~世界に開かれ、世界とともに成長するみやざき~ 平成28年3月 宮 崎 県 目 次 Ⅰ 策定の趣旨等 1 策定の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 策定の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 3 戦略の性格 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 4 戦略の位置づけ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 Ⅱ 戦略の概要 1 推進期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2 推進体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 3 施策体系 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3~4 4 戦略のターゲット国・地域・・・・・・・・・・・・5 Ⅲ 具体的な戦略展開 戦略1 海外への展開促進 (1)県内生産品の輸出促進 ・・・・・・・・・・・6~11 (2)海外進出の支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・12~14 戦略2 海外からの誘致推進 (1)観光誘客の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・15~17 (2)みやざきMICEの確立 ・・・・・・・・・・・・・18~19 (3)海外からの投資呼び込み ・・・・・・・・・・20~21 戦略3 経済交流の基盤整備 (1)航空ネットワークの維持・充実 ・・・・・・・22 (2)海上ネットワークの維持・充実 ・・・・・・・23~24 戦略4 グローバル人材の育成・確保 (1)企業や大学等と連携した人材の育成・確保 ・・25~26 (2)学校教育による人材の育成 ・・・・・・・・・27~28 戦略5 海外との連携・多様な交流の促進 ・・29~31 Ⅳ 成果指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 Ⅰ 策定の趣旨等 1 策定の背景 ○ 本格的な少子高齢化・人口減少社会を迎え、国内市場が縮小する中、経済成長が著しく、富裕層・中間層が拡大するアジア の活力を取り込むことが、本県経済・産業の活性化を図る上で大変重要であることから、県では、平成24年に「みやざき東アジ ア経済交流戦略」を策定し、これまで、官民一体となった取組を推進してきた結果、農林水産物の輸出額や外国人宿泊者数が 増加するとともに、香港線の就航や台北線の増便等、経済交流の基盤整備も着実に進んでいるところである。 ○ このような中、近年、諸外国での輸入規制の緩和や東京オリンピック・パラリンピックの開催決定、さらには、海外展開に向け た企業意識の高まりなど、経済交流を進める上での環境変化等が見られる上、国においては、「世界に経済連携の網を張る」と いう考えの下、平成27年10月に大筋合意したTPPだけでなく、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日中韓FTA、日EU・EPA など、国内企業の国際ビジネスチャンスの拡大に向けた事業環境を整備し、成長市場の獲得を推進するとともに、「対内直接投 資の促進」のための、投資インセンティブや発掘・誘致・支援体制の強化等に取り組んでいるところである。 ○ また、県内においても、海外への直接投資や、東アジアに限らず、よりグローバルに事業展開を行う企業が見られ、さらに は、多様な主体、多様な分野での国際交流により構築したネットワークを、経済交流分野に生かす取組など、自らが持つ強み や資源を生かし、創意工夫をしながら、世界で稼ごうとする動きが見られている。 企業の輸出に関する方針 世界の富裕層・中間層総人口 (百万人) 1200 1119 1120 23年度 (n=2,515) 55.3 10.7 16.6 1.7 15.7 968 1000 800 1072 1097 24年度 (n=1,686) 774 600 484 410 340 400 2010年 2015年 2020年 200 62.0 中国 (台湾・香港含む) ASEAN 先進国 (出典:通商白書2013) 12.6 0.8 25年度 (n=2,962) 67.4 10.4 26年度 (n=2,444) 66.2 12.4 0 0 14.2 10 20 さらに拡大を図る 縮小、撤退を検討する 30 40 50 60 70 今後、新たに取り組みたい 今後とも行う予定はない 14.2 14.7 80 10.3 1.1 0.9 90 6.9 5.8 100 現状を維持する (出典:ジェトロ資料) 1 2 策定の目的 経済交流を取り巻く環境の変化や県内企業の動向等を踏まえ、地理的に近く、引き続き経済成長が見込まれる東アジア市場 に軸足を置きながら、今後、世界市場にも視野を広げた経済交流の拡大に取り組むとともに、文化・スポーツ等の多様な分野で の交流拡大にも取り組み、「外貨の獲得、ビジネスチャンスの創出」を図ることにより、本県経済・産業の活性化に資するため、 「みやざきグローバル戦略」を策定する。 3 戦略の性格 ① この戦略は、「世界に開かれ、世界とともに成長するみやざき」を目指し、県の施策展開の方向性を示すとともに、産学金官 が連携して、海外との経済交流の拡大を図るための共有の指針として示すもの。 ② 前戦略を発展的に継承し、前戦略の柱である「県産品の輸出促進」、「観光交流の推進」「経済交流の基盤整備」に加え、「海 外進出の支援」、「海外からの投資呼び込み」、「グローバル人材の育成・確保」「海外との連携・多様な交流の促進」にも取り組 み、本県経済のグローバル化に向け、総合的に施策を展開する。 ③ 「輸出」、「観光」、「海外との連携・多様な交流」の分野においては、ターゲットとなる国・地域ごとの展開方向を定め、効果的・ 効率的な施策を推進。 4 戦略の位置づけ 本戦略は、「宮崎県総合計画 未来みやざき創造プラン」の実行計画である「アクションプラン」及び「宮崎県まち・ひと・しごと 創生総合戦略」を推進するための実行計画である。 また、推進にあたっては、関係する他の計画とも連携を図りながら、実施するものとする。 Ⅱ 戦略の概要 1 推進期間 平成28年度から30年度までの3年間 2 推進体制 ○ 庁内に「宮崎県グローバル戦略推進本部」を設置し、関係部局が連携しながら、効率的で効果的な施策の構築・推進 ○ 市町村、経済界、関係支援機関等との意見交換や情報共有を行い、官民一体となって推進 ○ JETRO((独法)日本貿易振興機構)との緊密な連携体制を構築するとともに、海外拠点機能(海外事務所等)の的確な 配置を実現 2 3 施策体系 みやざきグローバル戦略 ○未来みやざき創造プラン(アクションプラン) 目指す姿: ○宮崎県まち・ひと・しごと創生総合戦略 「世界に開かれ、世界とともに成長するみやざき」 戦略の柱 海外との交流拡大 海外への展開促進 海外からの誘致推進 (県内生産品輸出・海外進出) (観光誘客・対内投資) 外貨の獲得 ビジネスチャンスの創出 交流を支える基盤づくり 交流を担う人づくり 交流のきっかけづくり 経済交流の 基盤整備 グローバル人材の 育成・確保 海外との連携・ 多様な交流の促進 (航空・海上ネットワーク) (企業・大学・学校教育) (自治体交流・受入環境整備等) 本県経済・産業の活性化 関係機関の連携による推進 県(グローバル戦略推進本部) 市町村・経済団体 関係支援機関(JETRO等) みやざき「食と農」 海外輸出促進協議会 教育機関 金融機関 3 1 海外への展開促進 (1) 県内生産品の輸出促進 ① 輸出に取り組みやすい環境づくり ② マーケットインの商品づくり ③ 県内生産品の認知度向上 ④ 販路の開拓・拡大 ⑤ 流通ネットワークの充実・強化 (2) 海外進出の支援 ① 現地の投資環境等に関する情報提供 ② 進出計画の策定やマーケティング活動等の支援 ③ JETROとの連携による、リスク管理やサポート体制の整備 ④ 進出後のフォローアップ 2 海外からの誘致推進 (1) 観光誘客の推進 ① 受入環境の整備 ② ターゲットを明確にした誘客促進 ③ 広域連携による誘客促進 (2) みやざきMICEの確立 ① MICE推進体制の整備 ② オールみやざきでの受入体制強化 ③ MICEの誘致促進 (3) 海外からの投資呼び込み ① ターゲットを明確にした誘致活動の推進 ② 投資意欲のある企業の発掘 ③ 外国企業への情報発信 ④ 既進出外資系企業の事業拡大促進 3 経済交流の基盤整備 (1) 航空ネットワークの維持・充実 ① 既存路線の維持・充実 ② 新規路線の開拓 (2) 海上ネットワークの維持・充実 ① 県内港湾の利用促進 ② 航路の維持・充実 ③ CIQ体制の充実 4 グローバル人材の育成・確保 (1) 企業や大学等と連携した人材の育成・確保 ① 産学金労官で構成する「みやざき産業人財育成プラット フォーム」の構築 ② 留学生の活用、研修生の受入れ促進 ③ 国際ビジネスノウハウ等の修得支援 (2) 学校教育による人材の育成 ① 国際理解教育の推進 ② 外国語教育の推進 ③ 海外留学の促進 5 海外との連携・多様な交流の促進 ① 海外自治体や関係機関との連携強化 ② 多様な分野・主体による交流の促進 ③ 外国人受入環境の整備充実 ④ 東京オリンピック・パラリンピックを契機とした交流の促進 4 4 戦略のターゲット国・地域 EU ○輸出促進 ○海外進出支援 ○投資呼び込み ○観光誘客 ○多様な交流促進 欧州(非EU) ○海外進出支援 ○投資呼び込み 中東・アフリカ ○海外進出支援 ○投資呼び込み 北米 ○輸出促進 ○海外進出支援 ○投資呼び込み ○観光誘客 ○多様な交流促進 アジア ○輸出促進 ○海外進出支援 ○投資呼び込み ○観光誘客 ○MICEの誘致 ○多様な交流促進 オセアニア 中南米 ○海外進出支援 ○投資呼び込み ○多様な交流促進 ○海外進出支援 ○投資呼び込み 5 Ⅲ 具体的な戦略展開 戦略1 海外への展開促進 (1) 県内生産品の輸出促進 現状と課題 県では、これまで、東アジアを中心に、現地でのフェアや見本市・商談会への出展、国内外の商社との関係構築等による県 内生産品の認知度向上や販路開拓に取り組んできたところであり、近年、輸出に取り組む中小企業・団体数や、農水産物・加 工食品・木材等をはじめとする県内生産品の輸出額は増加傾向にある。 また、メディカル分野においては、タイを中心とするASEAN諸国に対し、東九州地域の産学官が連携し、血液・血管分野の 医療技術と機器の海外展開に向けて、現地の医療人材の育成指導等の取組を行ってきた結果、県内大学が、タイの国立大 学に人工透析を中心とした日本の医療技術と機器操作の指導を行う「トレーニングセンター」の開設を予定しているなど、着実 に進展している。 今後、平成27年10月に大筋合意したTPPの協定発効により、人口8億人という巨大なマーケットが創出されることになり、域 内で関税が撤廃・削減され、貿易手続の迅速化等が進むことで、環太平洋市場への輸出拡大も期待されるところであり、更な る輸出拡大に向けては、新たな輸出事業者や品目の掘り起こしとともに、市場やエンドユーザーのニーズを踏まえた戦略的な 輸出活動の展開、生産・供給体制、輸送手段の確立、各種輸入規制への対応などが重要であることから、今後は、輸出に取 り組みやすい環境づくりや商品力の強化、さらには、ターゲット国ごとの効果的な販路開拓活動等に取り組む必要がある。 実績 県内生産品の輸出額 (億円) 輸出に取り組む中小企業・団体数 H22年 H23年 H24年 H25年 H26年 98社 114社 122社 153社 157社 (出典:宮崎県貿易実態調査) 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1181 1218 平成22年 平成23年 1410 1400 平成24年 平成25年 1507 平成26年 (出典:宮崎県貿易実態調査) 6 今後の取組方針 ジェトロ宮崎貿易情報センター(H27.10開設)の設置を生かして、関係機関が連携しながら、県内企業等の輸出実 現・拡大に向けて、それぞれの段階に応じたきめ細かな一貫した支援を実施。 ① 輸出に取り組みやすい環境づくり ○ 海外拠点機能(海外事務所・貿易アドバイザー)の活用やJETROとの連携による、マーケット情報や各種リス クに対する対処策等の情報提供及び貿易全般に関する相談窓口の設置 ○ 貿易セミナーや実務講座等の開催による、貿易基礎知識の修得、輸出に取り組む意識の醸成やきっかけづくり ○ JICA((独法)国際協力機構) やJETROの公募事業活用による、海外医療人材育成に向けた取組の継続支 援(メディカル) ○ 輸出可能な国・地域の拡大のための、環境整備(例:食肉処理施設の認可支援等)や産地証明書の発行等 ② マーケットインの商品づくり ○ 貿易アドバイザー等による現地ニーズを踏まえた商品づくりへのアドバイスの実施 ○ 現地フェア開催等によるテストマーケティング機会の創出や、フードオープンラボの活用等によるマーケットイン の視点に立った商品開発の支援 ○ HACCPやハラル等の国際基準や国際認証の取得に向けた情報収集、提供 ○ 輸出先国のニーズに合致する対象品目の開拓、生産技術の開発及び輸出トライアルの実施 ③ 県内生産品の認知度向上 ○ 知事のトップセールスをはじめとするプロモーション活動やフェア開催等による海外での「みやざきブランド」の 向上 ○ 現地メディアの活用や観光誘客との一体的な展開等による、効果的なPRの実施 ○ 現地バイヤーやメディアの招へいによる、産地・加工施設等の視察の実施 ○ 九州各県との連携による、スケールメリットを生かしたフェアの開催 7 ④ 販路の開拓・拡大 ○ 海外拠点機能の活用による現地バイヤー等に対する営業活動(商品提案、売り込み等)の実施 ○ JETROとの連携による見本市・商談会・展示会への出展支援による取引機会の提供 ○ 連携協定等により関係構築を図った商社や流通業者との共同による、新たな販売ルートの開拓 ○ 知事のトップセールス等による、現地のバイヤー等とのネットワークを持つキーパーソンとの関係構築 ○ 九州貿易振興協議会や九州農水産物直販(株)をはじめ、九州各県と連携した販路の開拓 ○ 本県にゆかりのある海外進出企業との連携による、販路の開拓 ○ 対象国大学等のエンドユーザーに対する新規開発医療関連機器等の紹介と医療技術指導のパッケージによ る、導入意欲喚起のための取組支援 ○ ターゲットの明確化や現地ニーズを踏まえた販路開拓活動の展開(品目ごと) → 例:木材-製材品と組立技術をパッケージにした「材工一体」のシステムで売り込む販売促進ツールの開発 牛肉-高級部位以外の利用促進のためのプロモーションや現地シェフへのレクチャー等 ⑤ 流通ネットワークの充実・強化 ○ 県内の空港、港湾を起点とした物流ルートの構築に向けた輸送体制の検討 ○ 商社等と連携した効率的な物流ルートの確保 ○ 鮮度保持技術等を備えた物流ルートの積極的な活用 ○ 信頼できる県内商社との関係構築・育成 8 輸出実現のためのロードマップ ステップ1 事前検討・準備 輸 出 者 主 な 支 援 策 ・貿易知識の修得 ・人材育成 ・市場情報の把握 ・輸出商品の検討 ■輸出セミナーの開催 ■相談窓口設置 ■輸出実務研修の実施 ■企業訪問による助言 ■海外事務所や貿易アド バイザーによる情報提供 ■国際認証等の取得支援 ステップ2 チャレンジ輸出 ・市場評価の把握 ・輸出方針決定 ・海外向け商品開発 ■輸送試験の実施 ■海外フェアの開催 ■求評会の開催 ■外部人材活用支援 ■フードオープンラボ等によ る商品開発支援 ステップ3 本格的な輸出開始 ・見本市への出展 ・商談活動 ・代金決済 ■海外見本市の出展支援 ■海外バイヤー招へいによ る県内企業とのマッチング ■成約に向けたフォロー ステップ4 継続的な輸出実現 ・定番化取引の実現に 向けた商談活動 ・新たな輸出先の開拓 ・商物流の構築 ■取引先情報の提供 ■成約・商物流構築に向 けたフォロー 輸出実現に向けての一貫した支援の実施 9 国・地域別の展開の方向性(輸出:東アジア) 前戦略 での取組 (主なもの) 展開の 方向性 中国 香港 台湾 韓国 ・上海事務所を核とした、 情報提供、県内企業の現 地活動支援 (加工食品) ・求評会の開催等による バイヤーとの関係強化 ・オール九州でのフェア開 催 (木材) ・木材輸出戦略協議会(本 県と鹿児島県の近隣4組 合で設立)の活動支援 ・香港事務所の設置による情 報提供、県内企業の ビジネス 展開支援、商社等への営業活 動 (加工食品・農水産物等) ・見本市等への出展支援 ・貿易アドバイザーの設置 ・県産品フェア開催 ・料理教室の開催 ・新華日本食品との連携協定 締結 ・宮崎空港を活用したスイート ピーの輸出開始 ・貿易アドバイザーの設置によ る情報提供、県内企業の現地 活動支援 ・見本市等への出展支援 ・県産品フェア開催 (農水産物) ・残留農薬基準制度の調査及 び調査結果を踏まえた生産、 出荷体制の検討 ・台湾塾による生産者、流通業 者との交流 ・CLAIR((一財)自治体国際 化協会)派遣職員による情報 提供、県内企業の現地活動 支援 (水産物) ・水産団体との連携による活 魚の輸出トライアルの実施 (木材) ・展示会の出展支援、JETRO と連携した商談会実施 ・現地の技術者養成支援 ・材工一体の建築システムを PRする資料の整備 高い輸出障壁があるた め、現地で信頼できる人 脈の形成を図りつつ、以 下の取組を実施。 ○ 市場特性や輸出制度 の情報収集、提供 ○ 市場ニーズに合致す る輸出品目の掘り起こし ○ JETRO等と連携した ビジネスパートナーの発 掘 日本産同士の産地間競争 が激しくなる中、これまでの取 組の定着・拡大を図るため、 以下の取組を実施。 ○ JETRO等との連携によ る見本市等への出展支援 やフェアの開催 ○ 香港事務所や貿易アドバ イザーによる販路開拓活動 ○ パートナー企業と連携し た輸出品目の拡大 ○ 輸出農産物の鮮度・品質 の安定化による取引量の拡 大 ○ トライアル輸出の実施等 によるキャビアの輸出可能 性の検討 食品全般に関する産地証明 書の添付義務、牛・鶏肉の輸 入禁止、残留農薬基準への対 応など、輸出障壁が多く、日本 産同士の産地間競争も激しく なる中、これまでの取組の定 着・拡大を図るため、以下の取 組を実施。 ○ JETROとの連携による見 本市等への出展支援やフェ アの開催 ○ 市場ニーズに合致する輸 出品目の掘り起こし ○ ターゲットに応じた現地 パートナー企業との関係構築 ○ 台湾塾による生産者等と の信頼関係を礎とした農林 水産物の輸出拡大 高い関税や植物検疫など、 食品・農産物輸出障壁が高い が、水産物消費量が高く、ま た、木材需要も大きいことか ら、以下の取組を実施。 ○ 市場ニーズに合致する 輸出品目の掘り起こし ○ 活魚の輸出拡大 ○ 材工一体型の工法普及 のための研修・建築マニュ アルの開発、パートナー企 業との連携による製品輸出 の拡大、住宅・非住宅など 展開可能な詳細ニーズの調 査 ○ パートナー企業との連携 による花きの輸出促進 10 国・地域別の展開の方向性(輸出:シンガポール、ASEAN、EU、北米) 前戦略 での取組 (主なもの) 展開の 方向性 シンガポール ASEAN EU 北米 ・貿易アドバイザーの設置に よる情報提供、県内企業の現 地活動支援 ・見本市等への出展支援 (農産物・加工食品) ・県産品フェア開催 ・ハラルセミナーの開催 ・小口混載便の物流試験 ・貿易アドバイザーによる情 報提供 (農産物・加工食品) ・インドネシアへの県産牛肉 初輸出 ・ハラルセミナーの開催 (医療機器) ・県単独やJICA・JETRO等 の公募事業の活用による海 外医療人材の育成支援 ・市場特性や輸入制度等の理 解のためのセミナー開催 ・認知度向上やマーケティン グのためのミラノ博出展 ・見本市等への出展支援 (農水産物) ・EUへの県産牛肉初輸出、 フェアの開催 ・輸出可能性の高い品目の検 討や販路開拓方法に関する 調査研究 ・市場特性や輸入制度等の 理解のためのセミナー開催 ・バイヤー招へいによる商談 会の開催 (農産物・加工食品) ・県内企業が実施する焼酎 プロモーションへの支援 ・パートナーとの連携による 県産牛肉販促プロモーション の支援及び同行営業の実施 日本食の消費が富裕層を 中心に広まりつつあり、さらに は、ASEANのショーケースと して、今後、拡大が見込まれ るが、物流コストや鮮度保持 等の課題がある。これまでの 取組の定着・拡大を図るため、 以下の取組を実施。 ○ JETROとの連携による 見本市等への出展支援や フェアの開催 ○ 貿易アドバイザーを活用 した販路開拓活動の実施 ○ ターゲットに応じた現地 パートナー等との関係構築 ○ 日系飲食店・料理教室 に対する提案活動 ○ ハラル対応や物流面を 含め、市場ニーズに合致 する輸出品目の掘り起こし 食品やメディカル分野を中 心に、これまでの取組の定 着・拡大を図るため、以下の 取組を実施。 ○ ターゲットに応じた現地 パートナー等との関係構築 ○ ハラル対応や物流面を 含め、市場ニーズに合致 する輸出品目の掘り起こし ○ 大学主体による海外医 療人材交流を通じたエンド ユーザーへの製品導入の 促進 ○ 新たな医療分野の機器 の販路開拓支援 これまでの取組をベースに、 食品の販路拡大を中心に以 下の取組を実施。また、牛肉 に関しては、県内食肉処理施 設から輸出するための環境づ くりを実施。 ○ 貿易アドバイザーの設置 による市場情報の収集・提 供、輸出品目の掘り起こし、 現地小売店等に対する提案 活動 ○ JETROとの連携による 見本市等への出展支援 ○ HACCP認証等の取得促進 ○ 県産牛肉の県内食肉処 理施設からの輸出に向けた 支援の実施 ○ パートナーと連携したプロ モーション支援及び関係者 連携による同行営業の実施 これまで、大手メーカーに よる化学製品・機械器具等 に加え、県産和牛の販路拡 大に取り組んできたところで あり、今後は、商物流の構築 に向けて、以下の取組を実 施。 ○ JETROとの連携による 見本市等の出展支援 ○ 現地キーパーソンの発 掘のための情報収集 ○ 市場ニーズに合致する 輸出品目の掘り起こし ○ パートナーと連携したプ ロモーション支援及び関係 者連携による同行営業の 実施 11 戦略1 海外への展開促進 (2) 海外進出の支援 現状と課題 人口減少や取引先の海外移転等による国内需要の減少に対応した、従来の製造拠点の進出等に加え、アジアを 中心とする新興国では、急速な経済成長を背景に、安全・安心で魅力ある生活ニーズの高まりや、克服すべき社会 問題への対応が求められていること等から、こうした海外の新たなサービスの需要を取り込むための海外進出等の 直接投資が拡大傾向にあり、本県においても、近年、このような分野に関する知識、技術、ノウハウを持つ企業の海 外進出の動きが見られている。 海外進出に当たっては、現地情報に乏しく、また、多大な資本の投入を要するほか、政情不安・為替変動のように、 個々の企業の取組では回避が困難な事象もあることから、事前の情報収集や入念なマーケティングの実施ととも に、綿密な事業計画を策定し、取組を進める必要がある。また、 知的財産や労務管理等の経営上対応すべきリスク も多くあることから、これらについても、適切に対処していく必要がある。 65 (県内企業における近年の海外進出例) 海外進出を行う県内企業数(累計) 進出先 64 63 A社 ベトナム 国内総合商社と現地食肉処理会社との3社で、 合弁会社を設立し、現地でブロイラーを生産・ 販売 B社 マレーシア 現地の環境保全(悪臭対策)等のため、同社の 鶏ふんを使用したバイオマス発電技術の現地 における導入の覚書締結 C社 ベトナム 現地の環境保全(漁業残渣対策)等のため、同 社の発酵分解技術を用いた、循環型の産業モ デル構築のための実証・普及事業を実施 D社 台湾 レストランカフェ(飲食店)をオープン 62 61 60 64 59 58 57 56 58 59 64 60 55 22年 23年 24年 25年 26年 (出典:宮崎県貿易実態調査) 内容 12 今後の取組方針 ① 現地の投資環境等に関する情報提供 ○ 候補国の経済や投資実務などに関する情報の提供や、最新の市場動向、進出にあたっての留意点などに関 する投資セミナー等の開催 ○ 海外進出を進める上での様々な段階で生じる課題や疑問等に対応するための相談対応 ○ 県内大学や市町村等が実施する交流ミッション等の促進による、現地の政府機関や企業との交流機会の確保 ② 進出計画の策定やマーケティング活動等の支援 ○ JETROとの連携による、入念な事業計画の策定に向けた助言、ビジネスパートナーやサポート企業の紹介 ○ 海外進出に向けた事業計画策定のための、F/S(実行可能性や採算性の調査)やニーズ調査等にかかるJIC A等の施策の活用促進 ○ INPIT((独法)工業所有権情報・研修館)の海外展開知的財産支援窓口の活用促進 ③ JETROとの連携による、リスク管理やサポート体制の整備 ○ 各種トラブル解決に向けた相談対応 ○ カントリーリスクをはじめとする各種リスクへの対応に関するノウハウの提供 ○ 進出当初の短期の活動拠点の提供 ○ 現地でのアドバイス、コーディネート等の現地活動支援 ④ 進出後のフォローアップ ○ 金融機関等との連携による、海外での口座開設や決済等の円滑な事業展開のためのファイナンス面での支援 ○ 海外での事業展開に伴う様々なリスクや知的財産権等に対応するための助言等の実施 13 海外進出実現のためのロードマップ ステップ1 事前検討 企 業 等 主 な 支 援 策 ステップ2 事前準備 ・対象国の市場動向、投資環境の情報収集 ・進出計画の策定 ■海外展開相談 ■投資セミナーの開催 ■市場調査支援 ステップ3 取引先・提携先の開拓 ・パートナーの発掘 ・商談活動、契約締結、 会社設立 ■情報提供(現地の投資情報、リスクマネージメント) ■専門家による個別アドバイス ■ビジネスパートナーやサポート企業の紹介 ■海外展開相談 ■F/S支援 ■商品開発支援 ■計画策定支援 ステップ4 進出実現 ・販路拡大 ・海外投資 ■貸しオフィス活用支援 ■ジェトロ等による現地で のアドバイス ■ファイナンス支援 ■パートナー企業等に対す る信用調査 ■海外見本市の出展支援 ■外部人材活用支援 ■契約までのコンサルティ ング 投資活動のステージに応じた支援の実施 14 戦略2 海外からの誘致推進 (1) 観光誘客の推進 現状と課題 日本を訪れる外国人旅行者数は、これまで概ね増加傾向で推移しており、平成25年には初めて年間1,000万人を 突破し、平成27年には過去最高の1,970万人を超えたところである。 国においては、訪日外国人旅行者数3,000万人を見据え、受入環境の整備やビザ要件の戦略的緩和、外国人旅行 者向け消費税免税制度の更なる拡充等に取り組むこととしている。 本県においては、香港線の新規就航などにより、外国人旅行者は増加傾向にあるものの、引き続き、本県の地理 的優位性を生かしながら、国際定期便のある韓国、台湾、香港を中心に本県の認知度向上対策等に取り組むととも に、首都圏等の空港からの乗り継ぎによる誘客促進に取り組む必要がある。 また、Wi-Fi環境や多言語表記などの受入体制の充実、他県との広域連携等とともに、今後、リピーター確保のた め、より魅力的なコンテンツの開発や旅行形態の主流となりつつある個人旅行(FIT)に対応した、二次交通対策、 ターゲットを明確にした誘客促進等にも取り組む必要がある。 本県訪日外国人延べ宿泊客数の推移 ○本県訪日外国人延べ宿泊客数の推移 200,000 単位:人泊 平成24年 訪日外国人 延べ宿泊客数 153,230 平成25年 136,990 ※平成27年は1月~10月の速報値の合計 平成26年 161,020 平成27年(※) 186,040 150,000 100,000 50,000 0 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 15 今後の取組方針 ① 受入環境の整備 ○ 外国人観光客のニーズに的確に対応するためのマーケティングや、地域マネジメント機能を備えた組織の構 築(宮崎版DMO) ○ 観光案内板や観光情報ホームページの多言語化など外国語表記等の充実 ○ 主要な観光地等へのWi-Fi整備の促進や、クレジットカード決済環境整備等、利便性向上のための環境整備 ○ 外国人個人旅行者向けパンフレットの充実やインターネットを活用した交通アクセス情報等の二次交通対策 ○ 研修会の実施や大学との連携による留学生ガイド研修などによる観光ガイドの育成 ○ ホテル旅館等向けの研修やハラル等に関する研修会の充実、観光関係従業者の語学能力の向上等 ② ターゲットを明確にした誘客促進 ○ 市場調査や関連産業等の実態把握、東九州自動車道を活用した新たな観光ルートの提案等、市場別戦略の 推進 ○ 首都圏等の空港からの乗り継ぎによる誘客 ○ 外国クルーズ船や国際チャーター便の誘致 ○ 海外事務所を活用した的確な情報発信や旅行会社等へのセールス、ターゲット可能性地域への駐在員の配置等 ③ 広域連携による誘客促進 ○ 九州各県の強みを生かした広域観光ルートの設定や九州観光推進機構を中心としたプロモーション等の実施 ○ 東九州自動車道を活用した大分県等沿線自治体との連携や、南九州3県での連携による観光ルートの設定、 招へいツアー等の実施 ○ 県内市町村との情報交換や補助事業等活用による、県及び市町村間の連携強化 16 国・地域別の展開の方向性(観光) 前戦略 での取組 展開の 方向性 韓国 台湾 香港 中国 ASEAN EU 北米 ・冬期のゴルフ 商品による誘 客促進 ・テレビショッピ ング等を活用 した誘客促進 ・エージェント やアシアナ航 空と連携した 旅行商品の造 成支援 ・メディアを活用 した認知度向上 対策の実施 ・エージェントと 連携した旅行商 品の造成支援 ・クルーズ船の 誘致促進 ・メディアを活 用した認知度 向上対策の実 施 ・エージェントと 連携した旅行 商品の造成支 援 ・チャーター便 の誘致 ・富裕層へ向 けたゴルフ環 境のPR等の 実施 ・クルーズ船 の誘致促進 ・チャーター 便の誘致 ・九州観光推進 機構等と連携し た認知度向上 対策の実施 ・多言語対応や ハラルセミナー の実施等受入 環境の整備 ・九州観光推進機 構等と連携した認 知度向上対策の 実施 ・特になし ○メディアを活 用した認知度 向上によるFIT の誘客促進 ○ゴルフ商品 の通年化 ○トレッキング、 マリンスポーツ 等の新たな魅 力による誘客 促進 ○釜山からの チャーター便 の誘致 ○クレア海外 事務所等との 連携による情 報発信等 ○メディアを活 用した認知度向 上によるFITの 誘客促進 ○エージェント や隣県等と連携 した周遊旅行商 品の造成強化 ○ゴルフを活用 した誘客促進の 強化 ○クルーズ船の 誘致強化 ○メディアを活 用した認知度 向上によるFIT の誘客促進 ○エージェント や隣県等と連 携した周遊旅 行商品の造成 強化 ○香港事務所 を活用した セールスや情 報収集の強化 ○JNTO(日本 政府観光局) 海外事務所等 との連携によ る情報発信等 ○ゴルフ環境 等の認知度 向上による誘 客促進 ○クルーズ船 の誘致強化 ○エージェン トや隣県等と 連携した周遊 旅行商品の 造成強化 ○北京等から のチャーター 便の誘致 ○上海事務 所を活用した セールスや情 報発信等 ○九州観光推 進機構等と連携 したタイ等での 認知度向上対 策の実施 ○エージェント や隣県等と連携 した周遊旅行商 品の造成強化 ○タイ等からの チャーター便の 誘致 ○ムスリム対応 のセミナー等の 実施 ○JNTO海外事 務所等との連携 による情報発信 等 ○九州観光推進 機構等と連携した 認知度向上対策 の実施 ○東京オリパラ競 技大会を契機とし たホストタウンとの 交流 ○ラグビーW杯を 活用した誘客促進 ○首都圏等から の乗り継ぎによる 誘客 ○世界農業遺産 や「食」等の魅力を 活用した観光PR ○JNTO海外事 務所等との連携に よる情報発信等 ○九州観光 推進機構等 と連携した 認知度向上 対策の実施 ○首都圏等 からの乗り 継ぎによる 誘客 ○宮崎牛な どの「食」の 魅力を活用 した観光PR ○JNTO海 外事務所等 との連携に よる情報発 信等 17 戦略2 海外からの誘致推進 (2) みやざきMICEの確立 現状と課題 本県は、過去にサミット外相会合、国際自由労連世界大会など世界トップクラスのMICEを開催した実績があり、ア フターMICEに対応できるゴルフ場などを有するリゾート環境とともに、日南海岸等の風光明媚な観光資源や神話な どの本県ならではの素材が充実している。 また、宮崎牛や地鶏、完熟マンゴーなどの豊かな自然に育まれた魅力あふれる食材の宝庫であり、これら恵まれた 環境を生かして、以前からMICE誘致に積極的に取り組んできた。 2014年には、MICEを県の重点施策に掲げ、2015年4月に制定した「神話のふるさと宮崎観光おもてなし推進 条例」に基づく宮崎県観光振興計画にも、MICE誘致の促進を本県経済の発展等に資する取組として基本方針に掲 げたところである。 一方、MICEの誘致・開催は、ビジネス機会やイノベーションの創出につながるとともに、地域に対し大きな経済効 果を生み出すため、近年、国内だけでなく、海外の各都市でMICE誘致の競争が激化している。 このため、これまでの施設やMICEメニューの紹介等だけでなく、ターゲットを絞った誘致活動を組織的・戦略的に 進め、宮崎ならではのMICEの誘致・受入体制の強化を図る必要がある。 【過去5年のMICE開催実績(件・人)】 年 度 件 数 延参加者数 22 全体 166 292,164 23 国際会議 全体 19 181 16,077 218,116 24 国際会議 全体 17 200 26,863 226,783 25 国際会議 全体 17 176 24,105 239,517 26 国際会議 12 9,430 ※H22年度は「全国高等学校総合文化祭」約10万3千人を含む。 ※国際会議:参加者総数が20人以上で、かつ参加国が日本を含む2か国以上を占める国際会議等。 または、参加者総数が20人以上で、かつ外国人参加者数が10人以上を占める国内会議等。 全体 193 217,780 国際会議 12 18,827 18 今後の取組方針 ① MICE推進体制の整備 ○ みやざきMICE推進協議会の組織強化 ○ 計画的・戦略的にグローバルMICEを誘致するための誘致戦略の策定 ○ 海外との人脈やノウハウを備えたMICE専門人財の育成 ○ 宿泊施設等のMICE事業者の意識向上を目的とした研修会等の開催 ② オールみやざきでの受入体制強化 ○ 県内市町村と連携した広域的で多様なMICEメニューの開発と利用促進 ○ 県庁本館やフローランテみやざき、西都原古墳群などのユニークベニューの発掘と利用促進 ○ 神楽、ひょっとこ踊りの披露など、宮崎ならではのナイトメニューの充実 ○ Wi-Fi整備やハラル対応など、外国人の受入体制強化 ○ MICE主催者の負担を減らすための対応窓口の一元化 ③ MICEの誘致促進 ○ 農林業や環境分野など、本県の強みを活かしたグローバルMICEの誘致促進 ○ MICEアンバサダーの任命など、外部の高度な専門家を活用した誘致促進 ○ 国外の商談会等へ積極的に参加するとともに、グローバルMICEの主催者などのキーパーソン招へいの実施 ○ 複数のメディアやHP等を活用した国外への積極的な情報発信 ○ 海外からのインセンティブツアーの誘致強化 ○ 九州各県との広域連携によるグローバルMICE誘致 19 戦略2 海外からの誘致推進 (3) 海外からの投資呼び込み 現状と課題 海外の企業・資本を呼び込むことは、国内の投資や雇用に寄与するとともに、世界の優れた技術やノウハウ等の活 用により、内外資源の新たな融合によるイノベーションが起こり、日本経済の成長力強化につながるとの考えの下、 国においては、「日本再興戦略」(H25.6.14閣議決定)において、対日直接投資の促進に強力に取り組むこととしている。 本県においても、これまで、医療機器メーカーの製造工場や、大手情報通信企業のコールセンターなどの外資系企 業が立地し、近年では農業参入などの動きも見られているが、国内全体で見ると、進出企業は大都市圏に集中して いる実態にある。 今後、本県産業の更なる発展のためには、本県のポテンシャルを生かし、外国企業の誘致や投資促進、既に国内 進出した外資系企業の二次投資の呼び込みなど、JETROを中心とする関係機関と十分に連携しながら、企業の ニーズを踏まえ、戦略的に取り組む必要がある。 外資系企業数の状況 2131 299 (出展:平成26年外資系企業動向調査(経済産業省)) 168 ※データは、上記調査に回答した企業数であり、実際に立 地している外資系企業数とは一致しない。 81 67 29 東京都 神奈川県 愛知県 大阪府 兵庫県 福岡県 4 5 3 0 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 3 4 5 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 20 今後の取組方針 ① ターゲットを明確にした誘致活動の推進 ○ JETROとの連携により、誘致ターゲットとする国や業種を明確にし、戦略的かつ集中的な誘致活動を展開 ② 投資意欲のある企業の発掘 ○ 海外事務所やJETRO等の海外とのネットワークを活用した企業情報の収集 ○ 外資系企業が多く立地する大都市圏における企業訪問等の実施や各種セミナー・展示会等の場を通じた企業 の掘り起こし ③ 外国企業への情報発信 ○ JETRO等との連携による海外経済ミッションの受入れや国際会議の場等を活用した、本県の投資環境の周知 ○ 知事の海外訪問の機会を捉えた本県の投資環境のPR ○ 多言語に対応した企業誘致パンフレット、PR動画、ホームページの作成 ④ 既進出外資系企業の事業拡大促進 〇 フォローアップ活動等によるきめ細かな情報収集と事業拡大の促進 〇 各種セミナーや本社訪問等の実施による本県の投資環境のPR 21 戦略3 経済交流の基盤整備 (1) 航空ネットワークの維持・充実 現状と課題 現在、宮崎空港発着の国際定期路線は、ソウル線、台北線及び平成27年3月に就航した香港線の3路線が運航 しており、ソウル線、台北線は平成26年度の利用者数が外国人利用者の増加などの影響から過去最高となった。 しかしながら、路線の安定的な運航のためには、引き続き日本人利用者の増加や年間を通じた利用者の確保が重 要であり、機材の大型化や増便など利便性の向上により路線の充実を図ることも課題となっている。 また、円安や訪日外国人旅行者2,000万人を目指した国の施策などで外国人観光客が増加する中、地方が訪日需 要を取り込むための航空路線の展開等が課題となっており、観光需要の高い時期に運航するインバウンドチャー ター便の誘致を進めるなど、新規路線の開拓を図ることが必要となっている。 今後の取組方針 (人) ソウル線・台北線の利用者数 ① 既存路線の維持・充実 ○ 韓国、台湾、香港での本県のPRや定期路線の利用促進 ○ 県民への路線PRや利用促進 ○ 航空会社・旅行会社等に対する路線の維持、増便など の要望活動 45,000 ② 新規路線の開拓 ○ 航空・旅行会社等に対するインバウンドチャーター便等 の要望活動 ○ 空港の受入環境の充実 ○ 海外での本県のPR等による知名度向上の取組 15,000 40,000 35,515 35,000 39,642 35,504 20,000 34,761 34,508 28,299 30,000 25,000 36,596 24,650 21,350 20,493 ソウル線 19431 台北線 香港線 10,000 5,000 0 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 ※27年度は、H27.4~H28.1のデータ 22 戦略3 経済交流の基盤整備 (2) 海上ネットワークの維持・充実 現状と課題 県内港湾を利用する外航船舶は、港湾背後の立地企業等が生産活動のために利用するバルク貨物船や、コンテ ナを用いて原材料や製品などの貨物を輸送する定期コンテナ船などがあるが、バルク貨物船では、企業の生産活動 に応じて金属鉱や木材チップ等の原材料、石炭等の燃料の輸入や原木等の輸出で港湾が利用されている。 一方、定期コンテナ船は、現在、韓国航路、中国航路、韓国・中国航路、神戸航路が就航しており、近年航路が拡 大している中、東アジアの主要国である中国及び韓国をはじめ、世界各国への輸出入に港湾が利用されている。 このように、港湾が企業活動に重要な役割を担っている状況を踏まえ、これまで岸壁やふ頭などの港湾施設の整 備を図ってきたところであるが、今後、さらに、本県産業が国際競争力を強め、成長していくためには、近年のバルク 貨物船の大型化に対応した港湾施設整備等による物流機能の強化を図っていく必要があるとともに、既存のコンテ ナ航路の維持・充実のため、更なる取扱貨物の増加に努め、県内港湾の利用促進を図っていくことが必要である。 あわせて、港湾の利用促進はもとより、観光誘客の観点からも、人と物の円滑な流れを支えるCIQ体制について、 より一層の整備を図ることが必要である。 県内港湾(細島港、油津港)のコンテナ貨物の推移 40,000 30,000 20,000 輸移入(空) 輸移出(空) 輸移入(実入り) 輸移出(実入り) 37,954 36,325 37,645 39,221 39,214 10,283 8,862 8,863 10,104 11,141 8,030 4,435 7,455 5,234 5,150 5,377 5,388 8,355 9,507 9,905 9,215 3,876 8,273 10,915 14,082 12,806 13,500 14,514 15,924 H21 H22 H23 H24 H25 H26 30,835 10,000 (単位:TEU) 0 23 今後の取組方針 ① 県内港湾の利用促進 ○ 県内港湾の利用に向けた貨物集荷の促進 ○ 大型岸壁やふ頭用地整備等の港湾機能の強化による港の利便性の向上 ○ 県内外での港湾セミナーの開催や企業訪問による県内港のストック効果のPRや利用の働きかけの実施 ② 航路の維持・充実 ○ コンテナ航路の船会社への訪問による、既存航路の維持・充実のための働きかけの実施 ○ 港湾セミナー等による港湾利用貨物の状況説明及び船会社と荷主の意見交換、商談の場の提供 ③ CIQ体制の充実 ○ スムーズな通関や検疫の実現とともに、大型クルーズ船のファーストポート実現のため、国に対するCIQ体制 の充実に係る要望活動の実施 24 戦略4 グローバル人材の育成・確保 (1) 企業や大学等と連携した人材の育成・確保 現状と課題 企業の海外展開の拡大に向けては、貿易知識等に精通し、海外との取引に対応できる人材の育成・確保が必要で あるため、県では、これまで、JETRO等との連携による国際セミナー・貿易実務研修の実施や、フードビジネスアカ デミーにおけるEU塾や台湾塾の開催、さらには、留学生と企業とのマッチング機会の提供や、JETROのアドバイ ザーや県工業会に設置するコーディネーター等が、県内企業からの相談に応じ、ニーズに応じてアドバイスや支援機 関等の紹介を行ってきたところである。 このような中、近年、少子高齢化はもとより、県外への大学進学や就職などを要因に、地域や産業の担い手自体が 不足することが懸念される中で、現に、企業で働いている社員のスキルアップに加え、グローバル人材の育成・確保 に向けては、若者の県内への定着・確保への取組が大きな課題となっている。 このため、今後とも、国際ビジネスに対応できる企業内での人材育成や留学生の活用に取り組むとともに、大学や 産業界と連携しながら、地域貢献の意識を持ち、県内経済・産業のグローバル化の推進に寄与できる人材の育成・ 確保に、より一層、取り組む必要がある。 25 今後の取組方針 ① 産学金労官で構成する「みやざき産業人財育成プラットフォーム」の構築 ○ 県内企業と海外でのインターンシップを組み合わせたグローバル人材の育成 ○ 「みやざきビジネスアカデミー(MBA)」における企業の中核人材の育成 ② 留学生の活用、研修生の受入れ促進 ○ 九州グローバル産業人材協議会(九州各県・経済界等で構成)等との連携による留学生と企業とのマッチング 機会の提供 ○ 留学生の活用事例等の県内企業への周知による、企業の採用意欲の喚起 ○ 将来の現地パートナーとしての育成も見据えた、外国人研修生の受入れ促進 ○ JITCO((公財)国際研修協力機構)の外国人技能実習生制度の活用促進 ③ 国際ビジネスノウハウ等の修得支援 ○ 経営者や従業員を対象にした経済国際化セミナーの開催 ○ 貿易実務の習得のための、JETROの貿易実務講座の受講促進 ○ 県や経済界等が実施する海外でのミッションやプロモーション等への参加促進 ○ 輸出促進のためのコーディネーターの配置による、県産品の海外販路開拓に関する相談助言等の実施 ○ JETROやHIDA((一財)海外産業人材育成協会)等による海外企業へのインターンシップ事業等の活用促進 ○ JICAやJETROの公募事業活用による、海外医療人材育成の取組の継続支援 ○ 県内の大学に通う学生に対する、インターンシップや海外留学の場の提供 26 戦略4 グローバル人材の育成・確保 (2) 学校教育による人材の育成 現状と課題 我が国の社会は、国際化の進展など、めまぐるしく変化しており、児童生徒にはこれからの変化の激しい社会に対 応しながら自己変革をし、たくましく生き抜く力を育むことが求められている。 このため、学校では、自国の歴史や伝統文化を十分に理解した上で、異文化を理解し、国際社会の一員として主体 的に生きていこうとする態度の育成など、国際化・グローバル化に柔軟に対応できる児童生徒の育成が必要となる。 そこで、本県の学校においては、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国や郷土を愛し誇りをもつとともに、 他国を尊重し、国際的な視野で考える力の育成、コミュニケーション能力の向上など、グローバル化に対応した教育を 推進している。 県の調査でも、世界の出来事に関心をもっている児童生徒は年々増えてきており、その成果によるも のも大きいと考えられる。また、最近は県内でも外国人と接する機会が増えてきており、英語を中心に学んだことを発 揮する機会も増えてきている。 今後さらに、グローバルな視野をもって活躍できる人材の育成につなげるため、各学校における「外国語教育」や 「国際理解教育」などの日々の取組をより一層充実させる必要がある。 27 今後の取組方針 ① 国際理解教育の推進 ○ 我が国や郷土の歴史や伝統文化を理解し愛する教育の充実 ○ 国際社会や異文化の理解など全教育活動を通しての国際理解教育の充実 ○ 国際交流員(CIR)や外国語指導助手(JET)、地域在住の外国人、留学生等に協力をいただいての国際理 解教育の推進 ○ 将来のグローバルリーダーを育成するために、質の高い教育カリキュラムの開発・実践を目的として文部科 学省に指定されているSGH(スーパーグローバルハイスクール)の取組の推進 ○ SGHの取組をモデルとした、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付けた人材の育成 ② 外国語教育の推進 ○ 小学校外国語活動と中学校・高等学校の外国語教育の充実によるコミュニケーション能力の育成 ○ 教員に対する指導力向上研修の実施による授業の充実 ③ 海外留学の促進 ○ ホームステイ・留学等の情報収集・提供及び準備指導のために、県立高等学校及び中等教育学校に、留学 支援担当窓口を設置 ○ 県立高校生を対象に、留学生やALT等との交流を通して、国内にいながら海外留学の模擬体験ができる取 組の実施 ○ 県内の高校生を対象に、短期留学及び長期留学の支援 28 戦略5 海外との連携・多様な交流の促進 現状と課題 これまで、県では、海外との連携・多様な交流を促進するため、海外自治体等への訪問や在外15の宮崎県人会と の意見交換等を通じ、海外関係機関等とのネットワークの強化、拡大を図るとともに、東アジアとの民間交流促進事 業をはじめとする文化交流や教育交流、海外の博物館との学術交流等を実施してきており、平成27年11月には、 韓国ソウル特別市との間で、双方の友好交流を将来にわたって進展させることを目的とした、「観光交流キャンペー ン事業に関する協定書」を締結するなど、海外との多様な交流を積極的に推進している。 また、市町村、民間団体においても、姉妹・友好都市交流や、経済交流、国際協力活動など、多彩で特色ある交流 を行っているところである。 このような中、本県が、アジアをはじめとする世界市場をターゲットに、海外への展開や海外からの誘致、さらには、 グローバルなビジネスを担う人材の育成を行うにあたっては、これら経済分野以外での交流により築いてきた海外の 政府関係者、経済人、県人会、さらには文化・スポーツ等の民間団体等とのネットワークを更に強化、拡大し、これを きっかけとして、経済やグローバル人材の交流につなげる取組が重要となる。 また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、今後、スポーツはもとより、様々な分野での交流 の機会が生じることから、関係機関等と連携を図り、交流のきっかけとなるチャンスを的確に捉える必要がある。 29 戦略5 海外との連携・多様な交流の促進 今後の取組方針 ① 海外自治体や関係機関との連携強化 ○ 海外自治体との様々な分野での提携・連携の推進 ○ CLAIR等の政府機関等との連携・協力を通じた、新たな海外とのネットワークの開拓 ○ 海外の県人会との関係強化のための、情報交換や訪問活動の実施 ○ 県のPRに県人会を活用するなど、県人会と本県との新たな関係の構築 ○ 市町村の国際化関連施策に関するアドバイスや情報提供による、姉妹・友好都市交流をはじめとする国際交 流や国際協力の促進 ② 多様な分野・主体による交流の促進 ○ 台湾、韓国など、アジアの民間団体や青少年との交流事業の推進 ○ 市町村や(公財)国際交流協会との連携による、文化、教育等多様な分野で活動する民間団体の交流促進 ③ 外国人受入環境の整備充実 ○ (公財)国際交流協会による日本語学習機会の提供等など、在住外国人への日本語学習の支援体制の充実 ○ ホームページや行政情報の多言語化等により、多様な言語による行政・生活情報の提供 ○ 外国人の生活相談のための窓口機能の充実 ④ 東京オリンピック・パラリンピックを契機とした交流の促進 ○ 大会参加国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図るため、市町村や民間団体との連携による、ホスト タウン構想の推進 30 国・地域別の展開の方向性(海外との連携・多様な交流) これまで の取組 展開の 方向性 韓国 台湾 ・市町村、民間 団体等による多 様な交流の展 開 ・定期便就航を 契機とした青少 年交流の実施 ・ソウル特別市 との観光交流協 定の締結 ・行政機関や県 人会等との人的 ネットワークの 構築 ・クレアソウルへ の職員派遣 ・定期便就航を 契機とした民間 団体の交流の 実施 ・市町村、民間 団体等による多 様な交流の展 開 ・フードビジネス 分野等における 交流の実施 ・行政機関等へ の訪問を通じた 人的ネットワー クの構築 ○市町村、民間 団体等の交流 の継続・深化 ○ソウル市との 多様な分野での 連携強化 ○行政機関や 県人会等との人 的ネットワーク 維持・拡大 ○クレアソウル との連携強化 ○市町村、民間 団体等の交流 の継続・深化 ○フードビジネ ス分野等におけ る交流の展開 ○台湾の各都 市との多様な分 野での連携の 強化 中国 (香港含む) 北米・中南 米 シンガポール ASEAN EU ・上海・香港事 務所・県人会を 拠点とした人 的ネットワーク の構築 ・九州各県と連 携した交流の 実施 ・市町村、民間 団体等による 多様な交流の 展開 ・市町村、民間 団体等による多 様な交流の展 開 ・クレアシンガ ポールへ職員 派遣 ・宮交ボタニック ガーデン青島 (県立青島亜熱 帯植物園)とシ ンガポール植物 園との姉妹提携 ・大学等の海外 ネットワークの 展開 ・海外技術研修 員の受入 ・ベトナムナム ディン省との農 業分野における 連携協定の締 結 ・県、宮崎市、 延岡市がドイ ツのホストタウ ンに指定 ・市町村、民間 団体等による 多様な交流の 展開 ・県ブラジル 親善協会等と 連携した県人 会との交流 ・県人会周年 行事への訪 問、支援 ・県費留学生 の受入 ○海外事務所 と上海・香港県 人会を核とした 交流の拡大 ○相互交流に 繋がる多様な 人的ネットワー クの維持、拡大 ○市町村、民間 団体等の交流 の継続・深化 ○クレアシンガ ポールとの連携 強化 ○大学が中心と なった産学官連 携による交流の 推進 ○積極的な海 外技術研修員 受入の継続 ○海外の自治 体との連携の推 進 ○相互交流に 繋がる多様な人 的ネットワーク の維持、拡大 ○ホストタウン 指定を契機と した交流の推 進 ○イタリア等、 本県ゆかりの 国との交流促 進 ○本県在住経 験のある元 JET青年(CIR、 ALT)等との連 携 ○県人会主 催事業等へ の参加による 県人会との関 係強化 ○北米・中南 米の県人会 活動への協 力・支援 ○本県在住 経験のある元 JET青年等と の連携 31 Ⅳ 成果指標 本戦略による各種施策の達成度を把握するため、戦略ごとに、以下の成果指標を設定。 指標 戦略1 戦略2 輸出額 現況値(26年度) 目標値(30年度) 1,507億円 1,700億円 海外展開(輸出・進出)を行う中小企業数 225社 270社 訪日外国人延べ宿泊者数 16万人 35万人 4回 50回 12件 30件 6社 8社 国外からのクルーズ船寄港回数 グローバルMICE開催件数 立地認定している外資系企業数 戦略3 県内港湾におけるコンテナ貨物取扱数 39,214TEU 44,000TEU 戦略4 県内で雇用されている外国人労働者数 1,885人 2,260人 世界の出来事について関心を持ってい る児童生徒の割合 80.6% 93.6% 4.4% 5.0% 戦略5 県民の出国率 ※ 統計上、暦年で調査・公表されている指標については、年度ではなく、年の数値を記載している。 32
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