鯉川水系河川整備基本方針(案)

鯉川水系河川整備基本方針(案)
概要
宇治川水系河川整備基本方針(案)
1)2)
注:数字)・・・・・参考資料の“専門用語の説明”を参照
■流域及び河川の概要~鯉川・宇治川はこんな川~
鯉川と宇治川は、神戸市の中心市街地を並んで流
れる二級河川 3)です。
流域 4)の面積は、鯉川約1km2、宇治川約3km2 と
兵庫県内の水系のなかでも小規模な河川であり、六
甲山系の山地と大阪湾とに挟まれた急峻な地形に
拡がる神戸の市街地を流れ、特に、下流区間では、
道路等の地下を流れる「暗渠」となっています。
流域及びその周辺では、神戸港や旧外国人居留地
の歴史を色濃く残すまちなみや建物が数多く残さ
れています。
河川環境については、宇治川の開渠区間(橘橋よ
り上流)では、比較的良好な水質のもと、カワヨシ
ノボリ等の魚類、ツグミ等の鳥類の他、ゲンジボタ
ルの生息もみられる等、宇治川が市街地(都市)と
六甲山の山々等(自然)とをつなぐ「水と緑のネッ
トワーク」としての重要な役割を担っています。
治水については、昭和 13 年阪神大水害 5)や昭和 42
年の台風 6)等による洪水被害を教訓として、これまで
暗渠や沈砂池等の整備を進め、現在では、暗渠、開渠
区間ともに一定の川幅(河道)を確保しています。
鯉川・宇治川流域
昭和 42 年の水害の様子
(宇治川商店街付近)
開渠区間の状況(宇治川)
(上:宇治川公園付近
暗渠区間の状況
(上:鯉川
下:宇治川)
右:沈砂池付近)
■河川の総合的な保全と利用に関する基本方針~川づくりの方向性~
“ひょうご・人と自然の川づくり”基本理念・基本方針 18)に基づき、河川整備の実施
状況、水害の発生状況、河川利用の現状、河川環境の保全等を考慮するとともに、総
合治水条例や神戸市のまちづくり計画等を踏まえて、河川の総合的な保全と利用を図
ります。
鯉川と宇治川の川づくりについては、治水・利水・環境・維持管理それぞれに関し
て、以下の方針に沿って進めていきます。
(鯉川・宇治川共通)
◆計画規模 7)の降雨で発生する洪水 8)等に対して、洪水調節施設 9)の整備(宇治川)や河川管
理施設の機能維持に努め、浸水被害の防止・軽減を図る。
治
◆計画規模を超える洪水等に対しては、「流域対策」や「減災対策」を住民や関係機関と連
水
携して推進し、被害の軽減を図る。
流域対策の例:六甲山(森林)の適正管理、歩道や駐車場の透水性舗装
減災対策の例:避難訓練、ハザードマップ 10)の周知・活用、情報伝達体制の充実
利
水
◆河川の適正な利用・流水の正常な機能の維持を図るため、河川の水量変化を把握しながら、
関係機関と連携して必要な流量の確保に努める。
◆新たな水需要が発生したときは、水資源の合理的かつ有効な利用の促進を図る。
◆渇水や震災時等には、適切な河川水の利用が図られるよう配慮する。
◆関係機関・地域住民と連携して生態系の保全や再生を図る。
環 ◆開渠区間の維持管理の際には、動植物の生息・生育・繁殖場として良好な河川環境の整備・
境 保全・再生に努める。
◆開渠区間では、周辺環境との調和を図りながら、景観に配慮した河川空間の形成、河川環
境の整備に努める。
◆流域全体で水質保全に努める。
◆暗渠内や沈砂池等に堆積した土砂の適宜撤去
◆許可工作物(橋や暗渠区間地上部の道路等)の指導・監督
維
◆動植物の生息・生育環境の保全と安定的に水を利用できるように、関係機関との連携のも
持
と、流水の正常な機能の維持に努めるとともに、良好な水質を維持するため、住民の水質
管
に対する意識の向上を図る。
理
◆河川に関する情報を地域住民等に提供して、地域財産としての意識や大雨時の危険性に対
する意識を醸成する。
■河川整備の基本となるべき事項~工事を計画するときの将来目標~
◆鯉川
<基準点 11):JR 高架橋>
計画流量
洪水調節施設
河道への
ピーク流量 12)
による調節流量
配分流量 14)
30 ㎥/s
―
30 ㎥/s
大阪湾
基本高水の
■JR 高架橋
30m3/s
流量配分図
計画高水位と川幅
河口からの
距離
計画高水位
0.6km
T.P.4.51m
(注)T.P.
◆宇治川
川幅
13)
5.3m
15)
:東京湾平均海面
計画横断図
<基準点:清風橋>
計画流量
洪水調節施設
河道への
ピーク流量
による調節流量
配分流量
85 ㎥/s
5 ㎥/s
80 ㎥/s
大阪湾
基本高水の
■清風橋
80m3/s
流量配分図
計画高水位と川幅
河口から
の距離
計画高水位
川幅
1.0km
T.P.13.50m
10m
計画横断図
流水の正常な機能を維持 16)するために必要な流量 17)
(鯉川・宇治川共通)
河川の水量変化や取水と河川流入量との関係の把握、その他河川や流域での諸調査を行う
など、引き続きデータの蓄積に努め、今後、さらに調査検討を行ったうえで必要な流量を決
定するものとする。