾患
胃炎及び十二指腸炎
その他の消化器系の疾患
症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの
屈折及び調節の障害
皮膚炎及び湿疹
その他の神経系の疾患
その他の眼及び付属器の疾患
291,098,470
261,553,017
314,462,583
117,265,205
294,002,074
119,220,621
27,863,824
65,719,572
192,130,392
115,494,660
構成比
(%)
46.8%
38.6%
37.6%
35.1%
35.1%
29.7%
27.9%
27.0%
25.3%
25.0%
患者数
(人)
7,062
5,825
5,674
5,292
5,290
4,481
4,206
4,073
3,820
3,779
中分類による疾病別統計(患者一人当たりの医療費が高額な上位10疾病)
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
高血圧性疾患
その他の消化器系の疾患
その他の内分泌,栄養及び代謝疾患
糖尿病
その他の悪性新生物
腎不全
統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害
その他の心疾患
その他の神経系の疾患
虚血性心疾患
構成比
(%)
中分類による疾病別統計(患者数上位10疾病)
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
医療費
(円)
中分類疾病項目
医療費
(円)
中分類疾病項目
1601
0209
1402
0208
0503
0904
0203
1902
0601
0501
妊娠及び胎児発育に関連する障害
白血病
腎不全
悪性リンパ腫
統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害
くも膜下出血
直腸S状結腸移行部及び直腸の悪性新生物
頭蓋内損傷及び内臓の損傷
パーキンソン病
血管性及び詳細不明の認知症
※1 疾病分類表は,
「疾病及び関連保健問題の国際統計分類ICD-10(2003年版)
」準拠
21
12,716,172
22,227,932
246,068,720
43,618,387
222,478,558
16,089,658
38,501,085
42,944,097
52,535,544
9,549,296
患者数
(人)
10
22
254
105
589
43
108
129
227
43
患者
一人当たりの
医療費(円)
1,271,617
1,010,361
968,774
415,413
377,723
374,178
356,492
332,900
231,434
222,077
(4) 医療機関受診状況の把握
平成26年度レセプトでは,重複受診者(※1)が154人,頻回受診者(※2)が304人です。各それぞ
れの要因となる疾病割合を分析すると,重複受診者は約半分,頻回受診者は4分の1が上位5疾病
で占められています。(図25,図26)
重複受診者数
図25
154人
重複受診の要因となる疾病割合(単位:%)
高血圧症
不眠症
慢性胃炎
便秘症
糖尿病
その他病名
高血圧症
16.0%
不眠症
13.3%
その他病名
49.2%
慢性胃炎
便秘症 9.5%
糖尿病
5.9%
頻回受診者数
図26
6.1%
304人
頻回受診の要因となる疾病割合(単位:%)
高血圧症
糖尿病
変形性膝関節症
慢性胃炎
Ⅱ型糖尿病
その他病名
高血圧症
12.7% 糖尿病
変形性膝
関節症
3.2%
慢性胃
炎
Ⅱ型糖尿病
3.0%
2.1%
3.4%
その他病名
75.6%
※1 重複受診者は,1カ月間に同系の疾病を理由に,3医療機関以上受診している患者
※2 頻回受診者は,1カ月間に12回以上受診している患者
22
2.特定健康診査及び特定保健指導の実施状況の把握
(1) 特定健康診査の受診状況
本市国民健康保険における平成26年度の特定健康診査受診率は,21.4%でした。平成22年度と
平成23年度は22.2%でしたが,平成24年度からの直近3年間は21%前後で横ばいです。さらに,
平成26年度においては,同規模,県や国と比較すると本市の受診率は低く,県内27保険者中2番
目に低い状況です。(図27~図29)
図27
特定健康診査受診率(平成22年度~26年度)
対象者数(人)
受診者数(人)
受診率(%)
14,000
23%
12,128
12,180
12,052
12,116
12,102
12,000
22.2%
10,000
22%
22.2%
21.4%
8,000
21.0%
21%
20.7%
6,000
4,000
2,696
2,703
2,531
2,593
2,503
20%
2,000
0
19%
平成22年度
※
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
法定報告値
図28
特定健康診査受診率比較(平成26年度)
(単位:%)
特定健診
受診率(%)
40.0%
37.6%
35.4%
35.0%
30.0%
27.2%
25.0%
21.4%
20.0%
15.0%
10.0%
5.0%
0.0%
玉野市
玉野市
※
同規模
県
国
玉野市と県は法定報告値,同規模と国は国保データベース(KDB)システム「地域の全体像の把握」(平成28年2月18日抽出)より
23
図29
岡山県内各保険者別特定健康診査受診率(平成26年度)
特定健康診査対象者数(人)
特定健康診査受診者数(人)
特定健康診査受診率(%)
30,000
70.0
64.9
63.5
60.0
25,000
60.0
50.0
45.6
20,000
人
数
(人
)
41.3
42.3
46.0
37.8
40.0
42.1
35.2
35.2
15,000
31.8
37.5
27.2
27.9
21.8
10,000
36.4
30.0
31.0
26.1
29.2
23.6
29.2
28.8
26.8
23.8
23.0
20.0
19.8
21.4
5,000
10.0
0
0.0
県
全
体
※
※
受
診
率
(%
)
岡
山
市
倉
敷
市
津
山
市
玉
野
市
市
笠
岡
市
井
原
市
備
前
市
総
社
市
高
梁
市
新
見
市
和
気
町
早
島
町
里
庄
町
矢
掛
町
新
庄
村
勝
央
町
奈
義
町
美
作
市
西
粟
倉
村
久
米
南
町
吉
備
中
央
町
瀬
戸
内
市
赤
磐
市
真
庭
市
鏡
野
町
美
咲
町
浅
口
市
岡山市と倉敷市の特定健康診査対象者数はそれぞれ105,144人,77,726人。縦軸上限値30,000人を超えるため割愛。
法定報告値
本市の男女別年齢別特定健康診査受診率を見ると,60歳未満の男性の受診率の低さが顕著です。
生活習慣病を早期に発見し,健康寿命の延伸を実現するためには,若年層の受診率向上が必要で
す。(図30)
図30
男女別年齢別特定健康診査受診率(平成26年度)
男性 特定健康診査対象者数(人)
男性 特定健康診査受診者数(人)
女性 特定健康診査対象者数(人)
女性 特定健康診査受診者数(人)
男性 特定健康診査受診率(%)
女性 特定健康診査受診率(%)
2,500
30.0%
26.5%
2,000
16.9%
1,500
人
数
(
人
) 1,000
16.3%
16.8%
20.3%
15.3%
14.4%
10.2%
26.3%
22.2%
13.1%
500
25.1%
14.1%
9.5%
特
定
20.0% 健
康
診
15.0% 査
受
診
10.0% 率
(
%
)
5.0%
0
0.0%
40歳~44歳
※
25.0%
45歳~49歳
50歳~54歳
55歳~59歳
法定報告値
24
60歳~64歳
65歳~69歳
70歳~74歳
(2) 特定保健指導の実施状況
①特定保健指導実施状況
本市国民健康保険における平成26年度の特定保健指導実施率は13.4%で,平成25年度の
18.6%から減少しており,また,同規模,県や国と比較すると,県と同等で,同規模や国より
下回っている状況です。
(図31,図32)
図31
特定保健指導実施率(平成22年度~26年度)
対象者
450
400
終了者
終了者の割合
25.0%
401
378
370
374
344
350
20.0%
18.6%
300
15.7%
250
15.0%
200
150
13.4%
11.9%
9.5%
100
63
35
50
10.0%
64
45
50
0
5.0%
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
※法定報告値
図32
特定保健指導実施率比較(平成26年度)
特定保健指導
実施率(%)
30.0%
26.7%
24.4%
25.0%
20.0%
15.0%
13.4%
13.3%
10.0%
5.0%
0.0%
玉野市
玉野市
※
同規模
県
国
玉野市と県は法定報告値,同規模と国は国保データベース(KDB)システム「地域の全体像の把握」(平成28年2月18日抽出)より
25
②特定保健指導利用者の改善状況
(ⅰ)保健指導レベルの改善状況
平成25年度と26年度における特定健康診査データを対象に,平成25年度の特定保健指導終了
者における,翌年度の特定健康診査結果を分析しました。
平成25年度の保健指導レベル別に,平成25年度及び平成26年度の保健指導レベルを男女別に
比較すると,積極的支援(※1),動機付け支援(※2)ともに女性の方が改善されており,保
健指導の効果が顕著に表れています。(図33,図34)
図33
男女別積極的支援該当者の翌年度改善状況(平成26年度)
〔男性〕積極的支援該当者の改善状況
服薬あり
積極的支援
動機付け支援
〔女性〕積極的支援該当者の改善状況
服薬あり
情報提供のみ
積極的支援
動機付け支援
情報提供のみ
100%
100%
20.0%
33.3%
80%
80%
60%
60%
40.0%
100.0%
100.0%
33.3%
40%
40%
40.0%
20%
0.0%
平成26年度
0%
20%
0%
平成25年度
図34
33.3%
0.0%
平成26年度
平成25年度
男女別動機付け支援該当者の翌年度改善状況(平成26年度)
〔男性〕動機付け支援該当者の改善状況
服薬あり
積極的支援
動機付け支援
〔女性〕動機付け支援該当者の改善状況
服薬あり
情報提供のみ
積極的支援
動機付け支援
情報提供のみ
100%
100%
25.0%
37.9%
80%
80%
60%
60%
100.0%
40%
100.0%
40%
48.3%
20%
75.0%
20%
10.3%
3.4%
0%
平成25年度
0%
平成26年度
平成25年度
0.0%
平成26年度
※1※2 特定保健指導には,リスクの程度に応じて,動機付け支援と積極的支援があり,よりリスクが高い方が積極的支援となる。
26
(ⅱ)メタボリックシンドロームの改善状況
平成25年度の保健指導レベル別に,平成25年度及び平成26年度のメタボリックシンドローム
(※1)該当状況を男女別に比較すると,積極的支援,動機付け支援ともに女性の方が翌年度
の改善率が高く,保健指導レベルの改善状況と同様で,男女ともに保健指導による改善効果が
顕著に表れています。(図35,図36)
図35
男女別積極的支援該当者のメタボリックシンドローム該当状況(平成26年度)
〔男性〕積極的支援該当者の改善状況
基準該当
100%
予備群該当
〔女性〕積極的支援該当者の改善状況
基準該当
非該当
0.0%
100%
80%
40.0%
80%
予備群該当
非該当
0.0%
33.3%
60.0%
60%
60%
100.0%
40%
40%
40.0%
66.7%
20%
20%
40.0%
20.0%
0%
0%
平成25年度
図36
0.0%
平成26年度
平成25年度
平成26年度
男女別動機付け支援該当者のメタボリックシンドローム該当状況(平成26年度)
〔男性〕動機付け支援該当者の改善状況
基準該当
予備群該当
〔女性〕動機付け支援該当者の改善状況
非該当
基準該当
100%
予備群該当
非該当
100%
17.2%
80%
80%
51.7%
60%
50.0%
60%
55.2%
83.3%
40%
40%
27.6%
41.7%
20%
20%
27.6%
8.3%
20.7%
0%
0%
平成25年度
平成26年度
8.3%
8.3%
平成25年度
平成26年度
※1 メタボリックシンドローム:内臓脂肪型肥満で,血圧,血糖,血清脂質のうち2つ以上が基準値を超えている状態
27
3.生活習慣病重症化予防対象者の把握
(1) 人工透析患者の把握
平成26年度のレセプトによる人工透析患者の分析です。
「人工透析」は傷病名ではないため,
人工透析にあたる診療行為が行われている患者を特定し,集計した結果,人工透析患者66人のう
ち,起因が明らかとなった患者43人中42人(97.7%)が生活習慣病を起因とするものであり,そ
の40人(93.0%)が糖尿病を起因として人工透析に至った糖尿病性腎症Ⅱ型糖尿病(※1)である
ことが分かりました。人工透析患者66人の一人当たり医療費平均は年間562万円です。
人工透析への移行予防のためには,糖尿病性腎症Ⅱ型糖尿病の重症化を防ぐことが必要になり
ます。(表8,図37)
表8
対象レセプト期間内で「人工透析」に関する診療行為が行われている患者数
人工透析療法の種類
人工透析
患者数(人)
血液透析(※2)のみ
66
腹膜透析(※3)のみ
0
血液透析及び腹膜透析
0
人工透析患者合計
図37
66
人工透析患者の起因
単位:人
生活習慣を
起因とする疾病
42人
97.7%
腎硬化症
本態性高血圧
2人
4.7%
糸球体腎炎
その他
1人
2.3%
糖尿病性腎症
Ⅱ型糖尿病
40 人
93.0%
※1 Ⅱ型糖尿病は,生活習慣が起因で発症する糖尿病。一方,Ⅰ型糖尿病は生活習慣に関係なく発症する糖尿病。
※2 血液透析は,血液を体外に取り出し,ダイアライザー(透析器)に通すことで血液を浄化する。
※3 腹膜透析は,在宅で行う透析療法で,自分の体の中の腹膜を利用して血液を浄化する。
28
(2) 保健指導対象者としての糖尿病患者の把握
前項の分析結果より,生活習慣起因の糖尿病から腎症に至り透析患者になったと考えられる患
者が多く,放っておくとさらに深刻な状況になります。生活習慣による糖尿病患者に対し,早期
に保健指導を行い,生活習慣を改善することで,腎症の悪化を遅延させることができると考えま
す。そのためには,適切な対象者を把握して保健指導を実施することが求められます。
人工透析への移行予防を目的とすると,Ⅲ期「顕性腎症期」とⅣ期「腎不全期」のハイリスク
患者が対象になります。本市国民健康保険では,平成26年度レセプトで717人の指導候補者が抽
出されました。(図38)
図38
腎症患者の全体像
29
(3) 特定健康診査データによるCKD(慢性腎臓病)重症度分類
特定健康診査項目の「尿蛋白」及び「クレアチニン」から算出したeGFR値(※1)を用いて,以
下の通り「CKD診療ガイド2012」の基準に基づき,末期腎不全・心血管死亡発症リスクの上昇に
合わせてステージ分けを行い,健康診査受診者を分類しました。
(表9)
表9
特定健康診査項目からステージに該当する人数(尿蛋白×クレアチニン)(単位:人)
尿蛋白ステージ
A1
A2
A3
計
未測定
(-)(±)
腎
機(
e
能
G
ス
F
テ
ーR
ジ)
(1+)
(2+)
(3+)
G1
90 ~
226
5
1
0
1
233
G2
60 ~
1,833
46
6
1
1
1,887
G 3a
45 ~
359
11
9
1
0
380
G 3b
30 ~
17
2
0
0
0
19
G4
15 ~
0
0
1
0
0
1
G5
0 ~
0
0
2
0
0
2
5
1
0
0
0
6
2,440
65
19
2
2
2,528
未測定
計
Ⅰ
=2,059人
81.4%
Ⅱ
=410人
16.2%
Ⅲ
=36人
1.4%
Ⅳ
=15人
0.6%
不明
=8人
0.3%
G1 :正常または高値
A1 :正常
G2 :正常または軽度低下
A2 :微量アルブミン尿または軽度尿蛋白
G3a:軽度~中等度低下
A3 :顕性アルブミン尿または高度尿蛋白
G3b:中等度~高度低下
G4 :高度低下
G5 :末期腎不全(ESKD)
※
「CKD診療ガイド2012」に基づき,GFR区分・尿蛋白区分を合わせたステージにより評価する。
死亡・末期腎不全・心血管死亡発症のリスクを
を基準に
の順にステージが
上昇するほどリスクは上昇する。
※1 eGFRとは,推算糸球体濾過量で,腎臓がどれくらい老廃物を尿へ排泄することができるかを示す数値。この値が低いほど,腎臓の
働きが悪いということになる。
30
(4) COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の把握
①COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の現状
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は,主に長期の喫煙によってもたらされる肺の炎症性疾患で咳・
痰・息切れ等の症状があり,緩徐に呼吸障害が進行する疾患です。世界的にみるとCOPDによる
死亡者は年間300万人と推定され,死因順位4位であり,日本においても平成26年で死亡数1万6
千人以上,死因順位10位です。日本の煙草消費量は近年減少傾向ですが,過去の喫煙習慣によ
る長期的な影響と急速な高齢化で,今後も罹患率,有病率,死亡率は高いと予想されています。
日本においてCOPDの治療を行っている患者は約17万3千人,それに対して潜在患者は530万人
と推定されています。一方,本市国民健康保険の被保険者を対象に平成26年度のレセプトで分
析したところ,治療を行っている患者は193人でしたので,日本における治療中患者と潜在患
者の比率を参考に,玉野市国民健康保険被保険者に換算すると,潜在患者は5,790人程度存在
する可能性があります。
(表10,図39)
表10
COPD患者の治療状況と潜在患者数
治療状況
治療患者数
日本
※
玉野市国民健康保険
被保険者
※
潜在患者数
26.1万人
20倍
推定530万人
193人
20倍
推定3,860人
内訳:男性116人(60%)、女性77人(40%)
※
日本…Nippon COPD epidemiology studyによる疫学調査。全国18都道府県の35施設で平成12年4月から平成13年1月に40歳以上の
2,666人を対象に実施。
図39
COPD患者の治療状況と潜在患者数(単位:人)
患者数
( 人)
2,500
投薬治療患者
投薬治療が発生していない患者
推定潜在患者
2,000
推定潜在患者
投薬治療が発生していない患者
1,500
投薬治療患者
3,860人
792人
193人
※
※
※
1,000
推定潜在患者
500
0
40~44歳
※
※
※
45~49歳
50~54歳
55~59歳
60~64歳
65~69歳
70歳~
推定潜在患者…投薬治療患者の数に対し,日本の潜在患者数を参考に推定した患者数。
投薬治療が発生していない患者…データ化範囲内において傷病名に慢性閉塞性肺疾患があるが投薬は確認できない患者数。
投薬治療患者…データ化範囲内において傷病名に慢性閉塞性肺疾患があり,投薬も確認できる患者数。
31
②COPDの認知度及び医療機関受診の現状
一般社団法人GOLD日本委員会が実施したCOPD認知度把握調査(平成27年12月)によると,COPD
の認知度は,
「どんな病気かよく知っている」人が8.7%,
「名前は聞いたことがある」人が18.6%
で合計27.3%と低く,厚生労働省は健康日本21(第二次)において2022年度(平成34年度)ま
でに認知度を80%に向上させる目標を明らかにしています。COPDの病期は軽度のⅠ期から重度
のⅣ期(※1)までありますが,Ⅰ期・Ⅱ期の段階ではレセプトはほとんど発生せず,Ⅲ期・Ⅳ
期からレセプトが発生することが多いのが現状です。これは早期に医療機関にかからず,重症
化してからようやく医療機関にかかっていると考えられます。
(表11,図40)
COPDは,まずは病気の認知度を向上させることが重要です。
表11
COPDの認知度状況
設問:あなたはCOPDという病気を知っていますか?
どんな病気かよく知っている
872人
8.7%
名前は聞いたことがある
1,857人
18.6%
知らない
7,271人
72.7%
※
GOLD(The Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)日本委員会調査より(平成27年12月調査)。
図40
COPDの病期とレセプト発生状況
酸素療法
吸入用ステロイド
薬物療法
禁煙指導・気管支拡張薬・ワクチン接種
Ⅰ期
Ⅱ期
Ⅲ期
レセプトが発生しない
Ⅳ期
Ⅲ期以降で徐々に発生
※1 Ⅰ期:軽度の気流閉塞,Ⅱ期:中等度の気流閉塞,Ⅲ期:高度の気流閉塞,Ⅳ期:極めて高度の気流閉塞
(気流閉塞は,息を素早く吐き出せなくなること)
32
4.ジェネリック(後発)医薬品使用状況の把握
先発医薬品からジェネリック医薬品への切り替えを行うことで,薬剤費の削減が期待できます。
ジェネリック医薬品への切替えは複数の疾病に対して行うことができ,多くの患者が行動変容を
起こせば,医療費の削減効果は高くなると考えられます。
本市国民健康保険では,平成27年3月のジェネリック医薬品普及率は51.7%でした。普及率は
上昇傾向ですが,厚生労働省が定める目標値60%に対しては未達成の状況です。
(図41)
図41
ジェネリック医薬品普及率(数量ベース)
先発品薬剤数量のうちジェネリック医薬品が存在する数量
先発品薬剤数量のうちジェネリック医薬品が存在しない数量
ジェネリック医薬品薬剤数量
新指標 ジェネリック医薬品普及率(数量)
ジェネリック医薬品
普及率( %)
薬剤数量
線形 (新指標 ジェネリック医薬品普及率(数量))
3,000,000
52%
51.0%
50.4%
2,500,000
51.7%
50.3%
49.8%
50%
2,000,000
48.6%
1,500,000
48.6%
48%
47.1%
46.8%
46.5%
1,000,000
47.3%
46.3%
46%
500,000
0
44%
平成26年4月
※
平成26年5月
平成26年6月
平成26年7月
平成26年8月
平成26年9月
岡山県国民健康保険団体連合会提出分
33
平成26年10月
平成26年11月
平成26年12月
平成27年1月
平成27年2月
平成27年3月
Ⅳ.目標項目・目標値の設定
1.目指すべき方向性
本市国民健康保険の状況,過去の取組みの結果やレセプト情報等を分析することで見えてきた
地域の健康課題等を踏まえ,目指すべき方向性を示します。
<主な課題等>
○人口自然減の状況が顕著であり,高齢化率が高く,将来的にも医療費は増加する見込み。
○全国的にも医療機関数が充実していることもあり,受診率が高く,被保険者一人当たりの医療費
も高い。
○県内でも生活習慣病保有者率が高く,疾病毎の医療費も生活習慣病の割合が高い。
○生活習慣病は,40歳から増加している。
○概ね60歳から医療費が増加しており,高血圧症や脳梗塞等の「循環器系の疾患」が医療費の多く
を占めている。
○腎不全は,少ない患者数だが,一人当たりの医療費が高い。
○重複受診患者や頻回受診患者が多く存在する。
○特定健康診査受診率が低い。特に男性の若年層が低く,生活習慣病の早期発見につながらない。
○特定保健指導の指導による効果(生活習慣改善)は出ているが,利用者が少ない。
○人工透析患者が多く,透析予備群(Ⅲ期以降腎症患者)も多くいる。
○COPD(慢性閉塞性肺疾患)認知度が低いため,病気に気づかずに放置している人がいる可能性が
ある。
○ジェネリック医薬品の普及率が目標に達していない。
<目指すべき方向性>
○市民の健康寿命の延伸と将来医療費の抑制
▶ 生活習慣病の早期発見,生活習慣の見直し指導による重症化予防(一次予防・二次予防)
▶ 腎症患者の人工透析移行予防(三次予防/ハイリスク・アプローチ)
▶ 健康教室や講演会等による被保険者の健康意識の向上(ポピュレーション・アプローチ)
▶ 医療機関の適正受診の促進
▶ ジェネリック(後発)医薬品の普及による医療費抑制
本市健康増進計画「健康たまの21計画」の基本理念「みんなですこやか,みんながすこやか 健
康たまの」の実現を,本計画においても目指すべき方向性とし,生活習慣の見直しから「健康寿
命」(自立して活動できる期間)を延ばすことにより,将来的な医療費の抑制を図ります。
34
2.目標項目・目標値の設定
前項の目指すべき方向性を踏まえ,被保険者の健康寿命の延伸のため,現在の特定健康診査・
特定保健指導をさらに有効活用するため,特定健康診査の受診率向上に注力し,併せて特定保健
指導利用へと誘導します。さらに,保健事業の効果が見込まれるハイリスク対象者を特定し,か
かりつけ医の治療を助ける保健指導や情報提供を行うことで,医療機関と連携強化ができるよう
に保健事業の環境を整えるため,以下の事業を推進するものとします。
(1) 特定健康診査受診率向上対策事業
生活習慣病の有病者及び予備群に該当する者を早期に発見し,早期治療,重症化予防ができ
るように生活習慣の改善を支援します。
目標項目
特定健康診査受診率の向上
現状(平成26年度)
特定健康診査受診率
21.4%
目標(平成29年度)
特定健康診査受診率
36.0%
(2) 特定保健指導利用勧奨事業
対象者に特定保健指導の重要性や利点を理解していただくことで,利用率の向上を実現し,
生活習慣病を改善するための保健指導を行い,糖尿病などの生活習慣病の有病者・予備群の減
少を図ります。
目標項目
特定保健指導利用率の向上
現状(平成26年度)
特定保健指導実施率
13.4%
目標(平成29年度)
特定保健指導実施率
25.0%
(3) 糖尿病性腎症重症化予防事業
生活習慣の改善により重症化を防ぐことができる対象者を特定し,適切な保健指導を実施す
ることで,糖尿病や糖尿病性腎症の病期の進行を防ぎ,人工透析移行者の減少を図ります。
目標項目
指導対象者の病期進行の防止
現状(平成26年度)
人工透析患者
目標(平成29年度)
指導対象者の病期移行(重症化) 0人
66人
(4) CKD(慢性腎臓病)予防教室
特定健康診査の結果で,eGFR値または尿蛋白値に異常が見られる対象者に,CKD(慢性腎臓
病)予防教室への参加を勧奨し,保健指導することにより,CKD(慢性腎臓病)の重症化防止
を図ります。
目標項目
CKD(慢性腎臓病)の重症化予防
現状(平成26年度)
1クール全2回を年間2クール実施し,アンケート回収
目標(平成29年度)
生活習慣改善意欲
100%(アンケート集計で確認)
35
(5) 重複・頻回受診者対策事業
重複受診者や頻回受診者のうち必要な医療の可能性がある患者を除き,適切に保健指導を実
施することで,対象者の受診行動の適正化を図ります。
目標項目
重複受診者数,頻回受診者数の減少
現状(平成26年度)
重複受診者
目標(平成29年度)
保健指導対象者の受診行動改善率 60%
154人,頻回受診者 304人
(6) COPD(慢性閉塞性肺疾患)啓発事業
講演会を実施し,認知度が低いCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の啓発活動に努め,COPDの疑いが
ある被保険者自らが医療機関を受診することで,COPDの重症化防止を図ります。
目標項目
COPD(慢性閉塞性肺疾患)認知度の向上
現状(平成26年度)
COPD患者数
193人
目標(平成29年度)
COPD理解度
100%(アンケート集計で確認)
(7) ジェネリック医薬品差額通知事業
先発医薬品からジェネリック医薬品に切り替えることで,医療費の削減が期待できる患者を
対象に,文書を通知することで,医療費抑制を図ります。
目標項目
ジェネリック医薬品普及率の向上
現状(平成26年度)
ジェネリック医薬品普及率
51.7%(平成27年3月実績)
目標(平成29年度)
ジェネリック医薬品普及率
60.0%
36
Ⅴ.実施事業
1.特定健康診査受診率向上対策事業
1-1.特定健康診査
(1) 目的
生活習慣病の発症や重症化を予防することを目的として,メタボリックシンドロームに着目し,
生活習慣を改善するための特定保健指導を必要とする方を,的確に抽出するために行うものです。
(2) 対象者
特定健康診査の対象者は,本市国民健康保険被保険者のうち,特定健康診査の実施年度中に
40~75歳となる方で,かつ当該実施年度の1年間を通じて加入している方(年度途中での加入・
脱退等異動のない方)です。
なお,「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」に基づき厚生労働大臣が定め
る者は,上記対象者から除きます。
○妊産婦
特定健康診査
の対象から
○刑事施設,労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている者
○国内に住所を有しない者
除外される者
○船員保険の被保険者のうち相当な期間継続して船舶内にいる者
(厚生労働省
○病院又は診療所に6月以上継続して入院している者
告知より)
○「高齢者の医療の確保に関する法律」に規定する施設に入所又は入居して
いる者
(3) 実施要領
大別して「個別健康診査」「集団健康診査」「国保特定セットけんしん」の3体系にて実施
します。
37
実施項目
■問診(質問項目)
■身体計測(身長,体重,BMI,腹囲)
基本的な
健診項目
■理学的検査(内科診察)
■血圧測定,血液化学検査(中性脂肪,HDLコレステロール,LDLコレステロール)
■肝機能検査(AST(GOT),ALT(GPT),γ-GT(γ-GTP))
■血糖検査(空腹時血糖,HbA1cを選択)
■尿検査(尿糖,尿蛋白)
心電図検査,眼底検査,貧血検査(赤血球数,血色素量[ヘモグロビン値],
ヘマトクリック値)のうち,一定の基準の下,医師が必要と判断したものを
選択
■心電図検査
■眼底検査
■貧血検査
詳細な
健診の項目
<判断基準>
(心電図検査・眼底検査)
・血圧 収縮期血圧130mmHg 以上又は拡張期血圧85mmHg以上
・血糖 空腹時血糖100mg/dl 以上又はHbA1cが5.2%以上
・脂質 中性脂肪150mg/dl 又はHDLコレステロール40mg/dl未満
・肥満 腹囲男性85cm以上,女性90cm以上又はBMI25以上
(貧血検査)
・貧血の既往歴を有する者又は視診等で貧血が疑われる者
■クレアチニン
追加項目
■尿酸
※必要に応じて拡充,変更を行う。
(4) 目標
特定健康診査受診率 36.0%
38
1-2.特定健康診査受診率向上対策
(1) 目的
疾病大分類や疾病中分類において,医療費が高額な疾病,あるいは患者数が多い疾病や一人当
たり医療費が高額な疾病の中に,生活習慣病があります。生活習慣病は,軽度のうちに早期発見・
治療し,生活習慣を改善すれば進行を止めることが可能なため,被保険者の生活習慣病予防につ
ながる特定健康診査受診率の向上を図ります。
(2) 対象者
特定健康診査未受診者
(3) 実施要領
①保健事業の要領
過去の特定健康診査の受診状況や医療機関での治療状況,男女別,年齢階層別等,特定健康
診査未受診者をグループ分けし,受診勧奨対象者として抽出します。
受診勧奨の方法は,主に受診勧奨ハガキ等の文書の通知であり,グループ分けした各対象者
の特性に応じて通知します。受診勧奨ハガキは,目をひくよう,色合いや内容を工夫して作成
します。
また,効果確認の結果に基づいて,対象者の抽出方法,受診勧奨ハガキの内容,通知タイミ
ング等の改善を行い,費用対効果を考慮した上で,電話勧奨の拡充や訪問指導の導入も検討し
ます。
②効果確認
通知対象者のうち,受診勧奨ハガキ到着日以降に特定健康診査を受診した者を集計します。
(4) 目標
通知対象者の特定健康診査受診率 10%
39
2.特定保健指導利用勧奨事業
2-1.特定保健指導
(1) 目的
特定保健指導は,生活習慣病に移行させないことを目的に,対象者自身が特定健康診査の結
果を理解して体の変化に気づき,自らの生活習慣を振り返り,生活習慣を改善するための行動
目標を設定するとともに,それを実践できるよう支援することにより,生活習慣病を予防する
ことを目的とします。
(2) 対象者
特定健康診査を受診した方のうち,下記に該当する方
1 肥満リスクを判定する
① 腹囲が85㎝以上である男性,90㎝以上である女性
② ①に該当せず,BMI(ボディマス指数)(※1)が25以上
③ ①②のいずれにも該当しない
2 特定健康診査の結果から,リスク(危険因子)①~④の該当数をカウントする
① 血圧
収縮期血圧が130mmHg以上,または拡張期血圧が85mmHg以上,
または薬剤治療を受けている
② 血糖
空腹時血糖が100mg/dl以上,またはHbA1cが5.2%以上,
または薬剤治療を受けている
③ 脂質
中性脂肪150mg/dl以上,またはHDLコレステロール40mg/dl未満,
または薬剤治療を受けている
④ 喫煙
喫煙歴あり(①~③で1つ以上該当する場合のみカウントする)
腹囲
男性85㎝以上
女性90㎝以上
リスク(危険因子)
①血圧②脂質③血圧
④喫煙
2つ以上該当
1つ該当
あり
なし
3つ該当
上記以外で
BMIが25以上
2つ該当
あり
なし
1つ該当
※上記①②③に係る薬剤を服薬中の者は,特定保健指導の対象としない。
※1 BMI(ボディマス指数)とは,体重と身長の関係から人の肥満度を示す体格指数
40
年
40~64歳
齢
65~74歳
積極的支援
動機付け支援
積極的支援
動機付け支援
動機付け支援
(3) 実施要領
特定保健指導の対象者は,国の基準に基づき,特定健康診査の結果及び喫煙の有無等により,
情報提供,動機付け支援,積極的支援の3グループに区分します。そのうち動機付け支援,積
極的支援に区分されたグループに属する方に対して,生活習慣病に移行させないことを目的に
実施します。
また,特定保健指導の実施率を向上させるため,特定健康診査を受診してから早期に特定保
健指導の利用勧奨を行います。
実施項目
●面接による支援のみ原則1回の支援。
●初回面接時に行動計画を作成し6カ月経過後に実績評価を行う。
動機付け支援
●特定健康診査の結果並びに生活習慣の状況を踏まえ,自らの生活習慣の改
善すべき点を自覚し,自ら目標を設定し行動に移すことができるよう支援
する。
●初回時に面接による支援を行い,その後3カ月以上の継続的な支援を行う。
●初回面接時に行動計画を作成し6カ月経過後に実績評価を行う。
積極的支援
●自らの身体に起こっている変化を理解できるように促し,具体的に実践可
能な行動目標について対象者と一緒に考え,対象者自身が選択できるよう
に支援し,行動を継続できるよう定期的かつ継続的に介入する。積極的支
援終了時には改善した行動が継続できるよう意識づけを行う。
とりわけ,積極的支援対象者への指導は,特定健康診査の結果の意味するところが理解でき,
自らの生活習慣を振り返り,生活習慣を改善するための行動目標を設定するとともに,自らが
実践できるよう支援し,そのことにより対象者が自分の健康に関するセルフケア(自己管理)
ができるようになることを目的とします。
そのために,どのような生活習慣を身につけることが必要であるか,また課題や優先順位を
対象者とともに考え,実践可能な行動目標を対象者が自ら立てることができるよう支援できる
プログラムを開発し,個別面接や小集団のグループワーク等を活用し行動変容のきっかけづく
りを行います。
(4) 目標
特定保健指導利用率 25.0%
41
2-2.特定保健指導利用勧奨
(1) 目的
これまでの特定保健指導実施状況の分析により,特定保健指導での改善効果が確認できていま
すが,特定保健指導実施率が低いことが課題です。特に本市国民健康保険における生活習慣病保
有者率は県内保険者で3番目に高いため,対象者の生活習慣病予防につながる特定保健指導利用
率の向上を図ります。
(2) 対象者
特定健康診査受診者のうち,特定保健指導対象者になった方
(3) 実施要領
①保健事業の要領
特定健康診査の結果,特定保健指導対象者に結果通知と保健指導の必要性を周知し,対象者
全員へ電話勧奨を行い,保健指導を実施します。
(図42)
図42 電話案内実施フロー図(特定保健指導利用勧奨事業)
保険者
対象者抽出・リストの準備
対象者に電話案内実施
被保険者
電話での説明を受ける。
※同意であれば面接日を決定する。
②効果確認
特定保健指導対象者全員に文書を通知し,電話勧奨を行い,参加意思を確認します。
(4) 目標
特定保健指導対象者への利用勧奨 100%実施
42
3.糖尿病性腎症重症化予防事業
(1) 目的
本市国民健康保険の人工透析患者を分析したところ,その多くが糖尿病性腎症Ⅱ型糖尿病が起
因であることが分かりました。糖尿病性腎症については,医療機関での治療と併せ,食事療法や
運動療法といった生活習慣の改善により,病状の維持や一定程度の改善が見込まれているため,
腎症患者に対する生活習慣病予防につながる保健指導事業の実施により人工透析への移行阻止
を図ります。
(2) 対象者
被保険者のうち,人工透析への移行リスクが高い腎症患者
(3) 実施要領
①保健事業の要領
対象者への保健指導は,本人の同意及びかかりつけ医の了解が得られた場合に実施すること
とし,保健指導は,看護師・保健師等により,面談及び電話により行います。
②効果確認
生活習慣の改善が実現でき,継続されているかを確認します。
・レセプトを活用し,医療機関への受診状況,及び診療内容を確認します。
・特定健康診査(40歳以上の場合)の検査値を確認します。
・指導完了後のフォローにより,電話等で本人からのヒアリングで確認します。
(4) 目標
指導完了者の病期移行(重症化) 0人
43
4.CKD(慢性腎臓病)予防教室
(1) 目的
CKD(慢性腎臓病)が重症化すると,人工透析が必要な末期腎不全になることがあります。
本市国民健康保険の中分類における疾病別統計で,腎不全は医療費総計で6位,患者一人当た
り医療費で3位に位置しており,健康寿命の妨げになることはもちろん,医療費の高騰にもつな
がっています。
CKD予防の目的は,慢性腎臓病への進行を遅らせることであり,そのためには生活習慣の改善
が非常に重要です。本事業では,CKDハイリスク者に向けたCKD予防教室を開催し,保健師と栄養
士等が,CKDの正しい知識と生活習慣の見直しについて周知することで,生活習慣の改善による
重症化予防を実施します。
(2) 対象者
特定健康診査受診者のうち,CKDハイリスク者。ただし,以下の方は除外します。
・特定保健指導対象者
・当該年度における年齢が70歳以上の方
(3) 実施要領
①保健事業の要領
40~69歳の特定保健指導非該当者で,特定健康診査データから,CKD重症度分類によるハイ
リスク者を抽出し,健康教室の案内を通知します。
教室では,健康診査結果の見方,腎臓の働きや生活習慣改善について講話します。
②効果確認
アンケートを教室実施前後で実施し,CKDに対する理解度や,生活習慣改善意欲について確
認します。
教室終了後3カ月を目途に教室参加者へ聞き取りを行い,健康管理に対する認識や生活状況
について確認します。
(4) 目標
教室参加者の生活習慣改善意欲
100%(アンケートの回答により集計)
44
5.重複・頻回受診者対策事業
(1) 目的
本市国民健康保険における医療機関受診率は同規模保険者や県平均,国平均と比較しても高く,
県内保険者と比較しても本市が最も高い状況です。
平成26年度レセプトの分析によると重複受診者は154人,頻回受診者は304人存在し,これらの
方は医療機関への受診が適正に行われていない可能性があります。また,重複受診や頻回受診の
要因となっている疾病には,生活習慣病も多く占めており,正しい医療機関受診に向けた指導と
併せて,生活習慣の確認や,薬の飲み合わせ等の服薬指導を行っていく必要があります。
本事業では,重複・頻回等の受診歴を有する方に対して,訪問指導等を行うことで,医療機関
の適正受診を促します。
(2) 対象者
レセプト情報から,医療機関への過度な受診が確認できる方
重複受診者:ひと月に同系の疾病を理由に複数の医療機関に受診している方
頻回受診者:ひと月に同一医療機関に一定回数以上受診している方
(3) 実施要領
①保健事業の要領
保健師等が対象者を訪問等し,適切な保健指導を行います。
②効果確認
指導対象者のレセプトから,指導後の受診行動が適正に行われているかを確認します。
(4) 目標
指導対象者の適正な受診行動改善率
60%
45
6.COPD(慢性閉塞性肺疾患)啓発事業
(1) 目的
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の大きな課題はその認知度の低さと,放置しておくと重症化する恐
れのある疾病という点です。初期症状では風邪にも似た症状であり,重症化するまで医療機関に
かからない方が多いため,現状把握できる患者の何倍もの患者が潜在的にいるといわれています。
本事業では,講演会を開催し,被保険者のみならず市民にも広く参加を募ることで,COPDへの
認知度の拡充を図ります。
(2) 対象者
全市民
(3) 実施要領
①保健事業の要領
成人喘息とCOPDの認知度を広め,知識を深めるため,疾患の予防と最新の治療法について,
講演会等を開催します。
②効果確認
アンケートを実施し,COPDについての理解度を確認します。
(4) 目標
参加者のCOPD理解度
100%(アンケートの回答により集計)
46
7.ジェネリック医薬品差額通知事業
(1) 目的
厚生労働省では平成25年4月に,平成30年3月末までに数量シェア60%を目標とする「後発医薬
品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定し,さらに,平成27年6月の閣議決定にお
いて,平成29年半ばに70%以上とするとともに,平成30年度から平成32年度末までの間のなるべ
く早い時期に80%以上とする,といった新たな数量シェア目標が定められています。
本市国民健康保険でも積極的に取り組んでいますが,現在は目標未達状態であるため,継続的
に実施することでジェネリック医薬品の普及率向上を図ります。
(2) 対象者
被保険者のうち,ジェネリック医薬品の使用率が低く,ジェネリック医薬品への切替えによる
薬剤費軽減額が一定以上の方
(3) 実施要領
①保健事業の要領
対象者に対して,ジェネリック医薬品の利用を促進する文書を通知します。
②効果確認
通知後に,対象者のジェネリック医薬品の使用状況を確認します。
(4) 目標
ジェネリック医薬品普及率
60.0%
47
Ⅵ.計画の評価,見直し及び事業運営上の注意
1.保健事業実施計画(データヘルス計画)の公表・周知
本計画は,ホームページ等を通じて周知・啓発を図り,特定健康診査及び特定保健指導の実績
(個人情報に関する部分を除く),目標の達成状況等について,必要に応じて有識者等の意見を
求めます。
2.保健事業実施計画(データヘルス計画)の見直し
本計画の実施事業における目的及び目標の達成状況について,国保データベース(KDB)シス
テム及び特定健康診査データ,レセプトデータ等を活用し,必要に応じて本計画の見直しを実施
します。
3.事業運営上の留意事項
(1) 各種検(健)診等の連携
特定健康診査の実施に当たっては,健康増進法等に基づき実施する検(健)診等についても連携
して実施します。
(2) 健康づくり事業との連携
特定健康診査・特定保健指導は,被保険者のうち40歳から74歳までの方が対象になります。ま
た,生活習慣病予防のためには,40歳より若い世代へ働きかけ,生活習慣病のリスクの周知や日々
の生活スタイルを見直していくことが重要になります。そのためには,関係部署が実施する保健
事業とも連携しながら,生活習慣病予防を推進していく必要があります。
4.個人情報の保護
個人情報については,
「個人情報の保護に関する法律」
「国民健康保険組合における個人情報の
適切な取り扱いのためのガイドライン」「玉野市個人情報保護条例」等に基づいて行います。
また,本計画に関わる業務を外部に委託する際も,委託者に対して同様の取り扱いをすること
とし,情報の管理を徹底します。
48