Page 1 Page 2 吉村 拓己 氏の学位論文審査の要旨 論文題目 待機的

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Title
待機的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)における
PCI関連心筋傷害とCYP2C19遺伝子多型の関連性
Author(s)
吉村, 拓巳
Citation
Issue date
2016-03-25
Type
Thesis or Dissertation
URL
http://hdl.handle.net/2298/34564
Right
吉村
拓巳
氏の学位論 文審査 の要 旨
論 文題 目
待 機 的 経 皮 的 冠 動 脈 イ ン タ ー ベ ン シ ョ ン(PCI)に
CYP2C19遺
お け るPCI関
連心筋傷害 と
伝 子 多型 の 関連 性
(Association
between
peri-procedural
elective Percutaneous
coronary
myocardial
damage
and CYP2C19
gene
variant in
intervention)
経 皮 的 冠 動 脈 イ ン タ ー ベ ン シ ョ ン(PCI)に
伴 う心 筋傷 害 は 、入 院 中の 合 併 症 や 心 血 管 イ ベ ン
トを 増 加 さ せ る こ と が 知 ら れ て い る 。 抗 血 小 板 薬 で あ る ク ロ ピ ドグ レ ル の 代 謝 に 関 与 す る
CYP2Clり
遺 伝 子 多 型 と 血 小 板 凝 集 能 が 待 機 的PCIに
お け る 心 筋 傷 害 と 関 連 す る か に 関 して は 、
こ れ ま で 十 分 に 明 ら か に さ れ て い な い 。本 研 究 は 待 機 的PCI後
に 生 じ た 心 筋 傷 害 と 、CYP2C19遺
伝 子 多 型 な ら び に ク ロ ピ ドグ レル に よ る 血 小 板 凝 集 能 の 関 連 性 を検 討 した も の で あ る 。
待 機 的 な 冠 動 脈 ス テ ン ト治 療 が 行 わ れ た 安 定 労 作 性 狭 心 症 患 者91人
ロ ポ ニ ンT値(hs-TnT)の
測 定 、CYP2CI9遺
を 用 い た ク ロ ピ ド グ レ ル 内 服 下 で の 血 小 板 凝 集 能 の 測 定 を 行 っ た(ス
群 と し てPCIを
行 わ ず 冠 動 脈 造 影(CAG)の
行 っ た 。 血 液 検 体 はPCIも
ト群 はPCI24時
し く はCAGの
間 後 のhs-TnTの
過 量(p=0.003)、
(p<0.001)と
手 技 前 、 お よ び 手 技 後24時
後 で 血 清hs-TnT値
と 比 べPCI24時
86.8±121.5pg/ml,P<0.001)。
テ ン ト群)。
み で 終 了 し た 同 患 者30人
間 後 に 採 取 した 。 ス テ ン
は 有 意 に 高 値 で あ っ た(9.4±5.3pg/mlvs.
単 変 量 解 析 で は 、PCI関
連 心 筋 障 害 は 年 齢(p=0.Ol4)、
血 清TnTの
前 値(p=0.049)お
推 算 糸球 体 濾
よ び 冠 動 脈 ス テ ン ト長
の 関 連 性 が 示 さ れ た 。 多 変 量 解 析 で は 高 齢 、 ヘ モ グ ロ ビ ンAlc高
長 い こ と がPCI関
に 分 け た 。そ の 結
の 変 動 は み ら れ な か っ た が 、 ス テ ン ト群 に
間 後 の 血 清hs-TnT値
ヘ モ グ ロ ビ ンAlc(p=0.Ol5)、
コ ン トロ ー ル
を設 定 し、 同 様 の 検 査 を
中 央 値 で 低 心 筋 傷 害 群 と 高 心 筋 傷 害 群 の2群
果 、 コ ン ト ロ ー ル 群 で はCAG前
お い て はPCI前
にお い て 、 血清 高 感 度 ト
伝 子 多 型 の 同 定 、な ら び にVerifyNowOOP2Y]2system
値 、 ス テ ン ト長 が
連 心 筋 傷 害 と の 独 立 し た 予 後 因 子 と し て 示 さ れ た が 、CYP2C19$能
喪 失遺 伝
子 多 型 や ク ロ ピ ドグ レ ル 内 服 下 も 血 小 板 凝 集 能 が 高 い こ と と は 有 意 な 関 連 性 が 示 さ れ な か っ た 。
こ れ ら の 結 果 よ り 、 待 機 的PCIで
は 血 小 板 凝 集 能 よ り もPCI戦
略(ス
テ ン ト本 数 な ど)や
患者
因 子 の 関 与 の ほ うが 大 き い こ と が 示 唆 さ れ た 。
審 査 で は 、Dhs-TnTを
測 定 精 度 、3)研
指 標 と し た 意 義 と 中 央 値 を 用 い て 解 析 し た 理 由 、2)血
究 対 象 と し て 待 機 的PCI症
薬 剤 開 始 の タ イ ミ ン グ 、6)ア
判 定 し た 理 由 、8)対
例 を 用 い た 理 由 、4)安
能 と の 関 連 の 有 無 、9)本
定 労 作 性 狭 心 症 の 定 義 、5)
ス ピ リ ン と プ ロ ピ ド グ レ ル 併 用 の 意 義 、7)心
象 患 者 に お け るCYP2C19遺
研 究 でCYP2Cl9遺
小板凝集能の
筋 傷 害 を24時
間で
伝 子 多 型 と ク ロ ピ ドグ レ ル に よ る 血 小 板 凝 集
伝 子 多 型 と 心 筋 傷 害 が 相 関 し な か っ た 理 由 、10)
ク ロ ピ ドグ レ ル の 代 謝 に 関 与 す る 他 の 因 子 の 関 与 、ID糖
尿 病 や ス テ ン ト長 が 心 筋 傷 害 と 相 関 し
た 理 由 、 な どの 質 問 が な さ れ 、 申 請 者 か ら は 概 ね 適 切 な 回 答 が な され た 。
本 研 究 は 、 待 機 的PCIを
行 な っ た 安 定 労 作 性 狭 心 症 患 者 で は 血 小 板 凝 集 能 よ り もPCIの
方法
や 患 者 側 の 因 子 の 方 が 心 筋 傷 害 と の 関 与 が 大 き い こ と を 示 した 点 で 学 位 授 与 に 値 す る も の と 評
価 され た 。
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