資料2-2 海外調査報告 (アメリカ) 平成28年4月7日 経済状況 ○ 実質GDP成長率は2009年に▲2.8%まで落ち込んだものの、「米国再生・再投資法(2009年2月)」などの景 気刺激策により、翌年の2010年に2.5%まで回復して以降、安定的な成長を維持。 ○ 失業率は2010年に9.6%まで増加したが、その後は景気回復とともに改善し、足元ではリーマン・ショック前 の水準近くまで回復(2007年:4.6%⇒2010年:9.6%⇒2016年:4.9%)。金利は低下傾向。 (%) 10 9.6% リーマン・ショック (2008年9月) 失業率 8 6 4.6% 4.9 % 10年物国債金利 4 2.8% 2.5% 2 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ▲2 実質GDP成長率 ▲ 2.8% ▲4 2001.1 ~ 2009.1 2009.1 ~ ブッシュ大統領 (共和党) オバマ大統領 (民主党) (出典)IMF「World Economic Outlook」。但し、10年物国債金利についてOECD「Economic Outlook 98」。 1 2014 2015 2016 (暦年) 財政状況 ○ 財政収支対GDP比(一般政府ベース)は、リーマン・ショック直後に実施した大規模な経済対策(総額7,872 億ドル:対GDP比5.5%)、失業給付の増加、税収の低下等により一時的に大きく悪化。(2009年:▲13.2%) ○ 一時的な景気対策の終了、「Pay-As-You-Go」や「Cap」等の歳出抑制策、歳入強化策や金融政策等もあり 堅調な個人所得、企業収益の改善等に支えられ、財政収支対GDP比が改善。 (%) 5 120 リーマン・ショック (2008年9月) 102.5% 94.7% 0 104.8% 104.8% ▲5 65.5% 53.0% 55.4% 63.6% 106.0% ▲ 1.8% ▲ 1.5% 90 ▲ 2.8% ▲ 3.8% ▲ 3.6% 64.0% 60 58.5% 財政収支 対GDP比 (左軸) ▲ 10 64.9% 104.9% 99.0% 86.0% 72.8% (%) 実質GDP成長率(左軸) PB対GDP比 (左軸) 30 債務残高 対GDP比 (右軸) ▲ 13.2% ▲ 15 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2001.1 ~ 2009.1 2009.1 ~ ブッシュ大統領 (共和党) オバマ大統領 (民主党) 2014 2015 2016 (暦年) (出典)IMF「World Economic Outlook」 2 財政運営を規律するルール ○ 直近の「2017年度予算教書」(2016年2月)では、「2025年度にかけて財政赤字対GDP比を3%未満に収 めることで、債務残高対GDP比を安定させ、さらには減少させる軌道に乗せる」とされている。 ①Cap(根拠法:2011年予算管理法) • 裁量的経費に上限を設け、この上限を超える歳出予算法が成立した場合、裁量的経費に対する一律削 減(Sequestration)を行う制度。 • 歳出の約3割を占める裁量的経費にCapを設定(2012~2021年度:総額▲0.9兆ドル) ②Pay-As-You-Go(根拠法:2010年Pay-As-You-Go法) • 新規施策や制度変更により、同一年度内に債務増が見込まれる場合、債務増を相殺するため、義務的 経費に一律の削減率を課して強制削減。これまで強制削減の実施例はなし。 ※ ブッシュ(父)政権下の90年包括財政調整法(OBRA90)により、「Cap」及び「Pay-As-You-Go」の枠組みが導入されたものの、ブッシュ(子)政 権下の2002年9月末に失効。その後の財政悪化を受けて、オバマ政権下で、これらのルールが復活。 ③債務上限(根拠法:1917年第二自由公債法) • 債務の上限を法律に規定。上限が引き上げられず、債務残高が法定上限に達した場合、債務不履行(デ フォルト)に至るおそれがある。2011年、2013年には、議会における政治的対立から上限引上げが遅れ、 社会問題化。 ※ 足元では、2015年11月2日に「2015年超党派予算法」が成立し、2017年3月15日まで債務上限に係る規定が不適用となっている。 ※ OMBへのヒアリングで、2015年に行われた債務上限に到達するのを引き延ばすために使われる「臨時措置」(extraordinary measure)に より、2,000億ドル程度の資金繰りが可能になったとの回答あり。 3 財政健全化に向けた取組① ○ 2009年1月に民主党のオバマ大統領が就任して以降、野党である共和党に、2010年11月の中間選挙で下 院の過半数の議席を、2014年11月の中間選挙で上院の過半数の議席を獲得され、議会運営が不安定化。 ○ 民主党と共和党は、財政健全化を目指すという点では一致していたが、民主党は増税を含む赤字削減を、 共和党は増税を含まない歳出削減を主張し、政策手法で対立。債務上限引上げ等の財政措置が政治駆け 引きの対象となり、市場の混乱・政府閉鎖・強制歳出削減につながり、経済社会へ大きく影響。 <2009年1月オバマ政権発足時> <2010年11月中間選挙後> <2012年11月大統領選挙後> <2014年11月中間選挙後> 民主党 共和党 民主党 共和党 民主党 共和党 民主党 共和党 上院 (100) 59 (59%) 41 (41%) 上院 (100) 55 (55%) 45 (45%) 上院 (100) 55 (55%) 45 (45%) 上院 (100) 46 (46%) 54 (54%) 下院 (435) 256 (59%) 178 (41%) 下院 (435) 193 (44%) 242 (56%) 下院 (435) 201 (46%) 234 (54%) 下院 (435) 188 (43%) 247 (57%) (注)赤囲み部分は多数政党。議席数は欠員や無所属議員を含む場合がある。 ◇ ◇ ◇ ◇ 2011年7月22日、債務上限引上げについてオバマ大統領(民主党)と共和党の協議が決裂(最悪の場合デフォルトの危機)。 2011年7月29日、下院(共和党多数)が可決した案を上院(民主党多数)は、棚上げ動議により事実上の否決。 2011年7月30日、上院で法案が提示されるも、審議継続。 2011年8月1日、与野党間の合意が成立。翌2日、「2011年予算管理法」が成立し、Capの導入決定。また、Capによる歳出削減額に相当する 約9,000億ドルの債務上限引上げ決定。 ◇ 2011年予算管理法に基づき、両院・超党派の「財政赤字削減のための合同特別委員会」が発足し、赤字削減策の議論開始。 ◇ 2011年11月23日までに財政赤字削減策を委員会内で採決する予定であったが、交渉決裂。その結果、1.2兆ドルの債務上限の引上げが決定 するとともに、 2013年3月に1.2兆ドルの強制歳出削減が発動。 ◇ 2013年9月、債務残高が再び債務上限に近接。債務上限引上げに当たり、オバマケアの取扱いを巡って上下両院が対立。その結果、年度内 に暫定予算が成立せず、2013年10月1日から16日まで、政府機能の一時停止(ガバメント・シャットダウン)が発生。 ◇ 大統領と議会での協議の結果、デフォルト直前の10月16日に超党派合意が成立。債務上限引上げ、Capの一部緩和等が決定。 4 財政健全化に向けた取組② ○ 一旦成立した財政健全化ルールを超党派で修正することが難しく、財政健全化措置の実効性が高まった。 ○ 毎年度政治的に判断するような財政措置は政治的駆け引きに利用されるリスクがあるため、 「2015年超党 派予算法」による措置は複数年度の合意事項となった。また、Capの上限緩和をめぐって短期的な財政出動 を認めつつも、一方で中期的なフレームで財政健全化措置を維持。 議会運営に対する評価 ○ リーマン・ショック以降、財政健全化を求める世論が高まる中で、2010年11月以降の「ねじれ議会」によって、二大政党が財 政健全化に対する責任を共有せざるを得ない状況が生まれた。 ○ 党派対立による「決められない政治」により、一度成立した財政健全化ルールを修正する柔軟性がなかったことが結果的に 財政健全化の追い風になった。 (出典)財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」平成26年第4号(通巻第120号)“「米国における財政健全化」(安井明彦)” <OMBへのヒアリング> ○ 民主党と共和党で財政健全化に対するアプローチが異なるため、基本的に合意形成は難しい。法制化されたCapによる強 制歳出削減への批判も存在したが、一旦成立した法律を修正・廃止するにも超党派での合意が必要。不安定な議会情勢の 下ではそのハードルは高く、結果的にCapの実効性が高まり、歳出抑制や財政健全化に寄与した。 ○ 債務上限問題は、政治的に利用された場合、デフォルトに陥る可能性もあり、短期的な期限設定は危険。 2015年超党派予算法の内容(2015年11月) ○ 2017年3月15日まで債務上限を適用しないことで合意(成立をめぐり、議会における大きな混乱はなし)。 ○ 2016年度と2017年度の裁量的経費のCapを緩和する一方、その財源として、義務的経費の上限設定の期限を2024年度か ら2025年度に1年延長、戦略的石油備蓄の売却などを盛り込み、2025年度までの10年間で歳出増加分に相当する財源確保 策を措置。 5 社会保障改革(年金)の取組 ○ 公的年金制度として、有業者(一部の公務員や鉄道職員を除く。)に適用される老齢・遺族・障害年金 (OASDI)制度が存在。現役世代が支払う社会保障税が、その時点の高齢者に年金として支払われる。日本 とは異なり、公費による補てんは行っていない。 ・ 加入者数 : 1億6,600万人、全受給者数 : 約5,900万人(2014年末) ・ 社会保障税率は12.4%(被用者は労使折半、自営業者は全額自己負担) ・ 平均受給額(2014年1月)は、単身:1,295ドル、夫婦:1,945ドル ・ 支給開始年齢は66歳(2027年までに67歳へ引上げ) これまでの主な取組 ○ 公的年金制度の改革の必要性は広く認識されているものの、大きな改革は行われていない。 (オバマ大統領により設置された超党派委員会の報告書「The moment of truth」(2010年12月)における提案例) ・支給開始年齢の引上げ(2050年までに67→68歳、2075年までに68→69歳)、高所得者の給付削減、課税対象所得の拡大 将来の見通し及び対策 ○ 歳出を上回る歳入は、基金に積み立てられるが、2020年以降、ベビーブーマーの退職等により歳出が歳 入を上回りはじめ、2034年には基金が枯渇する見通し。 (兆ドル) 3.0 基金残高 2.4 1.8 1.2 0.6 0.0 40% 20歳未満の割合 30% 2020年以降、歳出が 歳入を上回る 歳出 歳入 基金を取り崩し、 2034年に基金が枯 渇する見通し 20% 26.1% (2015年) ベビーブーマーの退職などによ り、高齢化が急速に進行 14.7% (2015年) 10% 65歳以上の割合 0% 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 (年) (年) (出典)「The 2015 Annual Report of the Board of Trustees of the Federal Old-Age and Survivors Insurance and Federal Disability Insurance Trust Funds」(2015年7月) 6 社会保障改革(医療)の取組 ○ 公的医療保険制度として、高齢者・障害者へのメディケア、低所得者に対するメディケイドが存在。現役世 代への医療保険は民間が提供。 これまでの主な取組 ○ 2010年3月、高騰する医療費・保険料、無保険者の増加等の課題に対処するため、医療保険制度改革法(いわゆる 「オバマケア」)が成立。 ①医療保険に加入していない者に医療保険を提供 ・メディケイドの対象者を拡大、メディケイドの対象者を拡大した州に対して、拡大に係る経費を連邦政府が補助 ②医療費・保険料の伸びを抑制 ・メディケアにおける政府から病院等への償還率(Reimbursement Rate)の引下げ ③医療保険の内容を充実 ・緊急医療、入院、妊産婦・新生児医療、処方箋薬といった必須項目(Essential Health Benefits)を給付対象とすることを義務付け ④医療関係業界への課税等 ・製薬会社への課税、医療保険会社への課税、高所得者層のメディケア税の増税 将来の見通し及び対策 <連邦政府支出対GDP比> (%) ○ 議会予算局(CBO)は、オバマケアは、2016~2025年度の10年間 で、約1,370億ドルの財政健全化効果があると推計。 12 その他の支出 9 ○ 一方で、医療関係支出は、 高齢化の進行、一人当たりの医療給 付費の増加等により、経済成長や年金関係支出よりも早いペースで 増加すると推計。 医療 5.4% 6 8.0% 年金 3 <IMFへのヒアリング> ○ 今後、出来高払い方式から一疾病当たりの包括払い方式への転 換などの改革により、医療の質を高めつつコストを抑制する必要。 7 利払費 0 2000 2004 2008 2012 2016 2020 2024 2028 2032 (出典) CBO「The 2015 Long-Term Budget Outlook」 (2015年6月) 2036 2040 (年) 今後の経済・財政に関する見通しと当面の財政課題 ○ 財政赤字対GDP比に関して、OMBは3%以下で安定的に推移すると予測している一方、CBOは高齢化や 社会保障費の増加により、年々悪化すると予測。 ○ 実質GDP成長率に関して、OMBとCBOはどちらも2%程度の成長を見込んでいる。 今後の経済・財政に関する見通し (%) <連邦政府の財政収支対GDP比> 0.0 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 (年度) ▲ 1.0 ▲ 2.0 2.5 2.4% 2.3% 2.0% 2.0 ▲ 2.5% ▲ 2.8% ▲ 3.0 ▲ 4.0 <実質GDP成長率> (%) 3.0 1.5 1.0 OMB CBO 0.5 ▲ 4.9% OMB CBO 0.0 ▲ 5.0 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 (出典)OMBは「2017年度予算教書」(2016年2月)、CBOは「Updated Budget Projections: 2016 to 2026」(2016年3月)、「The Budget and Economic Outlook: 2016 to 2026」(2016年1月) (注) OMBの予算教書における見通しは、CBOが行う現行の法制度を前提とした見通しとは異なり、大統領が予算教書で提案している各種施策が実現することを前提とした見通し。 (年度) 当面の財政課題 ○ 裁量的経費は、2021年までCapが設定されているなどの歳出抑制策により、経済成長よりも遅いペースで推移する見込み である一方、年金・医療などを含む義務的経費は、高齢化と社会保障費の伸びにより、経済成長のペースよりも早く増加する 見込み。 ○ 歳入の大幅な上昇は見込まれないため、年金・医療の経費をどのように抑制するかが今後の課題。 8 ポイント ○ 予算管理法によるCAPとPAYGO法は、歳出削減メカニズムとして実効 性が高く、財政健全化に効果的。PAYGO法は、「新たな借金による歳出増 」を避けるための仕組みであり、インセンティブを機能させる点で一定の効 果。ただし、両法による強制歳出削減は一律削減であるため、本来必要な 分野も削減する可能性があり、優先順位をつけることがより効率的で、市 場の信認も得やすい。 ○ 毎年度、政治的に判断するような財政措置は、政治的駆け引きに利用 されるリスクがあり、その場合、市場や経済へ不安定性を与えるため、中 期的な枠組みにより安定的に運営する方が有益。 ○ 一時的な財政出動を行う場合でも、2015年超党派予算法のように、中期 的な財政健全化にコミットすることが不可欠。 ○ 社会保障制度は、持続可能性を確保するため、今後、医療の質を高め つつコストを抑制する改革が必要。出来高払い方式から包括払い方式へ の転換などを検討することが必要。 9 <2016年米国大統領選挙の情勢> 2004年結果 選挙人数 ブッシュ 州名 メーン ニューハンプシャー バーモント マサチューセッツ ロードアイランド コネティカット ニューヨーク ニュージャージー ペンシルベニア デラウェア コロンビア特別区 メリーランド バージニア ウェストバージニア ノースカロライナ サウスカロライナ フロリダ ケンタッキー テネシー ジョージア アラバマ ミシシッピ アーカンソー ルイジアナ オクラホマ テキサス ミシガン オハイオ インディアナ ウィスコンシン イリノイ ミネソタ アイオワ ミズーリ ノースダコタ サウスダコタ ネブラスカ カンザス モンタナ ワイオミング コロラド カリフォルニア ニューメキシコ アイダホ ユタ アリゾナ ワシントン オレゴン ネバダ アラスカ ハワイ 合計 2008年結果 選挙人数 マケイン ケリー 2012年結果 選挙人数 ロムニ― オバマ オバマ 4 4 4 4 4 4 4 3 12 4 7 31 15 21 3 3 10 13 5 15 8 27 8 11 15 9 6 6 9 7 34 17 20 11 10 21 10 7 11 3 3 4 3 12 4 7 31 15 21 3 3 10 4 3 12 4 7 31 15 21 3 3 10 13 4 3 11 4 7 29 14 20 3 3 10 13 5 15 9 29 8 11 16 9 6 6 8 7 38 16 18 11 10 20 10 6 10 3 3 4 3 11 4 7 29 14 20 3 3 10 13 7 11 3 3 4 3 12 4 7 31 15 21 3 3 10 13 5 15 8 27 8 11 15 9 6 6 9 7 34 17 20 11 10 21 10 7 11 3 3 5 5 5 4 6 3 3 9 55 5 4 5 10 11 7 5 3 4 6 3 3 9 6 3 3 5 4 5 10 6 3 3 9 55 5 4 5 10 11 7 5 3 4 538 286 13 5 15 8 27 8 11 15 9 6 6 9 7 34 17 20 11 10 21 10 55 11 7 5 3 4 選挙人数 ブッシュ 252 ケリー 538 5 15 8 27 8 11 15 9 6 6 9 7 34 17 20 11 10 21 10 7 11 3 3 9 55 5 4 5 10 11 7 5 3 4 173 選挙人数 マケイン (出典)SMBC日興証券(RCP、NBC、CBS資料等より作成) 1 365 オバマ 5 15 9 クリントン NBC調べ CBS調べ RCP調べ 内SD 8 11 16 9 6 6 8 7 38 青は民主党、赤は共和党 サンダース 1,728 1,058 1,741 1,049 1,743 1,056 469 31 ・共和党(過半数1,237人) トランプ NBC調べ CBS調べ RCP調べ クルーズ 753 740 740 514 503 514 ルビオ ケーシック 172 167 171 143 143 143 大統領選挙人の構成(人) 29 スイング・ステートの大統領選挙人の構成(人) ニューメキシ ニューハン プシャー, 4 コ, 5 ネバダ, 6 フロリダ, 29 アイオワ, 6 共和党地盤州, 191 コロラド, 9 民主党地盤州, 196 16 18 ウィスコンシ ン, 10 ペンシルベニ ア, 20 バージニア, 13 11 10 20 10 6 10 3 3 5 5 6 3 3 9 55 5 4 6 11 12 7 6 3 4 6 3 3 538 ○獲得代議員数(2016年4月5日現在、敬称略) ・民主党(過半数2,382人) オハイオ, 18 米大統領選の選挙人数の変化(人) 50 4 6 11 40 2000年 2004年 2012年 30 20 12 7 6 3 4 206 ミシガン, 16 スイング・ス テート, 151 60 9 55 5 選挙人数 ロムニ― ノースカロラ イナ, 15 10 0 332 オバマ 10 財政健全化に向けた税財政教育 ○ アメリカには、Tax FoundationやCRFB(Committee for a Responsible Federal Budget)等の非営利組 織が存在し、分かり易い情報提供、客観的な視点からの政策評価などの活動を通じて、財政の専門 家から一般市民まで幅広い層を対象とした税財政教育が行われている。 ① Tax Foundation <組織の概要> ・設立 : ニューヨーク大学クラブで開催した非公式ランチに参加した民間企業のリーダー達が、政府の租税・歳出を監視するために 政府から独立した機関が必要であると考え、1937年12月に非営利組織として設立。政府から独立した非政府系組織であり、 政治的中立性を謳っている。 ・役割 : 納税者、メディア、政治家に対する啓発・教育 (例:政府の税政策が納税者・政府・経済に与える影響の分析や結果公表、税制度を改善するための助言 など) ・資金: 総収入376万ドル(2014年:財団41%、企業39%、個人10%) ・職員: 24名(2014年)。連邦政府、地方政府、法律、広報、資金調達などのチームから構成。 <特徴的な取組> ①大統領選挙の候補者ごとの税政策の比較表を公表(次ページ参照) : 税政策が経済成長、雇用、税収等に与える影響を公表し、メディアからも注目。 ②「International Tax Competitiveness Index 2015」の出版 : 法人税、消費税、財産税、所得税、国際税制の5分野に関して、OECD34ヶ国における税構造の競争力と中立性に関するランキ ングを発表。日本は総合25位、米国は総合32位。 ③「Facts & Figures」の出版 : 米国50州の財政状況や税率を比較したパンフレットを1942年以降毎年作成し、主に地方政府の議員に配布。 <Tax Foundationへのヒアリング> ○ 多くの市民やメディア関係者から関心や注目を集めており、HPは年間800万回閲覧されている。分かり易い情報提 供に努めることを通じて、市民の「Tax IQ」を高めることが重要であると考えている。 11 <大統領選挙候補者別の税政策の比較表(Tax Foundation)> (出典) Tax Foundation “A Comparison of Presidential Tax Plans and their Economic Effects” 12 財政健全化に向けた税財政教育 ② CRFB(Committee for a Responsible Federal Budget) <組織の概要> ・設立 : 1981年、連邦議員のRobert Giaimo氏や Henry Bellmon氏が中心となり、議員経験者、OMB、CBOの元職員、著名なエコノミス トや実業家と共に、財政健全化を進めるために非営利組織を設立。政府から独立した非政府系組織であり、政治的中立性を 謳っている。 ・役割 : 債務削減や収支改善による財政健全化を図るための政策提言。 ・資金 : 年間400万ドル。主に企業や財団からの寄付。 ・職員 : 約25名(エコノミストが8名在籍) <特徴的な活動> ①専門家を対象とした活動 ・財政の専門家を対象として、大統領が提出する教書を財政面から分析した記事、債務状況分析、政府のシャットダウンに関する 解説など様々な解説レポートを頻繁かつタイムリーに公表。 ・主要国の予算編成の透明性を比較分析し、情報提供。 ②議員やジャーナリスト、一般市民を対象とした活動 ・債務削減のための予算編成を体験できる「Budget Simulator」を開発し、HP上などで公開。 ・債務削減を呼びかける運動「Fix the Debt Campaign」を開始。 <CRFBへのヒアリング> ○ 債務削減の重要性について一般市民の理解を得ることは簡単ではなく、一般市民向けの教育はそこまで成功して いるとは言えない。債務増加による問題点や債務を減少することで社会がどのように良くなるかを伝えることが必要 であり、HP上で公開しているツールの他、例えば映画作成を検討するなど、常に様々なアイデアについて試行錯誤 している。 13
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