2016年4月 - 浜銀総合研究所

調 査 速 報
浜銀総合研究所
調査部
産業調査室
2016.5.2
国内新車販売統計(2016年4月)
新車販売は4月も低調:今後は中古車輸出縮小による中古車市況軟化が逆風に
○新車販売(SAAR)は前月比微増の 471 万台:燃費不正問題で需要が軽から登録車へシフト
・5月2日発表の4月の国内新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む)は前年同月比
1.6%増と 16 か月振りにプラスに転じ、季調済年率換算値(X-12-ARIMA にて当社試算、
以下 SAAR)でみた4月の販売台数も前月比 0.7%増の 471 万台となったが、直近の SAAR
は 15 年度実績(494 万台)を下回る水準で、内需の低迷が続いている(図表1)
。
・内訳をみると、4月の乗用車(登録車+軽)販売台数の SAAR は前月比 3.2%増の 402 万
台となった(図表2)
。このうち、登録乗用車は同 17.8%増の 288 万台と大幅に増加した
一方で(図表3)
、軽乗用車の4月の販売台数(SAAR)は前月比 21.5%減の 113 万台と失
速した(図表4)
。三菱自動車による燃費データ不正問題で同社製の軽乗用車の販売が停
止していることが主因となるが、需要が軽乗用車から登録乗用車にシフトするかたちと
なった。
・貨物車
(普通+小型トラック)
販売台数の4月の SAAR は前月比 5.5%減の 40 万台となり、
3か月後方移動平均でみたトレンドは減少基調が続いている(図表5)
。
・後述するが、鉱工業指数をみると、2月にトヨタ自動車が計画減産を行った反動から、3
月の生産は増加した。足元の在庫水準は健全であるが、4月には九州の地震により複数の
完成車メーカーが稼働を停止したこと、三菱自動車の燃費データ不正問題により同社水島
製作所での軽乗用車の生産が停止していること、内需及び輸出の低迷が足かせとなるため、
4月は再び減産となる公算大である。
・中古乗用車の3月の輸出台数
(SAAR)は前月比 2.1%減の 96 万台と2か月連続で減少し、
輸出金額も前年同月比 10.5%減と大幅に落ち込み、中古車輸出市場を取り巻く環境は厳し
さを増している。
・中古車輸出市場の縮小に伴って、国内中古車オークション成約価格の軟化が続いており、
今後は中古車市況の下落が新車需要の足かせとなることに要警戒である。
図表1 4月の国内新車販売 SAAR は前月比 0.7%増の 471 万台:500 万台割れが続き低調
季調済、千台
新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む)
前年同月比、%
100
7,000
80
6,500
16年4月SAAR 471万台
前月比+0.7%
6,000
5,500
60
40
5,000
20
4,500
0
4,000
-20
3,500
3,000
-40
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
-60
-80
2,500
.
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会より作成
1
図表3 登録乗用車販売が大幅増加
図表2 乗用車販売(SAAR)は前月比増加
季調済、千台
6,500
乗用車新車販売台数(登録車+軽)
6,000
前年同月比、%
16年4月SAAR 402万台
前月比+3.2%
5,500
4,500
100
4,000
80
60
5,000
季調済、千台
120
登録乗用車新車販売台数
前年同月比、%
100
80
16年4月SAAR 288万台
前月比+17.8%
3,500
60
3,000
40
4,500
40
4,000
20
2,500
20
3,500
0
2,000
0
3,000
-20
2,500
-40
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
2,000
-60
1,500
1,000
-40
500
-80
1,500
-20
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
-60
.
.
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会より作成
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会及び全国軽自動車協会連合会より作成
図表5 貨物車販売の減少基調に変化なし
図表4 軽乗用車販売は失速
季調済、千台
3,000
軽乗用車販売台数
前年同月比、%
80
2,500
季調済、千台
500
2,000
20
1,000
0
80
400
40
1,500
前年同月比、%
100
450
60
16年4月SAAR 113万台
前月比▲21.5%
貨物車販売台数
350
60
40
16年4月SAAR 40万台
前月比▲5.5%
300
500
0
250
-20
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
20
200
-40
150
.
0
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
-20
-40
.
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 全国軽自動車協会連合会より作成
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会より作成
2
○3月は増産したが、4月は地震と三菱自工の燃費不正問題の影響で再び減産となる公算大
・鉱工業指数(速報値)を見ると、2月にトヨタ自動車が系列部品会社・愛知製鋼の工場爆
発による計画減産を行ったことの反動で、工場稼働が正常化した3月の生産は大幅に増加
したものの、需要の低迷が続いているため在庫も増加した。在庫循環図上では(注)、2月に
続き3月も乗用車生産は「意図せざる在庫減局面」にあり、在庫水準は健全である(図表
6)
。もっとも、依然として同局面にとどまっている乗用車の生産は、4月には九州の地
震により複数の完成車メーカーが稼働を停止したこと、三菱自動車の燃費データ不正問題
により同社水島製作所での軽乗用車の生産が停止していること、内需及び輸出の低迷が足
かせとなるため、4月は再び減産となる公算大である。
・図表7∼9では鉱工業指数から、普通、小型、軽乗用車別の各指数(生産、出荷、在庫)
の推移と在庫循環図を示している。3月の普通乗用車の在庫(季調値)は大きく増加した
が、生産活動は引き続き「意図せざる在庫減局面」にあり、健全な水準にある。
・3月の小型乗用車の在庫も増加した。在庫循環図上は3月も2月に続いて「意図せざる在
庫減局面」となり、同セグメントの在庫水準も健全である。
・普通乗用車と小型乗用車の生産はともに、4月は地震の影響で減少する可能性が高い。小
型乗用車の生産は「在庫積み増し局面」に向かう勢いが弱く、普通乗用車以上に停滞感が
強い状況が続いている。
・軽乗用車の生産は減少したが、依然として「在庫調整局面」にとどまっている。上記サプ
ライヤーの工場爆発により、ダイハツ工業の軽自動車工場でも2月には計画減産が行われ、
3月には正常化したものの、軽自動車メーカー各社が過剰在庫の削減のため生産にブレー
キをかけた。それにより、在庫は5か月ぶりに減少したが、依然として過剰である。4月
に地震の影響で複数の軽自動車生産工場で稼働が停止したことと、三菱自動車の燃費デー
タ不正問題による同社水島製作所での軽乗用車の生産が停止したことから、4月以降の軽
乗用車の生産は更に落ち込む可能性が高い。
(注)新モデルが発売されるタイミングで乗用車の出荷と在庫は大きく振れるため、各月の出荷・在庫(原数値)を3か月後方移動平均で均
してから前年同月比と比較し、それぞれ変化率を X-軸(出荷)と Y-軸(在庫)でプロットしている。
図表6 トヨタ国内工場の稼働正常化で乗用車生産は増加したが、在庫も増加
季調済、2010年平均
140
乗用車の在庫循環図
鉱工業指数の推移:乗用車
80
在庫積み上がり局面
60
︵
︵
在
庫
3
か
月
後
方
移
動
平
均 -80
値
120
100
︶
︶
80
・
前
年
同
月
比
%
60
生産
出荷
在庫
.
40
2011
2012
2013
2014
2015
2010年
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
2016
40
20
在
庫
調
0
整 -60
-40
-20
0
局
2009年1月
面
-20
20
40
60
在
庫
積
み
増 80
し
局
面
-40
直近月
(2016年3月)
-60
意図せざる在庫減局面
-80
出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比%
注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。
出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成
3
図表7 普通乗用車の在庫は大幅に増加
普通乗用車の在庫循環図
鉱工業指数の推移:普通乗用車
20
季調済、2010年平均=100
120
在庫積み上がり局面
︵
在
庫
2011年1月
3
か
月
後
方
在
移
庫
動
調
平
均 -20 整
局
値
100
80
︶
・
前
年
同
月
比
%
60
生産
出荷
在庫
40
0
0
面
直近月
(2016年3月)
意図せざる在庫減局面
.
2011
2012
2013
2014
2015
2010年
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
在
庫
積
み
増 20
し
局
面
2016
-20
出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比%
注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。
出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成
図表8 小型乗用車は引き続き「意図せざる在庫減局面」にあるが、生産動向は停滞
小型乗用車の在庫循環図
100
鉱工業指数の推移:小型乗用車
在庫積み上がり局面
季調済、2010年平均=100
200
︵
︵
在
在
庫
庫
3
3
か
か
月
月
後
後
方
方
移
移
動
動
平
平
均-100
均
値
値
・・
前
前
年
年
同
同
月
月
比
比
%
%
生産
180
出荷
在庫
160
140
︶
︶
120
100
80
60
在
庫
調
整
局
面
在
庫
積
み
増
し
局
面
0
0
100
直近月
(2016年3月)
意図せざる在庫減局面
-100
出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比%
.
40
2010年
2011
2012
2013
2014
2015
注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。
出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成
2016
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
図表9 軽乗用車は「在庫調整局面」が続く
軽乗用車の在庫循環図
鉱工業指数の推移:軽乗用車
100
季調済、2010年平均=100
400
在庫積み上がり局面
在
庫
320
3
か
月
後
方
移
動
平
均-100
値
︵
360
280
240
生産
出荷
在庫
200
︶
160
・
前
年
同
月
比
%
120
80
.
40
2010年
2011
2012
2013
2014
2015
2016
50
在
庫
調
整
局
面
0
-50
0
50
直近月
(2016年3月)
在
庫
積
み
増
し
局
面
100
-50
意図せざる在庫減局面
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
-100
出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比%
4
注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。
出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成
○トヨタ国内工場の稼働正常化影響を除くと、3月新車乗用車輸出は実質的には弱含み推移
・4月 27 日に公表された3月の乗用車輸出台数(軽乗用車と中古車を除く)は SAAR で前
月比 6.1%増(同 23 万台増)の 390 万台と4か月ぶりに増加した(図表 10)
。2月はトヨ
タ自動車の計画減産が輸出大幅減の一因となったが、同社の国内生産が3月に正常化した
ことにより、輸出が反転増加したと考える。主要仕向地別では(図表 11)
、当月は豪州以
外の主要国・地域向けの輸出(SAAR)が押し並べて増加した。
・なお、トヨタ自動車の生産車両が一番多く輸出される愛知県内の主要港(名古屋港及び三
河港)と、同社の中国向け輸出専用港である博多港からの3月の輸出台数(SAAR)は前
月比で大きく増加し、台数にしてそれぞれ同 28 万台、同3万台増加した(図表 12)
。これ
らの港から輸出された台数の増加幅(31 万台)が、日本からの輸出全体の増加幅を上回っ
たことになる。言うなれば、トヨタ自動車の国内工場の正常化の影響を除けば、輸出はむ
しろ減少したとも捉えることができ、海外需要は引き続き弱含みで推移していると判断で
きる。実際、3か月後方移動平均値でみる輸出のトレンドは減少が続いている(図表 10)
。
なお、4月も九州地方での地震により、トヨタ自動車などの完成車工場の生産が一時操業
を停止した影響から、4月の輸出台数は供給制約により再び減少に転じる可能性が高い。
・日本にとって最大の輸出先である米国の新車販売台数(SAAR)は、3月に前月比 5.4%減
少し、3か月後方移動平均値も 12 月以降減少基調が続いており、トレンドとしては頭打
ちしている(図表 13)
。米国の自動車市場が減速しているため、同国向けの輸出がこの先、
一段と切り上がって、輸出の大きな押し上げ要因になると期待するのは難しい状況だ。一
方、4月に日産自動車は九州工場で北米向け SUV「ローグ」の生産を開始した。米国市場
の減速という逆風を、同モデルの生産開始がどれだけ打ち返すかに注目したい。
・米国に次ぐ主要仕向け地である欧州でも、3月の販売台数は前月比 4.0%減少し、3か月
後方移動平均値でみるトレンドは減少に転じた(図表 14)
。欧州地域向けの輸出に関して
も、今後、上向いていくと予想するのは難しい。
・最後に、中国の3月の乗用車小売台数は2か月ぶりに前年同月を上回ったが、流通在庫の
過剰感は依然強いままである(図表 15)
。乗用車の工場出荷台数(生産台数に近い)に目
を向けると、3月の SAAR は前月比 14.5%増と反転増加したが、3か月後方平均値で見る
トレンドは減少基調にある(図表 16)
。需要減退により、流通在庫の過剰感が強まってい
ることから、同国向け輸出台数も今後大きく浮上することは期待できない。
・以上のように、主要自動車市場において、日本からの乗用車輸出に対する下押し要因が存
在するため、4月の輸出は地震の影響で再び減速するであろうが、5月以降も輸出への下
押し圧力が強い状況が続くと予想される。
図表 10 3月の乗用車輸出(SAAR)は反転増
季調済、千台
5,000
新車乗用車輸出台数:全国
前年同月比、%
100
16年3月SAAR 390万台
前月比+6.1%
同+23万台
4,500
80
60
40
4,000
20
3,500
0
-20
3,000
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
2,500
12年 399万台
前年比+8.6%
13年 391万台
前年比▲1.9%
14年 372万台
前年比▲4.8%
-40
-60
-80
15年 387万台
前年比+4.1%
2,000
.
-100
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
5
図表 11 豪州向けを除き主要国・地域向けの輸出は増加
季調済、千台
2,000
米国向け新車乗用車輸出台数
1,500
前年同月比、%
80
40
600
40
500
20
400
0
13年 170万台
前年比+2%
-20
-20 300
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
12年 167万台
前年比+19%
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
700
0
500
前年同月比、%
16年3月SAAR58万台 80
前月比+15.3% 60
60
16年3月SAAR 179万台
前月比+12.3% 20
1,000
EU圏(28か国)向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
800
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
-40
-40 200
14年 151万
前年比▲11%
-60
15年 158万台
前年比+4%
0
100
12年 40万台
前年比▲24%
13年 37万台
前年比▲7%
14年 45万台
前年比+23%
-60
15年 51万台
前年比+12%
-80
0
-80
.
.
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
中東向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
600
500
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
前年同月比、%
80
60
40
400
300
200
16年3月SAAR 37万台
前月比+0.5%
100
12年 36万台
前年比+26%
13年 41万台
前年比+13%
14年 43万台
前年比+5%
0
450
16年3月SAAR 29万台
前月比▲1.8%
60
400
40
350
300
20
0
250
0
-20
200
-20
150
-40
100
-60
50
-80
0
12年 36万台
前年比+19%
13年 33万台
前年比▲10%
14年 29万台
前年比▲10%
-60
15年 31万台
前年比+4%
-80
.
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
中国向け新車乗用車輸出台数
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
前年同月比、%
80
60
16月3月SAAR 22万台
前月比+22.2%
300
250
ASEAN向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
前年同月比、%
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
120
16年3月SAAR 8万台 80
100
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
前月比+30.1%
60
40
40
20
80
200
0
60
150
-20
40
20
0
-20
-40
-40
100
50
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
前年同月比、%
80
.
季調済、千台
400
350
豪州向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
500
20
-40
15年 50万台
前年比+15%
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
12年 17万台
前年比▲12%
13年 18万台
前年比+3%
14年 22万台
前年比+22%
-60
15年 17万台
前年比▲21%
20
13年 5.2万台
前年比▲30%
14年 5.0万台
前年比▲5%
-60
15年 5.7万台
前年比+16%
0
-80
0
12年 7.4万台
前年比×1.3
-80
.
.
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
6
図表 12 トヨタ自動車国内工場の稼働正常化で主要港からの輸出が拡大
新車乗用車輸出台数:名古屋港・三河港
前年同月比、%
120
16年3月SAAR 181万台
前月比+18.6%
100
同+28万台
季調済、千台
2,500
2,000
1,500
新車乗用車輸出台数:博多港
季調済、千台
180
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
160
前年同月比、%
120
16年3月SAAR 12万台
前月比+23.1%
同+3万台
100
80
140
60
120
60
100
40
80
20
60
0
40
-20
-60
20
-40
-80
0
40
20
80
0
1,000
-20
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
500
-40
0
.
-60
.
.
11
2010年
12
13
14
15
16
11
2010年
12
13
14
15
16
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」のデータを基に作成。
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」のデータを基に作成。
図表 13 米国新車販売は減少基調
図表 14 欧州乗用車市場には頭打ち感あり
米国新車販売台数
季調済、百万台
19
季調済、百万台
前年同月比、%
40
18
30
17
20
16
10
15
0
16年3月SAAR 1,707万台
前月比▲5.4%
-20
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
-40
13
12
11
10
9
14
20
12
10
10
0
8
-30
-10
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
6
-50
-60
4
.
季調済、百万台
前年同月比、%
50
70
40
65
30
60
20
55
10
50
0
45
-10
40
26
24
22
20
18
16
14
12
10
8
6
-20
35
VIA:在庫早期警戒指数(左軸)
-30
30
乗用車小売台数前年同月比(右軸)
-40
25
-50
14
15
10
11
12
13
14
15
16
前年同月比、%
中国乗用車販売台数
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
2013年
1,793万台
前年比+16%
16年3月SAAR 2,182万台
前月比+14.5%
2014年
1,970万台
前年比+10%
11
12
13
14
15
16
2010年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: 工場出荷ベース。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 中国汽車工業協会(CAAM)のデータより作成
16
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: 乗用車小売台数は微型バン(軽自動車バン)を除く。
注3: VIAは50を下回る場合がディーラーでの在庫水準が適正、50を上回る場合が在庫過多。
出所: 中国汽車流通協会(CADA)、全国乗用車市場信息連席会(CPCA)データより浜銀総合研究所作成
7
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
2015年
2,111万台
前年比+7%
.
.
2013年
09
2008年
図表 16 減税による販売押し上げ効果は収束
75
.
-30
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 欧州自動車工業会(ACEA)のデータより作成
図表 15 中国の乗用車流通在庫は依然過剰
中国:在庫早期警戒指数(VIA)と乗用車小売台数の推移
-20
.
09
10
11
12
13
14
15
16
2007年 08
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: Autodata、Bloombergのデータより作成
VIA指数
前年同月比、%
16年3月SAAR 1,387万台
30
前月比▲4.0%
16
-10
14
EU27か国乗用車新車登録台数
.
○3月の中古乗用車輸出台数(SAAR)は2か月連続の減少
・国内流通業者に注目されている中古乗用車の輸出市場に目を向けると、3月の中古車輸出
台数は前年同月比 6.0%減となり、SAAR も前月比 2.1%減の 96 万台と2か月連続で減少
した(図表 17)
。同月の中古乗用車の輸出金額も前年同月比 10.5%減と大幅に減少し、中
古車輸出市場を取り巻く環境は厳しさを増している(図表 18)
。
・3月の中古乗用車輸出台数を主要仕向地別で見ると、アフリカ向け及び同地域向けの中継
地であるアラブ首長国連邦向けの輸出減少が、大きく足を引っ張った(図表 19)
。
・中古車流通業者の間で高成長市場として注目されてきたスリランカ向けの3月の輸出台
数(SAAR)は前月比 26%減の 1.9 万台と、前年同月の4割の水準にまで落ち込んでいる
(図表 20)
。昨年 10 月以降に相次いだ、関税率引き上げを含む政策変更によるマイナス方
向の影響が需要を冷え込ませている。通貨安の是正や関税引き下げ等の外部環境要因の改
善がみられるまでは、同国向け輸出市場は引き続き休戦状態を余儀なくされよう。
・2015 年に仕向け地別輸出金額で1位となったスリランカに代わり、16 年の主役に躍り出
ようとしているシンガポール向けの3月の輸出台数(SAAR)は前月比 31.2%減の 2.7 万
台と4か月ぶりに減少した(図表 21)
。14 年後半から同国向け中古車輸出が拡大している
のは、同国にて自動車所有権証(COE: Certificate of Entitlement)の発行数が増加しており、
自動車の買い替え需要が盛り上がっていることが背景にあるが(注)、中古車流通業者等への
取材情報によると、シンガポール当局の処理能力が限界に達しているために、新車・中古
車登録待ちの車両が港湾に滞留しているもようである。これにより、日本からの中古車の
船積みが遅れていることが、3月の輸出が減速した背景にある。COE 発行数は引き続き高
水準であることから、買い替え需要そのものは減退していないため、3月の輸出台数の減
少は懸念材料にはならないと考える。
(注)COE の詳細及び買い替え需要発生との関係性は、下記リンク先の「国内新車販売統計(2016 年2月)
」ページ 10∼11 を参照のこと。
https://www.yokohama-ri.co.jp/html/report/pdf/shinsha1602.pdf
図表 17 3月中古乗用車輸出台数(SAAR)は2か月連続の減少
中古乗用車輸出台数の推移
季調済、万台
140
120
前年同月比、%
80
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
16年3月 SAAR 96万台
前月比▲2.1%
60
100
40
80
20
60
0
40
-20
20
11年 70.0万台
前年比+4.1%
12年 83.1万台
前年比+18.7%
13年 94.8万台 14年 106.0万台
前年比+14.1% 前年比+11.8%
-40
15年 102.2万台
前年比▲3.2%
0
-60
.
2011年
12
13
14
15
.
16
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
8
図表 18 3月の輸出金額は前年同月比 10.5%減と大幅に減少
中古乗用車輸出金額の推移
億円
前年同月比、%
80
800
輸出金額
前年同月比(右軸)
16年3月548億円
前年同月比▲10.5%
700
60
600
40
500
20
400
0
300
-20
-40
200
11年 3,529億円 12年 3,933億円
前年比+2.2% 前年比+11.4%
15年 6,614億円
前年比+10.0%
13年 4,959億円 14年 6,013億円
前年比+26.1% 前年比+21.2%
-60
100
.
2011年
12
13
14
.
15
16
注:
赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
出所: 財務省「貿易統計」より浜銀総合研究所が作成
図表 19 アフリカ向けと同地域向け中継地である UAE 向け輸出減少が足を引っ張った
仕向地別中古乗用車輸出台数の推移
季調済、万台
ロシア(16年3月SAAR 2.8万台)
ニュージーランド(11.7万台)
25
ミャンマー(9.4万台)
アラブ首長国連邦(9.7万台)
チリ(5.4万台)
アフリカ南部・東部6か国(13.7万台)
スリランカ(1.9万台)
シンガポール(2.7万台)
バングラデシュ(2.8万台)
20
15
10
5
0
.
2011年
12
13
14
.
15
16
注:
アフリカ南部3か国:南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、東部3か国:ケニア、タンザニア、ウガンダ。
注:
SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
図表 21 シンガポール向けも減少
図表 20 スリランカ向けは低迷続く
季調済、千台
80
70
スリランカ向け中古乗用車輸出台数とFOB平均価格の推移
シンガポール向け中古乗用車輸出台数とFOB平均価格の推移
千円/台
季調済、千台
16年3月 SAAR 1.9万台 3,000 80
前月比▲26.0%
FOB平均価格(右軸)
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
2,500
60
FOB平均価格(右軸)
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
3,500
16年3月 SAAR 2.7万台
前月比▲31.2%
60
3,000
2,000
50
2,500
50
12年 0.7万台
前年比▲74.1%
40
1,500 40
30
1,000
20
10
70
千円/台
4,000
30
20
500
11年 2.7万台
前年比+20.3%
0
.
12
13
14
15
11年 1,403台
12年 996台
前年比▲1.1% 前年比▲29.0%
13年 1,186台
前年比+19.1%
1,500
1,000
14年 2,857台
前年比1.4倍
500
10
15年 5.2万台
13年 1.7万台
14年 3.2万台
前年比×1.4% 前年比+90.5% 前年比+62.1%
0
2011年
2,000
15年 14,885台
前年比4.2倍
0
0
.
.
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
12
13
14
15
.
16
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
9
○中古車輸出市場の縮小により中古車市況が軟化:今後は新車販売の足かせ要因となる
・中古車輸出市場の縮小が、国内中古車市況の悪化に繋がっている。国内で発生する中古車
の取引が行われるオートオークション(AA)市場では、ここ数年間、国内新車需要低迷に
伴う下取り車両の減少と、円安を背景とした中古車輸出需要の拡大により、成約価格の上
昇が続いていた。しかし、昨年8月に中国人民元が切り下げられて以降、新興国通貨安の
進行とそれに伴う中古車輸出市場の縮小が続く中で、AA 市場では成約価格(=中古車市
況)の軟化に歯止めがかからない状況に陥っている。
・図表 22 では、AA 市場で取引される中古車の需要・供給曲線を用いて、足元の AA 市況軟
化のメカニズムを説明する。新車販売の低迷により下取り車両の発生量が減少しているが
(供給減少=成約価格の押し上げ要因)
、中古車輸出市場の縮小を背景とした中古車需要
の減少と(需要減少=成約価格の下押し要因)、新古車を主体とした高価格な高年式中古
車の受け皿となったスリランカ向け輸出が失速したことにより(成約価格下押し要因)
、
AA 市場での成約価格が軟化しているのである。
・図表 23 は国内 AA 市場全体の8∼9割の取引データをカバーする、
オークション相場情報
誌ユーストカー(総合版)に掲載されている全国平均成約価格を時系列で示している。成
約価格の前年同月比の動きをみると、昨年8月から下落基調が加速し、16 年1月には前年
割れにまで落ち込んだ。
・この成約価格の下落トレンドが加速し始めた時期は、中古車輸出市場の縮小が始まった時
期と重なっている。従って、中古車輸出市場の縮小が、足元の中古車市況の軟化に大きく
寄与していると考えることができる。中古車価格の下落は、下取り価格を引き下げる要因
となることから、保有車両の新車への乗り換え時の購入負担額(=新車価格-下取り価格)
が増えるため、新車販売には逆風となるのである。
・最近、取材先の多くの中古車流通業者から耳にするのは、4月に入ってから円高が一段と
進行していることに伴って、中古車輸出の荷動きが日を追うごとに悪くなっているという
話である。中古車市況が今後も更に下落し、新車販売への逆風がより一層強まる可能性が
高くなっていることに要警戒である。
図表 22 中古車輸出市場の縮小に伴うオートオークション市場での市況軟化のメカニズム
オートオークション(AA)市場における需要・供給曲線
成約価格
D1
D0(需要=国内向け+輸出)
S1
S0(供給=出品台数)
①
②
D2
③
Eq1
P0
P3
AA市況軟化
Eq0
Eq2
Eq3
足元のAA市況軟化のメカニズム
① 中古車供給減:新車販売低迷⇒下取車両減少⇒中古車流通量減少
② 中古車需要減:新興国通貨安と資源安に伴う海外需要減退
③ 平均単価下落:スリランカ向け高年式車(主として新古車)の輸出減少
成約台数
減少
Q3
成約台数
Q0
出所:浜銀総合研究所
10
図表 23 AA 市場の成約価格は軟化基調が続き、1月はついに前年割れ
オートオークション(AA)市場における成約価格の推移
千円
%
700
15
成約価格(左軸)
前年比(右軸)
600
10
500
5
400
0
300
-5
1月
2013 2014
年
年
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
2015年
12
1
2
3
2016年
出所:ユーストカー総合版のデータを基に浜銀総合研究所が作成
担当:調査部
産業調査室 深尾三四郎
Tel: 045-225-2375
Email: [email protected]
本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が
信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。
11