海外調査報告(フランス)(参考資料)

参考資料2-2
海外調査報告
(フランス(参考資料))
平成28年4月15日
一般概況
【フランス国旗】
【フランス】
●正式名称:フランス共和国(French Republic)
●首都:パリ(Paris)
【一般事情】
●面積:54.4万平方キロメートル
●人口:6,632万人(2015年)
●言語:フランス語
【政治体制・内政】
●政体:共和制
●元首:フランソワ・オランド大統領
●議会:二院制(国民議会:577議席、上院:348議席)
●与党:社会党(左派連立政権)
●現内閣(2012年5月発足)
首相:マニュエル・ヴァルス
●内政:
・ 2012年5月の大統領選挙の結果、オランド元社会党第一書記が大統領に就任し、
17年ぶりの左派政権として、社会党を中心とする左派連立政権が発足した。オラン
ド大統領は、社会民主主義路線を掲げ、同性婚の合法化など社会政策を実現する
一方、雇用・経済状況改善のため企業の社会保障負担軽減や規制緩和に取り組
んでいる。 一方、経済成長率・失業率に著しい改善が未だ見られないことから、欧
州議会選挙、各種地方選挙では右派が勝利を重ねており、さらに移民の制限を主
張し、欧州統合に懐疑的な極右国民戦線も勢力を伸ばしつつある。
1
(出典)外務省HP
【雄鶏(仏のシンボル)】
【経済】
●名目GDP:2兆8,470億ドル(2014年)
●一人当たりGDP:44,538ドル(2014年)
●経常収支(対GDP比):▲0.9%(2014年)
●主要産業
・ 化学、機械、食品、繊維、航空、原子力等
・ 農業は西欧最大の規模。工業においては宇宙・航空産業、原
子力産業などの先端産業が発達。
●貿易(2014年)
輸出(実額):4,373億ユーロ
(主な品目)農産物加工品、電気機器・機械、化学製品・香水・化粧品、航空
機・宇宙 飛行体
輸入(実額):4,911億ユーロ
(主な品目)エネルギー、電気機器・機械
経済・財政状況(データ)
(単位:%)
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
実質
GDP
成長率
2.0
1.1
0.8
2.8
1.6
2.4
2.4
0.2
▲ 2.9
2.0
2.1
0.2
0.7
0.2
1.1
10年物
国債金利
5.1
4.3
4.3
3.7
3.3
4.0
4.4
3.4
3.6
3.4
3.1
2.0
2.6
0.8
1.0
経常収支
対GDP比
1.5
1.2
0.9
0.4
▲ 0.0
0.0
失業率
8.5
8.3
8.5
8.9
8.9
8.8
8.0
7.4
9.1
9.3
9.1
9.7
10.3
10.3
10.2
インフレ率
1.8
1.9
2.2
2.3
1.9
1.9
1.6
3.2
0.1
1.7
2.3
2.2
1.0
0.6
0.1
PB対GDP
比
1.2
財政収支
対GDP比
債務残高
対GDP比
▲ 0.5 ▲ 1.4 ▲ 1.0 ▲ 0.7
0.0
▲ 0.3 ▲ 1.0 ▲ 0.8 ▲ 0.8 ▲ 1.0 ▲ 1.2 ▲ 0.8 ▲ 0.9 ▲ 0.2
▲ 0.1 ▲ 0.5 ▲ 4.9 ▲ 4.5 ▲ 2.6 ▲ 2.4 ▲ 1.9 ▲ 1.9 ▲ 1.8
▲ 1.4 ▲ 3.1 ▲ 3.9 ▲ 3.5 ▲ 3.2 ▲ 2.3 ▲ 2.5 ▲ 3.2 ▲ 7.2 ▲ 6.8 ▲ 5.1 ▲ 4.8 ▲ 4.1 ▲ 4.0 ▲ 3.8
57.9
59.8
63.9
65.5
67.0
64.2
64.2
(出典)10年物国債金利についてBloomberg、その他はIMF「World Economic Outlook」。
67.9
78.8
81.5
85.0
89.4
92.3
95.6
95.7
2
中央政府・社会保障の歳出・歳入構成(2016年度予算)
○ 一般会計歳出では、教育や国防に比重。2016年は国防、治安等を重点分野としている。
○ 社会保障については社会保障会計で管理。医療が社会保障会計歳出の5割弱を占める。
<一般会計>
国の債務負担
452
(15%)
その他
269
(11%)
国家の対外的行動
32 (1%)
特別社会保障 63
(2%)
司法 82 (3%)
エコロジー・持続的開
発
92 (3%)
財政及び人的資源
の管理
109
労働
(4%)
117
(4%)
公債金
所得税
737
765
(15%)
(16%)
税外収入
157 (3%)
法人税
歳入合計額
その他税収
587
3,097億€
570
(12%)
(対GDP比13.9%)
(12%)
学校教育
671
(22%)
歳出合計額
3,097億€
(対GDP比13.9%)
国防
397
(13%)
研究・高等教育
262
治安
(9%)
187
都市及び住宅
182 連帯及び同化 (6%)
184
(6%)
(6%)
付加価値税
1958
(41%)
(注)EU税を控除する等のため、歳入予算額の各項目の和は歳入合計額と一致しない。
<社会保障会計>
労災
家族手当 120
(3%)
496
(14%)
歳出合計額
3,500億€
(対GDP比15.7%)
その他収入
42 公債金
(1%)
60
(2%)
移転
242
(7%)
その他目的税
458
(13%)
歳入合計額
3,500億€
(対GDP比15.7%)
医療
1779
(49%)
年金
1231
(34%)
3
単位:億ユーロ
(注)社会保障会計の各制度を所管する金庫間で移転が生じているため、歳出予算額の各項目の和は歳出合計額と一致しない。
CSG
693
(20%)
保険料
2005
(57%)
経済状況の見通しと実績及び評価
○ 欧州債務危機に伴う経済減速により安定化プログラム2010の見通しと乖離。
○ 2015年に経済の回復が見られるものの、依然安定化プログラム2012の見通しよりも遅れている。
経済の見通しと実績
【実質GDP成長率】
(%)
3
2
1
0
-1
2009
2010
2011
2012
2013
2014
安定化プログラム2010-2013
-2
安定化プログラム2012-2016
-3
実績
-4
評価
○ 2008年以降のリーマンショックの影響は、比較的低い輸出依存度と堅調な民間消費を背景に、他の欧州諸国と比較して軽
微ではあったが、2009年は▲2.9%と経済成長は大きく減退した。2010~11年に景気は回復基調に転じたが、欧州債務問題
の深刻化に伴って、2012年以降再び成長は鈍化した。
○ 2012~14の3年間において低成長が継続した後、2015年は回復傾向が強まり成長率は+1.2%を達成見込み。2016年度以
降については、民間消費を中心として緩やかに景気回復が実現し、企業向け負担軽減策等も背景として民間投資も回復して
くると見込まれている。
○ 今後の成長に向けては、労働市場などの規制改革、人材育成、技術革新などの潜在成長力の向上が課題。
4
財政状況の見通しと実績及び評価
○ 財政収支対GDP比は、2012年以降、安定化プログラム2010の見通しを下回る。
○ 経済回復の遅れに加え歳出抑制が十分に進まず、財政収支対GDP比の改善は遅れている状況。
財政の見通しと実績
(%)
0
【財政収支対GDP比】
-1
-2
-3
-4
-5
安定化プログラム2010-2013
安定化プログラム2012-2016
実績
-6
-7
-8
-9
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
評価
○ 経済の回復が遅れていることに加え、近年ではインフレ率が低いことから、税収等の歳入の減少やスライドの凍結による歳
出削減効果が減殺されることも懸念されている。結果として、財政収支対GDP比は過去の見通しを下回り、依然として
▲3.0%基準を満たしていないものの、リーマンショック後の2009年の▲7.2%からは大きく改善。
○ 今後の見通しについては、税・保険料の負担軽減や治安関連の増員など新たな歳出増が伴うことから、オランド大統領の
歳出抑制公約など他分野における歳出抑制が不可欠。
5
地方財政支出目標(ODEDEL)
○ オランド大統領の歳出抑制公約を実現する一環として、2014-2019年複数年財政計画法において、「地方
財政支出目標(ODEDEL)」を策定。
○ 地方自治を尊重する観点から強制力はないものの、地方政府の財政健全化に向けての意識向上、進捗分
析が期待されており、実際に目標を達成している。
【2014-2019複数年財政計画法時のODEDEL】
【2016年予算法時のODEDEL】
実績(見込み)
ODEDEL
2014
▲0.4%
(うち経常経費+2.3%)
+1.2%
市町村連合
+0.6%
(うち経常経費0.7%)
2015
▲0.6%
+0.5%
市町村
2016
-
+1.9%
+1.2%
(うち経常経費1.3%)
2017
-
+2.0%
県
+1.9%
(うち経常経費2.7%)
地方圏
+0.4%
(うち経常経費0.6%)
合計
+1.2%
(うち経常経費1.6%)
2016年予算法では、目標を高める(+1.9%⇒+1.2%)
とともに、自治体毎の歳出構成の違い(投資的経費の割合等)
を考慮し、各々のODEDELを設定。
ODEDEL
6