JICA海外長期研修体験談(イギリス・シェフィールド) 2015 年 9 月からイギリス・シェフィールドで研修中 豊嶋絵美 応募のきっかけとキャリアについて 中学生のころ、体育の先生が現職参加で青年海外協力隊に参加され、帰国後に話を伺ったのが 国際協力に興味をもった第一歩でした。日本で数年間の社会人経験を積んだのちに参加した青年 海外協力隊では、インドネシアに環境教育隊員として派遣され学校やコミュニティ巡回をしながら、 地域の方々に環境保全の大切さを伝えていました。活動中盤頃から、国際協力を自分の一生の仕 事にしたいと考えるようになりました。が、それと同時に自身の知識不足を実感することも多い日々 でした。また、国際協力に関わる多くのポストで修士号を条件にしていることも多く、そのため、帰国 後は修士課程で勉強したのちに、国際協力のキャリアを歩んでいこうと考えはじめました。国際協 力と一言でいっても、様々な選択肢がある中、インドネシアで関わった何人もの専門家の方々との 交流の中、JICA の専門家として働く、というキャリアに大きな魅力も感じていました。そんな折、海 外長期研修の募集を知り、自身が専門としたい分野での募集があることが分かったので応募しまし た。 現在学んでいることについて 私 が 所 属 し て い る コ ー ス は 環 境 変 化 と 国 際 開 発 学 (MSc Environmental Change and International Development)と呼ばれるもので、途上国における環境政策や気候変動・環境問題を 学んでいます。他の大学の開発学コースと同様、コアと呼ばれる講義以外は自由選択となっており、 自身の興味に合わせて講義が選択できます。そのため、同コース内でも学んでいる内容がそれぞ れに少しずつ異なるのが特徴です。 講義は70人規模の大きなものから10名程度のセミナーまで様々で、秋学期は開発学の基礎知 識・気候変動・リーサーチ手法・GIS(地理情報システム)などの講義を受講していました。 GIS 以外 はセミナー(グループディスカッション)やプレゼンテーションの組み合わせで授業が展開されていた ため、事前のリーディングに追われることも多く、またクラスの半数以上が英語圏出身(英国出身は 40%くらい)という構成であったためディスカッションになかなかついていくこともできず、もともとの英 語力がそこまで高くはなかった私は、自身の英語力の低さに気落ちすることも多い日々でした。そ れでも、様々なバックグラウンドを持つクラスメートや先生たちとディスカッションを重ねていくうちに だんだんと英語コンプレックスが解消されていったように思われます。完璧には程遠いですが、伝え たいという一生懸命な気持ちが大切なのだという、協力隊時代に培った根性が役に立っていると思 っています。 春学期は秋より専門的な授業が増え、環境政策・気候変動対策の授業を受講しています。内容 としては現在行われている自然環境保全や気候変動対策を社会科学的な側面と自然科学の両方 から検討するための目線の持ち方を学ぶ日々です。両方とも課題として政策提言が入っており、実 際の開発の現場で議論されている事例を、政策という側面から考えることも多いです。 また、シェフィールドの開発学コースのひとつの特徴であるフィールドトリップも春学期に実施され ました。今年度はインド・タンザニア・ケニアの中から選択で、私はインドでの都市環境問題・特に廃 棄物マネージメントとウェストピッカーの方々の関わりについての調査を行いました。たった10日間 という短い期間でしたが、秋学期に学んだ調査手法の実践を行えたこと、また今まであまり関わり がなかったコースメートと共に毎日調査できたことで絆が深まったこと等、非常に印象深いフィール ドトリップでした。 ちょうど研修期間の半分が過ぎ、現在は春学期の授業、課題、そして修士論文の準備に終われ ています。修士論文に関しては、チューターやスーパーバイザーとのミーティングを繰り返しながら、 調査手法や対象について検討を行っているところです。修士論文では地域住民の経済力向上と事 前環境保全を両立させる方法として、コミュニティベースでのエコツーリズムのあり方について、ウガ ンダで2ヶ月弱、調査を行う予定です。 (課題は色々な文献を参考にしながら仕上げていくため、 作成時は机の上が少々荒れることも多いです。) 専門性について シェフィールド大学の開発学で課される課題はある程度自由度が高く、生徒それぞれの興味に合 わせてテーマを選べることが多いです。そのため、私自身は森林・自然環境政策に関して、コミュニ ティとプロジェクトの関わり方を中心としてテーマを選ぶことが多く、それぞれのバックグラウンドから 現在の風潮、問題点等を検討することで、一方向からだけでは見えない森林・自然環境保全に関す る課題を考える機会となっています。 GIS は今まで扱ったことがなく、授業でも先生を困惑させてしまうほどの不思議なミスを繰り返し、 非常に苦労をしました。クリスマス休暇も、他の生徒たちが旅行に行くのを羨ましく思いながら、1月 1日から図書館にこもってデータ収集・地図作成・分析を行った日々も今となっては良い思い出です。 この授業を通して、GIS を単なる地図作成として捉えるのではなく、情報を地図化して分析する技術 も身につけることができたのは自身の中では大きな成長でした。 毎日の生活について 他の学校もそうかもしれませんが、私の通うコースは週に4〜6コマの授業しかありません。その 分、事前の予習として出されるリーディング課題が多く、また現在は修士論文のプロポーサル作成、 エッセイや政策提言作成等の課題もそれぞれの授業から課されているため、リーディングに追われ る日々です。朝起きてから、授業以外は基本的に自室か、もしくは図書館で勉強をすることが多い です。できるだけ12時までには家に帰って寝るように心がけていますが、時には夜中まで図書館に いることも多いです。幸いなことに自宅の近くに大学の図書館がいくつもあり、24時間開館している ので勉強をする環境には恵まれていると思われます。 (集中したいため、一人で勉強することが多いですが、 図書館でコースメートと共に課題に取り込むこともあります。 いろんなバックグラウンドの友人たちから様々な意見を聞くことができるのは、 友人と一緒に勉強するメリットです。) 留学生活の醍醐味は異文化交流、なのかもしれませんが、課題に追われることが多い毎日なの で、自宅・クラス以外での異文化交流はほとんどできていませんが、国際色豊かなクラスメートやフ ラットメートに囲まれて生活しているので、学校や家での生活で異文化交流を楽しむことは多いです。 また、図書館でクラスメートたちと共に勉強することもあります。日本人に出会うことが少ないこちら の生活ですのであまり日本語を使う機会もなく、英語コンプレックスも少しずつ解消されてきたかな、 と感じることは多々あります。 余談ではありますが、渡英前はあまり良い評判を聞かなかったイギリスの食事ですが、スーパー に行けば様々な食材が揃い、作ろうと思えば何でも作れるので、料理が良い息抜きとなっています。 おかげで体重が増加傾向にあるのが最近の悩みであるため、なんとか空き時間をみつけジョギン グ等の軽いエクササイズを継続的に行っていこうと考える日々です。 以上
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