「児童の主体的な学び合いをめざす算数学習」

「児童の主体的な学び合いをめざす算数学習」
姫路市立安室小学校
教諭
1
生田
浩隆
取組の内容・方法
(1)はじめに
私は,播磨西教育事務所教科等指導員として,あるいは姫路市小学校算数教育研究
会幹事長として多くの算数の授業を見せていただいている。ここ数年,算数科の授業
に大きな変化が見られるようになってきた。
「言語活動の充実」が,算数科の授業にも
強く反映されるようになってきた。すなわち,「ペアやグループによる説明する活動」
がどの授業にも取り入れられるようになってきたのである。
「教師の説明する声が多く
聞こえる授業」から「児童の声が多く聞こえる授業」への転換は,望ましいことであ
ると私は感じている。
ただ,その変化が形式的なものになっては意味がない。ペアで話をすればよいので
はない。なぜペアによる話し合いが必要なのか,その話し合いが何を生み出すのか,
児童は話したいと思っているのか等が考慮された活動にならなければならないと感じ
ている。
(2)安室小学校での取組
以上の論点を踏まえ,私が勤務する姫路市立安室小学校では,
「伝え合い 認め合い
高め合う授業の創造」をテーマに算数科の授業研究に取り組んでいる。平成 25 年度よ
りは,神戸大学
岡部恭幸准教授の指導を受け,児童が主体的に学びを交流する中で
高め合う授業づくりをめざしている。
以下,その取組の中から実践例を挙げて報告する。
実践例①5年「小数÷小数」
○この実践では,学習活動1がポイントである。まず,新しい計算の仕方を考える際に
困ったことを交流させ,問題意識と解決の見通しの共有を図った。
○自力解決後の交流は,教師の意図する今後に生きる考えを取り上げ,交流させること
で,除数・被除数ともに 10 倍する方法に焦点化し,どんな場合でもその考えが使え
るかを学習活動3以下で検証していった。
この授業は,25年度最初の研究授業であった。今後の方向性を決める授業であるので,
授業研究後に本校の参加者全員が,自分の算数授業の改善点を考え記述した。以下がそれ
をまとめたものである。
○しっかりした教材研究、教科書研究が大前提。
○発表させることは目的ではない。
○授業の流れについて
つかむ
・思考を絞り込む。
・活動を絞り込む。
・導入はシンプルにする。
・ハードルを下げる。
見通す
・答えの見当づけをさせる。
・解決の見通しを持たせる。
自力解決
・全員が解決できなければと考えない。
・時間をかけすぎない。
集団解決
・子どもの考えを取り上げ、俯瞰させ、子どもたちの考えの共有と交流
を図る。ここで子どもどうしの高め合いを図る。
・発表しない児童も参加できる授業を作りたい。
・違った考えがあることを知り、考えを広げる。
・それぞれの考え方のよいところに気づく。認める。受け入れる。
・それぞれの考えの共通点を知る。
・自分の考えを見直し、追加や修正を行う。
・図、式、言葉を使い説明力を高めていく。
・想像説明、リレー説明によって考えを共有させる。
・特別支援学級の子どもには動作的な表現による説明ができるように努
力してみる。
やってみる
・説明する活動を全員にさせたいときは、ここで全員にさせよう。
活用する
・共同注視(椅子を寄せ合う・真ん中にノートを置く・指さしながら)
による説明をさせる。
・聞いただけではわからない。やってみることでわかる。自分でやって、
「わかった」と思わせる。
・一般化を図る。
・もっとやってみたいと思わせるような活動を展開する。
ふり返る
・結論だけをふり返らず、過程(考え方)を含めてふり返られるように
する。
※前半で全員に解決させよう、分からせようとせず、集団解決での高まり、後半での高
まりを図る。
※子どものつぶやきが拾えるようにする。
※説明力は、説明をしなければ身につかない。
○その他
・数や量をイメージしやすくするために、低学年の間に百玉そろばん等に多く触れさせ、
動かさせておきたい。
・特別支援学級では、簡単な問題をくりかえし、自分でやって分かったという実感を持
たせたい。具体物の操作を繰り返したい。
実践例②5年「面積」
本実践のポイントは,後半の活動である。学習活動3で,まず,自分でかいた三角形が
中央線×高さで求積できると各自が調べる。次に,教室内を自由に移動し,他の児童のワ
ークシートを見て回る。
児童それぞれが調べた三角形が違うので,他の児童の三角形はどうだろうと児童の問い
が生まれる。すなわち交流する必然性が生まれるのである。そして,いろんな三角形で中
央線×高さで求積できることが共有され,一般化が図れるのである。
2
取組の成果
まだまだ研究途中ではあるが,授業の流れは固まりつつある。
(1)問題解決型の授業を基本としつつ,前半の活動(解決1)と後半の活動(解決2)
を設定する。
(2)解決①では,児童が自力解決し,自分の立場を明らかにする場面と考える。
(3)解決①での交流では,本質に迫るものにしぼって意図的に指名する。
(4)解決②では,解決①でやったことを使ってもう一度考える。自分なりの問題になる
ように活動を工夫する。
(5)1 時間の授業全体で,問題解決(課題解決)すると考える。
3
課題及び今後の取組の方向
はじめに述べたように,形式的な話し合い・形式的な流れに陥らないように授業づく
りを進めていくことが,私並びに安室小学校の算数科における授業づくりの課題である。
児童が主体的に学ぼうとする,学び合おうとする授業づくりをさらに進める必要があ
る。そのためには,教師の問いが児童の問いになるように,常に児童はどんな問いをし
ながら学習しているのかを考えて授業づくりをする必要がある。
今,「見通しを持つ,ふり返る活動」が算数の学力向上のキーワードとして浮上して
きた。「学習のめあてを書く」「授業のふり返りを書く」といった活動を授業に位置づけ
ればよいと形式的に考えがちだが,それで児童の学力が向上するとは思えない。
やはり,児童が主体的に学ぶということを忘れてはいけないと思う。児童が自分の学
習を「見通し,ふり返る力」をつけることが必要であるということだろう。学習の主体
が児童であることをぬきに考えてはならないのである。
今後,児童が「やりたい」と思うめあての設定,「やれそうだ」と思える見通しの交
流,「やれたかな」と自分の学習の成果を問うふり返り等の活動が今後の授業づくりに
必要になると思われる。