Kidney Center News Letter No.1 2015年9月に関西医科大学附属病院に腎センターを設立致しました。 このKidney Center News Letter は、腎センターの活動を広く皆さん 知って頂くために、年に数回発行することと致しました。 皆さんにかわいがって頂けるよう担当部署の方々と協力 して取り組んで参ります。これからよろしくお願い致します。 編集責任者 矢西正明 (関西医科大学 腎泌尿器外科) 腎センター 設立趣旨について 慢性腎臓病(CKD: chronic kidney disease )は、 人工透析が必要となる危険性とともに、心血管系合併症から生命予後に影響する重要な疾患です。また、腎 機能障害患者の診療には、原疾患の治療や様々な合併症に対処するために、多くの診療科・部署が協力し なければなりません。そこで、院内各部署の連携を強化し、より密度の濃い診療を提供できるように、関西医 科大学附属枚方病院に「腎センター」を開設致しました。 ~今回のトピックス~ 《糖尿病性腎症の透析予防について》 透析医療費は年間1兆円を越え、このまま透析患者が増加し続ければ、 国民健康、そして医療経済の両面において、甚大な負担となります。 大阪府下の透析患者は2万人を越え、その半分の原因が糖尿病性腎症です。 糖尿病性腎症は初期であれば、適切な食事や内服療法で進行予防が可能です。 しかし初期には自覚症状がなく、治療が遅れ、知らぬ間に腎不全が進行します。 以上のことから透析抑止には、糖尿病性腎症の早期発見と治療が、最も有効です。 腎センターでは、糖尿病性腎症の透析予防の栄養・看護指導を行っています。 対象は、(1) 糖尿病 (HbA1c>6.5%), (2) 尿蛋白陽性(微量アルブミン尿 > 30ug/gCr), の2つを満たせば、腎障害の進行度に合わせた、食事、生活指導を受けることが可能です。 《透析患者数推移(全国:約31万人)》 腎センター構成(腎センターは、枚方病院3階 350000 K1エリア(従来の腎臓内科・腎泌尿器外科外来)に設置 300000 腎センター長(腎泌尿器外科部長)松田公志 副センター長 (腎臓内科講師)塚口裕康 を中心に、右記のように様々な職種が連携・ 協力して、個々の患者さんにとって最適の治療 を提供してまいります。 腎泌尿器外科医 糖尿病専門医 腎臓内科医 250000 200000 循環器内科医 150000 移植コーディネータ 健康科学センター 腎センターの主要テーマ 認定看護師 100000 50000 管理栄養師 運動療法士 0 薬剤師 保存期腎不全患者を末期腎不全へ移行させないための予防に重点を置いた診療 保存期腎不全や腎移植後患者に対する、健康科学センターにおける運動療法・栄養指導 腎不全の主因である糖尿病性腎症に対する、認定看護師や栄養士による透析予防指導 腎臓内科医、腎移植専門医、レシピエント移植コーディネータによる、 献腎登録や先行的腎移植(透析導入前の移植)など患者に適した腎代替療法選択の支援 • 低侵襲(単孔式内視鏡下ドナー腎手術)で高い生着率の腎移植の提供 • ドナー専門外来、腎移植患者会など、ご家族を含めた診療と支援 • 地域医療機関と協力した在宅腹膜透析 2015/11/5 2015/11/7 2015/12/17 2016/1/21 2016/2/9 その他: CKD(慢性腎臓病:chronic kidney disease)について CKDは狭心症・脳梗塞などの発症率を高めるとされ(図1)、予後に大きく影響する国民病です。 成人の8人に1人がCKD (eGFR<60ml/分/1.73m2)(図2)と言われており、 枚方市の人口が約40万人のため、枚方市のみでもCKD患者は推定5万人となる。 さらにその約半分程度(2.5万人前後)は糖尿病あるいはその予備群(メタボリックシンドローム)を 合併していると推測されます。したがって腎臓病の早期発見・治療のために、 CKDに対する指導外来を充実させることが大切です。 (図2) 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (2013年 透析医学会ホームページより改) 2015年度腎センター関連の主な活動実績 • • • • (図1) 《マメ知識》 現在透析患者1人あたりの医療費は年間約500万円。 腎移植は初年度は手術等に約700万円を要するが、 2年目以降は約150万円程度に収まり、腎移植は 透析医療において医療費削減に有効です。 京阪腎移植勉強会 第2回腎移植患者会 腎移植症例報告会(滝井) 第2回高槻枚方腎移植勉強会 腎移植症例報告会(枚方) 腎移植カンファレンス(月1回開催) 《腎移植患者会》 医師・看護師・薬剤師、栄養士、 運動療法士などが講演し、 移植腎長期生着に必要な情報 提供を行う。 第2部は患者交流会を開催 2015年度腎センター関連の主な業績 ★学会活動 2015年4月(金沢) 第103回日本泌尿器科学会総会 『腎移植後の骨ミネラル代謝に関する検討』 2015年6月(日光) 第31回腎移植・血液外科研究会 『 VINCENTソフトウェアを用いたドナー腎容積測定と腎シンチグラフィーによる分腎機能評価の検討』 2015年10月(熊本) 第51回日本移植学会総会 『提供前と移植後の腎容積(および腎機能)の比較 画像解析ソフトウェアVINSENTを用いた検討』 2016年3月(米子) 第49回日本臨床腎移植学会 『腎移植後赤血球増多症の検討』 2016年3月(米子) 第49回日本臨床腎移植学会 シンポジウム 『関西医科大学における腎移植医療推進のための体制づくり』 以上矢西正明 2015年10月(熊本) 第51回日本移植学会総会 『当院における腎移植患者会の設立とワールドカフェを用いた交流会の試み』 東野幸絵 ★論文 『単孔式腹腔鏡下ドナー腎採取術のBody imageと整容性について』 泌尿器科紀要 2015 61(7):265-270 矢西正明 『腎移植後CKD-MBDに関する検討』 日本臨床腎移植学会雑誌 2015 3(1):100-103 矢西正明 『当院における腎移植後下部尿路症状・機能に関する検討』 日本泌尿器科学会雑誌 2015 106(4):249-254 矢西正明 『Comparison of renal scintigraphy and computed tomographic renal volumetry for determining split renal function and estimating post-transplant renal function.』 Transplantation Proceedings 2015 47(9):2700-2702 Yanishi, M et al 『Comparison of live donor pretransplant renal volume and posttransplant recipient renal volume』 Clinical Transplnataion 2016 30(4):337-345, Yanishi M et al
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