第3章

Ⅲ.地域活性化に向けて
以上のとおり、地域活性化の手法として、①観光などに地域資源を活用した取り組み、
②異業種の製造業者の連携による取り組みについて、調査を行い、課題の抽出、対応策
について検討を行った。
そのひとつの取り組み方法として、今回の調査のテーマである広域連携・ネットワー
ク化があった。単独の地域や個別の企業だけでは不足するノウハウや経営資源を広域で、
あるいは、複数のネットワークで対応することにより補完しあえる可能性は大きい。広
域連携やネットワーク化は、地域活性化の有効な手法のひとつであることはいうまでも
ないが、実際に広域連携を成功させている事例はあまり見当たらない。
今回の調査において、その解決の糸口が見いだせた。ひとつには各地での個別の取り
組みが活発でなければならないこと、取り組んでいく上では行政や地元産業界、そして
市民等の支援が不可欠であること、取り組みに対してアドバイスできるような機能を持
った人、あるいは組織が必要であること、そして最後に、連携に対し積極的に取り組も
うとする意欲がある人がいて、それが組織化されていることである。
今回の調査で取り上げた中山間地域においては、人口減少、産業の停滞などの減少が
みられるところが多く、また、地域の自立化の流れを受けて地域間競争がますます激化
する可能性もあることから、地域活性化の目的を十分認識して、有する地域資源を総動
員し「地域活性化」に取り組む必要がある。新規の産業立地や、既存産業の急激な回復
が望めない以上、地元資源を活用した取り組みや、地域の企業の中で新たな販路開拓や、
新製品開発に取り組もうとする企業(群)による地域の活性化を図ることが重要である。
現在、景気は回復基調にあるといわれるものの、地方や中小企業においては非常に厳
しい状況にあることは変わりがない。また行政改革の元に政策の転換や市町村合併など
大きな変革点であり、この時期に地域活性化に真剣に取り組まないと、人口の減少、地
域産業の衰退など、ますます地域の活力基盤が弱体化していく可能性が強い。従って地
域の中核機関である地域の行政、商工会議所・商工会、金融機関、JAなどが住民と一
体となって「地域活性化」に取り組む必要があろう。
地域活性化の目的が、「住民が活き活きとして暮らせる環境整備を行うこと」であり、
そのために、最低限行う必要のあることは、若者をはじめ雇用の場を確保し、福祉など
の財源確保のための税収を確保するとともに、定住人口の維持を図ることである。地域
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活性化の目的を達成するためには、調査検討を行った2つの取り組みに限定することな
く、地域として企業誘致、既存産業活性化のために産業振興施策を展開することなども
重要でかつ必要な取り組みである。
また、地域活性化の効果が現れるまでにはかなりの時間を必要とするため、少しでも
早く取り組むことが肝要である。
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