特集１ＴＰＰは大きなチャンス付加価値高め世界へ攻め込め！ＴＰＰが発効されると多くの関税が撤廃され、日本の産業に大きな影響を与えることが予想されている。ＴＰＰのメリット・デメリットは何か、それに備えて中小企業はどのような準備をしていくべきなのか。通商政策に詳しいみずほ総合研究所・上席主任研究員の菅原淳一さんに話を聞いた。高度な貿易の自由化が進み輸入品がより安くなる ──まず、ＴＰＰとはどのようなものなのでしょうか。カ国のＧＤＰ菅原　ＴＰＰとは「世紀型メガＦＴＡ」（ＦＴＡ＝自由貿易協定）といえます。参加の合計は世界の約４割を占め、域内人口８億人の市場は一体化が進んでいきます。これまで日本が諸外国と締結してきた貿易協定と異なり、経済規模が非常に大きい。世紀これは日本経済の活性化にとって大きな意味を持ちます。「型」には二つの意味があり、一つは貿易自由化が高水準であること、もう一つはルールが広範囲に及ぶ高度なものであるということです。ＴＰＰにおける日本の関税撤廃率は全品目の％とカ国の中では一番低いのですが、それでも農￥￥￥ 12 化が行われることになります。これにより、高水準な貿易の自由の国々はほぼ１００％撤廃します。までで最高の撤廃率です。その他化しており、日本にとってはこれ奪うことにはなりません。と押し寄せてきて、日本人の職をていないので、急に外国人がどっ働者や移民はＴＰＰでは自由化しとも考えられます。ただし単純労国人と一緒に働く機会が増えるこ菅原　日本経済のあり方という観点からすると、もっと早く合意材の受け入れ、貿易など、できる合、外国からの直接投資や高度人を活性化させていくかを考えた場減少時代を迎え、いかに日本経済や地方政府などが購入やリースに菅原　関税以外にも、サービス貿易や投資、政府調達（政府機関リットは何ですか？ ──日本経済にとってＴＰＰのメすべきでした。少子高齢化・人口長に取り込んでいかなければなり会が増えるかもしれません。逆にが容易になり、海外で勤務する機Ｐ参加国にある海外支社への転勤る会社の景気が良くなるし、ＴＰまた、輸出が増えれば、勤めていかもこれまでより安くなります。菅原農産物や食料品などはさらに多様な輸入品が入ってきて、し影響があるのでしょうか。 ──私たちの生活にはどのようなえたのは上出来だったと思います。交渉参加を決め、２年で交渉を終安倍政権が発足してから数カ月で期合意は必要でした。とはいえ、になる。これは中小企業にとってたようなことが中小企業でも可能り、これまで大企業しかできなかっ外ビジネス展開のハードルが下がるようになります。これにより海内と同じルールでビジネスができルールを知れば、どこの国でも国るため、ＴＰＰとそれに付随する子商取引のルール、国有企業の規では、知的財産権の保護強化や電チャンスが広がります。ルール面てはそれらの国々でのビジネスた。これにより、日本企業にとった国々が市場開放に踏み切りましなど、これまで自由化していなかっ自分の会社に海外子会社の社員が大きなメリットになると思います。制など、カ国共通のものができ来て、同僚や上司になるなど、外ません。そのためにもＴＰＰの早だけ早くアジアの活力を日本の成 chombosan/Shutterstock.com よって行う物品・サービスの調達）各国間のルールが統一化され中小企業にとってメリットも ──昨年月のＴＰＰ大筋合意の今年２月、環太平洋地域の国々による経済連携協定「ＴＰＰ（環太平洋パートナーシップ）協定」に参加カ国が署名し、あとは発効時期を待つばかりとなった。これにより影響が懸念される中小企業、農林水産業だが、発想を変えれば活路は開ける。そこで、農商連携により農水産物の輸出を目指す企業や、地方の中小企業が「攻めの姿勢」に転じてＴＰＰで勝ち抜く方法を探っていく。 BANK 時期についてはどう思いますか？ 10 14 2016.5 2016.5 15 21 12 21 12 12 菅原淳一みずほ総合研究所政策調査部上席主任研究員すがわら・じゅんいち 1994 年一橋大学法学部卒業。1996 年同大学院法学研究科公法・国際関係専攻（国際関係論）修了。富士総合研究所（現みずほ総合研究所）入社、2001 年経済協力開発機構（OECD）日本政府代表部専門調査員、2004 年みずほ総研政策調査部主任研究員を経て、2010 年より現職 TPPは大きなチャンス 95 産物の聖域に一部踏み込んで自由今すぐ対策を講じることが重要付加価値高め世界へ攻め込め！ＴＰＰ発効まであと２年特集１