拡大読書器指導マニュアル

拡大読書器指導マニュアル
拡大ロービジョンリハビリテーション研究班
2011 年版
目
次
このマニュアルについて
1
Ⅰ.指導の前に
2
Ⅱ.拡大読書器(据え置き型)指導マニュアル
3
1.拡大読書器の紹介
3
2.使い方の指導
3
3.使用のポイント(使用上の注意事項)の伝達
6
4.周辺環境についての指導事項
7
Ⅲ.参考:使用者の見え方や操作状況の評価
付録(様式集)
9
11
このマニュアルについて
このマニュアルは、ロービジョン者に拡大読書器(据え置き型)の使い方を指導する際に
重要な指導ポイントをまとめたものです。
■マニュアル作成の背景
このマニュアルは、「拡大ロービジョンリハビリテーションの効果に関する研究(略称:
ELVR 研究 [Enhanced low vision rehabilitation study])」に伴って作成されました。指導経験を
有する視能訓練士数名からなるマニュアル作成委員会が案を作り、研究メンバー全体(眼科
医、視能訓練士、リハビリテーション医、研究者)協議し、さらに実施後に修正を加えて改
訂されました。※ELVR 研究:文部科学省研究助成(基盤研究(B)19300198)、2006 年 4 月~2008 年 8 月
■マニュアルの特徴
1.指導の前に
指導を始める前に、把握しておきたい視機能について記載しました。
2.5 つのステップ
操作法の重要ポイントが 5 つのステップに分けて記述されています。
3.具体的な記述
拡大読書器指導の初心者でも説明しやすいように、話し言葉で記述しました。特に重要
な点は、オレンジ色の字で強調しました。
4.周辺環境についての指導事項
ELVR 研究では、利用者が実際に生活場面で拡大読書器を使用する場所を訪問して指導
を行いました。現場での指導経験から、周辺環境の指導が重要であることがわかりました。
外来場面では自宅の様子がわからず限界はありますが、使用する環境の聞き取りをしなが
ら指導するためのポイントが記述されています。
■マニュアルの使い方
・ このマニュアルは、眼科で、眼科医や視能訓練士が指導に携わることを前提として作成さ
れましたが、眼科以外でも、様々な場面で応用できる可能性があると考えていますので、
大いにご活用ください。使っていただくことによってさらに改良を加えていきたいと思い
ますので、お気づきの点をお知らせいただければ幸いです(連絡先は裏表紙)。
・ 標準的な指導手順は以下の通りです。
1)視機能についての情報を把握します(p2「Ⅰ.指導の前に」を参照)。
2)Ⅱ.拡大読書器指導マニュアル(p3~8)に従い指導を行います。
・ このマニュアルでは、研究班で指導効果を把握するために使用した評価方法とそのツール
を掲載しました(p9~15「Ⅲ.参考:使用者の見え方や操作状況の評価」)。ここには、
指導の前に把握しておくことが望まれる対象者の視機能や、訓練の成果を判定してその後
の指導に生かすための評価ポイントを記述しました。これらの評価は指導に必須の事項で
はありませんが、より詳しく評価したい場合に参考にしてください。
1
Ⅰ.指導の前に
指導を始める前に、拡大読書器を使用する方の眼の機能に関する以下の事項について把握
しておくことが必要です。
※ わからない場合は、担当の眼科医や視能訓練士にお尋ねください。
※ 眼科において使用する際にさらに詳しく視機能を把握したい場合は、「Ⅲ.参考」の資料
を参照ください。
1) 視力はどのくらいですか?
2) 眼鏡は持っていますか?
その眼鏡はどの距離にあっていますか?
※拡大読書器は概ね30㎝で使用するため、近用眼鏡が合っていることが前提となります。
3) 視野の状態はどうですか?
真ん中は見えていますか?
見えにくい場合、どの方向を見ると真ん中が見やすくなりますか?
4) 拡大読書器を使ってしたいことは何ですか?
2
Ⅱ.拡大読書器(据え置き型)指導マニュアル
(見本:タイムズコーポレーション AV-100CP バージョン)
1.拡大読書器の紹介
「これは拡大読書器と言って、見たいものを台の上に載せると、
上にあるモニターに大きく拡大して映る機械です。」
(台に新聞を置いて)「例として新聞を拡大してみますね」
拡大率を高くすると識別できるという印象や安心感をもってもらうことを目的として、基
本的に指導者が操作して見せる。導入時の読み材料は、図や写真の入ったものは避け、単純
な番組表などを選ぶ方がわかりやすい。しかし、写真など本人が見たいものがあればそれを
用い、見える喜びや見たい意欲を感じてもらえるようにする。
2.使い方の指導
以下のステップでは実際に触れ操作してもらうが、基本的には最初に指導者が操作を行い、
次にロービジョン者の手に指導者の手を添えて、最後にロービジョン者自身に操作してもら
う。
ステップ 1
スイッチ・つまみの操作について
1)スイッチの場所
「このボタンを押すと電源が入ります。」
2)拡大ツマミ操作
「赤い大きいツマミを右に回すと字が大きくなります。反対に左に回すと字が小さくなり
ます。」
3)カラーモードの選択
「今、白地に黒で字が映っていますが、
左にある青い大きいツマミを押してみ
てください。黒地に白に変わりましたね。
まぶしさがある場合は黒字に白の方が
見えやすい場合がありますが、どちらの
赤字/白背景は
見にくい
方が見やすいですか?」
反転すると
見やすい
(新聞のカラー写真の部分を映して)「もう一回ツマミを押してみてください、今度はカ
ラーに変わりましたね。このカラーモードを使用するとご家族の写真や雑誌の写真を見た
りすることができます。このように3種類のモードが選べます。」
3
※指導の途中でもカラーモードを変えて比較してみる
4)コントラスト(明るさ)調整
(新聞の活字を映して)
「また、さきほどの青い大きいツマミを右に回してみてください。画面が白くなりました
ね。今度はツマミを左に回してみてください。画面が暗くなりましたね。このツマミを回
してコントラスト(明るさ)を調整できます。」
ステップ2
テーブル操作、読み材料を置く位置について
5)可動テーブルの説明
★重要
「この見たいものを載せる台ですが、2段構造になっていて、上のテーブルは左右に、下
のテーブルは前後に動きます。上の左右に動くテーブルには横に、下の前後に動くテーブ
ルには前にネジがついています。このネジを締めると、縦方向と横方向のどちらかが動き
やすくなります。新聞は縦書きなので、横のネジを、押さないと動かない程度に締めます。
縦は自由に動く程度に緩めておきます。(横書きの文章の場合は逆になります)」
※ 縦、横の行をスムーズに読むためにはテーブルを動かすことを指導する。テーブルで
なく新聞自体を手で動かすと、画面の映像がぶれて眼精疲労の原因となる。
6)読み材料を置く位置
「読み材料はテーブルの右手前か左手前に置いてください。
(きちんと置けているか指で確認してもらうと良い) 縦書き
の場合、まず読み材料の紙の右端が画面に表示されるところま
で動かし、紙の端が表示されたら、行の初めを確認します。そ
れからテーブルを縦に動かして行の初めが画面に映し出され
るようにします。ポインタと書かれたボタンを押すと、どこが
映っているかライトで表示されます。」
ステップ3
読み物は、テーブ
ルの手前に置く
読み方のコツについて
7)読み方のコツの紹介
★重要
「では、一度文章を読んでみたいと思いますが、その前に読み方のコツがあるのでご紹介
します。
普通、字を読むときは目を動かして読もうとしますが、拡大読書器を使って読む場合、視
線は固定して、字の方を流し込んで読みます。(電光掲示板のニュースを思い浮かべてみ
てください、ああいう感じです)この点が普段と大きく異なります。
文章を目で追おうとすると、目も手元も動くので、二重の揺れが生じ、船酔いの様な状態
になってしまい、眼精疲労の原因になってしまいます。そうならないためにコツをつかむ
ことが大切です。」
4
(視野検査や偏心視の評価結果から患者さんの見やすいと予測される位置を確認する)
「今、画面の中で一番見やすいところはどこですか(中央、上、下、右、左、斜め)?
視線はそこで固定していてください。今、新聞の行の一番初めの文字が映っていますね。
次に下から字が送られてきましたが次々読んでみてください。」
(実際に音読してもらって読めているか確認する。)
「はい、では一行読めて最後の字になりました。そうしたら、そのままテーブルをすっと
上へ戻します。すると最初に読んだ文字のところに戻りました。戻ったところで、初めて
次の行の一番初めの文字に視線を移します。この繰り返しで、行を読み進んでいきます」
「では、画面にある行をすべて読んだので、次の行を何行か映したいと思います。テーブ
ルを横方向に動かし次の行を映し出します。(さきほど横方向にテーブルを動かすネジを
軽く締めたので、少し力を入れて動かすと横へスライドします。)このようにして文章を
読んでいきます。(横書きの場合は、今やってみた操作と縦横逆に動かして、読みます。)」
8)通帳を見る
「今、新聞を読んでみました。新聞だったら人に読んでもらっても差し支えないですが、
通帳の残高などは人に見られたくない方が多いです。(通帳を映して)このように残高が
調べられます。」
ステップ4
書き方について(希望者のみ)
9)書き方の説明
「今、新聞、通帳と読んでみましたが、この機械は読むだけではなく、書くことにも使え
ます。」
「(郵便局の振込用紙を映して)今、郵便局の振込用紙が映っています。こういった用紙
は薄い色で枠が書いてあるので、コントラストが悪く見にくいことが多いです。カラーの
場合も見にくいので、白地に黒または黒地に白に変えるとコントラストがはっきりして見
やすくなります。さらに先ほどのコントラストのツマミを調
整すると、このように枠をくっきりと映し出すことができま
す。(金額を書き込む枠を拡大して)金額を書き込む枠が大
きく写っています。今、ペンが映りました。このように枠が
見えて、ペン先が見えると(いくつか数字を書き込む)少し
練習はいりますが字を書き込むことができます。同じように
してハガキや手紙を書くことができます。」
「大きい赤いツマミ(筆記モードボタン)を押すと、文字を
書く時、紙にピントを固定することができます。カギマーク
の書かれたボタンを押すと、誤操作を防止するため、一時的
にズームや画像モードを固定することができます。」
※ ペン先がどこにあるのか発見しにくいときは、カメラ部
の下でワイパーのようにペンを大きく振ると、画面上に出てくる。
5
※ ペンの影が出て見づらい場合は、機械下面に左右のライトが2つあるので、一方のライ
トを消すと影が消える。ペンはやや寝かして持つのもコツである。
ステップ5
読みや書き以外の指導について
10)いろいろなものが拡大できることの紹介
「今、読む、書くということをしました。この機械の名前は拡大読書器となっていますが、
読書に限らず、テーブルに載せれば、何でも拡大して使うことができます。例えば食品を
載せて賞味期限をチェックしたり、爪きりをしたり、編み物をしたり、など、いろいろな
ことに使えます。」
※その人の見たいもの、したいことに合わせて指導を行う。
食品のパッケージ
爪切り
3.使用のポイント(使用上の注意事項)の伝達
訓練後に患者が自分で拡大読書器の使用のポイントを再確認できるよう、下記の 5 点の
ポイントが記載されたシート(「拡大読書器使用のポイント」:シート 1[p8])を渡す。
指導を行った際に特に必要と判断された項目にはチェックをつけて渡す。
① 視線を固定し、文字を追わない
② 用紙を動かさずにテーブルを動かす
③ 見るものに合わせて、
倍率・コントラスト・表示モードを調整する
④ 文章がつながらない時は、始めに戻る
⑤ 長時間の使用は避け、無理せず使う
6
4.周辺環境についての指導事項
下記の項目について聞き取りながら、指導を行う。
(参考:周辺環境チェックシート:様式 3[p14])
1) 設置場所
・直射日光や熱源、湿気の多い場所に置いていないか
・障害になるものを周りに置いていないか
・壁に可動テーブルが当たっていないか
・可動テーブルのレールにゴミが溜まっていないか
テーブルの周りに
物を置いている
2) 機器の不具合
・配線は間違っていないか
・モニターは劣化していないか
・可動テーブルのネジは故障していないか
3) 画面の位置
・ 無理な姿勢で使用していないか
(安定した椅子を使用すると良い)
・ モニターとの距離は適当か
標準的な視距離は概ね 30cm であ
る(視機能の状態によって前後す
る場合がある)
・ 視機能の状態に応じて画面の位
置を調整できているか
高すぎる
低すぎる
右が適当
左が適当
画面が高すぎる
視野によっては
画面を左/右にずらすことも
(視野の状態にもよるが、原則として画面の位置が使う眼の高さになるようにする。モニターを
支えているアームを用いて画面の位置を調整し、必要な場合は机や椅子の高さを調整す
る。)
4) 画面の反射
・周囲の照明の反射が画面に映りこんでいないか
5) 室内の明るさ
・ 部屋の照明は、モニターを見るのに適切
な明るさになっているか
・ 眩しい場合は、カーテンやブラインドを使
用しているか
・ 眩しい場合は、遮光眼鏡やモニター用の
フィルターを使用しているか
背景がまぶしく
画面が暗い
7
カーテンやブラインド
を使用
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シート1
拡大読書器使用のポイント
1.視線は動かさないようにしましょう
視線とテーブルの両方を動かすと船酔いのような状態になります
モニター上の1ヶ所を見て、目は動かさずに、テーブルを動かして文字
を流し込みましょう
(
)方向を見てください
2.紙を動かさずに、テーブルを動かし、ネジの使い方に注意しましょう
横書きのものは横のネジを締めて、縦書きのものは前のネジを締めて
テーブルを一定のスピードで動かして使いましょう
3.見る対象によってつまみ(倍率、コントラスト、カラーモード)を調整しま
しょう
読むものにより調整が必要ですので、こまめに左右にまわしてみましょう
4.文章がつながらなくなったら、冒頭に戻り確認しましょう
5.長時間の使用は避け、無理のない使い方をしましょう
6.わからない事はいつでも連絡して問い合わせて下さい
連絡先
7.その他
例) 使う眼鏡
モニターと目の距離
8
Ⅲ.参考:使用者の見え方や操作状況の評価
拡大読書器の指導にあたっては、使用者の見え方の特徴や拡大読書器の操作状況を評価・
把握し、より使用者にあった指導を行うことが望まれます。ここでは、ELVR 研究で使われた
評価の方法について紹介しますので、評価・把握を行う際の参考にしてください。
1.使用者の見え方の評価(諸検査記録シート:様式1[p12])
指導に当たっては、視力や屈折、視野検査などの視機能検査データが大変重要であり、そ
れを元に、拡大率や偏心視の評価を行う必要があります。ELVR 研究では、疾患(診断名)、
遠見視力、最大視認力、日常矯正手段による遠見視力、屈折矯正、近見偏心視域、眼振の有
無、視野、ニーズを評価しました。
※近見の偏心視の判定(アムスラーチャート使用)
偏心視の評価は、中心暗点のある人が対象とな
偏心視評価の例(アムスラーチャート使用)
ります。さまざまな評価方法がありますが、ELVR
Q:真ん中の白い点が見えるか
研究ではアムスラーチャートを用い、以下の基準
見える
で 3 段階評価を行いました。
1. よくできている:アムスラーチャートの真ん
Q:視線を動かして白い
点が見つけられるか
中の白い点が見える
2. まあまあ:視線を動かして白い点を見つけら
れる
3. できていない:白い点が見つけられない
見えない
よくできている
見つけられる
見つけられない
まあまあ
できていない
視野検査や眼底所見を参考にして、判定を行います。
※ニーズの確認
使用者のニーズに沿って指導を行うため、指導を開始する前にニーズを確認することが
重要です。ELVR 研究では、「新聞を読みたい」「手紙を書きたい」など具体的なニーズを
聴取し、その強さを 4 段階(大変強い~弱い)で評価しました。
2.操作習熟度と作業能率の評価(指導時チェックリスト:様式 2 [p13])
ELVR 研究では、指導の前後に操作習熟度と作業能率の評価を行いました。作業能率の評価
は、テーブル操作速度、読書速度、書き速度、目の疲れ、などを評価しました。
1)拡大読書器操作の習熟度
8 つの項目(拡大ツマミ操作、表示モード選択、コントラスト調整、可動テーブルねじ
固定、一定スピード操作、視線の固定、画面映し出し、書くこと)を 4 段階で評価します。
できていないと判定された項目に重点を置いて指導を行います。
1. よくできている:スムーズにできている
2. まあまあ:少し間違うができる
3. あまりできていない:かなり間違いながらやっとできる
9
4. できていない:試行錯誤して偶然できる、または、ほとんどできない、必要なスイッ
チに触らない
2)文字拡大率
すでに拡大読書器を使用している人は、適切でない文字サイズで見ていることがありま
す。以下に、視力から適切な文字サイズを求める方法を示します。見やすい大きさは個々
に異なるので、算出された拡大率やサイズを目安として、その人に合った大きさを検討し
ていきます。
<計算式>(視距離を 25cm とした場合)
必要倍率 = 読み材料を読むのに必要な視力 / ロービジョン者の視力
画面上の文字サイズ(mm)=
活字サイズ
×
例)新聞を見るための拡大率と文字サイズ
ロービジョン者の視力=0.1、
新聞を読むために必要な視力=0.5、
新聞の文字サイズ=約 3 ㎜の場合
画面上の文字サイズ = 3×(0.5 / 0.1) = 15
・ 使用する視距離が 25cm よりも近い場合には
文字サイズを小さく、遠い場合には文字サイ
ズを大きくして調整し、個々に最適な文字サ
イズをみつけるようにします。
必要倍率
視距離 25cm で見るのに適した文字の大きさ
換算表
視力
必要倍率
画面上の文字サイズ
0.2
7.5 mm
2.5 倍
0.1
15.0
mm
5.0 倍
0.09
16.7
mm
5.6 倍
0.08
18.8
mm
6.3 倍
0.07
21.4 mm
7.1 倍
0.06
25.0 mm
8.3 倍
0.05
30.0 mm
10.0 倍
0.04
37.5 mm
12.5 倍
0.03
50.0 mm
16.7 倍
0.02
75.0 mm
25.0 倍
0.01
150.0 mm
50.0 倍
3)作業能率の評価(テーブル操作速度、読み速度、書き速度、目の疲労度)
テーブル操作速度の評価は、スタートからゴールまでの矢印を追っていくのに要する時
間を測定します(読み導入シート:様式4[p15])*。
読み速度の評価は、小学 4 年程度の読み材料(慶応大学中野泰志らの資料:様式 5[p16])
を用いて読み上げにかかる時間を測定し、1 分間あたりの文字数を算出します。
書き速度の評価は、11 字からなる一文を書く時間を測定します(書き導入シート:様式
6[p17]) *。
眼の疲労度は、0=まったく疲れない、10=疲れてとても使えない、として、10 段階のど
の位置にあてはまるかを聴取します。
*:視覚障害情報機器アクセスサポート協会「CCTV-視覚障害者用拡大読書器」1999 より引用
10
付録(様式集)
様式1:諸検査記録シート
様式2:指導時チェックリスト
様式3:周辺環境チェックシート
様式4:読み導入シート
様式5:読み材料
様式6:書き導入シート
11
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様式1
諸検査記録シート
記入日(
右眼
年
1.黄斑変性
2.網膜色素変性
3.緑内障
5.高度近視
6.角膜疾患
7.視神経疾患
8.その他(
診断名
左眼
月
日)
4.糖尿病網膜症
)
1.黄斑変性
2.網膜色素変性
3.緑内障
5.高度近視
6.角膜疾患
7.視神経疾患
8.その他(
4.糖尿病網膜症
)
その他の
既往眼疾患
RV=
(
X
D cyl
D A
)
LV=
(
X
D cyl
D A
)
遠見視力
最大視認力
右眼: max
日常矯正手段
による
遠見視力
1.なし
近見矯正
(CCTV を使う
距離での眼鏡)
偏心視近見
(アムスラーチャート)*
眼
振
/
cm
左眼: max
2.眼鏡(
/
cm
)
RV=(
)
1.適正(等価球面値で±1.0D 以内)
LV=(
)
2.ある程度適正(±2.0D 以内)
3.あまり適正ではない(±3.0D 以上) 4.適正ではない(±4.0D 以上)
1. よくできている
1.
あり
2. まあまあ
2.
3. できていない
なし
*:評価基準はマニュアル9ページ参照
ニーズの
確認
日常生活の中で何
に困っているか。
何がしたいか。
ニーズの強さ
1. 大変強い
2. まあまあ強い
その他
特記事項
12
3. やや弱い
4. 弱い
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様式2
指導時チェックリスト
家族の
同席
CCTV 機種名
CCTV 納品か
およそ(
ら
)日
使用頻度
あり(
なし
(
)
)日/週、1 日あたり約(
訓練前
訓練後
ほとんど
できていない
あまり
できていない
まあまあ
よく
できている
ほとんど
できていない
あまり
できていない
(判定基準は本文 7~8 ページ参照)
まあまあ
よく
できている
拡大読書器操作の習熟度
)時間
1) 拡大ツマミ操作は使えているか
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
2) 表示モードの選択は使えているか
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
3) コントラスト(明るさ)調整は使えてい
るか
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
4) 可動テーブルのネジを使って縦方向
と横方向に動かすことができているか
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
5) 可動テーブルは一定のスピードで動
かせているか
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
6) 字を追わずに、視線は見やすい位置
で固定できているか
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
7) 読みたいところを画面に映し出すこと
ができているか
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
8) 書くことは上手くできているか
(書きたいニーズのある患者のみ)
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
1 ・・・ 2 ・・・ 3 ・・・ 4
訓練前
文字
画面サイズ(
)cm
拡大率
活字サイズ(
)cm
×
訓練後
25cm
作業距離(
)cm
読み導入シート:スタート~ゴール
読書速度
(
)文字/1分
※句読点も 1 文字
書き速度
(ニーズのあ
る人のみ)
眼の疲れ
書きシート
(
)cm
(
)cm
(
)秒
読み材料(
(
1 文(11 文字)の書き速度
)分
(
)秒
10 段階評価(0=全く疲れない~10 疲れてと
ても使えない)→ (
)点
(
(
(
×
25cm
(
)cm
)秒
)文字/1分
)分(
)点
※慣れないうちは長時間の使用は避け、ゆっくり休憩をとりながら使用するようアドバイスすること
13
)秒
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様式3
周辺環境チェックシート
以下の項目を聞き取り、指導、アドバイスを行う。
No
チェック項目
具体的な事項
□直射日光や熱源、湿気の多い場所に置いていないか
1
設置場所
□障害になるものを周りに置いていないか
□壁に可動テーブルが当たっていないか
□可動テーブルのレールにゴミが溜まっていないか
□配線は間違っていないか
2
機器の不具合
□テレビモニターは劣化していないか
□可動テーブルのネジは故障していないか
□無理な姿勢で使用していないか
(安定した椅子を使用すると良い)
3
画面の位置
□モニターとの距離は適当か
(標準的な視距離は概ね 30cm である)
□視機能の状態に応じて画面の位置を調整できているか
高すぎる
低すぎる
右が適当
左が適当
(画面の位置が使う眼の高さになるよう、高さの調整できる椅子を用意すると良い)
4
5
画面の反射
室内の明るさ
□周囲の照明の反射が画面に映りこんでいないか
□部屋の照明はモニターを見やすい明るさになっているか
□眩しい場合はカーテンやブラインドを使用しているか
□眩しい場合は遮光眼鏡やモニター用のフィルターを使用しているか
14
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様式4
読み導入シート
テーブルの操作
次の→を順にたどってください。
スタート
←
↓
↓
↓
→
←
↓
↓
↓
→
←
↓
↓
↓
→
←
↓
↓
↓
→
→
→
→
→
→
→
→
←
←
←
←
←
←
←
←
→
→
→
→
→
→
→
→
←
←
←
←
←
←
←
←
→
→
→
→
→
→
→
→
←
←
←
←
←
←
←
←
→
→
→
→
→
→
→
→
←
←
←
←
←
←
←
→
→
→
→
→
→
ゴール
15
←
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
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様式5
太郎は、なぜ、すがたを見せないのかね。いくらさがしても、本当の太郎は見つかり
ません。こうして、ひとばんじゅう、においをかぎ回っているわけにもいかないぞ。
ようち園の先生がそう言うと、子どもたちはしぶしぶ、クロヒョウのおりの前からは
なれていきます。好きでいるわけでもないなどと、よくそんなことが言えたもんじゃ。
あわててぼうしをふり回しました。これは参った。空の雲が夕やけ色にそまるころ、
つえをついてさんぽに来たのは、おじいさん。たしかに、もっと塩が必要だ。どうか、
いつでも、好きなだけ、チーズを食べてください。長くのびたいすのかげが、お化け
の足になりました。太郎に、ごほうびをやりたいのだがね。パリに着くと、太郎は、
ほかの仲間からはなれて、まっしぐらに、にぎやかな町の真ん中に行きました。ぼう
しをつまみ上げたとたん、ふわっと何かが飛び出しました。楽しい山の小学校でした。
ひみつは、いつまでたっても、ひみつのままでした。だって、こいつは、ぼくがりっ
ぱにはたらいてかせいだ物なんだからな。そのときです。その学校のわたしの組に、
太郎というたいへんないたずらっ子がいました。だから、トッコとおままごとやおは
じきばかりしてはいられないのです。それから、おべんとうを食べました。トッコは、
きゅっとくちびるをかみしめて、ゆれるつり橋を見ました。緑がゆれているやなぎの
下に、かわいい白いぼうしが、ちょこんと置いてあります。だれか、あたしの声をま
ねしてる。その上を、おどるように飛んでいるちょうをぼんやり見ているうち、松井
さんには、こんな声が聞こえてきました。不思議なカードをだれが書いたのかと、み
んな、首をかしげました。子どもたちが来たって、知らん顔をして、のんびりしてい
ればいいじゃないか。まあ、部屋の中のすばらしいにおいといったら。おばあちゃん
が教えてくれました。ライオンのおりのとなりで、クロヒョウが言いました。ま、う
まくやれよ。一声ほえると、二列にならんだ子どもたちが、いっせいにちぢみ上がっ
て、一歩下がる。そして、こわごわ目をあけると、そばに、かすりの着物を着た男の
子が立っていたのです。わしなんか、アフリカで生まれて、アフリカの草原で生きて
きた。子どもたちが帰ったはまべには、すなの絵がのこりました。人間が来たって、
おれみたいに、ねてりゃあいいのに。あの子は、どんなに目を丸くしただろう。わた
しは、父の仕事の関係で、しばらくさびしい山おくの小学校に通ったことがありまし
た。おじさんは、つりざおをふると、いすにすわってラジオの音楽をかけました。い
いえ、夏みかんですよ。だから、さすがに負けずぎらいなトッコも、足がすくんでし
まいました。いすは、お馬になったり、自動車になったり、モーターボートになった
り、ひこうきになったり。おれが今、とってきてやる。トッコの家は東京ですが、お
母さんが病気になったので、この山のおばあちゃんの家にあずけられたのです。部屋
には、うす暗い明かりがともって、長い木のテーブルが、ぎっしりならんでいます。
おにいさんが一人あらわれて、いすの上でギターをひきます。おかしいな。太郎は、
今、村の村長さんになっているということです。こおろぎが、鳴いているんです。
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様式6
書き導入シート
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7月20日は海の日です。
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新宿からタクシーで10分です。
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ナマケモノは木の上で生活します。
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<ELVR スタディ研究メンバー>
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主任研究者:鈴鴨よしみ(東北大学医学系研究科肢体不自由学)
分担研究者:外園千恵(京都府立医科大学眼科)、出江紳一(東北大学医学系研究科肢体不自由学)
研究協力者:安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)、浅野紀美江(半田眼科)、阿曽沼早苗(大阪大学附属病
院眼科)、小野峰子(東北大学医学系研究科肢体不自由学)、高津育美(東北大学病院眼科)、陳進志(あさ
ひがおか眼科)、山縣祥隆(山縣眼科医院)、山村麻里子(京都府立医科大学眼科)、横山貴子(京都府立医
科大学眼科)、吉村尚子(山縣眼科医院)(アイウエオ順)
拡大読書器指導マニュアル
作成者:拡大ロービジョンリハビリテーション研究チーム
初版:2008 年 9 月作成
2011 年版:2011 年 11 月改訂
参考文献:山村麻里子、ほか.拡大読書器指導マニュアル作成の試み.日本ロー
ビジョン学会誌 10:S1-S7,2010.
※このマニュアルは今後もより良い形に改訂される予定です。最新バージョンは
HP からダウンロードしてください。
http://www.rehamed.jp/modules/tohoku2/
※お気づきの点がありましたら、下記までご意見をお寄せいただければ幸いです。
suzukamo med.tohoku.ac.jp
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