慢性頭痛は予防すべき 片頭痛は”未病”の段階 Migraine 成和脳神経内科医院 慢性頭痛は予防すべきです まず、慢性頭痛を予防するためには 「日常生活を送る上での注意点」として 生活習慣の改善の目標は、「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく 摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、リラックスすること」です。 このように、従来から、慢性頭痛予防のための生活指導が行われてきました。 「規則正しい生活」とは、生まれつき体に備わっている生体リズムに沿った 生活という意味で、最も自然で健康的な生活と言えます。 「食事をバランスよく摂る」ことは、ミトコンドリアがエネルギー産生を行う ためと、脳内セロトニン産生を行うために必須の条件になります。 とくに、小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事、必須脂肪酸のオメガ3とオ メガ6の摂取バランスがよくない、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖など を大量に摂取には注意が必要とされます。これらは、脳内セロトニンの低下、 -1- 生理活性物質のバランスを乱し、腸内環境を乱すことになります。 「睡眠を十分にとる」ことは、日中に傷ついたミトコンドリアの修復に不可 欠であり、早寝・早起きはセロトニン神経の活性化に大切になります。 「姿勢を正しくする」ことは、背筋を伸ばすことでミトコンドリアを活性化 させます。 「リラックスする」ことは、自律神経を調整するために必要で、ストレス耐 性の体づくりにはセロトニン活性化が不可欠となってきます。 規則正しい生活を送りましょう 幼い頃から、何度も聞いた言葉ではないでしょうか? 規則正しい生活とは、生まれつき体に備わっている生体リズムに沿った生活 という意味で、最も自然で健康的な生活と言えます。 しかし、現代の生活環境は、健康的な生活を崩す要因が多く、24 時間営業の 飲食店や夜通しの娯楽、コンビニやテレビ・パソコンなどの普及により急激に 変化しています。このような変化により、体の生体リズムにも悪影響が及んで います。 生体リズムを無視した不規則な生活を送ると、様々な不調を感じるようにな ります。生体リズム、自律神経、ホルモンはすべて連帯しているため、生体リ ズムが乱れると自律神経やホルモンバランスにも悪影響が及んでホメオスタシ ス機能を乱すのです。 慢性頭痛を予防するためには、睡眠が極めて重要です。 そもそも”何のために睡眠が必要”なのでしょうか。 それは、活性酸素等で傷ついた組織の修復は寝ている間に行われるため、修 復には睡眠が不可欠です。ミトコンドリアを元気にするためには必要不可欠で す。 -2- そして、早寝・早起きを心がけ、起床時には朝日を浴びるようにしましょう。 このことは、セロトニンを活性化させ、体内時計を調整してくれます。 このように「規則正しい生活」が重要になってきます。 不規則な生活はセロトニン神経系の減弱を招き、脳内セロトニンを低下さ せてきます。 -3- 「ホメオスターシス」を乱させないためには 「ホメオスターシス」を乱す根源は、ストレスです。 「恒常性(ホメオスターシス)」の維持には自律神経、内分泌系、免疫系の 3 つの働きが深く関わっており、それはストレスなどに大きく影響されます。例 えば、ストレスは自律神経を失調させ、内分泌系を乱し、免疫力も低下させて しまいます。 さらに、ストレスは、マグネシウムの不足をもたらし、活性酸素を増加させ、 ミトコンドリアの機能を悪くさせ、セロトニン神経系の機能を低下させること になり、脳内セロトニンを低下させ「健康的な生活」を送るための根源に問題 を引き起こしてきます。 このようなことから、日常的に感じる極く軽度の頭痛が引き起こされてくる ことになりますから、ストレス対策として、日頃から常に「セロトニン生活」 の励行に努めることが重要になってきます。 それでは、片頭痛はどのように予防すべきでしょうか 日常的に感じる極く軽度の頭痛”緊張型頭痛”の段階で 片頭痛は、緊張型頭痛から移行して起きてくるものです。このため、まず、 片頭痛の出発点ともなる”緊張型頭痛の段階”で予防しなくてはなりません。 日常生活を送る上で、私達は前屈みの姿勢をとる生活環境に置かれています。 特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的 にとっています。 さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことに なります。 仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。 -4- こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉に負担をかけること になります。 ですから、まず、「体の歪み(ストレートネック)」を予防することが極めて 重要です。 このため、日常的に前屈みの姿勢を取らざるを得ない生活環境に置かれてい ることを念頭に置いて、おかしな体の使い方をしていないかどうかをチェック しなくてはなりません。 長時間に渡る前傾姿勢は厳禁であると心得、30 分に1回は前傾姿勢を解き、 首を労る配慮を常に行っていく必要があります。そして、”前屈みの姿勢”を 強いられる作業環境におかれておれば、毎日の”背骨伸ばし”のストレッチを 生活習慣としなくてはなりません。 まず、”正しい姿勢”になるようにしましょう 正しい姿勢を心がけることは脊柱起立筋を鍛えることにつながります。これ によりミトコンドリアの活性化に繋がることになります。 日頃から、次のような”正しい姿勢”をとるように心がけることが大切です。 そして、「頭痛・肩こり」を自覚すれば、極力早めに医療機関を受診の上、 頭部CTおよび頸椎X線検査を受け、頭部CTで異常のないことを確認の上、 頸椎X線検査で「体の歪み(ストレートネック)」を確認しなくてはなりませ ん。もし、この段階でストレートネックが確認された場合、その原因として” 前屈みの姿勢”と”ミトコンドリアの関与””脳内セロトニンの関与”の3つ の要因を念頭において対策を考えていかなくてはなりません。 まず、肩こりをまず改善させることです 平素から、頭痛を訴える方々は、同時に”肩こり”を伴われている方が多い -5- ようです。 これは慢性頭痛の方々に共通する 悩みです。毎日、前屈みの作業環境にある場合 は特にこのような傾向があり、ストレートネッ クを伴う方には必発です。この痛み刺激も片頭 痛を誘発させる原因となってきますので、こま めに改善させておく必要があります。 長期間にわたる肩こりは「脳内セロトニンを 低下」させます。 このため、以下のような体操が提唱されてきました。 【指さし体操】・・凝り固まった広背筋をほぐす 【壁ピタ体操】・・僧帽筋と大胸筋をほぐす 【つま先立ち体操】・・正しい姿勢へと導く頭痛・肩こり体操 頭痛体操は、首の後ろの片頭痛圧痛点をストレッチし、その刺激で脳の痛み 調節系を活性化するのが目的です。首の後ろからは頸髄神経が脳に向かい、脳 幹で片頭痛の三叉神経系の回路とつながっています。 体操で圧痛点がストレッチされ、そこから痛み調節系に良い信号が送られる のです。脳の痛み調節系が活性化されると、痛みへの敏感さが随分少なくなり ます。 この体操は、緊張型頭痛、片頭痛に限らず、頭痛が起きる時に共通して起こ る体の異変に対して行う体操です。 実は、頭痛が起きる時、共通して首の上の方にシコリができることが多いの です。このシコリを緩和することを目的とした体操です。 -6- 鹿児島の歯科医の内田信友先生が「 N.H.R.頭痛解消法」で提唱されておられる 体操をお勧めしております。その体操は3つです。 1.背骨を伸ばす 2.肩首のスットン体操と首周囲・頭のマッサージ 3.両手振り運動 これを、1日 15 分間毎日行うことです。 既に、ストレートネックになっていれば・・ (1)仙腸関節のストレッチ ストレートネックのある方は、必ず、併用して行っていきましょう。 以下は、さかいクリニック代表 酒井 慎太郎先生の提唱される方法です。 (2)「あご引きエクササイズ」 (3)「簡易版・首の関節包内矯正」 (4)「簡易版・腰の関節包内矯正」) これらの具体的なやり方は、これまで述べてきたことです。 日常的に感じる極く軽度の頭痛”緊張型頭痛”の段階では、市販の鎮痛薬に は絶対に手を出さないことが原則です。 市販の鎮痛薬に頼らず、頭痛・肩こりを改善させる方法を考えなくてはなり -7- ません。そのために、「首」の555体操、指さし体操、頭痛体操、肩首のス ットン体操、両手振り運動など適当に組み合わせて行い、頭痛・肩こりを改善 しなくてはなりません。 既に、ストレートネックに至っておれば、”体の使い方のおかしなクセ”が ないか確認をした上で、 「背骨伸ばしのストレッチ」、 「仙腸関節のストレッチ」、 「あご引きエクササイズ」、「簡易版・首の関節包内矯正」、「簡易版・腰の関節 包内矯正」を組み合わせて行うことによって、徹底してストレートネックの是 正に努めなくてはなりません。そうしませんと、この「体の歪み(ストレート ネック)」は、今後の片頭痛の出発点ともなるものだからです。ここを疎かに すれば、先々になって片頭痛へ移行させていくことになります。 この「体の歪み(ストレートネック)」を無視すれば、次第に増強してきま す。これを無視すれば、これに諸々の要因が追加されることになってきます。 「ホメオスターシスの三角形」を歪ませないこと・・片頭痛体質を作らないた めに ここに、「ホメオスターシスの三角形」を歪ませる要因が追加されてくるこ とになります。 自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系はホルモ ンと”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占め ております。 ”セロトニン神経系”の機能低下により「脳内セロトニンの低下」が引き起 こされ、これは生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により低下・変動し、 “小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なる と低下してくることになります。 ”生理活性物質”は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスがよ -8- くないと、 局所ホルモン(エイコサノイド)(プロスタグランジン)のバラン スを乱すことになります。結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになりま す。 ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取す ると、間違いなく腸内環境は悪化します。高タンパク・高脂肪・低食物繊維の 欧米型食事は、腸内環境にとって最大の敵と言えます。 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不 足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的 なダメージを与えます。抗生物質は病原菌をやっつけるだけでなく、よい腸内 細菌まで殺し、腸内フローラを悪化させます。家畜に投与された抗生物質が肉 を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。 ”腸内環境”が「片頭痛体質形成」には極めて重要な位置を占めております。 以上のような赤字の事項に注意することが大切です。この点を怠れば、片頭 痛体質(酸化ストレス・炎症体質)を形成してくることに至ってくるというこ とです。 「脳過敏」の要因を摘む 「脳過敏」を来す原因は以下の3つの要因があります。 ”脳過敏”を引き起こす要因として 1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足 2.脳内セロトニンの低下 3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続 このような3つの要因が「脳過敏」を引き起こし、片頭痛へと移行させ、さ -9- らに片頭痛の慢性化の要因にもなってきます。 これらの詳細は、これまでも述べてきた通りです。 このため、「ミトコンドリアとの関与」を念頭においた上で、ミトコンドリ アを弱らせない対策を考えなくてはなりません。そのためには、マグネシウム を十分に補給することによってマグネシウム不足にならないようにする配慮が 必要とされます。安易にアスピリンを含む鎮痛薬、意味のない抗生物質の服用 を止めることです。そして、有害物質の摂取を極力控えることです。有害物質 のデトックスをかねて水分補給に心がけ、食物繊維を十分に摂取することです。 腸内環境の悪化を考慮して、便秘への配慮を行うことです。このためには肉食 は控えめにすることです。 さらに、「脳内セロトニン低下」を想定した上で、早寝・早起きを原則とし て、運動不足にならないように、こまめに体を動かし、”小麦、乳・乳製品、 肉食に偏った食事”をとり続けない配慮をしていくことです。 そして、規則正しい生活を心がけるようにします。 さらに、「ストレス対策」として、「セロトニン生活」を心がけるようにしま す。 - 10 - このようにして、徹底した「体の歪み(ストレートネック)」の改善に平行 して、ミトコンドリア・セロトニン対策を行っていかなくてはなりません。 結局、このような知識が最低限必要とされ、日常生活を送る際に念頭におい て注意していくことが大切になってきます。 このような具体的なことは、これまで述べてきた通りです。 片頭痛予備軍として考える 家族および親戚のなかに”片頭痛持ち”の方がいらっしゃれば、将来の”片 頭痛予備軍”と心得て対処しなくてはなりません。 先程述べたことを厳重に実行しなくてはなりません。 ”脳過敏”を引き起こす要因として 1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足 2.脳内セロトニンの低下 3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続 の3つがあります。片頭痛の基本的な病態は「脳過敏」(脳がちょっとした ことで反応しやすくなることです)にあるとされます。このように少なくとも こうした3つの「脳過敏」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、 ”緊張型頭痛”から”片頭痛”にまで進展していくことになります。 こうしたことから、常々、マグネシウム不足に陥らない配慮が必要とされ、 少しでも油断すれば、マグネシウム不足になってくることを意識することが大 切です。 “小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれ ば「脳内セロトニンが低下」することになり、さらに生活習慣の不規則・スト - 11 - レスによって、さらに低下することになります。先程の市販の鎮痛薬(アスピ リン含有)や抗生物質の乱用、有害物質の摂取、カルシウムとマグネシウムの 摂取バランスが悪ければマグネシウム不足が引き起こされミトコンドリアの働 きを悪化させることになります。 このような配慮を行う限りは、”緊張型頭痛”から”片頭痛”への移行は阻 止できます。 このようにして、片頭痛は予防は可能となります。特に、身内の方に片頭痛 の方がおられれば、当然のこととして、自分が”片頭痛予備軍”であることを 自覚して、上記のような配慮を早期から行わなくてはなりません。決して、血 筋とか遺伝するものと考えないことです。このように考えれば、予防などは” 論外”ということになりかねません。 子供さんへの配慮 こういったことから、これまで片頭痛でお 悩みの方々の子供さんが、最初に”頭痛”を 訴えた場合、これは紛れもなく”将来の片頭 痛予備軍”です。決して、血筋とか遺伝する ものと考えないことです。 こうした場合、子供さんの場合は、まず、 「体 の歪み」に注意する必要があります。 ・長時間、変な姿勢でゲームをやっている ・小型のゲーム機などを長時間やっている 特に、ゲームだけでなく変な体勢で本を読んだり、テレビを観ている子も - 12 - 要注意です。 このような点を、お母さん自身が注意してあげることが大切です。 そして、「背骨伸ばし」のストレッチを、日課として、毎日、行わせること です。 ミトコンドリアの働きを、さらに悪くさせないように注意が必要です。 そのためには、頭痛時の鎮痛薬とくにアスピリン含有のものは服用させない ことです。風邪などで、不必要な抗生物質を服用させないことです。 そして、マグネシウム不足を来さないように生活習慣に注意することです。 頭痛専門医で、子供の片頭痛の場合にも、いきなり抗てんかん薬のデパケン を投与される方がいますが、これもデパケンのミトコンドリア毒性を考慮すれ ば、よくありません。 少なくとも、絶対に「薬剤」を使わずに、「背骨伸ばし」や食事をバランス よく(偏食は厳禁です)摂取させた上で、マグネシウム補給を食事で行うよう にしましょう。 ・牛乳も程々に・・成長期にあると考え、飲ませすぎは禁物です。 ・ストレスをためない ・なるべく無農薬で精製されていない物を摂取 ・加工品 清涼飲料水 食品添加物を避ける ・環境ホルモンを避ける ・洋食よりも和食でマグネシウムを補給 特に、「砂糖など甘い物」を多くとらせないように注意が必要です。”おやつ ”を与える際に工夫が必要になります。「砂糖など甘い物」はマグネシウム不 足、片頭痛体質を作ってきます。 砂糖不使用、砂糖無添加、シュガーレス、シュガーフリーといった商品を中 心に”おやつ”の選択をしなくてはなりません。 - 13 - そして、ミトコンドリア、セロトニン活性化を目的として、「早寝・早起きを 励行」し、食事に際しては、「よく噛んで食べる」ように注意してあげましょ う。 牛乳、鶏卵、マグロ、牛肉の摂りすぎは「脳内セロトニン」不足を招くこと に繋がりますので、注意が必要です。子供さんはハンバーグを好みますので要 注意です。 市販のケーキやサンドウィッチ・菓子パン等に含まれる脂肪分はたいていが 天然の脂肪分ではなく合成された質の悪い脂肪分ですので、体に必要な脂肪分 とはとても言えない成分になります。生理活性物質のアンバランスを引き起こ してきます。 食用油にも注意が必要で、「エゴマ油(シソ油)」や「亜麻仁油」、オリーブ油 を中心に使って調理してあげましょう。 以上のように、大半は食事に関連したものが殆どであり、これらは”お母さ ん”が注意してあげることが大切になってきます。 このような注意だけで、多くの場合、片頭痛へ移行することなく、自然に 治まってくるものです。こうしたことから、”親の注意”が極めて重要となっ てきます。 - 14 - このような思いもよらないことがストレスになっていることも忘れてはなり ません。 ただ、注意すべきことは、現在の学会を主導される方々には、このような予 防的な観点はまったくありませんし、ガイドラインにも記載されていません。 そして、体の歪み(ストレートネック)は頭痛とは全く関係なしとされ、ス トレートネックを是正するといった考え方はありません。こういったことから、 こうした頭痛外来に期待することは全く不可能ということです。 このため、自分で自分の子供の片頭痛は予防しなくてはならないということ です。 注意すべきこと 専門家はなぜ、ここうしたことを容認しないのでしょうか 学会を主導される方々は、この国際頭痛分類である「国際頭痛分類 第3版 β版」を頭痛診療および研究の”絶対的基準”とされ、世界共通の言語とされ ます。この「国際頭痛分類」は欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学 者が作成していたものです。「国際頭痛分類 第3版β版」を”絶対的な基準” とすることから、トリプタン御用学者は当然のこととして、トリプタン製剤を 片頭痛の第一選択薬とし、片頭痛の病態はトリプタン製剤の作用機序からだけ でしか説明されないことになり、結局、トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬” とまでされるに至りました。 このため、「片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛」という考え方 は徹底して排除されることになっています。 さらに、「国際頭痛分類 第2版」での改訂以来、頭痛と頸椎病変の定義が極 めて曖昧になったことから、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」はエビ - 15 - デンスなしとされ、カイロプラクター・整体師・鍼灸師による施術をエビデン スなし、とされ全く評価されることはありません。このように、専門家は「国 際頭痛分類 第3版β版」を”絶対的基準”とすることから、緊張型頭痛と片 頭痛は全く別の範疇の頭痛であり、緊張型頭痛と片頭痛が連続したものである との機能性頭痛一元論を否定され、「体の歪み(ストレートネック)」を否定す ることにより、慢性頭痛とくに片頭痛の骨組み・屋台骨を取り去り、まさに、 片頭痛そのものを”骨抜き”というか、全く”理解不能な頭痛”にまでしてし まいました。 先程も述べましたように、片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序からし か説明されないことから、「脳過敏の原因が何か」さらに「片頭痛の慢性化が どこからくるのか」が説明できなくなったことから、片頭痛はもともと「脳の なかに異常のない頭痛」(一次性頭痛・機能性頭痛)とされて来たにも関わら ず、これが最近では「中枢神経疾患」であると考えられるようになり、このよ うな支離滅裂な、まさに”迷走ぶり”が示されています。 このように「片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛」という考え方 をされないため、セロトニン神経系の関与を否定され、さらに「体の歪み(ス トレートネック)」を否定することにより、「脳過敏」は生まれつき備わった体 質とされています。あるいは「市販の鎮痛薬」を服用することに原因を求めて います。 専門家のいう「片頭痛予防」とは、ただ”片頭痛の予防薬”を使うだけのこ とです。こうした”片頭痛の予防薬”は、頭痛回数を減少させ、頭痛の程度を 軽くし、トリプタン製剤の効き目をよくするだけの作用しかなく、片頭痛その ものを予防はできません。このことを知っておく必要があります。このような 考え方では”片頭痛そのもの”の予防は不可能です。 そして、専門家は、なぜこのように片頭痛の予防に積極的でなく、あるいは 全く無視されていることが、どこに原因があるのかを冷静に判断しなくてはな - 16 - りません。 これまでも申し上げておりますように”トリプタン製薬メーカーに洗脳され た専門医は、片頭痛を熟成させることしか念頭になく、こうした片頭痛を予防 するといった考え方は、しないことは理解できるはずです。 この世から、片頭痛患者がなくなれば、困るのは”トリプタン製薬メーカー ”だからです。こうした単純な理由から、こうした考え方は一切容認されるこ とのない理由です。この点を認識しなくてはなりません。 これまで、専門家の方々は、このような指導をされて来られたのでしょうか? こうした現実・事実を認識しさえすれば、専門家が何を考えているのかは、 理解されるはずです。 ということは、私達は、自分で自分の身・子供を守ることしかない、という ことです。 本来、片頭痛は本来、以下のように考えるべきものです。 まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。 さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存 在します。 片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。 そして、片頭痛の大半は、ミトコンドリアDNAによって継承されます。 このミトコンドリアDNAは「生活習慣の要因」と「外部の生活環境の要 因」によって時々刻々変化していくものです。 さらに、このミトコンドリアDNAに影響を及ぼすものには、以下の6要 因があります。 1.ホメオスターシス・・ストレスの関与 - 17 - 2.免疫(腸内環境)の関与 3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題 4.体の歪み(ストレートネック)の関与 5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン 6.マグネシウム、活性酸素、有害物質、睡眠等々 このような、観点から、片頭痛は、”緊張型頭痛の段階”から積極的に予防 しなくてはなりません。 このように、片頭痛とは、まさに”生活習慣病”そのものと考えるべきもの であり、このような観点から、日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛の 段階から、安易に「市販の鎮痛薬」を服用することなく対処していかなければ なりません。そうしなければ、後々、複雑化した頭痛へと変化してきます。 これが、「片頭痛予防の原則」になっています。 - 18 - - 19 - まとめ 結局、片頭痛とは何か・・”未病という概念” 未病とは、何か 「未病」という言葉、最近TVや新聞などでよく見かけると思いませんか? すでに一部の国語辞典などにも、掲載されるようになってきています。 そもそもこの「未病」、およそ 2,000 年前に編纂された現存する中国最古の医 学書、「黄帝内経」の中において、はじめて登場した言葉とされています。 日本では江戸時代、貝原益軒の「養生訓」に、この「未病」について書かれ た箇所があります。 聖人は未病を治すとは、病いがまだおこらざる時、かね てつつしめば病いなく、もし飲食・色欲などの内慾をこら えず、風・寒・暑・湿の外邪をふせがざれば、其おかす事 はすこしなれども、後に病をなす事は大にして久し。内慾 と外邪をつつしまざるによりて、大病となりて、思ひの外 にふかきうれひにしづみ、久しく苦しむは、病のならひな り。病をうくれば、病苦のみならず、いたき針にて身をさ し、あつき灸にて身をやき、苦き薬にて身をせめ、くひた き物をくはず、もにたきものをのまずして、身をくるしめ、 心をいたましむ。 「未病」とは、一言でいうならば「半健康で、病気に進行しつつある状態」 とされています。しかしながら、この「未病」という言葉は前述のとおりかな りポピュラーになってきてはいるものの、概念的にまだ統一され、確立された 日本語となるまでには至っていません。 専門組織である「日本未病システム学会」の定義によりますと、「自覚症状 はないが、検査で異常がある状態」および「自覚症状はあるが、検査では異常 - 20 - がない状態」の二つをあわせて「未 病」としています。 こちらのほうが、より具体的なイ メージができる、現代的な説明と思 われます。 (ちなみに同学会では、前者を「西 洋型未病」、後者を「東洋型未病」 に分類しています。) 未病、そして生活習慣病 単なる東洋医学の言葉として捉えられていたこの「未病」、最近になってク ローズアップされてきているのは、いったいナゼでしょうか。 その最大の理由は、現代社会に暮らす私たちの健康をおびやかす高血圧・高 血脂症・脂肪肝・糖尿病などの代表的な「生活習慣病」における危険因子が、 日本人の全死因の 6 割を占める「三大成人病(がん・心臓病・脳卒中)」につ ながる、まさしく「未病」そのものであるからです。 しかしながら、現代西洋医学の世界でも、今まさに問題とされているこれら の病に至る状態こそは、まさに「未病」そのものであり、洋の東西を超えて今、 その治療が求められているのです。 「未病」を病気に進みつつある状態と捉えるならば、はやい段階で「未病」の サインを認識し、しかるべき手を打てばその進行を抑え、本格的な病気に移行 することを防ぐことができます。 冒頭の中国最古の医学書に「未病を治す」という表現があらわれているので すが、未病は病気ではないのに、「治す」というのはどういうことなのでしょ う。 これは、健康であろうと病気であろうと、つねに自らの生活習慣に気を配り、 より本来の姿に近い心身の状況にもっていこうとする、生き方の姿勢をあらわ - 21 - している表現なのです。 この人間本来の姿を、東洋医学(漢方)の世界では「中庸」と呼んでいます が、これはすなわち、健康と病気のまん中あたりのことを意味しています。 つまり、健康すぎても、また病気だらけでも、いけない。 からだの状態とは、どちらか一方向への偏りがないのが一番よいのだ、とい うことを意味しているのです。 未病への意識を高めることこそが、大切 私たちのからだは本来的に、治癒力・自己回復力が備わっています。 ですから、それを活かす方向、もともとの生命力を十分に活かす方向にもっ ていくように意識して、それとなく導いてあげるようにするだけでも、その本 来の力を発揮しはじめるようにできているのです。 私たちの日々の生活をちょっと振り返っただけでも、このからだがもともと 持つ治癒力・自己回復力を、私たちはなんのかんのと都合のよい理屈をつけ、 まったく逆の方向に導いていることが珍しくありません。 たとえば、肝機能の低下を示す数値がでているのに、仕事のつきあいだから と、毎晩の飲酒を止めようとしない。 睡眠不足で食欲もなく、過労を自覚していながらも、仕事が終わらないから と家族の心配も振りきって、休日も会社に出かけてゆく。 このような、自らのもつ本来的な回 復力を、知りながらあえて阻害する方 向にもっていくようでは、「未病を治 す」ことはいつまでたっても、難しい ままでしょう。 健康診断などで数値の異常が認められたなら、体調の悪化に自覚がなくとも、 その数値改善に向けて、生活習慣を改めていく。 健康診断で数値に異常が認められなかったからといって、気を緩めてしまい、 - 22 - カラダに無理をかける生活を続けたり、喫煙や過度の飲酒にも「少しぐらいい いか」などと、自分自身を甘やかしたりしない。 これからの時代、「未病」に対する意識を高めることこそ、「生活習慣病を予 防するための最短距離」である、と言えるかもしれません。 日常生活に潜む“未病” 病院で検査しても、異常がみつからない。だけども“頭痛、肩こり、めまい、 耳鳴り、目がかすむ、喉が詰まる、心臓がドキドキする、ご飯がおいしくない、 手や足にしびれ感がある、生理痛が酷い”などの体験をした方もいると思いま す。 病気とは診断されないが、健康でもない。いわば、“半健康・半病気” の 状態に身体はあるのです。半健康・半病気の状態を、中国漢方では病気になる 一歩手前だとして、「未病(みびょう)」と言っています。 絶対的な健康はなく、 私たちの身体のバランス がどこか歪んでいるので す。 これが”ホメオスター シスの乱れ”を意味して います。 病院で検査しても異常なかったから、私は大丈夫では済まされないのです。 西洋医学では、体の状態は「病気」か「健康」かの 2 つに区別されます。東 洋医学では、病気と健康の間に「未病」という状態があります。「病気ではな い=健康」ではないという考え方です。肩こり、腰痛、頭痛、不眠、じんまし ん…病気というほどではないけれど、体調が悪いことはあります。それがまさ に「未病」の状態です。 - 23 - 緊張性頭痛、片頭痛は、頭部のCT・MRIなどの画像検査では何も異常が みあたらず、これはまさに、典型的な”未病”と考えるべき頭痛です。 統計学的な調査によると、日本人の15%ほどが大なり小なり、定期的な片 頭痛に悩まされています。その15%全体のうち、85%の人は薬に頼って症 状の改善を試みているとも言われています。 薬で症状の改善を試みている人の多くは、生活の中に片頭痛が居座ることで、 薬で対症療法をしながら長く付き合っていくことを半ば覚悟しているのではな いでしょうか。 すべての背景・要因ではないのですが、片頭痛がビタミン、ミネラルなど栄 養素の過不足に深くかかわっていることと、それらの栄養素を必要とするミト コンドリアの働きや状態にかかわることがわかってきました。もう少し詳しく 言えば、ミトコンドリアで作られるエネルギーの生産にかかわる栄養素が片頭 痛の原因である可能性が少なくないということです。 その栄養素と補酵素をあげると以下の成分になり、いずれもミトコンドリア でエネルギーを生産する際には不可欠な成分です。 ・マグネシウム エネルギー源であるATPの合成に不可欠なミネラル ・リボフラビン(ビタミンB2) エネルギー生産過程で生まれる電子を運搬するために不可欠なビタミン ・Co-Q10 エネルギー生産過程で生まれる電子を運搬するために不可欠な補酵素 - 24 - 医食同源、未病の考え方と薬膳料理 温故知新・医食同源とは 日本人はその昔、栄養の知識などろくにない頃から、胃がもたれたときは大 根おろしを食べるとか、疲れたらレモンをかじるなど、食品の持つ栄養素以外 の効果を知っていました。 西洋にも「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるよう に、人類はその長い歴史の中で、身近な食物の持つ薬学的な効果を経験的に知 っていたといえるでしょう。 ただし経験的にはかなり高い確度で正しいとしても、化学的・生理学的に効 能物質が突き止められてその仕組みがわかるまでは、科学的ではないという理 由で軽視されてきた面もあります。ときには「迷信」扱いされてきた生体機能 食品も少なくないでしょう。 近年の著しい研究成果で、昔からの言い伝えが正しいと証明された健康によ い食品が数多く「発見」されました。まさに温故知新です。 薬食同源と薬膳 日常の食品を薬と考える思想は、漢方の国、中国で古代から発展してきまし た。 古代中国、周の時代には王の食事治療専門医がいました。しかもその医師は 他の専門医よりも上位にランクされていたようです。「神農本草経」という当 時の書物には、穀物や野菜、魚貝などの薬物治療に使われない食品についても 効能が記載されています。その根本にあるのは食事と薬は同じであるという考 え方です。そこから薬食同源という言葉が生まれました。 - 25 - 医食同源は 1970 年代前半に、薬食同源の替わりの言葉として紹介された日 本での造語ですが、今世紀に入って急速に一般に浸透してきました。今日の健 康ブームを象徴する言葉といえるでしょう。 その医食同源の思想を実践し、考案された料理が薬膳です。本来の薬膳は、 漢方薬としてなじみの食材も使われますが、それだけでなく日常の食材のもつ 効能をうまく組み合わせてバランスよく相乗効果を上げるところに妙がありま す。 また、最近は和食も取り入れた、中華料理とはまったく趣の違う薬膳料理も 多くなってきました。素材の持つ効能をうまく生かせば、普通の家庭料理でも 立派に薬膳料理になるということです。 西洋医学と東洋医学の違い - 26 - 古くさいイメージだった漢方が今、見直されています。日本では漢方薬でお なじみの東洋医学は、西洋医学とどう違うのでしょうか。 西洋医学は、物質と精神を別物として扱うキリスト教的世界観と、徹底した 合理主義を背景に、解剖学を基礎とした実証主義と分析的手法で高度に発展し てきました。西洋医学では病気をからだの部分の問題として扱います。もっぱ ら身体の悪いところを直す、いわば対症療法が中心です。どうしても直らなけ れば悪い部分を摘出してしまう、という考え方のできる医学です。 一方、東洋医学は人間の体を宇宙や自然になぞらえて考えます。東洋医学の 基本概念に陰陽五行説というものがありますが、これは自然界の光と影を「陰 と陽」で、また植物、熱、鉱物、土壌、液体を「木、火、金、土、水」の五行 で表現したものです。こうした思想に基づいて発展してきた東洋医学は、現代 の医学から見れば一部に不合理な面も見られますが、人間を哲学的、総合的に 把握し、臨床的、内科的に対処するという基本姿勢は、西洋医学の苦手な分野 を補う大きな可能性を持っています。 未病と異病同治 これまで述べてきましたように、漢方と西洋医学の違いを端的に表す言葉に、 未病という概念があります。未病とは読んで字の如し、いまだ病気になってい ないという意味ですが、漢方では未病の状態から病気を治すという考え方をし ます。 たとえば、便秘や不眠、肩こり、肥満、むくみな どがあっても、痛みなどのはっきりした症状がない ため、病院では病気と診断されない場合が多々あり ます。西洋医学では「健康」の中に入ってしまうこれらの状態を、東洋医学で は未病、つまり半病人として考えるのです。明確な病名がない未病の状態でも、 漢方では顔色や脈拍,舌などの状態を併せて診ることによって、どこに原因が あるかを突き止め、漢方薬や針などで「治療」を施します。 - 27 - また東洋医学では、ときには異なる病気でも同じ漢方薬を使うこともありま す。これを異病同治と呼んでいます。 予防医学と東西の融合 未病を治すという考え方は予防医学そのものです。そのことは漢方薬の原料 の中に、普通の食材と同じ原料が使われているものがけっこうある、というこ とからも伺えます。 たとえば山薬はヤマノイモ、大棗は果物のナツメ、紅花はベニバナが原料で す。これらは食物が文字通り薬になっている例ですが、このことからも漢方と 薬食同源の考え方が同根だということが理解できるでしょう。 細菌やウイルスに感染することによって起こる病気は、前世紀から西洋医学 が目覚しい成果を上げてきました。しかし一方、食生活やストレスなどから生 ずる生活習慣病は因果関係も明確ではなく、これまでの悪い部分を直す考えか ら、予防医学的アプローチが注目されてきました。 実際、西洋医学の先進国アメリカでは、1990 年から米国国立がん研究所を中 心にがん予防の疫学的な研究を重ね、デザイナーズフーズ・プログラムという ものを発表しました。そこに挙げられている約 40 種類の「がん予防効果が期 待される野菜や果物」の中には、漢方で古くから利用されてきた食材や薬の原 料も多く含まれています。 たとえば、最も重要度が高い食品にはニンニク、ショウガ、甘草、キャベツ、 大豆、セロリ科植物(ニンジン、セロリなど)が挙げられています。食品の中 には病気予防効果のある成分が含まれている、という民間療法的な考えを西洋 医学が認め、予防医学として確立させようとしているのです。 日本の病院や大学でも、漢方薬を取り入れて治療をする医師が増えており、 今後、東西の医学の融合は進んでいくと思われます。 未病の状態に薬膳の力!熱をとる食材、冷えをとる食材を知って、体の不調を - 28 - 取り除こう! 夏の暑さは体力を奪います。病気とまではいかない体の不調は、東洋医学で は未病という状態です。病気ではありませんから、病院に行って何かをしても らえるわけではありません。しかし放っておけば本当に病気になってしまうか もしれません。そんな未病の状態に効くのが、薬膳です。 夏は人を不健康にする! 夏の暑さは、人の体に熱を蓄積させます。説によって体のエネルギー消耗が 激しくなり、その消耗したエネルギーを補えなくなると夏バテの状態になって しまいます。 薬膳の考えでは体に熱が溜まったら、その熱を摂るものを摂る必要があると されます。 また、最近は冷房病などのように、夏にかえって体の中に冷気をため込んで しまうということもありますので、その場合には体の中に熱を蓄えさせる食材 を摂った方がよいということになります。 熱が溜まった体に摂りたい食材・生薬 ・体内の熱を発散させる→菊花・ミント・桑の葉・葛・ゴボウ ・熱を冷ます→大麦・小麦・そば・はとむぎ・ゴーヤ・キュウリ・冬瓜・レン コン・セリ・セロリ・トマト・ナス・カブ・ゴボウ・梨・ブドウ・緑豆・緑茶 ・ハスの葉・金銀花 ・心熱を冷ます→ハスの実・スイカ・ゴーヤ・ユリ根 ※金銀花(キンギンカ):スイカズラとも言い、熱を抑える効果のある生薬で す。 - 29 - 冷えが溜まった体に摂りたい食材・生薬 ・体を温め、冷えをとる→からし菜・ネギ・ピーマン・ラッキョウ・カラシ・ コショウ・山椒・生姜・トウガラシ・ニンニク・黒砂糖・羊肉・酒・紅茶・茴 香・肉桂 ※茴香(ウイキョウ):フェンネルとも言い、停滞しているものを動かし発散 させるという生薬です。 ※肉桂(ニッキ):シナモンとも言い、漢方薬でよく使用される桂皮の皮を指 します。体表部を温める作用が強い生薬です。 生薬と言われると難しそうに聞こえますが、普段食べているものも多く含ま れます。調子が悪い、不健康だと言った状態を放っておけば、当然体はどんど ん悪い方へ傾いていきますから、こうした食べる薬、薬膳の力を借りて体を元 気にしてみてはどうでしょうか。 分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は、「お医者さんにも読ませたい 片頭 痛の治し方」(健康ジャーナル社 平成 25 年 2 月出版)で提唱されておられる 「万能健康ジュース」「ラブレクラウト」は、私には、まさに「薬膳」のよう に思えてなりません。この2つは後藤先生が、分子化学の立場から理論的に構 築されて作成されたものであり、片頭痛治療薬に匹敵するものとされておりま すが、先生には誠に失礼なのですが、私の考えでは「薬膳」として、最初に頭 痛を経験され、ご家族に”頭痛持ち”がおられる場合は、片頭痛を発症させる 以前の段階から実践すべきと考えております。これが片頭痛撲滅の近道と確信 しております。 生活習慣病としての片頭痛の起こり方 これまでも再三再四述べて参りましたように、片頭痛は緊張型頭痛を発症起 - 30 - 点として起きてくるものです。 このような発症の仕方をすることを、まず認識しなくてはなりません。 緊張型頭痛には毎日続く慢性型と出たり消えたりする反復発作型がありま す。 また、頸部の筋肉の緊張を伴うものとそうでない頭痛に分けられます。 筋肉の緊張による痛みだけでなく、ストレスなどの精神的な背景によって起 こる頭痛も緊張型頭痛と呼びます。 CTなどの画像検査でも異常が見つからない頭痛の場合、緊張型頭痛と診断 されることが多いと思います。頭部周辺の筋肉によって起こる痛みなので脳の レントゲンでは異常は見つからないのは当然です。 中年以降、ストレスによって緊張型頭痛を訴える方が多くみられます。 社会的にも責任が重くなり、ビジネスでもプライベートでもなにかと重圧の かかる年齢です。また、頭を支える頸部に筋肉も年齢とともに衰えますので筋 肉疲労なども要因となっていると考えられます。 これをまず、改善させることが重要となってきます。 問題点の一つに安易な鎮痛剤の服用が挙げられます。痛み止めを頻回(一月 に 10 回以上)に服用すると鎮痛薬を服用するために、かえって頭痛が出現し やすくなり、非常に難治性の慢性頭痛になってしまうことがあるのです。これ を薬物乱用頭痛といいます。簡単に言うと、痛みをとるために飲んだ薬が、逆 に痛みを生んでしまうのです。 これらの頭痛を緩和する方法として、 リラックスできる時間を持つ 頸部のストレッチ&筋トレを行うのが効果的です。 ●首を持ち上げる体操あごの下に両手を当てて、首を持ち上げるように力を入 れ、反対に首が持ち上がらないように下向きに力を入れます。 - 31 - 5秒キープ。 10回程度繰り返す。 ●肩の持ち上げ体操 両肩をいからせるように持ち上げ10秒キープ。 10回程度繰り返す。 注意点として、痛みが強いときは無理に行わないこと。 力を入れすぎたり、強い反動をつけないこと。 頸部の筋力が弱い場合いには水泳など、頸部の筋肉を持ち上げる運動で筋肉 の持久力を高めるのも効果的です。 このうえで、一般の生活習慣病と同じように対策を立てていくことが重要に なります。 “緊張型頭痛・片頭痛”などの生活習慣病は,個人差がありますが、普段の生活 習慣と密接に関係していることが分かっています。 厚生省では 病気になってから治療するのではなく、一次予防の観点から健 康を維持するように国民に働き掛けています。 「食事、運動、喫煙、飲酒、休養」を生活習慣の五要素としています。 ある日突然に病気になるのではありません。毎日の生活習慣の積み重ねが大 事なのです。 さっそく、私たちも今日からの生活を充実して、楽しい毎日にするために、 生活習慣を見直しましょう! それでは、私たちはどうすれば良いのでしょうか? - 32 - まず食事が重要になってきます。 片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛です。 ミトコンドリアは「生命のエネルギー工場」と呼ばれ、エネルギーを産生す る重要な場所です。ミトコンドリアの働きの悪さは、新陳代謝やエネルギー代 謝など代謝の低下を意味します。このエネルギー代謝を円滑に行うためには、 食生活でとくに栄養素・ビタミン・ミネラルを過不足なくバランスよく摂取す ることが大切になります。 これまで、片頭痛の改善が思わしくなかった方々は、「食生活の問題点」が ある方々のように私自身は感じています。 ”正しい食生活”とは、どういったものかを改めて考え直す必要があります。 食事内容・調理方法は先祖代々、親から子供へと無意識のうちに引き継がれ、 こうした食事のあり方の問題点が先祖代々継承されることによって、片頭痛が あたかも”遺伝的疾患”であるかのような印象を持たせた原因なのかもしれま せん。 「ミトコンドリアの働きの悪さ」があるところに、さらに「マグネシウム」 が不足してきますと、「脳過敏」を引き起こしてきます。 このためマグネシウム不足を来す生活習慣(食生活)には注意が必要です。 ・アルコールの飲み過ぎ ・毎日の牛乳摂取 ・ストレス ・激しい運動や暑すぎる環境 ・食材のマグネシウム含有量が低いもの ・白米小麦粉など精製食品の摂取 ・白砂糖の摂取 ・加工品や清涼飲料水の摂取 ・食品添加物や農薬等の摂取 - 33 - ・エストロゲン過剰(環境ホルモン含む) ・食の欧米化 こうしたものに常々注意した上で、マグネシウム含有食品を意識して摂取し ます。 また「脳内セロトニンを増やす」にも、同様にビタミン・ミネラルを過不足 なくバランスよく摂取することが大切になります。 また、トリプトファンの摂取に心掛けることも大切です。 さらに“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”には注意が必要です。 牛乳、鶏卵、マグロ、牛肉の摂りすぎは「脳内セロトニン」不足を招くこと に繋がりますので、注意が必要です。 結局、栄養素、ビタミン、ミネラルを過不足なく摂取し、偏食、過食は厳禁 です。高タンパク・高脂肪・低食物繊維の欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂 糖などを大量に摂取は控えることが大切になってきます。 そして、生理活性物質との関連から、これまでも述べてきましたように、脂 肪酸のオメガ3とオメガ6のアンバランスに注意することが重要になってきま す。 市販のケーキやサンドウィッチ・菓子パン等に含まれる脂肪分はたいていが 天然の脂肪分ではなく合成された質の悪い脂肪分なので、体に必要な脂肪分と はとても言えない成分になります。 食用油にも注意が必要で、「エゴマ油(シソ油)」や「亜麻仁油」、オリーブ 油を中心に使って調理しましょう。 現在の食生活はファーストフード、インスタント食品、コンビニ弁当、スナ ック菓子などに多く囲まれている飽食の時代です。 最近話題となったナイフを持つ「きれた」子供たちは、食事に原因があるの ではないかと言われています。 - 34 - 旬のものをおいしく食べ、季節に感謝することが大事です。 食事に際して、よくかんで食べ、過剰なインシュリンを分泌させない食事の とりかたを心がけるようにしましょう。 以上のように、食生活が、未病としての慢性頭痛を治す上で重要な位置を占 めています。 これが”薬膳”の理論的な根拠とされる点です。 日常生活を送る際の”何気ない姿勢(とくに前屈みの姿勢)や動作”などが 原因となって形成される「体の歪み(ストレートネック)」を基盤として、まず、 緊張型頭痛が引き起こされます。 「体の歪み(ストレートネック)」が持続すれば、頸部の筋肉が絶えず刺激を 受けることになり、この刺激は三叉神経核に絶えず送られることによって、さ らに「脳過敏」を増強させます。 このため、前屈みの作業環境に置かれる仕事をされる場合は、30 分に1回は 首にかかる負担をなくす工夫が必要となります。 そして、毎日、就寝前に「背骨伸ばしのストレッチ」「仙腸関節のストレッ チ」を習慣化させることです。これに頭痛体操も取り入れることも大切になり ます。 ”子供さんの頭痛”に対する考え方です。 子供さんの場合は、まず、「体の歪み」に注意する必要があります。 ・長時間、変な姿勢でゲームをやっている ・小型のゲーム機などを長時間やっている 特に、ゲームだけでなく変な体勢で本を読んだり、テレビを観ている子も要 注意です。 このような点にお母さん自身が注意してあげることが大切です。 - 35 - そして、「背骨伸ばし」のストレッチを、毎日、行わせることです。 ミトコンドリアの働きを、さらに悪くさせないように注意が必要です。その ためには、頭痛時の鎮痛薬とくにアスピリン含有のものは服用させないことで す。風邪などで、不必要な抗生物質を服用させないことです。金儲けで風邪で 「抗生物質」を処方する医師が多いため注意が必要です。さらに、市販の鎮痛 薬を頻回に服用しないことです。多くのものはカフェインが含まれており、容 易に薬剤乱用頭痛に陥ることになりますので、できるだけ鎮痛薬に頼らない手 段(頭痛体操・ストレッチ)を会得する必要があります。 そして、マグネシウム不足を来さないように生活習慣に注意することです。 また、週に何回か適度な運動をしたり、歩きましょう。 私たちは、どこでも車を使うので運動量が相対的に不足しています。 汗を適度にかくことは、新陳代謝が良くなり、身体の毒素(重金属など)が 抜けていきます。 その他としては、たばこは吸わないようにする、適度に飲酒を楽しむ(赤ワ インでも飲みすぎはいけません)、 週に一回は自分の時間を持つようにすることなどです。「病は気から」とよ く言われます。ストレスの多い世の中ですが、自分のこころ―気持ちまでイラ イラしたり、怒ったり、心配事ばかりしていると身体によくありません。例え、 病気になったとしても、「こころ」まで病気になる必要はありません。案外、 気を楽にしてみると、身体もいい状態になってくるものです。為すがままに、 自分らしく生きていきましょう。 そして、規則正しい生活を心掛け、睡眠を十分にとり、早寝・早起きの習慣 を身につけるようにしましょう。 以上のように、慢性頭痛(緊張型頭痛・片頭痛)は”未病”という観点から - 36 - 対処すべきです。 現在の日本頭痛学会を主導される先生方には、こうした観点が全く欠如して おります。 ただ単に、「国際頭痛分類第3版 β版」の診断基準に従って、緊張型頭痛・ 片頭痛を診断して、これに見合う薬剤を処方しなさい、といったことでは何の 解決策も生まないことは歴然としているということが理解されたかと思いま す。 - 37 -
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