ノ ー ト 15.2 抗 が ん 性 環 状 エ ン ジ イ ン 抗 生 物 質 環状エンジイン構造をもつ抗生物質のなかに抗腫瘍性をもつものがある.その例と してカリチェアミシンとケダルシジンがある(次に示す構造にキャリヤータンパク質 が結合している).これらは反応性が高く,DNA と反応してがん細胞の増殖を抑える. i-PrO OH O MeO Cl 糖 O OH O O O O N O HN NMe2 NH OMe OH MeSSS O O OMe カリチェアミシン (calicheamicin) HO OH O O O ケダルシジン(発色団) (kedarcidin) これらの薬剤が活性を示すときの環状エンジイン部の反応は興味深いものである. 分子の他の部分の立体配座が変化して,二つの三重結合が近づくと転位してジラジカ ル( p−ベンザインともよばれる)になり,DNA 鎖の水素原子を引抜く(ラジカル反応 については 20 章参照).その結果, DNA の二重らせん構造を壊し複製を阻害する. DNAから2H 引抜き 環状エンジイン
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