問題解決学習を 45 分で終わらせたい 大阪成蹊大学 橋本隆公 「問題解決学習を 45 分で終わらせたい。」という相談をよくされます。まず、この相談の 答えを3つのパターンに分けて考えたいと思います。 パターン①・・・そもそも、問題解決学習になじまない学習内容なのに問題解決の流れで 授業を進めるパターンです。例えは、低学年では、既習事項が少なく、自力で問題を解決 できることが難しく、算数的活動を通して教えるべき学習内容なのに、子どもに気づかせ たり、考えさせたりするがために、時間切れになるパターンです。また、図形やグラフの かき方を確実に身につけさせる時間なのに、子どもに自由に考えさせたり、多様なかき方 を学び合わせたりすることで、時間切れになるパターンです。ただし、問題解決ではなく ても、子ども主体の学びにする工夫は必要です。 パターン②・・・問題解決の流れで軽重のかけ方に無理があるパターンです。まず、問題 解決の流れを次のように整理します。①問題 ②気づき ③めあて ④見通し ⑤自力解 決 ⑥グループ活動 ⑦集団解決 ⑧まとめ ⑨練習問題 ⑩学習感想 その上で、 「①問 題」で、ICT を駆使しすぎたり、紙芝居など興味関心を喚起する仕掛けが重かったりして いませんか。ここで時間をかけて盛り上げすぎると、授業の本質の部分で時間に追われた り、あの盛り上がりとは真逆の静けさに見舞われたりします。「③めあて」で、漠然とした ねらいにすると、見通しが広がりすぎます。例えば、「三角形の仲間分けを考えよう」なら ば、上向き三角形も、小さい三角形も、何でもありになります。やはり、 「辺の長さに着目 して・・・」を入れたいところです。「④見通し」でも、同じようなことが言えます。例え ば、L 字形の面積の求め方を考える授業で、 「1㎝四方の正方形で考える」 「2つ合わせてガ ッシャンコ」 「3 つの長方形に分ける」という見通しを許してしまえば、時間がかかります し、それも含めた学び合いをすればそれだけ時間もかかってしまいます。ただし、机間指 導で、個別的に円満削除する丁寧さが大事です。 パターン③・・・問題解決の一部を省略できるパターンです。例えば、筆算では、凝った 問題場面は必要ありませんし、見通しも定番の筆算以外はありえません。あっさり 30 分以 内で済ませて、練習問題へ進みたいです。また、45 分で 2 大問題の場合もあります。その 場合も、ほとんどが見通しは決まり切っているなど、省略できる要素があるはずですし、2 つ目の問題は、1 つ目の問題と関係が強いので、簡単に問題解決ができるはずです。 私は、問題解決学習は万能ではなく、見極めが必要と思います。そして、問題解決学習 で行けると決めた際に、問題のスリム化・めあての焦点化・見通しの系統化を図ることを 考えています。次回は、効果的な学び合いについてです。
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