2"ys 〜農政の前線から〜 岩手県における 東日本大震災津波からの復旧・復興の取組 岩手県農林水産部農村計画課 1 菊池 俊次 被災状況 催する「岩手県津波防災技術専門委員会」の意見を踏ま 東日本大震災津波により岩手県では、死者・ え、関係市町村や地域住民と協議のうえ堤防高を決定し 行 方 不 明 者 が6,200人 を 超 え、 家 屋 の 倒 壊 も ました。 25,000棟余、産業被害・公共土木施設被害が1兆円以上 海岸堤防等の復旧工事は、28年度までの完了を目指 など、未曾有の大災害を被りました。農地・農業用施設 しています。 等の被害は約640億円にも及び、特に沿岸部においては 3 リアス式海岸に拓かれた貴重な農地725haが流失し、 10海岸ある農地海岸の全てが損壊しました。 2 復旧・整備の取組状況 情報発信 未曾有の大災害からの復旧・復興の取組を記 録に留め、次世代にしっかりと継承していくこ とが私どもの責務であると考え、岩手県農林水産部では (1)農地復旧の取組状況 25年度までの3年間の経過を記録誌に編纂しました。こ 沿岸地域の農地・農業用施設の復旧・整備は、 国の災害査定が終了したところから順に、原形復旧工事 に着手しました。また、まとまった農地については、原 形復旧にとどまらず「東日本大震災復興交付金」を活用 の記録誌は、県公式ホームページから閲覧、ダウンロー ドできます。 「希望郷いわて農業・農村復興への歩み」で検索 し、ほ場整備を進めることとしました。 また、現地の復旧・復興状況を全国に向けて発信する 沿岸部の復旧対象農地717ha(転用農地等8haを除く) ため、フェイスブックページ「いわてNN復興だより」 については、市町の土地利用計画や他の復旧・復興事業 を開設するとともに、 「いわてNN復興メールマガジン」 との調整などに時間を要するため、当面着工が困難な を創刊しました。[email protected]へ空 267haを 除 い た450haの う ち 平 成26年5月 末 ま で に メールを送信することで配信登録できます。 401ha(450haの89%、717haの56%)を復旧してい 4 ます。 おわりに おかげさまで、本年春 には、災害復旧と一体的 に行うほ場整備5地区でも4年ぶ りに営農が再開されるなど、再 生された田園風景に象徴される 復興に向けた歩みを、被災地で 示すことができました。 陸前高田市小友地区 被災状況 陸前高田市小友地区 復旧完了状況 しかしながら、農地や農地海 岸保全施設の復旧・整備工事は (2)農地海岸保全施設復旧の取組状況 48 これからが正念場、ピークを迎え、現場では解決しなけ 破堤や地盤沈下した施設は、本復旧までの間、 「5年 ればならない課題が山積しております。まだまだ、被災 確率波」の高さまで大型土のう等による仮締切を実施し 地域の復興には時間を要しますが、一つひとつ課題を解 ました。 決しながら、復興への歩みを進めていきますので、引き 農地海岸保全施設の復旧高さなどについては、県が主 続き皆様の御支援をよろしくお願いします。 ● 土地改良 287号 2014.10
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