Title Author(s) Citation Issue Date URL 血中ACTHに関する臨床的研究( Abstract_要旨 ) 松倉, 茂 Kyoto University (京都大学) 1966-11-24 http://hdl.handle.net/2433/212015 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 【115 】 氏) 茂) 松 倉 まつ くら 学 位 の 種 類 医 学 学 位 記 番 号 医 学位授与 の 日付 昭 和 41 年 11 月 24 日 学位授与 の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 1 項 該 当 研 究 科 ・専 攻 医 学 研 究 科 内 科 系 専 攻 学位論文題 目 血 中 A C T H に関す る臨 床 的研究 論文 調査委員 教 授 深 瀬 政 市 (主 博 しげ る 博 士 第 275 号 査) 論 文 内 教 授 脇 坂 行 一 容 の 要 教 授 高 安 正 夫 旨 血中 A C T H 値 の測定は複雑 な下垂体副腎皮質系の動態を正確 に把握す る うえに重要であるが, 従来 の アス コル ビン酸量を指標 とす る Sayers の A C T H 測定法は感度が不充分であるため に, 測定は極めて困 難で あ った。 しか し最近鋭敏 な生物学的測定法が考案 され , また免疫学的測定法 も導入 されて血中 A C T H 値 の測定が可能 とな ってきたL, 著者は これ らの 方 法 を用 い各種病的状態における血 中 A C T H 値 を測定 し, さ らに A C T H の分泌 に影響す る諸因子 を検討す るとともに, 血 中における A C T H の代謝につ いて も若干 の研究 を行 な った。 A C T H の生物学的測定法 と して は 右副腎摘除 1 週 間後の ラッ トを用 い, 試料 を股静脈 か ら静注後副腎 静脈血 中 C orticosterone を測定す る方法 を用 いた (股静脈法)。 この方法 によ り標準 A C T H 0.03 m U まで 測 定 可 能 で あ った。 一部の 実験 では試料 を直接腹部大動脈 に注入す ることによ り, 0.01 m U まで検 定可能 にす ることがで きた (大動脈法)。 また免疫学的測定法 と しては塩折法 を用 いた R adioim m unoas- say を使用 したが, この方法では αh - A C T H の l m pg まで測定可能であ った。 正常人 の血中 A C T H 値 は末処置血祭で股静脈法 を用 いた場合 には検定で きなか った (0.6 m U /100 m l plasm a 以下)。 そ こで大量の血液 よ り 0 Ⅹycellulose 法で抽出測定 したところ, 平均値 は 0.04 m U /100 m lblood であ った。 クッシング症候群 6 例 (過形成 4 , 腫痔2 )。 甲状腺機能元進症 10例中 9 例, 異常色 素沈着症 7 例では血 中 A C T H 値 の増加 を証 明 しえなか ったが, 副腎性器症候群 7 例 , アジソン病 10例で は明 らかな増加 を認めた。 これ ら増加 した血 中 A C T H 値 は G lucocorticoid の投与 によ り抑制 され た が, M ineralocorticoid, A ndrogen は著 明な抑制効果 を示 さ な か った。 ステ ロイ ド生合成阻止剤 であ る SU -4885 の投与 によ り, 正常人 , 神経性食思不振症 , 肝硬変症 の血 中 A C T H は増加 し未処置血衆 をそ の まま使用 して も A C T H の測定が可能 とな った。 また外科手術や電気 ショックなどのス トレスの際 に も 一般 に血 中 A C T H 値 の増加 を証 明 しえたO アジソン病 , 副腎性器症候群では血 中 A C T H 値 に 口内変動 を認 めたが, クッシング症候群では明 らかな 日内変動 を証 明 しえなか った。 - 308 - - 次 に外 因性 A C T H の血 中よ りの消失を生物学的測定法 , 免疫学的測定法 によ り検討 した ところ, 尿毒 症 , 甲状腺機能低下症 で免疫学的活性 の消失が遅延 す る傾 向 が み られた。) また, 免疫学的測定法 による A C T H 値 は生物学的測定法 による値 よ りも一般 に数倍ない し20数倍の高値 を示 した。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 本研究は諸種病的状態 における下垂体 の A C T H 分 泌能 および A C T H の代謝を 知 ることが 目的であ る。 この 目的のため に従来の方法 に比 し特異性 および鋭敏 度の高 い副腎 の コル チ コステ ロイ ドの分泌量を 指標 と した生物学的測定法 およびアイソ トープを使用 した免疫学的測定方法 を用 いた。 抽出によ り生物学的方法で測定 した正常人 の血 中 A C T H 値 は 0.04 m p/100 m l B lood であ った。 クッ シング症候群 , 甲状腺機能元進症 , 色素異常沈着症ではいずれ も血液中の A C T H は増量せず , 一方副腎 性器症候群 , アジソン病 , 強いス トレス下では血 中 A C T H は増加 し, 末処 置血祭 を用 いる生物学的方法 で測定可能 とな った。 上記 A C T H 増量群 の血 中 A C T H は糖質 コル チ コイ ドの投与 によ り減少 したが塩類 コルチ_= イ ドの投 与では変化 を受 けなか った。 一方正常人 , 神経性食思不振症患者 にステ ロイ ド生合成 阻止剤 ,SU -4885 を 投与 したところ A C T H は増加 し末処 置血清で も測定可能 とな った。 次 に外因性 A C T H の血 中よ りの消失 を生物学的測定 な らびに免疫学的方法で検討 した ところ,尿毒症 お よび甲状腺機能低下症では A C T H 活性 消失が遅延 した。また免疫学的測定値 には生物学的不活性 A C T H 代謝物が混入す ることを示 した。 以上本論文は学術上有益であ り医学 博士 の学位論文 と して価値 あるもの と認定す る。 - 309 --
© Copyright 2024 ExpyDoc