参考資料2-4 海外調査報告 (ポルトガル(参考資料)) 平成28年4月15日 一般概況 【ポルトガル国旗】 【ポルトガル】 ●正式名称:ポルトガル共和国(Portuguese Republic) ●首都:リスボン(Lisbon) 【一般事情】 ●面積:9.2万平方キロメートル ●人口:1,039万人(2014年) ●言語:ポルトガル語 【政治体制・内政】 ●政体:共和制 ●元首:マルセロ・レベロ・デ・ソウザ大統領 ●議会:一院制(230議席、任期4年) ●与党:社会党 ●現内閣(2015年11月発足) 首相:アントニオ・コスタ(社会党) ●内政: ・ 2015年10月4日,任期満了に伴う共和国議会選挙が実施され,緊縮政策と構造 改革継続の意向を示した連立与党(PSD・CDS/PPの連立)が107議席を獲得し, 引き続き議会の第一勢力となった。カヴァコ・シルヴァ大統領は,コエーリョ首相 の続投を決めた。 ・ しかし,連立与党が提出した政府プログラムが11月11日に野党の反対多数で 否決され,暫定政権となったことを受け,カヴァコ・シルヴァ大統領は各党や経済 関係者の意見を幅広く聴取した後,社会党のコスタ書記長を首相に改めて指名 し,11月26日,コスタ新政権(閣僚18名,副大臣41名)が発足した。 1 (出典)外務省HP 【ポルトガル国章】 【経済】 ●名目GDP:1,685億ユーロ(2014年) ●一人当たりGDP:16,650ユーロ(2014年) ●経常収支(対GDP比):0.6%(2014年) ●主要産業:製造業(機械類,衣類,コルク製造)及び観光業 ●貿易(2013年) 輸出(実額):629億ユーロ (主な品目)石油,輸送用自動車,自動車部品,履物,未加工紙 輸入(実額)752億ユーロ (主な品目)原油,自動車部品,輸送用自動車,医薬品,石油ガス 経済・財政状況(データ) (単位:%) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 実質 GDP 成長率 1.9 0.8 ▲0.9 1.8 0.8 1.6 2.5 0.2 ▲3.0 1.9 ▲1.8 ▲4.0 ▲1.6 0.9 1.6 10年物 国債金利 5.2 4.3 4.4 3.7 3.4 4.1 4.5 4.0 4.1 6.6 13.4 7.0 6.1 2.7 2.5 経常収支 対GDP比 ▲10.4 ▲8.5 ▲7.2 ▲8.3 ▲9.9 ▲10.7 ▲9.7 ▲12.1 ▲10.4 ▲10.2 ▲6.0 ▲2.0 1.4 0.6 0.7 失業率 4.0 5.0 6.3 6.6 7.6 7.6 8.0 7.6 9.4 10.8 12.7 15.5 16.2 13.9 12.3 インフレ率 4.4 3.7 3.3 2.5 2.1 3.0 2.4 2.7 ▲0.9 1.4 3.6 2.8 0.4 ▲0.2 0.6 PB対GDP 比 ▲2.6 ▲1.3 ▲2.6 ▲4.5 ▲4.2 ▲0.1 ▲0.9 ▲1.7 ▲7.8 ▲9.1 ▲4.1 ▲1.9 0.1 0.5 1.7 財政収支 対GDP比 ▲4.8 ▲3.3 ▲4.4 ▲6.2 ▲6.2 ▲2.0 ▲3.0 ▲3.8 ▲9.8 ▲11.2 ▲7.4 ▲5.6 ▲4.8 ▲4.5 ▲3.1 債務残高 対GDP比 50.6 52.9 54.7 56.3 60.8 61.6 68.4 71.7 83.6 96.2 111.1 125.8 129.7 130.2 127.8 (出典)10年物国債金利についてBloomberg、その他はIMF「World Economic Outlook」。 2 中央政府の歳出・歳入構成(2016年度予算案) ○ 歳出の約4分の1と大きな割合を人件費が占める。 ○ 歳入については、付加価値税の割合が約4分の1と大きい。 【歳出】 【歳入】 単位:億ユーロ 利払費等 81 (13%) その他 106 (16%) 歳出合計額 647億ユーロ (対GDP比34.6%) 助成金 7 (1%) 投資 32 (5%) 人件費 156 (24%) 3 公債金 73 (11%) 移転 265 (41%) その他 195 (30%) 個人所得税 124 (19%) 法人税 52 (8%) 歳入合計額 647億ユーロ (対GDP比34.6%) 石油エネルギー 税 たばこ税 34 15 (5%) (2%) 付加価値税 153 (24%) 経済状況の見通しと実績及び評価 ○ 欧州債務危機に伴う経済減速により安定化プログラム2010の見通しと乖離。 ○ 経済成長率の改善は、足元まで見通しより遅れている状況。 経済の見通しと実績 【実質GDP成長率】 3 (%) 2 1 0 -1 -2 実績 -3 安定化プログラム2010 -4 安定化プログラム2012 -5 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 評価 ○ ポルトガル経済は、1990年代後半以降に潜在GDP成長率が低下しており、とりわけ労働力の寄与が低下。移民増も含め た人口減のほか、労働市場の硬直化、不十分な人材育成・技術革新などが背景として挙げられる。また、アジア新興国の台 頭を背景に国際競争力が低下し、経常収支は赤字で推移、対外債務は上昇した。 ○ 「経済調整プログラム」の策定以降、構造改革が進むとともに、石油価格の下落など海外環境の改善もあり、2014年度以降 は、国内需要主導の緩やかな回復が実現。労働市場の改善を背景に失業率も低下。他方、膨大な対外債務や産業の生産 性の低迷は、今後の持続的な経済成長のリスク要因として挙げられる。 4 財政状況の見通しと実績及び評価 ○ リーマンショック以後の財政収支は安定化プログラム2010の見通しを上回って悪化。 ○ 財政収支の改善は、足元まで見通しより遅れている状況。 財政の見通しと実績 【財政収支対GDP比】 (%) 0 -2 -4 -6 実績 安定化プログラム2010 安定化プログラム2012 -8 -10 -12 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 評価 ○ ポルトガルの財政収支対GDP比は、近年、基準である▲3.0%を常に下回って推移するとともに、債務残高対GDP比は 2011年度以降は100%を超え上昇傾向。国債の75%(2009年)は外国人によって保有されていたが、信用力の低下から2010 年には60%以下にまで低下。 ○ 「経済調整プログラム」に沿った歳出・歳入両面の取組を進めた結果、財政赤字対GDP比は、2010年▲9.8%から2014年 ▲4.5%に大きく改善。先行きについては、EU委員会からは、マクロ経済の見通しが楽観的であることなどの指摘を受けてお り、財政収支対GDP比の改善に向けて、引き続き財政健全化努力が必要。 5 2014年年金制度改革と今後の見通し ○ EUからの改革案を実行するのみならず、独自に年金制度改革を実施。平均余命の伸長に合わせて支給開 始年齢及び給付額を調整する仕組みが確立。 ○ 年金支出対GDP比は、その他の年齢関係支出分野に先駆けて減少。 <支給開始年齢とSFによる減額率の将来推移> 2014年年金改革 (歳) 70 (1)支給開始年齢 ○ 支給開始年齢を65歳から66歳に引上げ。 ○ 支給開始年齢の自動引上げ制度を導入。n年の支給開始年齢は以下の計算 式により毎年自動的に引上げ。2016年は66歳2か月。 支給開始年齢=66歳+(平均余命n-2 -平均余命2012 )×12×2/3 ※平均余命は年単位 (2)支給額の調整(サステナビリティファクター(SF)) ○ 2007年にサステナビリティファクター(SF)を導入。新規裁定年金の支給額に乗 じて支給額を調整する係数。n年のSFを以下の計算式により定義。 SF=平均余命2006÷平均余命n-1 ○ 2014年は以下の改正を実施。繰上げ受給のみを対象として支給額を調整する ことで、就労インセンティブの阻害を回避。 ① 平均余命の参照年を2006年から2000年に変更することによる調整幅の拡 大。新ルールによる2016年のSFは0.8666となり、減額幅は13.34%(従前の ルールで計算した場合の減額幅は6.51%)。 ② 従来は新規裁定される全ての年金を対象としていたが、繰上げ受給の場合 のみを調整対象とするよう変更。 今後の見通し ○ 年齢関係支出は長期的に増加傾向にあり、2050年頃ピークを迎える。 一方、既に上記の改革を決定している年金の給付費対GDP比は2030年頃を ピークに減少局面に入る。 30% 25.75% 69 25% 22.80% 19.36% 68 20% 15.17% 67 13.34% 15% 67歳9か月 66 68歳4か月 67歳1か月 10% 66歳2か月 66歳5か月 65 5% 2016 2020 2030 2040 2050(年) <年齢関係支出の将来推移> 30% 25% 27.0% 27.2% 27.1% 27.3% 27.9% 28.3% 14.8% 14.4% 27.4% 年齢関係支出対GDP比 うち年金 20% 15% 26.8% 13.8% 14.0% 2013 2016 14.6% 14.9% 15.0% 13.1% 10% 2020 2025 2030 2040 2050 6 2060 (年)
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