デフレ脱却と経済再生に向けた進捗

資料2
デフレ脱却と経済再生に向けた進捗
平成28年5月11日
内閣府
日本経済及び世界経済の動向
○世界経済は緩やかに回復しているが、成長をけん引してきた新興国の減速が続いている。
○日本についてみると、有効求人倍率は24年ぶりの高水準。完全失業率は18年ぶりの低い水準である3%台前半で推移。
○企業収益は過去最高水準。設備投資は持ち直しの動き。
○個人消費は2014年4月の消費税引上げ後に落ち込んだ後、総じてみれば力強さに欠ける動き。
(1)世界の実質GDP成長率
(%)
7
5.4
6
4.3
5
4
3
2.5
5.5 5.7
20
5.4
4.9
3.5 3.3 3.4
3.1
2.9
設備投資(右目盛)
10
企業収益
16
9
14
2
12
1
8
0
10
-0.1
-1
7
8
-2
Ⅰ
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015(年)
G7寄与
その他先進国寄与
新興国・途上国寄与
(倍)
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
2012
世界
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
13
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
14
Ⅲ
Ⅳ
(2)有効求人倍率・完全失業率
(%)
(年)
15
(4)消費総合指数(形態別)
5.0 125
1.2
(2005年=100)
(2005年=100)
4.5 115
有効求人倍率
0.8
0.6
0.4
完全失業率
2月 3.3%(15~24歳 5.9%)
3月 3.2%(15~24歳 5.8%)
0.2
0.0
1
4
7
2013
10
1
4
7
14
4.0
完全失業率
(目盛右)
1
190
105
180
半耐久財
95
耐久財
(目盛右)
90
4
7
10
15
(備考)厚生労働省「職業安定業務統計」、総務省「労働力調査(基本集計)」により作成。季節調整値。
200
100
3.5
10
210
サービス
総合
110
有効求人倍率
2月 1.28
3月 1.30
3.0
3 (月) 85
1
16
(年)
230
220
120
1.0
(期)
(備考)1.財務省「法人企業統計季報」により作成。季節調整値。
2.季報では、資本金1千万円以上の企業が対象。
(備考)IMF「World Economic Outlook Database」(2016年4月)より作成。
1.4
(兆円)
11
18
4.2
3.0
(3)企業収益と設備投資
(兆円)
1
4
7
2012
10
1
4
7
2013
(備考)消費総合指数は内閣府試算値。
10
1
7
14
10
1
4
160
150
非耐久財
4
170
7
15
10
140
1 2(月)
16 (年)
1
デフレ脱却に向けた改善の動き(1)
○デフレ脱却の考え方について
① 「デフレ脱却」とは、「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」。
② 「デフレ脱却」の判断に当たっては、足下の物価の状況に加えて、再び後戻りしないという状況を把握するためにも、消費者物
価やGDPデフレーター等の物価の基調や背景(注)を総合的に考慮し慎重に判断する必要がある。
(注)例えば、需給ギャップや賃金コストの動向などを勘案する。
○現在はデフレではない状況。デフレ脱却に向けて着実に前進しているところ。
○生鮮食品やエネルギー等を除く消費者物価指数は2013年10月以降、前年比30カ月連続のプラス。足下では1%近くのプラス。
○GDPデフレーターの前年同期比は、8四半期連続でプラス。GDPギャップは、マイナスであるが縮小傾向。生産1単位当たり
の賃金コストを示す単位労働費用は、前年同期比で、2014年4―6月期以降概ねプラス。
(1)消費者物価指数の動向
2
(2)GDPデフレータ-、GDPギャップ、単位労働費用
(前年比、%)
10
8
(前年同期比、%)
(%)
単位労働費用(ユニット・レーバー・コスト)
6
1
2
0
0
総合
3月 ▲0.1%
-2
-2
-4
-4
生鮮食品を除く総合
(コア・固定基準)
3月 ▲0.3%
-6
-2
1
4
7
2012
10
1
4
7
13
10
1
4
7
14
10
4
2
0
-1
8
6
GDPデフレーター
4
生鮮食品、石油製品
その他特殊要因を除く総合
(連鎖基準)
3月 0.9%
10
1
4
7
10
15
(備考)1.総務省「消費者物価指数」により作成。
2.「生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合」は、「生鮮食品を除く総合」(コア)から石油製品
(ガソリン、灯油、プロパンガス)、電気代、都市ガス代、及びその他の公共料金等を除いたもの。
GDPギャップ(目盛右)
-8
-10
1 3(月)
16 (年)
-6
-8
-10
ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ (期)
(年)
2008
09
10
11
12
13
14
15
(備考)1.内閣府「国民経済計算」により作成。
2.GDPデフレーター=名目GDP/実質GDP=(名目雇用者報酬+名目利潤)/実質GDP
=単位労働費用(ユニット・レーバー・コスト)+単位利潤。
なお、ここでの名目利潤には固定資本減耗と純間接税も含まれる。
3.GDPギャップは内閣府による試算値。
GDPギャップ=(実際のGDP-潜在GDP)/潜在GDP
2
デフレ脱却に向けた改善の動き(2)
○予想物価上昇率は、最近、上昇率が低下している指標もみ
られているが、おおむね安定的に推移している。
○3年連続、多くの企業でベースアップが実現する見込みであ
るなど、賃上げの流れが続いている。
○2014年秋以降、原油価格は大幅下落。
(1)予想物価上昇率
(%)
○総雇用者所得は、名目ではこの2年間増加傾向、実質でも
消費税引上げの影響がなくなった昨年4月以降、増加傾向。
10
3月
4月
4月
8
6
生活意識に関するアンケート調査(5年後)
消費動向調査(1年後)
BEI
(3)賃金引上げ率の推移(連合・平均賃金方式)
3.6%
2.4%
0.4%
2.4
4
2.14 2.24
全体平均
2.2
2.0
2
1.74
1.8
0
-2
2.01
1.87
1.86
1.6
BEI
(旧)
-4
2.03
生活意識に関するアンケート調査
消費動向調査
-6
BEI
(新)
(備考)1.内閣府「消費動向調査」、日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」、bloombergにより作成。
2.「消費動向調査」(2人以上の世帯)は、消費税の影響が除かれていない。「生活意識に関するアンケート調査」は、
消費税の影響を含まない。
3.「消費動向調査」は、訪問留置調査から郵送調査への変更などがあったため、数値の不連続が生じている。
破線部(2012年7月~2013年3月)は、郵送調査による試験調査の参考値。
4.BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)はそれぞれの時点で残存期間が最長のもの(BEI(旧)は旧物価連動国債、
BEI(新)は新物価連動国債(残存10年物))を使用。
1.0
2004 05
06
07
08
09
11
10
11
12
13
14
15
16
(備考)1.連合公表資料により作成。
2.2016年は4月29日公表データ。毎年、近い時期の回答集計結果により比較。
(2)原油価格・燃料価格の動向
5
輸入物価「石油・石炭・天然ガス」
(円ベース)
170
中小組合(組合員数300人未満)
1.2
(年)
(2010年=100)
1.60
1.4
4
3
150
(前年比寄与度、%)
雇用者数
要因
(4)総雇用者所得
名目総雇用者所得
(3月+2.8%)
実質総雇用者所得
(3月+3.1%)
2
130
1
ドバイ原油
(ドルベース)
110
90
ドバイ原油
(円ベース)
前月比
2月
輸入物価「石油・石炭
:▲14.8%
・天然ガス」(円ベース)
ドバイ原油(円ベース) :5.3%
ドバイ原油(ドルベース) :8.3%
70
50
0
-1
3月
4月
▲0.6%
-
-3
17.3%
19.3%
6.7%
9.8%
-4
-2
-5
30
1
4
7
12
10
1
4
7
13
10
1
4
7
14
10
1
4
7
15
10
1
4 (月)
16
(備考)1.日経NEEDS、日本銀行「外国為替市況」、「企業物価指数」により作成。
2.ドバイ原油は月間平均値。なお、ドバイ原油の2016年4月の月間平均値は38.7ドル/バレル(円ベースでは4,249円/バレル)。
5月6日時点では、41.6ドル/バレル(円ベースでは、4,466円/バレル)。
(年)
物価
要因
名目賃金
要因
消費税率
引上げ要因
3 (月)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1
2014
15
16
(年)
(備考)1.総務省「労働力調査(基本集計)」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、内閣府「国民経済計算」により作成。
2.消費税率引上げは、物価を2%ポイント押し上げると仮定。
3.破線部分は、2014年4月の消費税率引上げの影響を除く実質総雇用者所得。
3
[参考1]金融資本市場の動向
○マイナス金利政策(以下、措置)導入後、イールドカーブは全般的に低下。
○株式・為替市場は、安定的に推移していたが、足もとでは変動もみられる。
○家計の預金金利をみると、措置導入以降、定期性預金金利、流動性預金金利ともに低下。
○住宅ローン金利は、国債利回りの低下などを背景に、低下。
貸出金利にも低下の動きがみられ、企業の投資が拡大していくことが期待される。
○イールドカーブ
○家計の預金金利
(
(%)
1.2
0.04
1.0
0.02
0.6
2016年2月29日時点
2016年3月31日時点
0.4
0.2
定期性預金金利
0.03
2016年1月28日時点
(マイナス金利導入前日)
0.8
0.019
流動性預金金利
0.01
0.003
0.00
0.0
-0.2
1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4(月)
2012
13
14
15
16 (年)
2016年5月10日時点
-0.4
6M
1Y
2Y
3Y
4Y
5Y
6Y
7Y
(
(%)
8Y
9Y 10Y 15Y 20Y 30Y
(備考)1.Bloombergにより作成。
2.国債利回りのイールドカーブは、6Mは国庫短期証券(6か月物)利回り、その他は各年限の国債利回り。
○株式・為替市場動向
(備考)1.日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」、「定期預金の残高および新規受入高」により作成。
2.流動性預金は、期間の定めがなく、出し入れの自由なもの。普通預金が含まれる。
定期性預金は、一定期間預け入れておくもの。定期預金が含まれる。
3.金融機関が主として個人向けに提示する店頭表示金利で、各月最終週のものを使用。
ただし、ゆうちょ銀行などは対象外。
4.定期性預金金利は、預入期間及び預入金額別に、金利を残高で加重平均した値。
ただし、3月、4月の残高は未公表のため、2月の残高で代替。
○貸出金利・住宅ローン金利
(円)
20000
(円/USD)
4
105
日経平均株価
3
17500
110
(
(%)
フラット35(最高金利)
フラット35(最低金利)
住宅ローン・変動金利
住宅ローン・10年固定金利
2
15000
円高
12500
115
120
ドル円レート
(目盛右)
125
1月
2月
3月
4月
(備考)1.Bloombergにより作成。
2.日経平均株価、ドル円レートについては、日次、終値データを使用。
5月
1.080
0.950
0.860
0.625
1
0
貸出金利・長期プライムレート
1
円安
10000
1.770
4
7 10 1
2012
4
7 10 1
13
4
7 10 1
14
4
7 10 1
15
5 (月)
16 (年)
(備考)1.Bloomberg、住宅金融支援機構資料、日本銀行等により作成。
2.住宅ローン金利は、フラット35は融資率が9割以下で返済期間が21年以上の場合における全金融機関の
融資金利の最低値と最高値、10年固定金利、変動金利は都市銀行5行の最優遇金利の平均。
3.貸出金利は、日本銀行「長期プライムレートの推移」より作成。
4
[参考2-1]春季労使交渉の現状①(賃上げ率・幅)
○連合の集計結果(4月26日)によれば、平均で2.03%、中小組合では1.87%の賃上げ。
○各団体の現時点の調査結果でも、全体として賃上げの流れは継続している。
調査結果(上段:賃上げ率 下段:賃上げ額)
調査主体
全
連
合
体
中小組合
大手組合
経
団
連
日本経済新聞社
2016年
2015年
2014年
2.03%
5,948円
(4月26日)
2.24%
6,670円
2.14%
6,161円
(4月14日)
(4月23日)
1.87%
4,558円
(4月26日)
2.01%
4,928円
1.86%
4,494円
(4月14日)
(4月23日)
2.04%
6,107円
(4月26日)
2.26%
6,838円
2.17%
6,355円
(4月14日)
(4月23日)
2.19%
7,174円
(4月18日)
2.59%
8,502円
2.34%
7,643円
(4月16日)
(4月16日)
2.15%
6,814円
2.43%
2.12%
(4月19日)
(4月28日)
(4月5日)
※連合調査は、傘下労組。経団連調査は、原則として東証一部上場、従業員500人以上の大手企業の一部。日本経済新聞社調査は、上場企業と日本経済新聞社が独自に選んだ有力な非上場
企業が対象。
※2015年、2014年の数値は、2016年連合調査と近い時期の回答集計結果。日付は、連合調査及び日本経済新聞社調査は集計日、経団連調査は公表日。
※中小組合は、組合員数300人未満。大手組合は、組合員数300人以上。
5
[参考2-2]春季労使交渉の現状②(ベア状況)
○政権交代前は、ほとんど行われなかったベースアップが、3年連続、多くの企業で実現する見込みとなっている。
○ベースアップを実施する企業の比率は、昨年よりも上昇するとの調査結果が出ている。
ベースアップ率の推移
ベースアップを実施する企業の比率
日経調査
商工会議所調査
0.5
0.46
賃金引上げ予定企業割合
ベースアップ
実施企業割合
0.4
全産業
うちベースアップ
実施予定企業割合
2013年
9.0%
-
0.31
0.3
-
0.2
2014年
47.1%
-
-
2015年
53.2%
43.8%
20.5%
0.1
2016年
73.9%
44.8%
21.0%
0.0
※日本経済新聞報道、日本商工会議所「早期景気観測」を基に作成。
※日経調査は、すべて1次集計の値。1次集計の回答社数は、おおむね260社。
※商工会議所調査は、2016年3月の調査結果。おおむね3,000社を対象に調査を実施。「賃金引上げ予定企業
割合」とは、3月時点において、次年度に所定内賃金を「引き上げる予定」と回答した企業の割合。ここでいう
賃金引上げには、定期昇給や手当の新設等を含む。「うちベースアップ実施予定企業割合」とは、賃金引上げ
予定企業に占める賃金引上げの内容を「ベースアップ」と回答した企業の割合
※2013年日経調査の比率は第二次安倍政権発足直後の数値。
0.05
0.03
2005
2010
2015
※(出典)厚生労働省・中央労働委員会「賃金事情等総合調査」
6
[参考2-3]春季労使交渉の現状③(中小・非正規)
○連合の集計結果(4月26日)では、昨年に比べ、大規模組合と中小組合の賃上げ幅の規模間格差が縮小し、
非正規労働者については、時給でも、月給でも昨年を上回る賃上げが行われている。
賃上げ率の規模間格差
非正規労働者の賃上げ額
<連合調査2016年3月30日及び毎年同時期>
<連合調査2015年4月14日>
組合規模
賃上げ率
1000人以上
組合との差
1000人以上
2.30%
-
300~999人
2.06%
100~299人
99人未満
【時給】
集計日
組合数
賃上げ額
(参考)
最終集計での
賃上げ額
-0.24
2016年3月30日
128
19.30円
-
2.05%
-0.25
2015年3月31日
152
18.17円
16.78円
1.90%
-0.40
2014年3月31日
129
12.29円
11.28円
2013年3月29日
69
15.37円
10.01円
【月給】
<連合調査2016年4月26日>
集計日
組合数
賃上げ額
(参考)
最終集計での
賃上げ額
組合規模
賃上げ率
1000人以上
組合との差
1000人以上
2.06%
-
2016年3月30日
57
4,454円
-
300~999人
1.96%
‐0.10
2015年3月31日
110
4,237円
4,038円
100~299人
1.89%
‐0.17
2014年3月31日
87
3,191円
2,227円
99人未満
1.80%
-0.26
2013年3月29日
32
2,687円
2,586円
7