1 検索例1:非特定誘導体の除去 ・検索の背景 SciFinder で文献を見て

■検索例1:非特定誘導体の除去
・検索の背景
SciFinder で文献を見ていると,アルファベットの”D”が付いた CAS 番号を目にすることがありま
す.
この “D” は,物質に対し何らかの化学処理を行ったが,明確な化学構造は不明であることを示
しています.塩素化されたポリエチレン,などの「後処理ポリマー」と呼ばれるものがその例です.
物質から文献集合を作った場合,D なしの物質も D 付の物質もまとめて検索されてしまうのですが,
高様応募の方法を使えば,D 付の物質を選択的に除くことができます.
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・応募された実際の操作:
まず物質検索を行います.ここでは 96-05-9(Allyl methacrylate)を検索します.
※構造検索から始めてももちろんかまいません.
物質が検索されたら,文献集合を作成します.
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1101 文献が得られました.この時点では,D 付の物質を含む文献も検索されます.
ここがポイント!
そこで,Categorize ボタンをクリックします.
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Categrize には,文献中に含まれる全ての物質をカテゴリーごとに分けるという機能があります.
ここで,[All]⇒[Searched Substances]⇒[Allyl methacrylate]を選び,Refine をクリックします.
※ Allyl methacrylate Modefied という項目が非特定誘導体(D 付き物質)です.
これで非特定誘導体を含む文献は除かれ 728 文献が残りました.
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■検索例2:単原子フラグメントのみの化合物の除外
・検索の背景
SciFinder で以下のような特定の金属元素を含む有機金属化合物を幅広く検索したい場合があ
ります.
H
C
HC
H 3C 3+ Al
- H 3C
H
C
HC
CH
H
- C3
Zr
2C
H2
HC
4+
C
H
C
H
CH 4
CH
C
H
これらの物質を幅広く検索するため,以下のように,金属元素と炭素(C)だけで検索すれば,網羅
性は確保されます.
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さらに SciFinder には配位化合物のみを検索する,Coordination compounds チェックボックスが
あります.これで検索を実行すると,
以下のように,該当する配位化合物が 600 件程度ヒットします.
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しかし,上記の検索では,以下のような物質は検索されません.
配位子と金属が混合物として登録
多成分物質の成分の1つが該当物質
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そこで,網羅性を上げるために Coordination compounds にチェックを入れないで検索すると,今
度はヒット件数が 5000 件となり,以下のような物質が大量に含まれます.
上記の物質は合金ですが,このほか,同様に構成元素が表になった表形式無機化合物と呼ばれ
るものもあります.高様応募の方法を使えば,必要な物質を残しつつ,これらの物質を選択的に
除くことができます.
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・応募された実際の操作
部分構造検索実行後,Refine から Chemical Structure を選び,作図画面をクリックします.
ここがポイント!
画面左上にある X メニューツールにある ”A” および,画面下にある,不定結合(- - -)を使って,
以下のように作図し,絞り込み検索を実行します.
※”A” は,水素以外の元素なら何でもヒットします.それが,不定結合で繋がっていますので,単
一の元素以外のあらゆる物質が全てヒットします.これに対し,表形式無機化合物では結合表が
作成されないためヒットしません.
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以下のように多くの合金や表形式無機化合物が除かれ,約 5000 件から 800 件程度に件数を絞り
込めました.
※合金や表形式無機化合物であっても,成分に AlN(チッ化アルミニウム)を含むような場合はこ
の操作でも除けませんが,件数は多くありません.
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