Title 2,2′-(Ethylenediimino)-di-1

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2,2′-(Ethylenediimino)-di-1-butanol(EB)の抗結核作用並び
にEB附加による再化学療法強化に関する基礎的研究(
Abstract_要旨 )
岩井, 嘉一
Kyoto University (京都大学)
1966-11-24
http://hdl.handle.net/2433/212016
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
[ 116 ]
氏)
岩
井
嘉
か
いち
学 位 の 種 類
医
学
博
士
学 位 記 番 号
医
学位授与 の 日付
昭 和 41 年 11 月 24 日
学位授与 の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 1 項 該 当
研 究 科 ・専 攻
医 学 研 究 科 内 科 系 専 攻
学位論文題目
2,2′
-(E th ylen ediim in o)-d i-1-bu tan ol (E B ) の抗 結 核作 用並
び に E B 附加 によ る再化 学療法強化 に関す る基礎 的研究
いわ
い
博
第 276 号
(主 査)
論文調査委員
し -_ー
教 授 内 藤 益 一
論
文
内
教 授 長 石 忠 三
容
の
要
教 授 辻
周 介
旨
Streptom ycin (SM ), p-am inosalicylic acid (P A S) および isonicotinic acid hydrazide (IN H )
の一次抗結核薬 による治療 に失敗 し, これ ら薬剤 の耐性菌 を噴 出 している肺結核 患者が少 なか らず存在す
るとい う事実 は, 一次抗結核薬耐性菌 による感染 患者 が年毎 に増加す るとい う憂 うべ き現象 を もた ら して
いる。 現在 , これ ら耐性 患者 に使用 しうる二次抗結核薬 と して , kanam ycih (K M ), cycloserine (C S) 及
び ethipnam ide (T H ) 等が数 え られ る が, そ の性能 はいず れ も一次薬 の IN H , SM
く, しか も対象 とな る患者 は , SM , P A S および IN H
を越す ものではな
の長期治療 によ って も成 功 し得 なか った難 治肺結
核患者が大部分 で あ るか ら, 再化学療法 の劣勢 はおお うべ くもない。 この意味か ら, まず第一 に望 まれ る
のは, 強力な新抗結核薬の発見で あ り, 第二 には, 其者 を加 え ることによ って再化学療法 を強化す ること
であ る。 そ こで , 1961年米 国において W ilkinson らによ り合成 され, T hom as らがその優秀 な抗結核作
用 を報 じてい る 2,2′
-(E thylenediim
i no)-di-1-butanol (以下 E B ) につ いて若干 の基礎実験 を行な うとと
もに, K M , C S, T H およびオル トア ミノフ ェノール ・ メタンスル フォン酸 ソ- ダ (SO M ) に本薬剤 を加
え た 5 割併用 による再化学療法強化 の可能性 を基礎的 に検索 した。
第 1 筋 においては, E B 単 独の抗結核作用 を 検 討 し, E B の制菌最低濃度 (以下 , M IC ) は T w een・
album in 培地 でやや低 く出 るが , そ の他の培地 では d 体 (以下 , D -E B ) で 3.13 γ/m l 程度で , dl 体 の
V2を示 し, 培地 pH が アル カ リ性 で低下 し, 接種菌量が大 な る程上昇 す る が , 培地 中の血清濃度の影響
を受 けない ことを認 めた。 また, E B は培地 内で安定で あ り, 他抗結核薬 と交叉耐性 がな く, E B に対 す
る 自然耐性菌 は認 め られなか った。 D -E B の殺菌最低濃度は, 薬剤作用 4 週 間では M IC とほぼ等 しく,
IN H の 100倍程度の成績 を得 た。 D -E B 単独 50 m g/kg 投与時の家兎血清制薗力持続時間は皮下注射 お
よび静脈注射で 1 時間程度を示 したが , 経 口投与では全 く認 め られ ず , 人体 に 1 g を経 口投与 した際 も
ご く弱 い血清制薗力を認 め るにす ぎなか った。 しか し, 結核 マ ウス延命効果 の検討 では , 10- 100 倍量 の
D -E B と IN H
が 匹敵 し, 同一投与量では SM , K M
および viom ycin にわず か に劣 るのみで , T H ,
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SO M , T B I, C S, pyrazinam ide および P A S よ りは優 れ た治療 効果 を得 た。
第 2 貨で は , 試験 管 内実験 によ る検 討で , E B が他抗結核 薬 と制 薗お よび殺 菌作用 の面 で括抗 作用 を示
さず , P A S, tetracyclin e お よび T H と併用制菌 効果 を , P A S と併 用殺菌効果 をわず か に示す ことを認
め , E B の耐性 上昇 形式 が一般 に緩徐で , その耐性 上昇 は P A S お よび IN H
および K M
によ り, SM , IN H , P A S
の耐性 上昇 は E B の併用 によ り多少 と も遅延 され る ことを認 め た。
第 3 篇で は , K M , C S, T H , SO M
お よび E B の 5 割 併用 時 には, 併用薬剤 数 の増加 とと もに制 菌 力 お
よび殺菌 力が強化 され るのみな らず , K M , T H お よび E B の耐性 上昇遅延効果 の増 強が認 め られ , 併 用
制菌効果 と相 ま って , K M , T H , E B それぞれ 4 代 後 の耐性 値 は単 独 に比 してか な りの低下 が認 め られ た。
また 5 剤併用 時 には , 併用剤 の増加 に伴 な って, 家兎平 均血清制薗 力持 続時 間 も延長 し, 結核 マ ウスの平
均 生存 日数 は著 明な延長 を認 め た。
以 上 を要 す るに, E B は一 次抗結核薬 の IN H に及ぶべ くもな いが , K M , T H , T M 等 とと もに, 二 次
薬 の中で主剤 とな りうる優 れ た薬剤 で あ ると思 わ れ る。 また, K M , C S T H , SO M
に E B を加 え た ら 5
剤 同時併用時 には試験管 内および動物実験 において優秀 な成 績が得 られ , 現在 の時点 で は過渡 的 な試 みで
はあ るが , 多剤 併用 も再 化 学療法 強化 の一方 向 と思 わ れ る。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
現在肺結核 の治療 で最 も困 った問題 は SM , P A S, IN H に耐性 とな った患者 と これ ら耐性菌 に感 染 した
患者 との増加 で あ る。 これ に対 してわ れわ れが現在 使 い得 る化 学療法剤 と しては , K M , C S, T H
の3割
が あ るが , それぞれ一次剤 に等 しい か あ るいは劣 る性能 を もち, しか も患者 の多 くは初 回例 の うちか ら選
択 されて残 った もので あ るか ら, 再 化 学療法 の成 績 は初 回 の それ に比 べ ては るか に悪 い。 これを打 開す る
道 は新抗結核 薬 の発現 とそれ を付 け加 え る ことによ る再 化 学療法 術 式 の強化 よ りな い。 著者 は ア メ リカで
発見 された E B を この 目的 に取 り上 げた。 その結果 , この者 の in vitro の制菌 最低 濃度 は大体 3.13 γ
/
m l, アル カ リ性 側 で低値 を示 し, 接種菌 量 の増 加 とと もに高値 を示す が , 培地 中の血清濃 度 の影響 を うけ
ず , 培地 内で安定で あ り, 他剤 と交叉耐性 な く, 自然耐性菌 も認 め られな い こと, 結核 マ ウス延命 効果 に
おいて SM , K M
にわず か に劣 り, T H ,P A S よ りはす ぐれてい る ことがわ か った。 また他剤 との併用 に
よ り in vitro な らび に in vivo で著 明な併用効果 を発揺 す る ことを明 らか に した。 この薬剤 が再 化 学
療法 強化 に役 だつ ことを明 らか にな し得 た ことは結核化 学療法 の推進 に寄与 した もの と思 わ れ る。
以 上本論文 は学 問的 に有益 で あ って医学博士 の学位論文 と して価値 あ る もの と認定す る。
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