2016/04/14 21:26 M6.5 最大震度7 32.7° 130.8° 熊本地震調査結果 2016.5.9 2016/04/16 01:25 M7.3 最大震度7 32.8° 130.8° 神戸大学 都市安全研究センター 工学研究科市民工学専攻 長尾 毅 更新履歴 2016.4.26 熊本地震調査緊急報告会資料を掲載 2016.5.9 アレイ観測結果等を追加 本資料は速報であり,今後の検討により異なった見解が得られ る可能性があることをご承知ください 朝日新聞デジタル 1 2 地震調査研究推進本部 調査範囲 被害調査行程 • 4/15 新神戸⇒博多(新幹線),以下レンタ カーで移動,益城町にて被災調査 • 4/16 熊本市,益城町で被災調査 • 4/17 熊本市,御船町,益城町にて被災調査 神戸新聞社記者が調査に同行 • 4/18 益城町,阿蘇市において被災調査,そ の後博多駅⇒新神戸. • ㈱ニュージェック・伊藤佳洋氏と調査を実施 調査範囲では益城町以外 の被害は比較的少ない 大分道方面では橋梁の被 害等があった模様 3 4 地震計の場所と大被害集中領域 被災調査の観点 • M6.5で最大震度7がなぜ起きたか?震度7 は益城町全体の震度なのか? • 地盤条件と構造物被害の相関調査のため, 常時微動観測を実施 5 6 KMMH16(KiK‐net益城)の地震記録(M7.3) KMMH16(KiK‐net益城)の地震記録(M6.5) 0 500 3 10 20 30 500 地表 (55m) 0 500 40 500 3 1 10 10 20 30 04142126 0 500 3 1.5 10 3 1.5 10 750 500 0 3 1 10 500 3 30 3 1 10 40 20 30 40 Fourier spectrum(Gal*s) 20 10 time(s) 300 NS04142126 EW04142126 0 100 10 0.1 200 1 10 NS04160125 EW04160125 frequency(Hz) 100 200 300 0.1 0.1 acceleration(Gal) 10 3 3 0 500 3 500 0 500 3 0 10 20 1 10 30 20 500 0 10 20 30 time(s) 4 500 0 500 3 1 10 10 20 response acc(Gal) 1 10 3 1 10 100 10 0.1 1 3 1 10 100 10 0.1 10 period(s) 1 10 period(s) KMMH16NS M6.5 KMMH16EW M6.5 JMAKobe NS JMAKobe EW KMMH16NS M7.3 KMMH16EW M7.3 JMAKobe NS JMAKobe EW 30 JRtakatori_EW 500 1 10 500 100 1 10 time(s) 3 1 10 100 10 0.1 10 period(s) 1 10 period(s) KMMH16NS M6.5 KMMH16EW M6.5 JRtakatori NS JRtakatori EW KMMH16NS M7.35 KMMH16EW M7.3 JRtakatori NS JRtakatori EW 10 3 1 10 EW04142126 500 0 500 1 0.1 1 freqquency(Hz) KMMH16 KMM006(熊本) KBU HYG008(生野) 1 10 10 10 20 30 40 NS04142126 EW04142126 10 0.1 EW04160124 500 500 10 20 30 1 • 前震,本震ともに1Hzが卓越.KiK‐ net益城とは特に前震の周波数特 性が異なり,益城町役場の方が明 らかに厳しい揺れであるといえる 10 freqquency(Hz) 11 10 3 1 10 time(s) KMMH16 KOBE-PI HYG022(西宮) HYG008(生野) 1 frequency(Hz) 0 3 1 0.1 100 time(s) 3 1 10 10 10 益城町役場の地震波形 acceleration(Gal) amplification factor 100 加速度応答スペクトル (h=0.05)では前震はJR 鷹取と比較して周期1秒 以上で低め.本震のEW 成分はJR鷹取を周期1 秒では上回る 3 1 10 1 10 100 20 1 10 3 10 0.1 30 4 1 10 acceleration(Gal) amplification factor 20 time(s) 9 site amplification factor 1D amplification 40 0 3 0 1 10 KiK‐net益城やK‐NET熊本のサイト増幅特性は阪神地 域の平野部と同程度の大きな増幅倍率である. 10 30 500 3 freqquency(Hz) 40 EW04160125 3 1 10 1 10 3 4 加速度応答スペクトル (h=0.05)では前震はNS 成分でJMA神戸より若 干低めの周期帯がある が,本震ではJMA神戸と 同程度かそれ以上 30 time(s) 0 1 10 40 KiK‐net益城のサイト増幅特性は1次元増幅倍率(地 震基盤~地表)と比較すると長周期側で倍率が高く, 2Hz以下の構造物の安全性に影響の強い周波数帯で 地震動が大きくなる. 1 0.1 20 3 KMMH16 10 10 30 1.5 10 KiK‐net益城のサイト増幅特性と他地点の比較 100 20 500 time(s) 4 1 10 500 3 10 1 10 EW04160125 3 0 1 10 0 3 1 10 NS04160125 500 time(s) acceleration(Gal) 0 3 response acc(Gal) 500 1 10 40 response acc(Gal) 500 300 3 0 3 1.5 10 JMAKobe_EW 150 1 10 JRtakatori_NS 500 time(s) acceleration(Gal) acceleration(Gal) 1 10 30 0 acceleration(Gal) 04160125 3 10 time(s) 3 300 300 150 10 1 10 NS04160125 acceleration(Gal) acceleration(Gal) acceleration(Gal) 500 10 frequency(Hz) 3 1 10 JMAKobe_NS 0 1 1995兵庫県南部地震の地震記録(JR鷹取)との比較 1995兵庫県南部地震の地震記録(JMA神戸)との比較 1 10 NS04160125 EW04160125 10 0.1 150 frequency(Hz) 7 04142126 frequency(Hz) 1 100 150 acceleration(Gal) 300 300 200 100 0 1 response acc(Gal) 1 100 acceleration(Gal) NS04142126 EW04142126 0.1 0.1 100 acceleration(Gal) 1 200 spectral ratio acceleration(Gal) spectral ratio 300 地中 (‐197m) 10 Fourier spectrum(Gal*s) Fourier spectrum(Gal*s) 地中 (‐197m) 40 Fourier spectrum(Gal*s) 10 10 amplification factor 3 750 1.5 10 04160125 time(s) 1 10 0 acceleration(Gal) EW04160125 3 1 10 1 10 3 1 10 地表 (55m) 0 750 40 3 1.5 10 acceleration(Gal) EW04142126 750 time(s) 3 500 1 10 0 acceleration(Gal) 500 1 10 1.5 10 0 3 1 10 3 1 10 500 time(s) 3 1 10 3 NS04160125 500 acceleration(Gal) acceleration(Gal) acceleration(Gal) 1 10 NS04142126 500 acceleration(Gal) acceleration(Gal) 3 3 1 10 1 10 3 1 10 100 NS04142126 EW04142126 10 0.1 1 10 frequency(Hz) 12 1995兵庫県南部地震の地震記録(JR鷹取)との比較 4 4 1 10 3 1 10 100 10 0.1 1 10 10 3 1 10 100 10 0.1 1 period(s) period(s) MasikiNS M6.5 MasikiEW M6.5 JRtakatori NS JRtakatori EW MasikiNS M7.3 MasikiEW M7.3 JRtakatori NS JRtakatori EW spectral ratio response acc(Gal) response acc(Gal) 1 10 益城町役場とKiK‐net益城の フーリエスペクトル比 10 益城町役場(写真右)/KiK‐net 益城(写真左)は平均的に0.2‐ 1.3Hzの周波数帯で1以上(役 場のほうが揺れが強い)であり, 1Hz程度で2倍弱 • 前震EW成分は周期0.5‐1秒でJR鷹取を上回る • 本震EW成分は周期1‐2秒でJR鷹取をやや上回る (地盤非線形の影響等があり,判 断には慎重を期す必要) 1 0.1 0.1 1 10 frequency(Hz) average NS0414 EW0414 NS0416 EW0416 13 14 被害状況(御船町) 被害状況(熊本市) 15 被害状況(阿蘇市) 16 橋梁の被害状況(益城町)橋脚,橋台,取り付け部 17 18 被害状況(益城町) 大被害住宅の特徴②盛土上の住宅 大被害住宅の特徴①古い住宅 19 20 繰り返し地震作用による住宅被害の進行4/15⇒4/16 大被害住宅の特徴③軟弱地盤上の住宅 21 繰り返し地震作用による住宅被害の進行4/15⇒4/16 22 繰り返し地震作用による住宅被害の進行4/15⇒4/16 23 24 耐震補強にも限界はないだろうか? 常時微動観測ポイント 筋交いの多い住宅, 新築中の住宅も全 壊事例がある 25 26 常時微動H/Vスペクトルの活用方法(AICH04の例,熊本ではありません) H/Vスペクトル 0 常時微動H/Vスペクトル~地震観測点 増幅特性 100 100 10 10 10 300 1 spectral ratio height(m) 200 amplification spectral ratio 100 10 spectral ratio S波速度構造 1 役場西(A04)は2Hz,役場東 (T16)は3Hz.盛土の影響で特 に西側は長周期化していると 考えられる. 1 A04_1 0.1 0.1 1 1 T16 10 0.1 0.1 frequency(Hz) 1 KiK‐net(A16)は3Hz.4/14の 強震記録は2Hzピークで地表 /地中のスペクトル比は3Hz ピークである. 10 frequency(Hz) 400 10 3 410 1 1 10 10 frequency(Hz) microtremor Rayleigh wave Vs(m) 3 10 0.1 0.1 1D_amp site_amp 常時微動H/Vスペクトル,レイリー波H/Vスペクトル,1次元周波数伝達関数,サイ ト増幅特性の全てにおいて0.4~0.5Hz程度にピーク 常時微動H/Vスペクトルの一次ピーク周波数(ピークのうち最も低い周波数)が 地震動の増幅の一次の周波数に対応し,この周波数が低いほど堆積層が厚く, 地盤が軟弱で地震動が増幅しやすい 27 1 A16 0.1 0.1 1 frequency(Hz) Fourier spectrum(Gal*s) 3 210 0 1 frequency(Hz) spectral ratio 0.1 0.1 500 役場の震度計の1Hzは盛土な どの非線形の影響による可能 性がある. 100 NS04142126 EW04142126 10 10 0.1 1 10 frequency(Hz) 28 KMMH16地点の堆積層は厚い(地震基盤は地下ー234m) 10 0 100 amplification factor 41 depth(m) 101 200 常時微動H/Vスペクトルの ピークは概ね地下‐40〜100m 程度の地盤を基盤としたピー クに対応すると考えられる. 1 0.1 0.1 300 0 1 10 frequency(Hz) 3 2 10 -234m -101m -41m -15m Vs(m/s) 100 工学的基盤(支持層)より上の 地盤構造だけでは益城町の 地盤震動特性を理解すること は出来ない spectral ratio spectral ratio 100 10 1 0.1 0.1 1 frequency(Hz) site amplification microtremor H/V Rayleigh H/V 1D amplification KiK‐net公開のS波速度構造に よるレイリー波H/Vスペクトル と常時微動H/Vスペクトルには 不整合があり,地盤構造の精 査が必要か 10 1 10 0.1 0.1 1 10 frequency(Hz) 1D amplification Rayleigh H/V 29 30 常時微動H/Vスペクトル~南北測線(役場東側) 10 10 10 1 spectral ratio 1 spectral ratio 1 spectral ratio 1 常時微動H/Vスペクトル~東西測線(県道沿い) 10 10 spectral ratio spectral ratio spectral ratio 10 1 T09 T18 1 frequency(Hz) T22 0.1 10 0.1 1 1 1 frequency(Hz) 1 frequency(Hz) 10 0.1 0.1 1 0.1 0.1 1 T02 10 0.1 0.1 1 frequency(Hz) 10 frequency(Hz) T09~T07:被害小,T06:被害大,T05~T03:被害中~大, T02:被害大,T01:被害小 T02は橋梁下の河川沿いの集落,崩壊家屋は盛土上に建築 東西方向は南北方向程の顕著な傾向は認めにくい 1 T01 0.1 0.1 1 10 32 frequency(Hz) 僅かな距離でも大きな被害の違い 常時微動H/Vスペクトルにも違いが認められる 10 spectral ratio spectral ratio spectral ratio spectral ratio T03 10 10 1 1 10 常時微動H/Vスペクトル 県道より南の大被害箇所 1 10 frequency(Hz) frequency(Hz) 10 1 frequency(Hz) 10 • 県道28号より北側は概ね2‐3Hz:被害比較的小 • 南側は局所的に1Hz⇒大被害箇所,秋津川付近では2Hz程度⇒被害 中程度(河川沿いに軟弱層が堆積しているという単純な問題ではない) • 被害程度と卓越周波数が対応し,堆積層の厚い地点で被害が大 31 10 1 frequency(Hz) 10 1 T05 T24 T23 0.1 10 0.1 1 T06 0.1 0.1 10 frequency(Hz) 1 0.1 0.1 T21 0.1 0.1 10 1 spectral ratio spectral ratio 1 10 10 10 10 10 0.1 0.1 10 frequency(Hz) 100 spectral ratio spectral ratio 10 1 1 T07 1 frequency(Hz) spectral ratio frequency(Hz) 10 spectral ratio 10 0.1 0.1 T20 0.1 0.1 spectral ratio 1 T17 0.1 0.1 spectral ratio 0.1 0.1 1 1 1 A13_1 T25 T26 10 0.1 0.1 1 1 1 1 0.1 0.1 1 10 1 10 frequency(Hz) 1 1 T15 0.1 0.1 T30 T30 10 10 10 T29 frequency(Hz) 10 frequency(Hz) 10 spectral ratio spectral ratio 10 0.1 0.1 1 frequency(Hz) spectral ratio frequency(Hz) 0.1 0.1 T27 0.1 0.1 10 0.1 0.1 1 10 1 10 frequency(Hz) 10 frequency(Hz) frequency(Hz) 1Hzに鋭いピークがあるか,または1‐2Hzにかけて広い周波数帯で振幅比が高い⇒ 後者は地盤構造の変化する領域で起こりやすい どの地点もピーク周波数が低く,堆積層が厚いかまたは軟弱な地盤が堆積している 地点といえる spectral ratio 1 spectral ratio 0.1 0.1 T33 0.1 0.1 33 もう少し詳しい地盤構造の把握のために:アレイ観測結果の解析 KiK‐net益城 A16‐A17 (以下暫定版) 3 1 10 34 frequency(Hz) 益城町役場(A3‐A4) A16-A17 phase velocity(m/s) 1 10 1 3 100 0.1 1 period(s) KMMH16 7m 14m KiK‐net益城では若干非線形の影響が残っている可能性はあるが, 概ね地震前のS波速度構造による理論位相速度と整合する 位相速度:表面波の伝播速度であり,値が大きいほど固い地盤が堆積していることを示す. 短周期側(図の左側)の値は地表付近の地盤の固さと関連性が高い. 35 益城町役場(西側の盛土部) の位相速度は0.1秒(波長 20m)以上ではKiK‐net益城と 同等以上の値を示す.すなわ ち,原地盤の条件は悪くないが, 盛土により地震動増幅の影響 を受け震度7となった可能性 A3-A4 phase velocity(m/s) 1 10 100 0.01 0.1 1 period(s) KMMH16 7m 14m 36 3 A13-A15 アレイ観測結果の解析(大被害地域)A1‐A2 :アレイ観測結果の解析 (200m程度の距離の2地点) phase velocity(m/s) 1 10 A1-A2 3 100 0.1 phase velocity(m/s) 1 10 1 period(s) 100 0.1 KMMH16 4m 7m 14m 3 A11-A12 10 spectral ratio phase velocity(m/s) 1 10 1 period(s) KMMH16 7m 14m 100 0.1 1 period(s) KMMH16 7m 14m 建物被害の極小のA13‐15と益城町における最大被 害地点極近傍のA11‐12では距離は200mほどしか離 れていないが,位相速度は大きく異なっており,A11‐ 12地点は極めて軟弱な地盤であるといえる. 1 大被害のA01,02地点は,原地盤そのもの は非常に悪いというわけではない⇒盛土の 影響による被害拡大の可能性 A02_K 0.1 0.1 1 10 frequency(Hz) 37 アレイ観測結果の解析(大被害地域)A5‐A6 38 アレイ観測結果の解析(大被害地域)A7‐A8 A5-A6 3 1 10 3 A7-A8 phase velocity(m/s) phase velocity(m/s) 1 10 100 0.01 0.1 1 100 0.1 period(s) 各アレイの結果が不整合であり,更に検討 が必要 1 period(s) KMMH16 7m 14m 0.1秒程度の位相速度は被害小のA13‐ A15地点と同程度だが,0.3秒程度の位 相速度は同地点を下回る⇒地表付近 のS波速度は同程度だが,軟弱層が厚 く堆積している可能性 KMMH16 7m 14m 39 40 アレイ観測結果の解析(最大被害地域)A9‐A10 3 地盤条件と建物被害の関連(暫定) A9-A10 phase velocity(m/s) 1 10 100 0.1 1 period(s) KMMH16 7m 14m 地盤固有周期 長(1秒) 中(0.6秒) 短(0.3秒) 10 spectral ratio 本地点は調査対象範囲における最大 被害地点であり,位相速度,常時微動 H/Vスペクトルより,常時微動計測地点 の中で最も軟弱な地点であるといえる. 建物被害 大 中 小 地盤の固有周期が長いとは堆積層が厚 く,地震動が増幅されやすいことを示す 1 T26 0.1 0.1 1 frequency(Hz) 10 41 42 M6.5の地震による震度7の意味 熊本地震を踏まえた今後の課題 • 地点毎の揺れの強さを反映した耐震性評価,設 計法・基準類の整備の必要性 • 構造物の耐震性に関するシステムとしての議論 の必要性 住宅は地盤の上,基礎の上に建つものであり, 構造体のみで地震に耐えるものではない • M6.5の地震は,まさにどこで起こっても不思議 ではない(M6.5以下の地震は地表に活断層として痕跡が 現れない場合が多く,活断層データから地震の発生を予測す ることは大変難しい「土木構造物共通示方書」) • M6.5の地震でも震度7になる場所は,堆積層 が厚くサイト増幅特性が厳しい場所である 橋梁は構造本体が健全であっても,アプローチ 部で段差が発生すれば橋梁としての機能を発揮 せず,救援活動などに大きな支障が発生する 100 amplification factor amplification factor 100 10 1 0.1 1 freqquency(Hz) KMMH16 KMM006(熊本) KBU HYG008(生野) 43 サイト増幅特性の特徴⇒地点毎に大きく異なる amplification factor 100 1 0.1 1 10 frequency(Hz) HYG008(生野) HYG018(姫路) HYG022(西宮) 野津 厚,長尾 毅:スペクトルインバージョンに基づく全国の港湾等に おけるサイト増幅特性,港湾空港技術研究所資料No.1112,2005 1 0.1 1 10 freqquency(Hz) KMMH16 KOBE-PI HYG022(西宮) HYG008(生野) 44 建屋の耐震性だけを議論することには問題がある 堆積層が薄い: フラット(振幅小) 堆積層が非常に厚い: フラット(振幅大) 堆積層厚が中間: ある周波数にピーク 10 10 10 地点毎の地面の揺れ方を 考慮した設計地震動が設定 されている分野はまだ数少 ない(港湾構造物ぐらい). 今後はサイトごとの特性を 考慮した地震動強度を設定 する方向に基準類を修正し ていくべき • 地盤,基礎,建屋のそれぞれについて耐震性を評価 しなければならない • 軟弱地盤上の住宅の耐震化は,建屋の耐震補強だ けでは十分とは言えない • 地盤については,2000年以降,住宅建設にあたり地 盤調査が義務化された(地耐力に応じた基礎構造選 定や地盤改良などが行われるようになった).それ以 前の住宅は地盤調査の義務無し • ただし,現状の地盤調査結果は地耐力の観点から チェックされ,耐震性の観点からの判定がなされてい ない 45 46 戸建て住宅の地盤調査の問題点 盛土部分を有する戸建て住宅 • 住宅建築は,盛土に換算するとせいぜい70cm程度であり,地耐 力の観点からの判断とは,要するに敷地に70cmくらい土を盛っ ても大丈夫かどうかという判定に過ぎない • 地震時に安全であるかどうかという判断はなされていない ★SWS試験はせいぜい地下10m程度の地盤構造を調査するのみ で,比較的強固な地盤ではその深さに達する前に試験終了 ★地耐力はあくまで地表面部の地盤の固さが基本,耐震性は深い 地盤まで含めた地盤構造で評価しなければならない ★地盤調査で改良不要と判定されるか,または地盤改良必要とな り地盤改良が行われたとしても,地耐力は問題ないかもしれない が,地震時に安心できるとは言い切れない ★地震工学的観点から見た軟弱地盤でも,住宅を支えられる程度 の固さを有することは多い 47 • 傾斜地では盛土をして住宅を建てる場合が多い • たとえ地山が十分に固くても,盛土は軟弱であり, 地震動の増幅が生じる • 盛土部分の地盤改良を行うなどの必要性 盛土部分は 揺れやすい 宅地造成工事規制区域の指定がないか,または1m未 満の盛土高さの場合は擁壁に関する規制がかからな い(耐震性の低い擁壁であっても認められてしまう) 盛土部分の 地盤改良を 行うと安心 48 今後の研究内容 おわりに • 常時微動観測記録の更なる詳細な解析によ り,大被害,中被害,小被害エリアの地盤条 件の把握 • 被災地の一日も早い復興をお祈りします • 常時微動観測記録,余震記録の解析により, 前震,本震などの地震動の推定 • 地盤条件と建物被害の相関分析 49 • 防災科学技術研究所,気象庁の地震記録を用いました.こ こに感謝します. 50
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