パイプラインが切り拓く未来の九頭竜川下流地域

す。
今回、この取組に関して紹介しま
ものと期待されています。
る品質・食味の向上に貢献できる
を利用した夜間かんがいが、更な
四.米卸売業者による評価と今後
とが分かってきています。
て冷たい水を水田へ供給出来るこ
者の米卸売業者を対象に、パ
年産)の食味アンケー
イプラインの水で栽培し、収穫し
計
福井県内の他、東京や大阪など
の展開
二.地区内農業の概要と「農と水
三.パイプラインの水温調査
① 取 水 地 点 で あ る 鳴 鹿 大 堰、
の振興ビジョン」
本地区の受益面積は約1万20
②パイプライン(取水地点から約
㎞ 下 流 地 点 )、 ③ 開 水 路( 取 水
00㌶であり、福井県全体の農地
の約3割を占めています。稲作を
㎞ が パ イ プ ラ イ ン、 た米(平成
そこから下流約5㎞が開水路)に
トを行いました。総合的な食味評
主 体 と し た 一 大 穀 倉 地 帯 で あ り、 地 点 か ら 約
県内農業の中核を担っている地域
平均水温(℃)
一.はじめに
福井県の北東部、一級河川九頭
年度より国営
竜川の両岸に広がる福井・坂井平
野において、平成
農業用水再編対策事業「九頭竜川
本事業は、老朽化した開水路の
下流地区」を実施しています。
改修とあわせて、これまで質・量
ともに不安定な水源に依存してい
価は、良い、やや良いが合わせて
名、やや劣
おいて水温調査を実施しました。
名、変わらないが
も頂戴しております。
甘 み が あ る。」 と い っ た コ メ ン ト
般 的 な コ シ ヒ カ リ と 比 べ、 粘 り、
い 評 価 が 得 ら れ て い る ほ か、「 一
る、劣るは5名ということで、良
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であります。
本事業を契機として、本地区の
農業・農村の目指すべき方向性と
その実現のための具体的方策を示
した「九頭竜川地域 農と水の振
興ビジョン」を福井県が策定しま
年3月)。
このなかで、水田地域における
した(平成
射の影響で日中に最高で
~
n = 78
る取組を実施しているところであ
果から、パイプラインは、安定し
同程度のものであります。この結
と考えております。
果を高める取組を進めて行きたい
実施し、地区内の営農に関する効
拡大に伴い、更なる効果の確認を
今後、パイプライン化エリアの
食味に関するアンケート結果
基本方針として、食味試験で特A
米評価の獲得などが掲げられてい
ます。九頭竜川中流部から取水す
抑制し、胴割粒や乳白粒などの発
℃程度
生防止と品質・食味の向上を図る
℃程度
鳴鹿大堰地点での取水温が
で ほ ぼ 一 定 の 値 で 推 移 し て お り、
~
まで上昇しているのに対して、パ
開水路の水温は、気温上昇と日
パイプラインと開水路の水温比較
イプラインの水温は
また、福井県では、5月半ばの
適期田植えによる登熟期の高温回
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やや良い;
17
同等; 32
る良質で冷たい水をパイプライン
で直接水田に供給し夜間かんがい
を行うことで、イネの登熟期であ
24
た周辺地区の新たな水源確保のた
10
26
こととしています。
る夏場における水田の温度上昇を
28
℃程度であったことから、ほぼ
やや劣る;
5
め、農業用水路をパイプライン化
24
良い; 16
劣る; 0
し、農業用水の再編を行うもので
す。
本事業がもたらす効果としては、
用水の安定的な供給や維持管理の
30
ります。その中で、パイプライン
避をはじめ、米の品質向上に資す
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軽減等がありますが、本地区の大
部分を占める水田における米の品
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無回答; 8
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時刻
6:00
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質向上も期待されています。
平成 年度に十郷用水路系統の
パイプラインが供用を開始して以
降、関係機関と連携しながら品質
大塚 直輝(北陸農政局九頭竜川下流農業水利事業所調査設計課調整係長)
Naoki
Otsuka
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向上に向けた取組を実施しており、
51 土地改良 281号
22
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パイプライン施工状況(φ3500㎜)
15
パイプライン
開水路
鳴鹿大堰
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「フロント」〜農政の前線から〜
パイプラインが切り拓く未来の九頭竜川下流地域