平成 28 年 4 月 第 12 号 はじめに、合併症の有無・空腹時血糖の値を基に、医師から通常負荷 ・中等度負荷・軽度負荷の指示が出ます。入院当日に活動量計を貸出し、 入院中の患者様の 1 日の活動量(運動量・歩数・総消費 kcal・距離)を評価します。 活動量計 運動強度 糖尿病腎症 糖尿病網膜症 自律神経障害 運動内容 通常負荷 腎症 1 期(eGFR30 以上)かつ 網膜症なし なし 筋力増強訓練 (正常アルブミン尿 30 未満) ストレッチ 単純網膜症 腎症 2 期(eGFR30 以上)かつ ウォーキング (微量アルブミン尿 30~299) 中等度負荷 当院の糖尿病勉強会チームには医師・病棟看護師・外来看護師・薬剤師・管理栄養士・臨床検 査技師・理学療法士(PT)で患者様をサポートしております。 昨年8月より糖尿病の教育入院パスが開始しました。教育入院での対象となった症例は 6 症例 軽度負荷 腎症 3 期(eGFR30 以上)かつ 増殖前網膜症 ウォーキング 又は(持続性蛋白尿 0.5 以上) (日常生活範囲) 腎症 4 期(eGFR30 未満) 増殖網膜症 運動禁 リハビリテーション室では PT が教育入院で入院してこられた患者様に対し医師の指示の下で あり ストレッチ ADL 維持レベル の運動のみ 調節、インスリン導入です。その他にも『初めて糖尿病と診断された人』、『自己管理方法がわか らない人』も教育入院の対象者となります。 ストレッチ (顕性アルブミン尿 300 以上) 腎症 5 期透析療法中 で HbA1c 6.2~10.9%と様々です。主な教育入院の目的は血糖コントロールやインスリン量の再 なし 空腹時血糖 250mg/dl 以上で尿ケトン(+) 空腹時血糖 300mg/dl 個別性を持って運動量を評価し、運動療法を提供しています。 糖尿病特有のリスクに関してパンフレットなどを用いて理解を深め、自己にて管理ができるよう指導 教育入院 1 週間パス 概要 します。また個人にあった運動の種類・負荷量(運動強度)を定め、継続できる運動指導をします。アメ リカ糖尿病学会では最大酸素摂取量の 50~74%の中等度での負荷設定が推奨されており、それが Borg コメディカル PT(リハビリ) 火 入院 服薬指導 パンフレット配布・活動量計貸出 水 ターゲス・フットケア パンフレットの不明箇所を確認・補足。自主訓練指導 木 栄養指導 自主訓練 金 scale の(楽である[11]~ややきつい[13])に相当します。PT 初回介入時のウォーキング評価にて Borg 1 回目 6 例行い、20 分の歩行を目標としていますが、20 分歩行可能なケースは 2 例のみでした。その理由と 指導内容の確認と運動強度に対して負荷量の調節 土 DVD(糖尿病セミナー) 自主訓練 日 DVD(糖尿病セミナー) 自主訓練 scale と脈拍の相関から運動量を決定します。 2 回目 して、介入時の血糖値が極端に低血糖・高血糖であり、介入困難。または合併症で負荷が決まりますが、 介入時の血糖値が不良で指示通りの運動困難で説明等でしか介入できないことがありました。他に、歩 行時に既往の膝・腰の疼痛増強するケース。認知面の低下により自主訓練を一人で実施できないケース 月 火 退院 があります。以上のことから、パス通り運動療法が行えないケースが数例ありました。 3 回目 活動量計から入院中の活動量レポートを作成 服薬指導 ※詳細はパス参照 活動量レポートを配布、食後の運動の有無を確認・運動 介入前に血糖値を確認し、介入直前に低血糖・高血糖なら通常負荷であっても医師に指示を確認して が習慣となっているかを確認。退院後も継続できるよう います。20 分歩行困難な場合は途中休憩を入れたり、杖などの歩行補助具を使用しています。認知面の 指導 低下などの自主訓練が行えない場合は家族などの他者から促すよう指導しています。 糖尿病パスは始まって 8 ヶ月となりますが、上記課題も多く、今後の方針も含めてチームで話し合っ 空き時間に『DM とは?』 『合併症に ついて』 『低血糖について』『災害時の 対応』 『シックデイ』等の説明指導 活動量レポート 一例 てマニュアルの修正・パス内外に対応できるよう見直し、退院後も運動継続できるように取り組んで いきたいと思います。
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