インラインベーラ(牧草梱包機)-企業イメージを再確認

デザインマネジメントで、
企業イメージを再確認
CASE
事例紹介
01
インライン
ベーラ
(牧草梱包機)
01
牧草や稲ワラを収穫する「ベーラ」を、海外向け
に開発。機械化が進んでいない国や小規模農家
に適応できるよう、ベール(四角い牧草のブロッ
ク)が人の手で運べるサイズになっています。農
作業の効率だけでなく、デザイン面も重視した
製品です。
02
デ ザインマネジメントに取り組み
始めたきっかけ
03
チーム内での意識共有
今 回 の 開 発 は「 S p i r i t 」
「Speed」
当社は、トラクタ用の農業機械を開
「Simple」をキーワードに、従来であれ
発・製造・販売しているメーカです。
ば2年程度かかっている開発期間を8ヶ
牧草収穫用の農業機械、特にその中で
月で完成させることを目標にスタート
もベーラ(牧草梱包機)が主力商品で、
しました。デザインについては、従来
近年海外への販路拡大を図っています。
の「本体の設計が出来上がってから、
「インラインベーラ」
という製品は、ト
その外側にカバーを付けて体裁を整え
ラクタの真後ろ(インライン)で牧草を
る」という流れではなく、初期段階か
拾い上げて排出する構造のベーラです。
ら「機能とデザインが両立した設計」
一般的にはトラクタの右横で牧草を拾
を検討できるよう、チーム内での意識
い上げる構造のベーラが多いのですが、
共有に時間をかけました。デザイナー
インラインの方が作業効率が良いた
には全てのプロジェクト会議に出てい
め、海外市場向け製品として力を入れ
ただいて製造工程を理解いただく一方
たいと考えていました。そこに外観やデ
で、こちらもメンテナンスのしやすい
ザインという付加価値を付けて、海外
内部構造について情報を提供する等、
の富裕層のお客様が「購入したい」とい
デザインを丸投げすることなく、意見
う気持ちになる製品を目指しました。
を出し合いながら進めました。
従来の製品は、農業機械の重要な機
また、海外子会社である上海スター
能である性能・耐久性ありきで、コスト
と共同開発することも今回のテーマで
を抑えたものだったため、デザインを重
した。上海スターは当社の子会社です
視して設計する機会がなかなかありま
が、製品開発のノウハウがなかったの
せんでした。そこで(地独)北海道立総
で、仕事の進め方をすりあわせるとこ
合研究機構 工業試験場に相談し、
(株)
ろから始まりました。ホワイトボード
ファシオネの登 豊茂男氏をご紹介いた
に表を作って項目毎に、時にイメージ
だきました。
画も書きながら、「いつまでに」
「誰が
やる」という細かいところまで共有し、
「IHI スターの会議はこう進める」とい
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attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼
Company Profile
株式会社IHIスター
所在地:千歳市上長都 1061-2
TEL:0123-26-1123(本社)
代表者:代表取締役社長 青
稔
資本金:5 億円
設立:大正 13 年(1924 年)
主要事業:牧草収穫機・畑作用作業機等の
農業機械の開発・製造・販売。
URL:http://www.ihi-star.com/
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う会議の進行を実践しました。市場調
ベーラのカタログではシルバーを取
査や、試作部品の確認も一緒に行うな
り入れ、製品イメージと統一したもの
かで、上海スター側も試作機を作る楽
に仕上げました。海外に 100 部単位で
しさを理解して、積極的に参画するよ
持っていくことも考慮して、コンパク
うになりました。
トでメンテナンスし易く作っています。
デザインと製造工程のすりあわせ
企業イメージが反映された製品
初の段階から外形デザインを検討いた
を取り入れることによって、何度も当
だきました。というのも、単に「カッコ
社のイメージについて議論を重ねるこ
良いデザイン画」が出てきても、実際
ととなりました。その結果、インライ
に製造できなければメーカとしては採
ンベーラは開発者の想いとともに、企
用できません。段ボールやベニヤ板を
業イメージを反映した製品になりまし
使用したモックアップ(模型)でのイ
た。アクセントとなったシルバーは、
メージ作りや、加工工程の確認もして
後発の製品にも展開されています。
いただいたおかげで、採用したデザイ
当初の計画通り、8 ヶ月で製品が完
ン画とほぼ近いイメージの製品を完成
成したことと、社外の組織と共同で仕
させることができました。デザイナー
事を進められたことは、開発担当者の
が開発に加わったことで、いい意味で
自信につながっていると思います。今
「農業機械らしくない」製品に仕上がっ
回の開発で得られた成果が、次につな
(株)ファシオネには製品設計の最
ています。特に、外形上のアクセント
今回の開発では、デザインの考え方
がる事を期待しています。
として製品にシルバーのラインを取り
代表取締役社長
青 稔 氏
Designer Profile
登 豊茂男 Tomoo Nobori
株式会社ファシオネ 代表取締役
1966 年生まれ。フジテック株式会社にて、
国内外のエレベータープロジェクトに 20 年
間携わり、2003 年、札幌駅南口開発プロ
ジェクト(現 : ステラプレイス、JR 日航ホテ
ル)を最後に引退、独立。1 年の個人事業主
期 間 を 経 て、2005 年 に「 有 限 会 社 TOMO
NOBORI DESIGN」を 設 立。2006 年、 イ
タリアカーデザイン事務所に 1 年間師事、
2009 年に「株式会社ファシオネ」に改称。
2011 年にレーシングチームのカーデザイン
を担当。単に製品の色、カタチを整えるだ
けではなく内部の技術設計も並行しておこ
なうデザインエンジニアリングの手法でモ
ビリティーや、家電、LED 照明などの工業
製品、医療器具、布団、家具、その他、手
がけた製品は幅広い。多方面で活躍する人
材をパートナーとして登用し、多様な情報
を集積しながら、「もの」を通して様々な社
会問題に向きあう「ソーシャルものづくり」
を得意とする。
入れた部分は、当社だけでは発想でき
ませんでした。
企業イメージを意識したカタログづくり
製品を売る上では、ポスターやカ
タログも大事な要素です。インライン
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実際の農作業での使用の様子
プロジェクト会議の様子
メンテナンスし易い構造を意識して開発
キックオフ会議での集合写真
ほぼデザイン画の通りに製品が完成した
attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼
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