桜の花も目につき、やっと春らしくなってきました。皆さんいかがお過ごし

担当
糖尿病看護認定看護師 福島綾子
桜の花も目につき、やっと春らしくなってきました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今回は皆さんが聞いたことはあるけれど、実際はどの程度影響があるか知らない薬剤による
耐糖能異常の影響についてお伝えします。
最も高頻度に起こるのが副腎皮質ホルモンです。
化学療法やパルス療法などにより大量の糖質ステロイドを使用した場合、使用時に高血糖を来し、糖尿病の患者
など耐糖能異常を以前から認める患者については悪化を来しやすいと言われています。しかし、副腎ステロイドの
種類によってもその影響は大きく違います。
副腎皮質ホルモン製剤の種類と特徴(糖尿病コンサルテーションブックより抜粋)
ステロイド
血中半減期
(時間)
時間)
生物学的半減期(
生物学的半減期(時間)
時間)
糖質コルチコイド
糖質コルチコイド
作用
等価投与量
(mg)
)
コルチゾン
(水溶性ハイドロコートン)
1.2~1.5
8~12
0.8
25
ヒドロコルチゾン
(サクシゾン)
1.2~1.5
8~12
1
20
プレドニゾロン
2.5~3.3
12(18)~36
3.5~4
5
メチルプレドニゾロン
(ソルメドロール)
2.8~3.3
12(18)~36
5
4
デキサメタゾン(デカドロン)
3.5~5.0
36~54(72)
25~30
0.5~0.75
ベタメキサゾン(リンデロン)
3.5~5.0
36~54(72)
25~30
0.5~
治療はインスリン投与が基本となります。血糖値をモニタリングし、血糖上昇に合わせたスライディングスケールを
用いることが多いです。化学療法などで繰り返し行う場合は、前回の血糖変動を参考にインスリンの増量を行いま
す。ただし、化学療法に伴う食欲不振などを考慮し、食事量が定まらない名合は食後打ちも検討します。
また、下記に書かれている薬剤も耐糖能悪化をきたす可能性がありますが、原疾患の治療に気を取られ高血糖の発見
や対処が遅れることがあるので注意が必要です。
耐糖能低下をきたす薬剤(糖尿病コンサルテーションブックより一部抜粋)
インスリン
分泌
低下
インスリン
抵抗性
増大
その他
利尿剤
サイアザイド利尿剤、ループ利尿剤
抗痙攣薬
フェニトイン
抗癌剤
L-アスパラキナーゼ(ロイナーゼ)
免疫抑制剤
シクロスポエチン、タクロリムスなど(抵抗性増大もあり)
Β遮断薬
プロプラノロール(インデラル)、ビンドロール(カルビスケン)、テノーミン(アテノロール)
ステロイドホルモン
上記表参照
インターフェロン
スミフェロン、キャンフェロンA、イントロンA、フエロン
抗ウイルス剤
リバビリン
ホルモン剤
エストロゲン、プロゲステロン、アドレナリン作動薬、成長ホルモン、グルカゴン
LH-RHアゴニスト
酢酸リュープロレニン(リュープリン)、ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス)
抗精神薬
オランザピン(ジプレキサ)、フマル酸クエチアビン(セロクエル)、リスペリドン(リスパダー
ル)、ペロスピロン(ルーラン) 糖尿病患者・既往のある患者には禁忌または慎重投与
抗結核薬
リファンピシン
その他
シスプラチン、ドキソルビシン塩酸塩、パクリタキサルなど報告、添付文書に記載あり