人事行政この1年の主な動き(第1編第1部)

人事行政この1年の主な動き(第1編第1部)
適正な公務員給与の確保
平成27年の給与改定及び給与制度の総合的見直し
職員の勤務環境等
フレックスタイム制の拡充
・ 民間準拠を基本とする給与改定について勧告
⇒ 勧告どおり実施することが閣議決定され、関係法律等が成立
・ 適切な公務運営の確保に配慮しつつ、原則全ての職員を対象とする
フレックスタイム制の拡充について勧告
⇒
勧告どおり拡充することが閣議決定され、関係法律等が成立
・ 給与制度の総合的見直しを着実に推進(地域手当の支給割合の引上げ等)
勤務環境の整備
級別定数の設定・改定等
・ 平成28年度の級別定数の設定・改定等について意見の申出
⇒ 内閣総理大臣は、意見の申出どおり、級別定数の設定・改定等を実施
・ ストレスチェック制度の導入
・ ハラスメントの防止対策
(パワー・ハラスメント防止ハンドブックの作成、国際シンポジウムの開催等)
多様な人材の確保・育成等
人事行政分野における国際協力及びIT化の推進
人材の確保
国際協力・国際交流
・ 民間企業の採用選考活動に合わせ、平成27年度採用試験日程を繰下げ
・ 平成28年度の総合職試験から、「政治・国際」区分の試験内容を見直し
人材の育成
・ 公務における人材育成・研修に関する研究会の開催等
女性職員の採用・登用の拡大に向けた取組
・ 女性のための公務研究セミナーの開催等
・ 開発途上国等に対する技術協力
・ 日中韓協力における人事行政分野の取組
・ マンスフィールド研修における共通プログラムの企画・実施
人事管理業務のIT化の推進
・ 改善計画の改定に向けた改修・移行スケジュールの策定等
・ 運用規定や各種様式の見直しの推進
・ 性能及び機能向上のためのシステム改修、各府省の移行支援等
国家公務員倫理審査会の業務(第2編)
倫理審査会では、倫理法・倫理規程の適正な運用を確保するとともに、以下の主要な柱を据え、各種施策を実施。
職員の倫理意識のかん養
倫理的な組織風土の構築
倫理法等違反への厳正な対応
在職状況(年齢別人員構成)の変化と人事管理への影響(概要)
国家公務員の在職状況は、10年前と比較して30歳台以下の職員が大幅に減少し、40歳・50歳台の職員数が20歳・30歳台の職員数の約2倍
このままでは、20年後には公務で経験を積んだ管理職員やベテラン実務者が極めて少なくなるおそれ
一般行政事務職員の年齢別在職状況(行政職俸給表(一)適用者)
平成17年
全組織
地方機関
本府省
(人)
【平均年齢は1.6歳(平成17年39.1歳⇒平成27年40.7歳)上昇】
【平均年齢は3.2歳(平成17年40.3歳⇒平成27年43.5歳)上昇】
3000
(人)
10000
12,000
2500
8000
10,000
2000
14,000
8,000
【平均年齢は4.1歳(平成17年40.6歳⇒平成27年44.7歳)上昇】
6000
1500
6,000
4000
1000
4,000
2000
500
2,000
0
平成27年
19 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60
以 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 以
下
上
(歳)
0
19 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60
以 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 以
下
上
(歳)
0
19 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60
以 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 以
下
上
(歳)
在職状況の変化と要因
本 府
省
【 中・高齢層職員 】
再就職規制の強化や年金支給開始年齢の引上げに伴う在職期間の
長期化等の影響により、38・39歳以上の在職者数が年齢階層(2歳
バンド)ごとに概ね300~600人(2~5割)程度増加
【 若年層職員 】
毎年一定数を確保
※ 行政職俸給表(一)の在職者の総数でみると本府省の職員は毎年数百
人単位で増加(平成17年32,235人⇒平成27年35,191人)
地 方
機 関
【 高齢層職員 】
戦後、大量に採用した職員が昭和50年代~平成初頭に退職し、その後補充のために採用された世代が
40歳・50歳台に差し掛かっていることや、在職期間の長期化等の影響により、50歳以上の在職者数は
年齢階層(2歳バンド)ごとに概ね1,500~2,000人(3~4割)程度増加
【 若年層職員 】
定員削減や新規採用者の減少により、19~39歳までの在職者数は計約3万5,000人(約55%)減少。
特に、26~35歳は年齢階層(2歳バンド)ごとに概ね3,000~7,000人(5~7割)程度減少
地方機関の中には、50歳未満の在職者数が大幅に減少しているところもある
※ 多くの府省において定員削減や新規採用抑制の目標が地方機関に傾斜的に配分されてきたことや、平成21年末に社
会保険庁(地方機関在職者は約1万6,000人)が廃止されたこと等により、地方機関全体として行政職俸給表(一)
の在職者は大幅に減少(平成17年131,350人⇒平成27年102,258人)
在職状況の変化がもたらす課題と人事管理上の対応
1.問題の所在
(1) 在職期間の長期化に伴う組織活力の低下
50歳台の職員層が増加し、若手・中堅職員の昇進ペースが遅れており、組織全体の活力低下が危惧されている
(2) 地方機関に象徴的な若年層が極端に少ない人員構成
地方機関を中心に若年層の在職者数が減少し、事務・事業のアウトソーシングなどが進んだ結果、若手・中堅職員の育成など人事管
理上の支障や技能・ノウハウの継承など業務遂行上の支障が生じてきている
(3) 業務量に見合った人員の確保
行政事務の遂行に当たっては業務量に見合った適正な人員が確保されることが基本。行政スリム化には不断の取組が必要である一
方、今後は、行政のパフォーマンスを維持する観点からの業務量と人員数の在り方についても検討が必要
2.課題と人事管理上の対応
年齢別在職状況の偏りは、行政の円滑な遂行や人事管理における中・長期的かつ重要な課題であることについて、関係各方面が問題意
識を共有することが必要。各府省等において次のような課題について検討が進められることを期待するとともに、人事院としても、採用
から退職に至るまでの公務員人事管理全般にわたり、中・長期的な視点も踏まえた総合的な取組を引き続き進める
(1) 公務に必要とされる多様な人材の確保
 各府省等において人事管理の中・長期的なビジョンを設定し、計画的かつ安定的に多様な人材の確保に取り組む必要
 人事院は各府省や大学等と連携して、特に地方や女性に関する人材確保活動等を拡充・強化。SNS等によるPRを充実
 人事院は、各府省と協力して効率的な人材確保活動を行い、経験者採用試験を活用した中途採用者の着実な採用を各府省に促す
(2) 職員の育成・活用
 人材育成の基本であるOJTにおいて、職員の能力・適性を踏まえた計画的な配置や多様な経験の付与が必要
 OJTを補完するため、節目節目での研修の充実や職員の研修受講機会の確保が重要
 公務内外における多様な経験を通じて職員の人材育成を図るとともに、職員の能力と経験を国際協力の分野など公務外で積極的に活用
(3) 働き方の改革と勤務環境の整備
 両立支援制度の利用促進、時間等に制約があっても勤務を継続できる環境や働きやすい職場環境の整備等、勤務環境の整備が必要
 勤務時間管理の徹底、管理職員の意識改革を含めた業務の合理化・効率化等の推進による長時間労働慣行の見直しが必要
(4) 組織活力の維持
 各府省において、適切な能力実証の下、能力・実績に基づく人員配置や昇進管理等を行い職員の士気を高めることが重要
 専門スタッフ職が政策立案に必要な役割を果たせる行政事務の執行体制やキャリアパスの在り方について検討が必要
 非常勤職員が常勤職員と同様に高い意欲をもって勤務できるよう、適切な勤務環境を確保することが重要
(5) 再任用の活用
 フルタイム中心の勤務を実現し、再任用職員の能力・経験を本格的に活用するための定員上の工夫の検討のほか、定年時点でのマインドの転
換、士気の維持、経験や能力と仕事のマッチング等の取組が必要