レポート「統計データで見る中国経済の減速」 第 3 章 3. 鉱工業生産の減速 3.1 はじめに 中国経済の高度成長を支えたのは、 「世界の工場」と言われた中国の鉱工業 生産です。リーマン・ショックにより落ち込んだ後、景気刺激策により一時 的に回復しますが、その後は、成長率は急速に低下を続けています。図 3-1-1 に、鉱工業生産と GDP の対前年同期比の増加率の推移を示しました。 図3-1-1 中国のGDPと鉱工業生産の対前年同期比の増加率 出所:中国国家統計局 対前年同期比の増加率 % 24 GDP 鉱工業生産 20 16 12 8 4 2004-1 -7 2005-1 -7 2006-1 -7 2007-1 -7 2008-1 -7 2009-1 -7 2010-1 -7 2011-1 -7 2012-1 -7 2013-1 -7 2014-1 -7 2015-1 -7 2016-1 0 GDP は国家統計局発表の四半期値、鉱工業生産は所定規模以上の企業に 関する毎月の発表値です。両者が大きく落ち込んでいるのは、2008 年 9 月 に発生したリーマン・ショックによるものです。同年末に発表された大型景 気刺激策により、中国経済は V 字回復を遂げました。しかし、景気刺激策の 効果は長くは続かず、2011 年半ば以降、GDP、鉱工業生産ともに、成長率 は低下を続けています。 鉱工業生産の低下率に比べて GDP の低下が緩やかな理由を、中国政府は、 サービス産業の成長が GDP の低下を抑制していると説明しています。その 1 真偽の検証は後述します。 中国の鉱工業生産の低下は明らかです。しかし、中国進出企業や中国への 輸出企業にとって重要なのは、幅広い鉱工業生産のうち、どの品目の減速が 顕著で、どの品目はあまり減速していないという情報であると思います。本 項では、その様な情報を以下に紹介します。 3.2 データの出所と注意 本項で紹介する鉱工業生産のデータの出所を記しておきます。中国国家統 計局が毎月発表し、マスコミが報じているデータです。鉱工業生産合計と品 目ごとに、当月値、年初からの累計値、それらの対前年同月比の増加率が発 表されています。図 3-1-1 は、その対前年同月比増加率です。 <所定規模以上の企業> 国家統計局のプレスリリースには、the industrial enterprises above designated size のデータと記されています。所定規模以上の企業が、毎月提 出したデータをもとにしています。注記に依れば、その際、それらの企業に 前年同月のデータも併せて提出させ、両者の比率が対前年同月比の増加率に なっているようです。 該当する企業は毎年見直しが行われています。そのため、対前年同月比増 加率と、当月値と一年前の値の比率は、厳密には異なるものです。実際に計 算してみると、この理由だけのためか定かではありませんが、両者には無視 できない程度の違いがあります。 <春節の扱い> 対前年同月比の増加率を見る際には、1、2 月のデータは注意が必要です。 中国の正月である春節には、企業活動の多くが休みになるため、生産量が低 下します。旧暦に基づく春節は 1 月の年もあれば、2 月の年もあります。そ のため、1、2 月の対前年同月比は大きく振れた値となります。 そのため本レポートでは、対前年同月比については、1 月と 2 月の 2 ヶ月 間の合計について増加率を示しました。 2 3.3 電力量と鉄道貨物輸送量 <李克強指数> 鉱工業生産の個々の品目のデータを紹介する前に、鉱工業生産の状況を包 括的に示す代替指標として、李克強指数を紹介します。 李克強首相が遼寧省の党委員会書記であった 2007 年に、駐中国米国大使 との席で、 「中国の経済成長を評価する際には、GDP ではなく、電力消費量、 鉄道貨物輸送量、銀行融資の実行という 3 つの統計を重視している。 」と語 ったと報じられています。それを聞いた米国大使は、重要な情報として本国 に報告しました。その後、この情報は、Wiki リークスで暴露された多数の情 報の一つに含まれていたことで、世間に知られることになります。 Wiki リークスの暴露が始まった翌年の 2008 年 9 月にリーマン・ショッ クが発生しました。中国経済もリーマン・ショックの影響を受け、発電電力 量の対前年同月比の増加率は、 同年 10 月から翌年 5 月までの 8 ヶ月間マイ ナスを記録しました。一方、四半期ごとに発表される対前年同期比の GDP 成長率も低下しましたが、最低でもプラス 7.5%成長に留まりました。 この事に関し、電力消費がマイナスなのに、経済成長がプラスなのはおか しい、という指摘が世界中から発せられました。以来、中国経済の専門家は、 中国政府が発表する経済指標を、疑念を持って見るようになったように思い ます。 図 3-1-1 に示したように、2014 年後半から鉱工業生産の成長率は顕著に低 下していますが、GDP 成長率はそれほど低下しておらず、GDP 発表値に対 する疑念が再び高まりました。GDP 値をチェックする代替指標として、前 述の電力量などの 3 データを、李克強指数と呼ぶことが広まったように思い ます。 李克強指数のデータをもとに、中国政府が発表する GDP 値は信用できな いという指摘に対し、李克強指数は GDP のような経済全体を表すものでは ないという反論があります。それは、もっともな反論であり、李克強指数は 3 鉱工業生産の状況を示すものと考えるべきでしょう。但し、発表されている GDP 値が、中国の現在の経済状態を適正に反映しているかについては、別 途の議論が必要です。 <発電電力量> 産業活動と電力消費量の間には、強い相関関係があることは想像できると 思います。中国では、電力の輸出入はほとんど無いため、送配電損失を差し 引けば、発電電力量は電力消費量と時間遅れなくほぼ等しくなります。 中国の発電量の約半分は、大手の発電所で発電されていると言われ、発電 量の把握は比較的容易です。他の代替指標に比べて、データの信頼性が高 いことが特長です。また、金額ベースの代替指標では、名目金額から実質金 額に変換する際に、データの信頼性が低下しますが、発電電力量は kWh と いう物理量であることも都合が良い点です。 図 3-3-1 に、鉱工業生産と発電電力量の対前年同月比の増加率の推移を示 しました。 図3-3-1 中国の鉱工業生産と発電量電力量の前年比増加率 出所:中国国家統計局 鉱工業生産 発電電力量 5 区間移動平均 (発電電力量) 30 20 15 10 5 0 -5 2004-1 -7 2005-1 -7 2006-1 -7 2007-1 -7 2008-1 -7 2009-1 -7 2010-1 -7 2011-1 -7 2012-1 -7 2013-1 -7 2014-1 -7 2015-1 -7 2016-1 対前年同月比増加率 % 25 -10 4 毎月の発電電力量は変動が大きく見難いため、それを平準化した 5 区間の 移動平均値を太線で併記しました。 鉱工業生産に比べ、発電電力量の増加率は大きく変動していることが分か ります。発電電力量は、鉱工業生産の中でも、電力消費が大きい重化学工業 の状況を反映していると考えられます。 図 3-3-1 で、2014 年初めころから、発電電力量の増加率は急速に低下し、 2015 年後半には、 前年同月に比べてマイナスとなっていることが分かります。 このことは、鉄鋼やセメントなどの基幹産業が、近年急速に落ち込んでいる ことを反映していると言えるでしょう。 <鉄道貨物輸送量> 図 3-3-2 には、同様に鉱工業生産と鉄道貨物輸送量の対前年同月比の増加 率の推移を示しました。鉄道貨物輸送量の変動を平準化して示すため、5 区 間の移動平均値を太線で併記しています。 図3-3-2 鉱工業生産と鉄道貨物輸送量の前年比増加率 出所:中国国家統計局 鉱工業生産 鉄道貨物輸送量 5 区間移動平均 (鉄道貨物輸送量) 25 15 10 5 0 -5 -10 2004-1 -7 2005-1 -7 2006-1 -7 2007-1 -7 2008-1 -7 2009-1 -7 2010-1 -7 2011-1 -7 2012-1 -7 2013-1 -7 2014-1 -7 2015-1 -7 2016-1 対前年同月比増加率 % 20 -15 -20 国家統計局は貨物輸送量を、鉄道貨物、道路輸送、水上輸送、民間航空の 5 4項目に分けて、 tonベースとton-kmベースのデータを毎月発表しています。 図 3-3-3 には 2015 年の実績を示しました。図 3-3-2 に示した鉄道貨物輸送量 は、ton ベースのデータです。 図 3-3-3 中国の貨物輸送量 (2015 年) 出所:中国国家統計局 民間 航空 0.01% 民間 航空 0.11% ton ベース 水上 13.8% 鉄道 7.5% ton-km ベース 鉄道 13.2% 合計 450 億 ton 水上 50.9% 合計 180,582 億 ton-km 道路 35.8% 道路 78.7% ton ベースの輸送量で、道路輸送が 80%近くを占めており、中国でも貨物 輸送の中心は道路輸送です。それでも李克強氏が、経済指標のデータとして 鉄道貨物輸送量を重視したのは、データの信頼性が相対的に高いためと思い ます。例えば、大国の中国で、毎月の道路輸送量を把握することを考えれば、 それが極めて大変なことであることを想像できると思います。 中国の鉄道貨物輸送の最近の品目内訳は確認していませんが、恐らく、半 分くらいは石炭が占めているでしょう。その他は、重化学工業の原材料や製 品が大半を占めているものと思います。鉄道貨物輸送量は、基幹産業の景気 動向を示す代替指標と考えられます。 図 3-3-2 を見ると、鉄道貨物輸送量の増加率は、鉱工業生産よりも大きく 6 変動しています。リーマン・ショック以降、重化学工業が大きく変動してい ることを示していると思います。また、2012 年の後半から、一部の期間を除 いて、増加率がマイナス側に振れていることが分かります。成長率の低下で はなく、基幹産業の生産量が前年割れしているとすれば深刻な事態です。事 項では、具体的にどの品目の生産量が前年を下回っているかを示します。 3.4 鉱工業生産主要 68 項目の 10 年間 国家統計局が毎月発表している鉱工業生産 68 項目について、所定規模以 上の企業による生産量を紹介します。毎月のデータは変動が大きく、動向が 分かり難いので年間生産量の推移を示します。表 3-4-1 に、同グラフの目次 を兼ねて、2015 年の生産量の一覧表を示します。 なお、8. 衣類と、9. 絹・織物の生産量の単位は、当初 m で、その後 ton に変更になっていますが、生産量の数値か単位が間違っている可能性がある ため、グラフは省略しました。 各項目について、 2004年から2015年までの生産量の推移を眺めて下さい。 一貫して増加を続けている項目もありますが、2011 年頃から増加率が低下し た項目、2015 年には生産量が前年を下回った項目もかなりあります。増加傾 向の産業分析については事項に記載します。 7 表 3-4-1 中国鉱工業の主要 68 項目の生産量(2015 年) 出所:中国国家統計局 年間生産量 (2015年) 項目 1. 原油 21,474 万トン 2. 鉄鉱石 138,129 万トン 3. リン鉱石 14,204 万トン 4. 食塩 5,975 万トン 5. 精製砂糖 1,475 万トン 6. 清涼飲料 17,661 万トン 7. 糸 4,048 万トン 8. 衣類 710 百万m 9. 絹・織物 62,411 万m 10. 紙・板紙 11,774 万トン 11. 新聞印刷用紙 350 万トン 12. ガソリン 12,104 万トン 13. 灯油 3,659 万トン 14. 軽油 18,008 万トン 15. コークス 44,778 万トン 16. 硫酸 8,976 万トン 17. 苛性ソーダ 3,028 万トン 18. ソーダ灰 2,592 万トン 19. 化学肥料 7,627 万トン 20. 化学農薬 374 万トン 21. エチレン 1,715 万トン 22. プラスチック材料 7,691 万トン 23. 合成洗剤 1,264 万トン 24. 化学繊維 4,872 万トン 25. プラスチック製品 7,561 万トン 26. セメント 234,796 万トン 27. 板ガラス 73,863 万重量ボックス 28. 銑鉄 69,141 万トン 29. 粗鋼 80,383 万トン 30. 圧延鋼材 112,350 万トン 31. 10種の非鉄金属 5,090 万トン 32. アルミナ 5,898 万トン 33. 圧延銅 1,914 万トン 34. アルミ製品 5,236 万トン 8 表3-4-1 中国鉱工業の主要68 項目の生産量(2015 年) つづき 出所:中国国家統計局 35. 36. 37. 38. 39. 40. 41. 42. 43. 44. 45. 46. 47. 48. 49. 50. 51. 52. 53. 54. 55. 56. 57. 58. 59. 60. 61. 62. 63. 64. 65. 66. 67. 68. 年間生産量 (2015年) 438,878 蒸発トン 203,179 万kW 76 万台 24,601 万台 655,543 トン 798,051 トン 517,489 台 100,507 台 77,372 台 610,780 台 140 万台 354,074 台 1,979 台 2,484 万台 4,844 万重量トン 12,441 万kW 28,258 万kW 7,275 万台 8,993 万台 #N/A 万台 15,650 万台 1,880 万台 165 万台 30,660 万チャンネル 181,914 万台 36,044 万台 31,419 万台 1,087 億個 16,207 万台 17,717 万台 734 万台 56,184 億kWh 42,102 億kWh 9,960 億kWh 項目 工業ボイラ エンジン 工作機械 可搬電動工具 金属溶融装置 セメント設備 飼料製造装置 包装機器 大型トラクター 中型トラクター 小型トラクター 公害防止機器 鉄道車両 自動車 鋼製民間船舶 発電機器 ACモータ 家庭用洗濯機 家庭用冷蔵庫 家庭用冷凍機 空調機器 自動電話交換機 ファクシミリ機 携帯電話基地装置 携帯電話 電子計算機 マイコン機器 集積回路 カラーテレビ 電気計測器 複写機・印刷機 発電電力量 火力発電電力量 水力発電電力量 9 1. 原油 年間生産量 万トン 22,000 1. 原油 21,000 20,000 19,000 18,000 17,000 16,000 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2010 2012 2014 年間生産量 万トン 2. 鉄鉱石 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 2. 鉄鉱石 2004 2006 2008 年間生産量 万トン 3. リン鉱石 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 3. リン鉱石 2004 2006 2008 10 年間生産量 万トン 4. 食塩 7,000 6,500 6,000 5,500 5,000 4,500 4,000 3,500 3,000 4. 食塩 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2012 2014 5. 精製砂糖 年間生産量 万トン 1,800 1,600 5. 精製砂糖 1,400 1,200 1,000 800 2004 2006 2008 6. 清涼飲料 年間生産量 万トン 20,000 16,000 6. 清涼飲料 12,000 8,000 4,000 0 2004 2006 2008 11 2010 7. 糸 年間生産量 万トン 5,000 7. 糸 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 8. 紙・板紙 年間生産量 万トン 14,000 12,000 10. 紙・板紙 10,000 8,000 6,000 4,000 2004 2006 2008 11. 新聞印刷用紙 年間生産量 万トン 550 500 450 400 350 11. 新聞印刷用紙 300 250 200 2004 2006 2008 2010 12 2012 2014 12. ガソリン 年間生産量 万トン 14,000 12. ガソリン 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2008 2010 2012 2014 2008 2010 2012 2014 13. 灯油 年間生産量 万トン 4,000 3,500 13. 灯油 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 2004 2006 14. 軽油 年間生産量 万トン 20,000 18,000 14. 軽油 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 2004 2006 13 15. コークス 年間生産量 万トン 60,000 15. コークス 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 16. 硫酸 年間生産量 万トン 10,000 9,000 16. 硫酸 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2004 2006 17. 苛性ソーダ 年間生産量 万トン 3,500 17. 苛性ソーダ 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 2004 2006 2008 14 18. ソーダ灰 年間生産量 万トン 3,000 2,600 18. ソーダ灰 2,200 1,800 1,400 1,000 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2010 2012 2014 19. 化学肥料 年間生産量 万トン 8,000 19. 化学肥料 7,200 6,400 5,600 4,800 4,000 2004 2006 2008 20. 化学農薬 年間生産量 万トン 400 350 20. 化学農薬 300 250 200 150 100 50 2004 2006 2008 15 21. エチレン 年間生産量 万トン 2,000 21. エチレン 1,600 1,200 800 400 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2010 2012 2014 年間生産量 万トン 22. プラスチック材料 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 22. プラスチック材料 2004 2006 2008 23. 合成洗剤 年間生産量 万トン 1,400 23. 合成洗剤 1,200 1,000 800 600 400 200 2004 2006 2008 16 24. 化学繊維 年間生産量 万トン 6,000 24. 化学繊維 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2010 2012 2014 25. プラスチック製品 年間生産量 万トン 8,000 25. プラスチック製品 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 2004 2006 2008 26. セメント 年間生産量 万トン 300,000 250,000 26. セメント 200,000 150,000 100,000 50,000 2004 2006 2008 17 年間生産量 万重量ボックス 27. 板ガラス 90,000 80,000 27. 板ガラス 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2010 2012 2014 28. 銑鉄 29. 粗鋼 30. 圧延鋼材 年間生産量 万トン 120,000 28. 銑鉄 29. 粗鋼 30. 圧延鋼材 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 2004 2006 2008 31. 10 種の非鉄金属 年間生産量 万トン 6,000 5,000 31. 10種の非鉄金属 4,000 3,000 2,000 1,000 2004 2006 2008 18 32. アルミナ 33. 圧延銅 34. アルミ製品 年間生産量 万トン 7,000 32. アルミナ 33. 圧延銅 34. アルミ製品 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2010 2012 2014 年間生産量 蒸発トン 35. 工業ボイラ 600,000 500,000 35. 工業ボイラ 400,000 300,000 200,000 100,000 0 2004 2006 2008 36. エンジン 年間生産量 万kW 250,000 200,000 36. エンジン 150,000 100,000 50,000 0 2004 2006 2008 19 37. 工作機械 年間生産量 万台 90 80 70 37. 工作機械 60 50 40 30 20 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2012 2014 2012 2014 38. 可搬電動工具 年間生産量 万台 28,000 38. 可搬電動工具 26,000 24,000 22,000 20,000 18,000 2004 2006 2008 2010 39. 金属溶融装置 年間生産量 トン 1,400,000 1,200,000 39. 金属溶融装置 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 2004 2006 2008 20 2010 40. セメント設備 年間生産量 トン 1,400,000 40. セメント設備 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2010 2012 2014 41. 飼料製造装置 700,000 年間生産量 台 600,000 41. 飼料製造装置 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 2004 2006 2008 42. 包装機器 120,000 42. 包装機器 年間生産量 台 110,000 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 2004 2006 2008 21 43. 大型トラクター 年間生産量 台 250,000 200,000 43. 大型トラクター 150,000 100,000 50,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 44. 中型トラクター 年間生産量 台 700,000 600,000 44. 中型トラクター 500,000 400,000 300,000 200,000 2004 2006 2008 45. 小型トラクター 年間生産量 万台 280 45. 小型トラクター 240 200 160 120 2004 2006 2008 2010 22 2012 2014 46. 公害防止機器 年間生産量 台 400,000 46. 公害防止機器 300,000 200,000 100,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 47. 鉄道車両 年間生産量 台 3,000 2,500 47. 鉄道車両 2,000 1,500 1,000 500 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 48. 自動車 年間生産量 万台 3,000 2,500 48. 自動車 2,000 1,500 1,000 500 0 2004 2006 2008 23 年間生産量 万重量トン 49. 鋼製民間船舶 10,000 8,000 49. 鋼製民間船舶 6,000 4,000 2,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 50. 発電機器 年間生産量 万kW 16,000 14,000 12,000 50. 発電機器 10,000 8,000 6,000 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 51. AC モータ 年間生産量 万kW 32,000 51. ACモータ 28,000 24,000 20,000 16,000 12,000 8,000 2004 2006 2008 24 52. 家庭用洗濯機 53. 家庭用冷蔵庫 年間生産量 万台 10,000 52. 家庭用洗濯機 53. 家庭用冷蔵庫 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2010 2012 2014 54. 家庭用冷凍機 年間生産量 万台 2,500 2,000 54. 家庭用冷凍機 1,500 1,000 500 0 2004 2006 2008 55. 空調機器 年間生産量 万台 20,000 16,000 55. 空調機器 12,000 8,000 4,000 2004 2006 2008 25 56. 自動電話交換機 年間生産量 万台 10,000 56. 自動電話交換機 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 57. ファクシミリ機 年間生産量 万台 1,400 1,200 57. ファクシミリ機 1,000 800 600 400 200 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2012 2014 年間生産量 万チャンネル 58. 携帯電話基地装置 40,000 32,000 58. 携帯電話基地装置 24,000 16,000 8,000 0 2004 2006 2008 26 2010 59. 携帯電話 年間生産量 万台 200,000 150,000 59. 携帯電話 100,000 50,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 60. 電子計算機 年間生産量 万台 100,000 80,000 60. 電子計算機 60,000 40,000 20,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 61. マイコン機器 年間生産量 万台 40,000 61. マイコン機器 30,000 20,000 10,000 0 2004 2006 2008 27 62. 集積回路 年間生産量 億個 1,200 1,000 62. 集積回路 800 600 400 200 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2010 2012 2014 2010 2012 2014 63. カラーテレビ 年間生産量 万台 18,000 16,000 63. カラーテレビ 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 2004 2006 2008 64. 電気計測器 年間生産量 万台 20,000 64. 電気計測器 15,000 10,000 5,000 0 2004 2006 2008 28 65. 複写機・印刷機 年間生産量 万台 800 700 65. 複写機・印刷機 600 500 400 300 200 2004 2006 2008 2010 2012 2014 66. 発電電力量 67. 火力発電電力量 68. 水力発電電力量 66. 発電電力量 67. 火力発電電力量 年間発電量 億kWh 60,000 50,000 68. 水力発電電力量 40,000 30,000 20,000 10,000 0 2004 2006 2008 2010 2012 2014 3.5 生産量が減少に転じた産業 図 3-5-1、図 3-5-2 に、2007 年、2011 年、2015 年の主要鉱工業生産の項 目の対前年比増加率を示しました。2007 年は北京オリンピック前年で、高度 経済成長の絶頂期でした。2011 年は、リーマン・ショック後の大型景気刺激 策による景気過熱が概ね治まった時期です。 2015 年は本書を執筆している直 近の値です。図 3-1-1 を併せてご覧下さい。 全般に、増加率が低下しています。また、2015 年の増加率がマイナス、す なわち、前年の生産量を下回っている項目もかなりあります。 29 図3-5-1 中国の主要鉱工業生産の対前年比増加率(1) 出所:国家統計局ウェブ・データ 原油 鉄鉱石 リン鉱石 食塩 精製砂糖 清涼飲料 糸 衣類 絹・織物 紙・板紙 新聞印刷用紙 ガソリン 灯油 軽油 コークス 硫酸 苛性ソーダ ソーダ灰 化学肥料 化学農薬 エチレン プラスチック材料 合成洗剤 化学繊維 プラスチック製品 セメント 板ガラス 銑鉄 粗鋼 圧延鋼材 10種の非鉄金属 アルミナ 圧延銅 アルミ製品 -20 -10 2007年 2011年 2015年 0 10 20 対前年比増加率 % 30 30 40 50 図3-5-2 中国の主要鉱工業生産の対前年比増加率(2) 出所:国家統計局ウェブデータ エンジン 可搬電動工具 セメント設備 包装機器 中型トラクター 公害防止機器 2007年 2011年 2015年 自動車 発電機器 家庭用洗濯機 家庭用冷凍機 自動電話交換機 携帯電話基地装置 電子計算機 集積回路 電気計測器 発電電力量 水力発電電力量 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 対前年比増加率 % 31 50 60 70 80 図3-5-3 主要鉱工業生産の対前年比増加率(2015年) 出所:中国国家統計局 小型トラクター 発電機器 セメント設備 マイコン機器 飼料製造装置 電子計算機 金属溶融装置 自動電話交換機 工作機械 板ガラス 鉄鉱石 精製砂糖 工業ボイラ コークス ACモータ ファクシミリ機 セメント 新聞印刷用紙 銑鉄 エンジン 火力発電電力量 粗鋼 包装機器 家庭用冷蔵庫 食塩 苛性ソーダ 鋼製民間船舶 発電電力量 空調機器 圧延鋼材 家庭用洗濯機 プラスチック製品 軽油 エチレン 可搬電動工具 原油 紙・板紙 絹・織物 化学農薬 家庭用冷凍機 自動車 衣類 ソーダ灰 複写機・印刷機 携帯電話 硫酸 水力発電電力量 合成洗剤 糸 10種の非鉄金属 公害防止機器 清涼飲料 鉄道車両 集積回路 圧延銅 カラーテレビ 化学肥料 中型トラクター アルミ製品 ガソリン アルミナ プラスチック材料 化学繊維 携帯電話基地装置 リン鉱石 電気計測器 灯油 大型トラクター -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 対前年比の増加率 % 32 20 25 30 35 前年の生産量を下回った項目が目立つ 2015 年の増加率を取り出し、分か り易いように、増加率の小さい項目から順に並べて図 3-5-3 に示しました。 全 68 項目中で 28 項目(41%)の増加率がマイナスで、前年生産量を下回 っています。増加率が低下しただけでなく、4 割の項目の生産量が前年を下 回った最近の中国の経済状況は深刻です。 表 3-5-1 に、前年生産量を下回った項目を示しました。設備投資、不動産 開発投資、インフラ投資の関連が多いことが分かります。前述したように、 国有企業は過剰設備を抱え、また、不動産市場は在庫が積み上がっており、 その解消が喫緊の課題になっており、それを反映したものです。 その他、経済成長のために、無駄なインフラ投資が行われていることも指 摘されています。2014 年末に提唱された「一帯一路」の構想も、国外で新た なインフラ投資の案件を創出したいという、中国の苦しい事情を反映したも ののように思われます。 表3-5-1 前年生産量を下回った鉱工業生産項目 (2015年) 分類 品目 2. 鉄鉱石 15. コークス 26. セメント 27. 板ガラス 28. 銑鉄 29. 粗鋼 35. 工業ボイラ 固定資産 37 作機械 投資関連 39. 金属溶融装置 40. セメント設備 41. 飼料製造装置 42. 包装機器 50. 発電機器 51. ACモータ 56. 電話交換機 61. マイコン機器 増加率 % -7.7 -6.5 -4.9 -8.6 -3.5 -2.3 -7.3 -9.3 -11.6 -13.3 -12.3 -2.0 -13.8 -6.1 -9.8 -12.9 33 分類 耐久 消費財 その他 品目 増加率 % 36. エンジン -2.9 45. 小型トラクター -15.3 53. 家庭用冷蔵庫 -1.9 57. ファクシミリ機 -5.1 4. 食塩 -1.7 5. 精製砂糖 -7.4 11. 新聞印刷用紙 -4.2 17. 苛性ソーダ -1.4 49. 鋼製民間船舶 -0.3 60. 電子計算機 -12.3 66. 発電電力量 -0.2 67. 火力発電電力量 -2.8 3.6 製造業 PMI の推移 中国経済に関する毎月のマスコミ報道では、製造業 PMI の値が報じられ ます。製造業 PMI(Purchasing Managers Index、購買担当者景気指数)は、 製造業の購買担当者に対するアンケート調査などにより得られた新規受注や 生産高、価格、雇用、購買数量などの情報を指数化したものです。通常、50 を上回ると景気拡大、50 を下回ると景気後退を示すと言われます。GDP な どに比べ、景気動向情報として速報性が高いことが、マスコミで報じられる 理由だと思います。 図 3-6-1 に、中国の製造業 PMI の推移を示しました。国家統計局の発表値 に、Markit の発表値を併記しました。 図3-6-1 中国の製造業PMI (国家統計局とMarkitの値) 出所:中国国家統計局、HSBC、Markit 60 58 国家統計局 Markit 56 54 50 48 46 44 42 40 38 2007-1 5 9 2008-1 5 9 2009-1 5 9 2010-1 5 9 2011-1 5 9 2012-1 5 9 2013-1 5 9 2014-1 5 9 2015-1 5 9 2016-1 製造業PMI 52 34 なお後者は、英金融情報会社 Markit が調査集計しているもので、調査の スポンサーであった英 HSBC の名前で公表されていましたが、2015 年 7 月 にスポンサーが中国の経済メディア「財新」 (Caixin)に代わり、Caixin 製 造業 PMI として公表されているものです。Markit の PMI は、国家統計局 の調査企業に比べ、すこし小さい企業を調査対象としていると言われます。 2008 年のリーマン・ショックにより、景況感が非常に悪化したことが分か ります。その後の景気刺激策により、PMI 値はリーマン・ショック前の水準 に回復します。しかし、それも長くは続きません。2011 年末ころには、景気 の過熱が収まっていることが分かります。その後、景気対策などにより、PMI の上下はありますが、全体として緩やかな低下傾向を示しています。 リーマン・ショック以前は 55 前後であった製造業 PMI は、2015 年に入 ると 50 を切る状況になっています。併記した Markitk の値は、さらに低い 水準です。Markit の値は調査対象企業が異なるため、一概に断定できませ んが、 国家統計局のPMI よりも景況感は悪化しているように感じられます。 3.7 エネルギー消費からの検討 原稿執筆中 35
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