Title Author(s) Citation Issue Date URL 接触気相反応によるピリジンおよびキノリン塩基の合成 研究( Abstract_要旨 ) 生嶋, 和雄 Kyoto University (京都大学) 1959-03-31 http://hdl.handle.net/2433/210684 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 氏 生 いく 嶋 こま かや 和 雄) 学 位 の 種 類 薬 学 博 士 学 位 記 番 号 薬 学位授与の 日付 昭 和 34 年 3 月 31 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第5条 第 1項 該 当 研 究 科 ・専 攻 薬 学 研 究 科 薬 学 専 攻 学位論文題 目 接 触 気 相 反 応 に よ る ピ リジ ンお よび キ ノ リン塩 基 の合 成 研究 論 文調 査 委員 教 授 石 黒 武 雄 (主 博 第 お 9 号 査) 論 文 内 教 授 高 橋 酉 蔵 容 の 要 教 授 富 田 英 雄 旨 さきに石黒, 森 田は接触気相反応 によ り allyl alcohol, acetone および N H 3 よ り 2-picoline を合成す る 方法を見 出 し, その後著者生嶋和雄 も共 同研究者 の一人 に加 わ りこの反応 の 展開に努 めた。 すなわち acetone のかわ りに適 当なケ トン類 を用 いれば ( 1 )式 に したが って ピ リジ ンの 2 , 3 位 に任意の置換基 を 有す るピ リジ ン塩基が系統的に多数合成 され ることが明 らかにされた0 CH2 ∴ CH C H 2- R / (1) l CH2 \ OH + 1 CO - R 算 R - C H 3, C 2H 5 , C 3H 7 , C 6 H 5 , etC. R′ - H , C H B, C 2H 5 , n -C aH 7 , トC 3H 7 , n -C 4 H 9, i-C 4 H 9, 二三′ sec-C 4H 9, トC 5H ll, C 6H 5 , etC. NH8 その後, 著者 はさ らに この反応 の追究を行な うとともに 2 , 3 位以外 に も置換基を有す るピ リジ ン塩基 の合成を試み, 2-, 3-, および 4-m ethylpyridine の 5 , 6 位核 置換体を合成 す ることがで きた。 触 媒に は燐酸 カ ドミウムー活性酸性 白土 を用 い, 反応温度 350- 4500で実験 を行 な った。 〔I 〕 M etylcyclohexanon e 類 と A llyl alcohol, N H a の反応 著者 は さきに C yclohexanon e と allyl alcohol, N H 3 よ り接触気相反応 によ り bz-tetrahydroquinolin e を 収率 よ く合成 し得 ることを報告 したが, 今回 さ らに この合成法 を展開 して, cyclohexanone のかわ りに 2- , 31, および 4-m ethylcyclohexanon e を用 い, これ と allyl alcohol, N H 8 とよ り同様 に して, 現在 いまだ よ い合成方法が知 られていない 6-, 7-, および 8-m eth y1-bz-tetrahydroquinoline を容易 に 合成 し得 る 方法 を見 出 した。 この場合, 副生成物 と して脱水素化 されi= 6-, 7-, および 8-m ethylquinoline も得 られた。 CH2 ∴ (2 ) H C 1 H 2C \ OH /\ + l + c H 3- ♂\/ ♂\/ \ ♂\/ ㌔ - J H -トC H 3+ F H + C H 3 、N /\/ NHS - 131 - ヽN /\♂ 本反応 において ほ原料 の m ethylcyclohexanone のメチル基 の位 置によって 生成 キノ リン塩基の 収率 に 著 しい差が認 め られたが, 同様 の現象 につ いて著者 はさきに m ethylalkylketone と allyl alcohol, N H 3 の 縮合の際 に, ケ トンのアルキル基の構造 によって ピ リジ ン塩基 の収率 に著 しい差のあることをすで に発見 していたので, 今回 これ ら多数 の反応例 と実験結果を総合 して, ケ トン類 の化学構造 とピ リジ ン塩基の収 率 の問の関係 に説 明を与えた。 〔Ⅲ〕 C yclohexanone 類 と N H B の反応 M ethylcyclohexanone 類 と allyl alcohol, N H 3 の反応 においては副生成塩基 と して少量の 3-picoline お よび 3, 5-1utidine が生成 す るが, これ らは allyl alcoohol と N H 3 の 縮合 による もの であ る。 しか L cyclohexanone 類 と N H 3 の問で どんな反応 が起 こるかばいまだ知 られていないので著者 はこの反応 につ い て検討 L/た 。 まず cyclohexanone を N H 3 と反応せ しめたところ aniline のほかに 2-picloine の生成が認 め られた。 つ ぎに m ethylcyclohexanone な らび に dim ethylcyclohexanone につ いて も同様 に して ( 3 ) 式 に示 され るよ うにアニ リン誘導体のほかに同時 に ピ リジ ン塩基が得 られた。 Ra I R8 I ・3 ) R 4二〇 = ≡三 豊 ll 0 - R 4- ◎ = ≡; 1 NH2 cZ I - 3 1H RC * 〓 AI z 3一4 n = \湊 N 0 -- - R すなわち, 2-m ethylcyclohexanone と N H 3 か らは O-toluidine と 2, 3-1utidine を, 3-m ethylcyclohexa- none と N H B か らは m -toluidine と 2, 6-1utidine を, 3. 5-Ⅹylidine と 2, 4, 6,-collidine が得 られた 。 また 3, 5-dim ethylcyclohexanone と N H B か らは 多 くの実験結果を基 に して著者 は これ らの反応機構 を検 討 し, その結果反応 の中間で cyclohexanone 核 の 2 , 3 位 に二重結合がで きて, そこで C - C 結合 が切 れて新 しくピ リジ ン核が生成 され るので あろ うと推論 した。 〔 Ⅲ〕 1, 1, 3-T riethoxybutane, N H 8 およびケ トン類の反応 A llyl alcohol, N H 8 およびケ トン類 の反応 によって ピ リジ ンの 2 および 2 , 3 位 置換体が 生成 され るが allyl alcoholのかわ りに炭素数 四つの適 当な化合物 を 用いた 場合 には 4-, 5-, または 6-picoline の 2 , 3 位 置換体が生成す るもの と考え られ る。 著者 は crotonaldehyde の triethoxy 体 で ある 1, 1, 3-triethoxy- butane と N H 3, ケ トン類 とを反応せ しめた ところ ( 4 ) 式 に したが って 4-picoline の 2 お よび 2 , 3 位 置換体が得 られた。 C ~C (4 ) CH 3 CH 3 l C H - O C 2H 5 + / H2 良 ≡. H I-RR I- - - C H 3, C 6H 5, ivNl = 琵′R ′- H , C H 3, C 6H 5 , H (O C 2H 5)2 NHS - 132 - ケ トン類 には acetone,m ethyl ethylketone,acetophenone,propiophenone,phenylacetone,cyclohexanone 等 を用 いた。 〔 Ⅳ〕 M ethallyl alcohol, N H 8 お よび ケ トン類 の反応 つ ぎに 5-picoline の 2 お よび 2 , 3 位 置換体 の合成 を試 みた。 原料 と して m ethallyl alcohol を用 い, これ と N H 3, ケ トン類 と反応 せ しめ, ( 5 ) 式 に したが って予期 した とお りの ピ リジ ン塩基 を得 る ことがで きた。 ・ 5 ) C H 3< C" 2 + ≡. H l-RR 二 C H 2- O H NH S c H 3- t'N l = R ′≡,: CH 7 8g HC86,Hg 6H 5, 0 ll 0 ケ トン類 と して は acetone, m ethyl ethyl ketone, acetophenone, propidphenone, phenylacetone, cyclohex- anone 等 を用 い, それぞ れ対応せ る 5-picoline の 2 , 3 位 置換体 を得 る ことがで きた。 〔V 〕 1, 3, 3-T riethoxybutane, N H a お よび ケ トン類 の反応 さ らに 6-picoline の 2 お よび 2 , 3 位 置換体 を 得 る 目的で m ethylvinylketone の triethoxy 体 で あ る 1, 3, 3-triethoxybutane を原料 と して, これ と N H 8, ケ トン類 と反応 せ しめ, ( 6 ) 式 に したが って 目 的 の ピ リジ ン塩基 を得 る ことがで きた。 C H 2- 0 C 2 H 5 / C LH 2 (6 ) 〕 憲 C H 3- C (O C 2H 5) 2 NH3 二RR ′ 一一 c H 3i rNl R′ ′ = ≡ ′≡ =S- H , BgC HHC336, ,H Cg :6 H 5 , しか し, この反応 において は 6-picoline 誘導 体 の ほか に 4-picoline 誘導 体 を副生 した 。 1,3,3-triethoxy- butane を用 いて液相で ピ リジ ン塩基 を合成 す る場合 にはすべて 4-picoline 誘導 体 が主 生成 物 と して得 ら れ るの に対 し, 著者 の接触気相反応 の場 合 には 6-picoline 誘導 体 が主 生成 物 と して 得 られ た ことは液相 と気相 の反応条件 の差 に よ るもの と して興 味 あ るもの と思 われ る。 〔 Ⅵ〕 Phenyl pyridine 類 の U .Ⅴ. な らび に Ⅰ .R . 吸収 スペ ク トル 本研究 において合成 した phenyl pyridine 類 には文献未記載 の新物 質 が多 いので著者 はそれ らの構造 決 .R . 吸収 スペ ク トルを測定 した 。U .V .スペ ク トル につ いて は diphenyl 定 を行 な うかたわ ら U .Ⅴ. な らび に Ⅰ 化合物 の メチル 置換体 にみ られた よ うな吸収 変化 が phenyl pyridine の メ チル 置換体 に もみ られ た。 す な わ ちメチル基 が ピ リジ ン核 とベ ンゼ ン核 との回転 障害 を起 こさ しめ る ことが多 くの実験例 か ら証 明 された。 また, Ⅰ .氏. スペ ク トル につ いて は これ ら塩基 の面外振動 によ る吸収 の変 化 につ いて 従 来 の ピ リジ ン塩基 におけ る研究 と比較検 討 した。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 本論文 は, 従 来 の文献 にない全 く新 しい 方 法 で ピ リジ ンお よび キ ノ リン塩 基 を系統 的 に 合成 した もの で, 接触 気相反応 に よ り原料 を適 当に選 べば, 従 来複雑 な反応 と長 い工程 をか けて合成 されて いた各種 の ピ リジ ンお よび キ ノ リン塩基 がただ 1 工程 で容易 に収率 よ く合成 され ることを 明 らか に した もので あ る。 \ 参考論 文 は主 と して 2 , 3 位 にアルキル基 を有 す る ピ リジ ン誘導体 の新合成 法 よ り成 り, 本論文 は 2 , - 133 - 3 位 の ほか に 4 , 5 , 6 位 に置 換基 を有 す る ピ リジ ン塩基 な らび に m eth l-bz-tetrahydroquinoline 類 の新 合成 法 お よび それ らの反応 機構 を検 討 した もので あ る。 allyl alcohol, N H 3 お よび ケ トン類 の縮合 によ り各種 の 2 , 3-alkylpyridine が得 られ るが, す なわ ち, allyl alcohol のかわ りに 炭 素数 4 個 の 適 当な 化合物 (crotonaldehyde , m ethallyl a一 cohol, m ethyl vinyl ketone また はそれ らの誘導体) を用 いれ ば 4 -, 5 - , または 6-m eth ylpyridine の 2 , 3 位 置換体 が得 ら れ る。 各種 の ケ トン類 を用 い ることに よ り多数 の新 化合物 が合成 され た。 また, allyl alcohol, N H a およ び cyclohexanone の縮合 に よ り bz-tetrah ydroquin oline が収率 よ く得 られ るが , cyclohexanone のかわ り に 2 -, 3 -, また は 4-m ethylcyclohexanone を用 いれば, 現在 いまだ よい 合成法 の知 られていない 6 -, 7 1, また は 8-m ethy1-bz-tetrahydroquinoline が容 易 に合成 され る し, さ らにまた前記炭素数 4 個 の化合 物 と cyclohexanone とを組 み合 わせ れば キ ノ リン核 の 2 , 3 , お よび 4 位 にメ チル基 の 置換 した bz-te- trahydroquinoline 類 が得 られ る 。 これ らの研究 によ り, 従 来 その合成 が複雑 また は困難 とされて いた種 々の ピ リジ ンお よび キノ リン塩基 が燐酸 カ ドミウム等 を触 媒 とす る接触気相反応 に よ り容易 にかつ系 統 的 に合成 され る ことが 明 らか に され た。 よ って, 本 論文 は薬 学博士 の学位論文 と して価 値 あ るもの と認 め る。 〔 主 論 文 公 表 誌〕 薬 学雑 誌 〔 参 1. 第 79巻 (昭.34) 第 8 号 考 論 文〕 接触気相反 によ る ピ リジ ン塩基 の合成 第8報 ア リール アル コ- ル, メ チル アル キル ケ トンお よび N H 3 よ り 2 ・メチル ・ 3 ・アル キル ピ リ ジ ンの合成 公表 誌 2. (石 黒武雄 ほか 1 名 と共著) 薬 学雑 誌 第 75巻 (昭 .30) 第 12号 接触 気相反応 によ る ピ リジ ン塩基 の合成 第 9報 2 ・エチル ・ 3 ・メ チル ピ リジ ンお よび 2 ・プ ロピル ・ 3 ・エチル ピ リジ ンの新 合成法 (石 黒武雄 ほか 1 名 と共 著) 公表 誌 薬 学雑 誌 第 77巻 (昭 ,32) 第 6 号 3. 接 触気相反応 に よ る ピ リジ ン塩 基 の合成 第 10報 2 ・メ チル ・ 3 ・イ ソアル キル ピ リジ ンの合成 公 表誌 4. 薬 学雑誌 接触気相反応 に よ る ピ リジ ン塩基 の合成 フ ェニール ピ リジ ン類 の合成 公表 誌 薬 学雑 誌 第 11報 (石 黒武雄 ほか 1 名 と共 著) 第 78巻 (昭.33) 第 3 号 5. 接触気相反応 によ る ピ リジ ン塩 基 の合成 第 12報 2 ・ 3 ・チ クロアル ケ ノ ピ リジ ン類 の合成 公表 誌 薬 学雑 誌 (石 黒 武 雄 ほか 1 名 と共 著) 第 78 巻 (昭 .33) 第 3 号 第 78巻 (昭 .33) 第 3 号 - 134 - (石黒 武雄 ほか 1 名 と共 著)
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