有 - 三菱東京UFJ銀行

FX Monthly
平成 28(2016)年 3 月 31 日
GLOBAL MARKETS RESEARCH
チーフアナリスト
内田 稔
三菱東京 UFJ 銀行
A member of MUFG, a global financial group
Table of contents
1
為替相場の見通し
2
予想レンジ
3
マーケットカレンダー
4
為替相場推移表
1. 為替相場の見通し
(1) ドル円(内田)
ブル派・ベア派双方の論点整理 ............................... 2
2 月の急落劇から一変し、狭い値幅に留まった 3 月のドル円。
但し、一時 110.67 と年初来安値を更新したほか、戻り高値は 114
円台手前までと上値は重い。円高の主因は、リスクオフという一
時的なものではない可能性が高い。多少の乱高下を繰り返しつつ
年末に向けて緩やかながらもドル安円高傾向が持続するとの従来
予想を維持。いずれ 110 円の大台を割り込む展開を予想する。
(2) ユーロ(天達)
包括的追加緩和の効果から緩やかに下落 ............... 10
3 月のユーロドルは、FOMC とイエレン FRB 議長講演による
米利上げ期待の後退などから、大きく上昇した。
先行きについては、ECB による金融緩和と米国の政策金利引
き上げによる欧米金融政策格差から、ユーロドルは緩やかに下落
して行こう。ただし、直近では、米国の利上げ期待後退によるド
ル売りが意識され、ユーロドルは短期的に強含む場面もあろう。
(3) 豪ドル(藤瀬)
当局による通貨高牽制が上値を抑えよう ............... 15
今月の豪ドル相場は、資源価格の上昇とドル売り圧力の高まり
を背景に、昨年 7 月以来となる高値を記録。昨年来つづいてきた
豪ドルショート(売り持ち)の巻き戻しが発生している。こうし
た中、当局からは通貨高に対する牽制が再開。金融政策スタンス
の変化が見込まれる中、豪ドルの上値は次第に重くなるだろう。
(4) 人民元(藤瀬)
主体性を欠くなか、米ドル主導の展開を見込む .... 18
今月の人民元相場は、資本流出圧力の減退、米早期利上げ観測
の後退等を材料に、オンショア、オフショア共に年初来高値を更
新した。人民元はこのところ主体性を欠いており、来月も米ドル
主導の動きが見込まれる。外貨準備増減や GDP 統計に留意しつ
つも、方向感を見出しにくい時間帯が続くだろう。
1
FX Monthly | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
(1) ドル円 ブル派・ベア派双方の論点整理
サマリー
2 月の急落劇から一変し、狭い値幅に留まった 3 月のドル円。但
し、一時 110.67 と年初来安値を更新したほか、戻り高値は 114 円
台手前までと上値は重い。円高の主因は、リスクオフという一時的
なものではない可能性が高い。多少の乱高下を繰り返しつつ年末に
向けて緩やかながらもドル安円高傾向が持続するとの従来予想を維
持。いずれ 110 円の大台を割り込む展開を予想する。
3 月のレビュー
3 月に入り、市場では、欧州中央銀行(ECB)の定例理事会や日
本銀行(日銀)の金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会
(FOMC)を控え、様子見ムードが漂った。このため、ドル円相場
(以下、ドル円)も、10 円を超える急落劇を演じた 2 月から一変
し、月央まで 112 円台から 114 円台で推移するなど、方向感を欠い
た(月間高値 3/2、114.56)。但し、ECB が予想を上回る金融緩和
策を決定した後、金融政策の現状維持を決定した日銀は、「失望」
をキーワードとした円買いを招いた。続く FOMC も、参加者の政
策金利予想が下方修正されるなど事前の予想より、正常化(利上げ)
に慎重と受け取られ、ドル売りを誘発(第 1 図)。このため、ドル
円は、17 日に一時 110.67 と年初来安値(2/11 の 110.99)を更新す
るなど、下値不安が高まった。その後、米 FRB 高官から、逆に利
上げに前向きとも取れる発言が相次いだことから、ドル円はやや持
ち直し、113 円台を回復した。しかし、29 日の講演で、イエレン
FRB 議長が、冴えない世界経済を考慮し、正常化(利上げ)を慎重
に進める姿勢を改めて強調すると市場が反応。米国の株式相場がこ
れを好感して上昇した一方、大幅に低下した米国債の利回りがドル
の重石となり、ドル円も再び 112.02 まで下落した。もっとも、他
通貨が対ドルで大きく反発した結果、クロス円は総じて円安に推移
し、ドル円をサポート。4 月 1 日の米雇用統計など重要指標を控え
ていることもあり、ドル円は、結局 112 円台で越月する見込みだ
(第 2 図)。
第 1 図 :FOMC 参加者の政策金利予想分布図(中位値)
第 2 図:2012 年以降のドル円相場
(円)
(%)
4.0
130
マイナス金利付きQQE導入
3.5
120
3.0
110
2.5
QQE拡大
15年6月FOMC
2.0
100
15年9月FOMC
1.5
1.375%
15年12月FOMC
量的質的金融緩和(QQE)導入
90
黒田総裁就任
1.0
16年3月FOMC
0.875%
0.5
0.0
70
15年末
16年末
17年末
18年末
Longer Run
(資料)FRB より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
2
第二次安倍内閣発足
80
為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
12
13
14
15
16
(年)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
円高の主因は、リスク
オフではない
年初来の円高の主因として指摘されてきたのが、市場が動揺し、
投資家がリスク回避姿勢を強める状況を示すいわゆる「リスクオフ」
だ。但し、3 月の市場では、ハト派寄りの FOMC なども手伝って、
米国の主要な株式相場が年初来プラス圏へと浮上。ドル高の一服は、
逆相関性の強い原油先物相場の反発をもたらした。これに連れて、
ブラジルレアルやロシアルーブルといった資源国通貨の対ドル相場
も、1 ヶ月間で 1 割以上も上昇するなど、俄かにリスクオンの動き
がみられたと言っていい。ただ、それでも 3 月のドル円は 114 円台
では続伸を阻まれている。こうした動きを踏まえると、ドル円下落
の背景は、かねて指摘の通り、リスク回避による一過性の動きとい
うより、複数のドル安円高材料を受けた動きとみるのが自然だろう。
ドル円を展望する上で
の論点整理
このドル安円高の背景として、当方はかねてより、本邦の経常黒
字拡大といった国際収支の構造変化、予想実質金利(=名目金利-
予想物価上昇率)の上昇や高止まり、ドル高の鈍化などを挙げてき
た。また、前月号では、日銀による市場との対話不足も指摘。以上
を踏まえて、今後とも緩やかなドル安円高地合いが継続すると予想
している。一方、市場では、新年度入りした後、改めてドル円相場
が上昇トレンド(ドル高円安)に回帰するとの見方も少なくない。
このように見方が割れる背景は、以下に列挙したポイントに対する
解釈や予想が異なるためだろう(第 3 表)。
第 3 表: ドル円の上昇を期待するブル派と下落を予想するベア派の論点整理
見通しのポイント
ドル円上昇を期待するブル派の見方
FX Monthly(ベア派・当方)の見方
リスクオフや一時的な投機筋の円買
いが主因。市場の緊張や動揺が和ら
げば、日米金融政策の格差を主因
に、ドル高円安トレンドに回帰。
円高は、本邦の国際収支の構造変化、予想実質金利
の上昇、「日銀緩和=円安」との図式崩壊、ドル高
の鈍化など、複数要因によるもの。リスクオフが、
円高の本質的な背景ではなく、ドル円下落基調は続
く。
本邦の経常収支(黒字)
黒字拡大は織り込み済み。新たな円
高材料とはなりにくい。
米国の利上げは緩慢。金利差が材料としては機能し
づらく、経常黒字による円高圧力がじわりと継続。
本邦の対外証券投資
日銀のマイナス金利付き QQE を受
け、新年度入り後、対外証券投資が
活発化。それも為替ヘッジなしの
オープンが主流。
対外証券投資が増加しても、中長期債はヘッジ付き
が主流と予想(為替相場には中立)。株式も、保有
比率維持を狙った株式相場下落局面でのリバランス
を除き、勢いを欠く。
日銀の金融政策
マイナス金利による円安効果は、
徐々に顕在化。或いは、今後の追加
緩和が、円安を誘発。
日銀は市場との対話に失敗か。既に、「日銀緩和で
円安」との局面は終わった可能性が疑われる。追加
緩和の可能性はあるが、円安効果には疑問。
相対的にみれば米経済は好調を維
持。次第にドルは再び騰勢を取り戻
す。
相対的にみれば米経済は好調だが、成熟期に入って
いる可能性があり、勢いが鈍化する可能性も視野。
そもそもドル高が米経済への重石となることを市場
は学習済み。ドルの上値追いには、市場も慎重。
FOMC のドットチャートが示すとお
り、最低でも年 2 回の利上げを予
想。物価上昇圧力が高進すれば、さ
らに利上げペースが加速し、ドル高
を招く。
6 月の利上げも視野に入れるが、その後は不確実性
が極めて高い。また、世界的な低成長下での米利上
げは、市場の動揺と円高を誘発するため、そもそも
ドル円上昇要因となりにくい。
円高の背景
米国の経済情勢
米国の金融政策
3
為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
上記の中でも、特に関心が高いとみられるのは、本邦の対外証券
投資が円安をもたらすのかどうか。また、日米の金融政策は、引き
続き市場の重大な関心事項だろう。
新年度入り後の証券投
資フロー
新年度入りするタイミングであることから、本邦からの対外証券
投資が活発化し、円安圧力を招くとの見方は根強い。実際、2 月以
降、本邦からの対外証券投資の内、中長期債は増加(第 4 図)。日
銀のマイナス金利付き QQE によるポートフォリオリバランス効果
が顕在化するとの見方が燻る。但し、ドル円を展望する上で重要な
のは、こうした投資が、為替リスクを伴う(=円売りを伴う)オー
プン形式か、為替リスクを排除したヘッジ付かが重要だ。当方は、
対外証券投資が活発化する場合であっても、円安を誘発する効果は、
以下 3 つの理由から、限定的と予想している。
第 4 図 :本邦の対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)
(10億円)
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
3/20~26
-500
中長期債
-1000
株式・投資ファンド持分
-1500
1/1
1/8
1/15
1/22
1/29
2/5
2/12
2/19
2/26
3/4
3/11
3/18
3/25 (月/日)
(資料)財務省より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
① 株式・投資ファンド持分に関して言えば、昨年の主たる買い
手であった信託勘定(公的年金)は、株式相場が下落した場面での
買い増し(リバランス)を除き、様子見姿勢を強めよう。例えば、
公的年金最大手の「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」
の場合、基本ポートフォリオに占める外国株式の資産構成割合
「25%±8%」に対し、2015 年末時点の保有比率は、既に 22.82%
となっている(第 5 表)。
第 5 表 :GPIF の基本ポートフォリオ及び 2015 年 12 月末時点の実績(単位:%)
国内債券
国内株式
外国債券
外国株式
短期資産
基本ポートフォリオ
35
25
15
25
-
(乖離許容幅)
±10
±9
±4
±8
-
15 年末の実績
37.76
23.35
13.50
22.82
2.57
(資料)GPIF より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
4
為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
② 総じて、市場参加者の円高警戒は高まっており、為替リスク
は取りづらい。また、生命保険会社の場合、為替リスクを伴った資
産に適用されるソルベンシーマージン比率(健全性の指標)算出上
のリスク掛け目が高いこともあり、中長期債投資は為替ヘッジ付が
主流とみられる。
③ 2016 年度も、本邦の経常収支は昨年並みの黒字を維持する
と見込まれる(円高圧力)。多少の円売りを伴うオープンでの対外
証券投資が増加しても、それに伴う円安圧力は、経常黒字による円
高圧力に吸収されよう。
米国の利上げはドル円
上昇を招くか
4 月も月末に FOMC と日銀の金融政策決定会合を控えている。こ
の内、FOMC については、足元で 4 月の利上げ織り込みは、ほぼ消
失している。FOMC が市場に無用のサプライズをもたらすとは考え
にくく、4 月の利上げの可能性は限りなくゼロに近いだろう。一方、
3 月にドットチャートで示された年内 2 度の利上げペースを踏襲す
るなら、次回の利上げ時期として 6 月が濃厚だ。今後、労働市場が
一段と改善し、物価上昇圧力が高進すれば、4 月の FOMC 会合時、
声明文である程度、6 月の利上げを示唆しよう。ただ、金融政策を
運営する上で FOMC に課されている「持続可能な雇用の最大化」
と「物価の安定」といった二つの目的(いわゆるデュアルマンデー
ト)に加え、FOMC は昨年半ば以降、世界経済や金融市場の動向も
注視している。つまり、6 月の利上げの是非は、あくまでデータ次
第であることは勿論だが、ハト派色を強めた感のあるイエレン議長
は、国内情勢に加え、海外要因も判断材料として重視するとみられ
る。おそらく物価上昇圧力が高進した場合も、物価目標(PCE デフ
レーターでみて前年比プラス 2%)超えを許容しつつ、労働市場の
質的な改善を慎重に見極めるとみられる(第 6、7 図)。29 日のイ
エレン議長講演の通り、米国の利上げはゆっくりとしたペースでし
か進まない公算が大きく、ドル高のペースは抑えられよう。
第 6 図 :米 PCE デフレーターの前年比
(%)
5
第 7 図:イエレン議長がかつて言及した労働指標の改善ぶり
ヘッドライン
①失業率(U3)
コア(除、食品・エネルギー)
4
⑨解雇率
3
⑧自発的離職率
2
14
12
10
8
6
4
2
0
②広義失業率(U6)
③長期失業者比率
1
⑦採用率
④労働参加率
0
⑥求人率
-1
直近の進捗
2007年の平均
-2
07
08
09
10
11
12
13
14
15
為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
(中心が危機後の最悪値)
(年)
16
(資料)米経済分析局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
5
⑤平均名目時給の
前年比
(資料)米労働統計局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
(注) ①~⑤は 2 月分、⑥~⑨は 1 月分
逆に、利上げペースが加速し、ドル独歩高の様相が強まる場合で
あっても、様々な経路を通じて市場が動揺。かえって円高圧力が高
まると考えられる(第 8 表)。つまり、利上げ加速によって、ドル
高が強まる場面では、円も強含むといった構図は健在だろう。昨年
12 月の米利上げ以降、ドル円がかえって下落した値動きがこうし
た見方を支えている。
第 8 表: ドル独歩高が、ドル高を抑制したり、円買いを強める複数の経路
米国の低インフレ
米製造業への打撃
米正常化観測
↓
ドル独歩高
(米国一人勝ち)
米利上げペース
鈍化観測
ドル高の鈍化
米株式相場への下押し
資源価格の下落
(ドルとは逆相関)
資源国への打撃
新興国通貨の急落
(ドル高の裏返し)
インフレ高進
対外債務の負担増
リスク回避の台頭
(円高圧力)
(資料)三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
日銀緩和での円安は期
待しづらい
6
一方の日銀も、4 月 28 日に金融政策決定会合を開催。合わせて、
4 半期次の物価の展望レポートを公表する。それまでの経済情勢次
第では、物価見通しを引き下げ、追加緩和に踏み切るとの見方も高
まろう。但し、日銀は 3 月の会合で、1 月末に導入したマイナス金
利付き QQE を円滑に実施する観点から、0%の金利を適用する「マ
クロ加算残高」を原則として 3 ヶ月毎の頻度で見直し、マイナス
0.1%の金利が適用される政策金利残高を「10+α兆円」に維持す
る運営方針を示したばかりだ。当面は、こうした政策運営や、副作
用ばかりが指摘されるマイナス金利付き QQE の効果を慎重に見極
めると考えられる。4 月の追加緩和はないものと予想する。無論、
サプライズ演出を多用してきた黒田総裁だけに、追加緩和の可能性
には常に身構えが必要だ。ただ、マイナス金利付き QQE の導入決
定後、わずか 3 ヶ月での追加緩和となれば、黒田総裁も嫌う戦力の
逐次投入としか映らない上、かえって既存の政策効果への市場の疑
念を強めかねない。そもそも円金利は十分に低いため、これがマイ
ナス圏でさらに深化しても、為替相場への影響は限定される点は、
これまで指摘してきた通りだ。また、ドル円を除くほぼ全ての通貨
ペアにおいて、昨年円高が進んだ事実は、マネタリーベースの拡大
を柱に据える QQE に、絶対的な通貨押し下げ効果があるわけでは
ないことも示している(第 9 図)。日本に限らず、金融緩和による
通貨安への波及度合いは、徐々に衰え始めている可能性が高い。
為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
第 9 図 :円の名目実効相場 (2012 年 10 月初の主要 7 通貨に対する円の水準=100)
マイナス金利導入決定
1
QQE拡大
QQE導入
110
(円高)
0.9
0.8
100
0.7
0.6
90
0.5
0.4
0.3
80
0.2
0.1
(円安)
70
12/10
13/4
13/10
14/4
14/10
15/4
0
16/4(年/月)
15/10
(資料)Bloomberg データより、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
ドル、ユーロの影響を排除する為、豪ドル、ニュージーランドドル、英ポンド、スイスフラン、ノルウェークローネ、スウェーデンク
ローナ、カナダドルの 7 通貨を対象に均等の比率で算出
2016 年度の予想
さて、ここまでみてきた通り、当方はこれまでのドル安円高は一
時的な動きではないと判断し、4 月以降も緩やかなドル安円高傾向
が続くとの従来見通しを維持する。また、向こう 1 年の予想レンジ
の下限を、引き続き 105 円程度と予想。これは、昨年末時点での購
買力平価(OECD 算出)が 106 円であること(第 10 図)、実質金
利差で試みる推計値がほぼ同水準にあること(第 11 図)、2014 年
10 月末の QQE 拡大後、ドル高円安が加速する起点となった水準で
あることなどを総合的に考慮したものだ。また、各四半期毎の値幅
を 10 円としているが、これは昨年第 3 四半期の値幅 9 円 13 銭
(8/12 の 116.15~8/24 の 125.28)やこの第 1 四半期の 11 円 03 銭
(1/29 の 121.70~3/17 の 110.67)などを勘案すると、必ずしも広い
わけではないだろう。
第 10 図 :OECD 算出の購買力平価とドル円(年足)
第 11 図:実質金利差による推計とドル円(月足、3 月末時点)
(円)
130
(円)
350
相対的購買力平価
ドル円(実績)
300
120
250
110
200
100
150
90
ドル円(実績)
推計値
100
80
106.04
(昨年12月末)
50
73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15 (年)
(資料)OECD、Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
7
為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
70
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16 (年)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
メインシナリオへの
リスク要因
予想よりもドル高円
安が進むシナリオ
(リスクシナリオ)
尚、メインシナリオに対する上下双方のリスク要因は以下の通り。
① 米経済の加速とリスクオンの併存
米経済が力強さを増すと、物価上昇圧力も高進し、利上げ頻度は
増すだろう。しかも、米経済の先行きに対する市場の自信が強まれ
ば、利上げは必ずしも株式相場への重石とはならない。さらに、資
源価格もじり高に推移すると、市場の緊張が和らぐ上、本邦の貿易
収支は悪化。円安期待の高まりは、本邦からの対外証券投資のオー
プン化を加速しよう。その場合、本邦での需給も円売り過多となる
可能性が高まる。
② 日本の政府・日銀による財政、金融両面での拡張および緩和策
今後、政府による消費増税の延期(ある意味、財政拡張策)と日
銀による 3 次元緩和(量的緩和の拡大、買い入れ資産の多様化、マ
イナス金利の深化)とが、重なる可能性はゼロではない。仮に、海
外勢による日本株への見直し買いを誘発すれば、株高・円安シナリ
オが復活する可能性が高まろう。
予想よりもドル安円
高が進むシナリオ
(サブシナリオ)
① 米経済の減速感が鮮明となる場合
今回で戦後 12 回目となる米国の景気拡大は、この 3 月で既に
81 ヶ月目と戦後単独 4 番目の持続期間を記録する(戦後最長は、
1991 年 4 月~2001 年 3 月の 120 ヶ月)。但し、その追い風であっ
た量的緩和策は終焉(残高を維持する QE は継続中)。この結果、
米国の株式相場は、一昨年終盤以降、既に上値が重く、資産価格の
上昇が個人消費を刺激する資産効果は期待しづらい。好調を維持す
る労働市場も、幅広い 19 の指標を含む労働市場情勢指数でとらえ
ると、むしろピークアウトした可能性にすら留意が必要だ(第 12
図)。米経済の先行きに対する不透明感から、米国の金融政策の軸
足が緩和寄りへとシフトすると、ドル安の度合いが強まろう。
第 12 図 :米労働市場情勢指数
20
(労働市場の改善)
10
0
2月:▲2.4
景気拡大開始
-10
-20
-30
(労働市場の悪化)
-40
07
08
09
10
11
12
(資料)米 FRB より、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
8
為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
13
14
15
16
(年)
② 強度のリスクオフ
円高の本質的な背景が、リスクオフではないにせよ、やはり値幅
を拡張したり、速度を加速するのは、市場に強い動揺がもたらされ
た場合だ。依然として、世界経済は 2016 年も 3%台の低空飛行が
見込まれており、そうした中での米国の正常化観測は、時折市場の
緊張を高めよう。無論、資源価格の下値不安が再び意識されよう。
今年は、6 月に英国の EU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票
を控えるほか、中国経済の先行きに対する根強い不信感はそう簡単
には払拭されそうにない。さらに、米国の大統領選挙前後で、政策
の不連続が意識されると、投資家心理に悪影響を及ぼす可能性もあ
りそうだ。
予想レンジ
USD/JPY
4 月~6 月
7 月~9 月
10 月~12 月
1 月~3 月
107.0~117.0
106.0~116.0
105.0~115.0
104.0~114.0
チーフアナリスト
9
為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
内田 稔
(2) ユーロ 包括的追加緩和の効果から緩やかに下落
サマリー
3 月のユーロドルは、FOMC とイエレン FRB 議長講演による米
利上げ期待の後退などから、大きく上昇した。
先行きについては、ECB による金融緩和と米国の政策金利引き
上げによる欧米金融政策格差から、ユーロドルは緩やかに下落して
行こう。ただし、直近では、米国の利上げ期待後退によるドル売り
が意識され、ユーロドルは短期的に強含む場面もあろう。
第 1 図 : ユーロドル相場の推移(過去 3 ヶ月)
(ドル)
1.150
1.125
1.100
1.075
1.050
1
2
3
4 (月)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
3 月のレビュー
3 月の相場動向を振り返ると、ユーロドルは月初に 1.08 ドル台後
半で寄り付いた。
月上旬は、ユーロ圏 2 月消費者物価指数(HICP)の前年比マイ
ナス転化を受けた ECB による追加緩和期待の高まりなどから、
ユーロドルは 2 日に 1.0826 まで下落した。
月中旬は、10 日の 3 月 ECB 理事会で主要政策金利の引き下げ、
資産買入プログラム拡大、TLTROⅡ(融資促進目的長期リファイ
ナンス・オペレーションⅡ)の導入などの包括的追加緩和が決定さ
れた。市場予想を上回る結果となったことから、発表直後にユーロ
ドルは 1.0822 まで急落した。しかし、記者会見でのドラギ ECB 総
裁による「追加利下げを見込まない」との発言が報じられると、追
加緩和打ち止め観測が台頭して欧州国債利回りが反発する中で、
ユーロドルは 1.1218 まで急騰した。
加えて、16 日の 3 月 FOMC は、政策金利の予想分布図(ドット
チャート)で 2016 年末時点の予想中位値が 12 月の年 4 回から年 2
回の利上げ示唆に引き下げられるなど、総じてハト派な内容となっ
た。米国債利回りの低下とドル売りが活発化し、ユーロドルは 17
日に 1.1342 まで上昇した。
月下旬は、21 日のロックハート・アトランタ連銀総裁とウィリ
アムズ・サンフランシスコ連銀総裁による「米経済には経済指標に
裏付けられた十分な勢いがあり、早ければ 4 月末に予定される
FOMC にて利上げが実施される可能性もある」との発言、23 日の
10 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁による「2016 年は 2 回以上
の利上げが望ましい」、ブラード・セントルイス連銀総裁による
「次回の FOMC で利上げを検討すべき」との発言を受けて、4 月
FOMC での利上げが意識されてドル買いとなった。ユーロドルは
24 日に 1.1144 まで下落した。
しかし、29 日には、イエレン FRB 議長が講演において「(世界
経済の動きも踏まえ)FOMC が金融政策の変更を慎重に進めるのが
適切」、「(景気が予想比弱い場合には)再び金利をゼロ近くまで
引き下げることも可能」等と発言したことから、米利上げ期待が大
きく後退して、米国債利回りは大きく低下、ドル売りとなった。
ユーロドルは 30 日に 1.1365 まで上昇した。
総じてみれば、3 月 ECB 理事会でのドラギ ECB 総裁発言による
追加緩和打ち止め観測と、3 月 FOMC とイエレン FRB 議長講演に
よる米利上げ期待の後退などから、ユーロドルは大きく上昇した。
今後の見通し
本稿では、ユーロ圏景気・物価動向や 3 月 ECB 理事会などを踏
まえて、ユーロドルの先行きを予測する。
① ユーロ圏景気は着実に持ち直すも物価は下落
消費者物価は前年比マ
イナス転化。先行きも
前年比マイナスで推移
1
ユーロ圏景気は、原油安や物価下落による実質購買力の拡大を受
けた個人消費の増加、ユーロ安を受けた輸出の持ち直しから、着実
に持ち直している。内外需要の堅調さを受けて、生産は底堅く推移
している(第 2 図)。先行きのユーロ圏景気は着実な持ち直しから、
緩やかな回復に移行していくことが期待される。
しかし、住宅投資や設備投資が概ね横這いで推移し、失業率が
ユーロ圏景気の着実な持ち直しを受けて下落傾向にあるものの高水
準にあって(1 月 10.3%)、デフレギャップは引き続き大きい(潜
在 GDP よりも実際の GDP が大きく下回る)。
ユーロ圏物価は、2 月コア消費者物価指数(HICP)が前年比
+0.8%(1 月同+1.0%)と概ね横這いで推移する一方、エネルギー
価格が原油安を受けて下落し、消費者物価全体に対する前年比マイ
ナス寄与が大きく、2 月 HICP は前年比マイナス転化した(第 3
図)。なお、3 月 HICP はイースター(復活祭)休暇によってパッ
ケージツアー価格が前年比で大きくプラス寄与することから、一時
的に前年比マイナス幅縮小またはプラス転化の可能性があるものの、
4 月以降の HICP は前年比マイナスで推移することが見込まれる1。
イースター(復活祭)休暇の前後で観光需要が増加することから、パッケージツアー価格が季節的に上昇する。イースター
は基本的に「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」とされ、年によって日付が変わり、2015 年は 4 月 5 日、2016 年は
3 月 27 日になっている。パッケージツアー価格は、2015 年が 4 月に上昇する一方で 2016 年が 3 月に上昇するため、前年比
では 2016 年 3 月にプラス幅を拡大、4 月にマイナス幅を拡大させることとなる。独 3 月消費者物価指数は前年比+0.3%(2
月同+0.0%)とプラス幅を拡大した。これは、イースター休暇によるパッケージツアー価格上昇を受けた、サービス価格の
前年比プラス幅拡大(3 月同+1.6%、2 月同+0.9%)によるものである。エネルギー価格は前年比マイナス幅を拡大(3 月同
▲8.9%、2 月同▲8.5%)している。
11 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
期待物価の下落が懸念されるため、ECB はユーロ圏でデフレマ
インドが広まることを引き続き警戒しなければならない。
第 2 図 :鉱工業生産
第 3 図:ユーロ圏消費者物価指数(前年比)
(%)
(2010=100)
110
4
105
3
100
2
95
1
90
0
85
-1
08/1
09/1
ユーロ圏
10/1
ドイツ
11/1
12/1
スペイン
13/1
14/1
フランス
15/1
イタリア
16/1
(年/月)
(資料)Eurostat より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
08/1
09/1
10/1
コアHICP
11/1
12/1
食料品等
13/1
エネルギー
14/1
15/1
16/1
(年/月)
ユーロ圏HICP
(資料)Eurostat より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
② 3 月 ECB 理事会で包括的追加緩和を実施
TLTROⅡは貸出増加を
実現した金融機関に報
奨金(補助金)を出す
ようなもの
こうしたユーロ圏景気・物価動向を踏まえて、ECB は 3 月理事会
で景気・物価見通しを下方修正した。ECB スタッフ見通しでは、
2018 年の失業率は 9.9%と、ECB が自然失業率とする 9%台半ばを
上回り、デフレギャップ(潜在 GDP-実際の GDP)が残存するこ
とを示唆している(第 4 表)。そのため、2018 年の HICP は前年比
+1.6%に留められ、「中期的に 2%弱」という ECB の物価目標が、
当面、達成されないことを示した。
第 4 表: ECB スタッフ見通し(前年比、%)
実質 GDP
失業率
HICP
発表時期
2016 年
2017 年
2018 年
2016 年 3 月
1.4
1.7
1.8
2015 年 12 月
1.7
1.9
――
2016 年 3 月
10.4
10.2
9.9
2015 年 12 月
10.5
10.1
――
2016 年 3 月
0.1
1.3
1.6
2015 年 12 月
1.0
1.6
――
(注)
青色は良化修正、
赤色は悪化修正。
(資料)ECB より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチが作成
物価目標の達成が困難であるとの認識を踏まえて、ECB は包括
的追加緩和を実施した。第一に、政策金利であるリファイナンス金
利を 0.05%から 0%に引き下げたことで、ECB の資金供給手段であ
る MRO(主要リファイナンス・オペレーション)と LTRO(長期
リファイナンス・オペレーション)の最低落札金利が 0%となる。
すなわち、金融機関は 0%で資金調達が可能になる。第二に、
TLTROⅡにおいて、企業・個人向け貸出残高(除く住宅ローン)
を 2016 年 1 月末からの 2 年間で 2.5%以上増加させた金融機関に預
12 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
金ファシリティ金利の水準(現在▲0.40%)で資金供給する。すな
わち、ECB が貸出増加を実現した金融機関に報奨金(補助金)を
出すようなものである。第三に、投資適格級(BBB-以上)の社債
を資産買入の対象に加えたことで、12 月 ECB 理事会で買入対象と
なった地方債もあって、今後も資産買入増額に加えて資産買入期限
延長が可能になる2。
このように今回の包括的追加緩和は異例かつ効果の高い施策であ
る。特に、TLTROⅡはマイナス金利で資金供給し、中央銀行とし
ては史上初めての政策であるため、当方は今回の包括的追加緩和を
「ドラギマジック」と高く評価すべきと見ている。
第 5 表:3 月 ECB 理事会における包括的追加緩和
決定事項
政策金利引き下げ
リファイナンス金利
0.05%→0.00%
限界貸出金利
0.30%→0.25%
預金ファシリティ金利
▲0.30%→▲0.40%
実施時期
2016 年 6 月、9 月、12 月、2017 年 3 月
期間
最長 4 年(強制返済無し)
資金供給額
30%
TLTROⅡ(融資促進目的
長期リファイナンス・オ
2016 年 1 月末の企業・個人向け貸出残高(除く住宅ローン)の
金利
0%(リファイナンス金利)
ペレーションⅡ)
企業・個人向け貸出残高を 2018 年 1 月末までに+2.5%以上増加
インセンティブ金利
させた場合には▲0.40%(預金ファシリティ金利)を適用。0~
+2.5%の増加率の場合には 0~▲0.40%を適用
資産買入プログラム拡大
その他
TLTRO からの借換も可能
月間買入額
600 億ユーロ→800 億ユーロ
買入対象
買入上限
社債(非金融機関発行の投資適格級<BBB-以上>の ECB 適格
担保債券)を追加(社債買入プログラム<CSPP>)
国際機関債等の買入上限を個別銘柄ベースと発行体ベースで
33%から 50%に引き上げ
(資料)ECB より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチが作成
③ 結語
ユーロ圏景気は着実に持ち直しているが、デフレギャップが引き
続き大きい。ECB は物価目標の達成が難しいことから、「ドラギ
マジック」と評価すべき包括的追加緩和を実施した。そのため、ド
2
資産買入プログラム(APP)の買入額増額や買入期限延長を議論する際には、財政状況の良いドイツ国債等で買入対象が枯
渇する可能性が意識されていた。
13 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
ラギ ECB 総裁は理事会後の記者会見で、2015 年 3 月理事会で北部
勢の反対を押し切って国債買入を決定した時と同様に、「(包括的
追加緩和によって)一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」
と発言している。当方は暫くの間(半年以上)は追加緩和がないと
見ている。
しかし、プラート ECB 理事が「金利の物理的な下限に達してい
ない。(景気とインフレが回復しなければ)利下げが依然として
我々の選択肢になる」と発言するように、ECB 執行部は引き続き
追加緩和に前向きな発言を繰り返しており、状況によって追加緩和
を実施する可能性がある。
ECB による金融緩和と米国の政策金利引き上げによる欧米金融
政策格差から、ユーロドルは緩やかに下落して行こう。ただし、直
近で米国の利上げ期待が後退していることからドル売りが意識され、
ユーロドルは短期的に強含む場面もあろう。そのため、予想レンジ
を全体的に上方修正する。ユーロ円については、日欧金融政策格差
が意識されて弱含もう。
予想レンジ
EUR/USD
EUR/JPY
4 月~6 月
7 月~9 月
10 月~12 月
1 月~3 月
1.05~1.17
124~134
1.04~1.16
122~133
1.03~1.15
119~131
1.02~1.14
117~130
シニアアナリスト
14 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
天達 泰章
(3) 豪ドル 当局による通貨高牽制が上値を抑えよう
サマリー
今月の豪ドル相場は、資源価格の上昇とドル売り圧力の高まりを
背景に、昨年 7 月以来となる高値を記録。昨年来つづいてきた豪ド
ルショート(売り持ち)の巻き戻しが発生している。こうした中、
当局からは通貨高に対する牽制が再開。金融政策スタンスの変化が
見込まれる中、豪ドルの上値は次第に重くなるだろう。
3 月のレビュー
3 月の豪ドル相場は、月初 0.7143 で寄り付いた後、早々に安値と
なる 0.7109(3/1)を示現した。しかし、中国の財政出動期待を背
景に資源価格が持ち直すと一転、米早期利上げ観測の後退を受けた
ドル売りも重なる中、月末にかけて急上昇。約 9 ヶ月ぶりとなる高
値 0.7709(3/30)を記録している(第 1 図)。対円相場も同様に、
月初 80 円台半ばで寄り付いた後、早々に安値となる 79.75(3/1)
を記録した。しかし、資源価格が持ち直すと一転、その後は、終始
堅調に推移。月末にかけて一段高となる中、1/4 以来となる高値
86.65(3/30)を示現している。
第 1 図 : 豪ドル相場の推移(過去 3 ヶ月)
(ドル)
0.78
0.76
0.74
0.72
0.70
0.68
1
2
3
4
(月)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
資源価格の反発が豪
ドル相場の上昇を牽
引
今月は、中国による財政出動期待や、全般的なドル売り地合を背
景に資源価格が上昇(第 2 図)。同国の主要輸出品である鉄鉱石価
格も、昨年 12 月に付けた安値水準から反発している(第 3 図)。
こうした状況が、同国における交易条件の改善や、追加利下げ観測
の後退を想起させ、足許の豪ドル相場上昇を牽引。事実、豪ドルは
今月、対ドルで約 9 ヶ月ぶり(昨年 7/1 以来)高値を示現するなど、
約 7 年ぶり安値(0.6827)を記録した本年 1 月の様相から一変して
いる。CFTC(全米先物取引委員会)が公表する IMM 通貨先物ポジ
ション(投機筋)では、豪ドルポジションがロング(買い持ち)に
転化(第 4 図)。通貨オプション市場におけるリスクリバーサルを
みても、豪ドルプットオーバーが足許で急縮小するなど(第 5 図)、
昨年来つづいた豪ドルショート(売り持ち)の巻き戻しが発生して
いる。
15 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
第 2 図 : ドル指数とコモディティ指数の推移
第 3 図 : 鉄鉱石価格と豪ドル相場(対ドル)の推移
(CRB指数)
(USD指数)
105
210
ドル指数(右目盛)
CRB指数(左目盛)
(米ドル)
(米ドル)
1.50
200
1.40
200
160
1.30
100
190
1.20
120
1.10
180
1.00
80
95
170
0.90
豪ドル相場(左目盛)
0.80
160
40
鉄鉱石価格(右目盛)
0.70
90
150
15/08
15/09
15/10
15/11
15/12
16/01
16/02
16/03
0
0.60
(年/月)
10
11
12
13
14
15
16
(資料)Reuters、Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
第 4 図 :IMM 通貨先物市場におけるポジションの動向
第 5 図 : リスクリバーサルの推移
(枚)
(年)
(%)
130,000
0.00
(豪ドル買い持ち超)
-1.00
80,000
-2.00
30,000
-3.00
-20,000
-4.00
豪ドルのネットポジション
AUDJPYリスクリバーサル(3m)
-70,000
-5.00
AUDUSDリスクリバーサル(3m)
↓ 豪ドルプットオーバー
(豪ドル売り持ち超)
-120,000
-6.00
10
11
12
13
14
15
16
豪州を巡っては内外共
に不確実性が残存
14
15
16
(年)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
とは言え、豪州経済には依然として不透明感も根強い。雇用者数
変化にピークアウトの兆しが見られる他(第 6 図)、小売売上高や
設備投資も冴えない。賃金伸び率の鈍化や物価上昇圧力の弱さも警
戒される(第 7 図)。その上、主要輸出先である中国の景気減速懸
念、隣国ニュージーランドによるサプライズ利下げも気がかりだ。
このように、豪州を巡っては、内外共に不確実性が残存する。
第 6 図 : 雇用者数変化と失業率の推移
第 7 図 : 消費者物価指数の推移
(万人)
5.0
雇用者数変化(3ヶ月平均)
13
(年)
(資料)CFTC より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
(%)
(前年比%)
7.0
6.0
失業率(右目盛)
消費者物価指数
4.0
6.5
3.0
6.0
2.0
5.5
1.0
5.0
0.0
4.5
-1.0
4.0
-2.0
3.5
消費者物価(トリム平均)
5.0
インフレターゲットレンジ
4.0
3.0
2.0
1.0
3.0
-3.0
11
12
13
14
15
16
(資料)豪統計局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
16 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
(年)
0.0
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(資料)豪統計局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
(年)
RBA による豪ドル高
牽制が再開
こうした中、オーストラリア準備銀行(以下、RBA)は緩和的な
金 融 政 策 を 維 持 。 直 近 の 声 明 文 ( 3/1 ) で は 、 「 Continued low
inflation would provide scope for easier policy, should that be appropriate
to lend support to demand(低インフレが続けば、需要を喚起するた
め、一段の緩和もあり得る)」と、追加緩和の可能性を示唆すると
共に、可能性の度合いを示す文言についても、従来までの「may
(かもしれない)」から、より強い表現「would(だろう)」に変
更した。また、足許では昨夏以降温存されてきた当局による通貨高
牽制が再開。ロウ RBA 副総裁による「最近の豪ドル高は比較的緩
やかだが小幅に下落すれば歓迎する(3/8)」を皮切りに、ガイ・
デ ビ ル RBA 総 裁 補 に よ る 「 現 行 水 準 か ら の 下 落 が 好 ま し い
(3/17)」、スティーブンス RBA 総裁による「最近の豪ドル上昇
は、商品価格や米金利の見通しを踏まえるとやや先走っている
(3/22)」など、「豪ドル安が豪州経済を支援している」としてき
た 2 月までのスタンスを一変。再び、豪ドル高に対する牽制を強め
ている。
来月の見通し
以上の通り、豪州を巡っては依然として不透明感が根強く、①
RBA は当面、緩和的な金融政策をつづける公算が大きい。加えて、
足許では、②当局による通貨高牽制が再開している他、③中国が粗
鋼生産能力の削減に取り組む中で、同国の主要輸出品である鉄鉱石
価格の上昇が今後も持続するシナリオは想定し辛い。こうした状況
を踏まえ、当方では豪ドルの上値余地は限られるとの見通しを維持
する。資源価格の上昇や、ドル売り圧力の高まりが一巡すれば、豪
ドルの反落も警戒されよう。来月は、4/5 の RBA 定例理事会、4/14
の雇用統計、4/27 の消費者物価指数等に留意が必要だ。一方、年度
を通してみると、以前に比べ、ドル高への期待が後退している為、
予想レンジ全体を従来比上方修正している。
予想レンジ
AUD/USD
AUD/JPY
4 月~6 月
7 月~9 月
10 月~12 月
1 月~3 月
0.69~0.79
79~89
0.68~0.78
78~89
0.70~0.80
78~90
0.71~0.81
78~91
アナリスト
17 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
藤瀬 秀平
(4) 人民元 主体性を欠くなか、米ドル主導の展開を見込む
サマリー
今月の人民元相場は、資本流出圧力の減退、米早期利上げ観測の
後退等を材料に、オンショア、オフショア共に年初来高値を更新し
た。人民元はこのところ主体性を欠いており、来月も米ドル主導の
動きが見込まれる。外貨準備増減や GDP 統計に留意しつつも、方
向感を見出しにくい時間帯が続くだろう。
3 月のレビュー
3 月のオンショア人民元(中国国内市場、CNY)は、月初 6.5432
で寄り付いた後、早々に安値となる 6.5533 を示現した。しかし、
米早期利上げ観測の後退を背景にドル売り圧力が強まると、全人代
を受けた財政出動期待なども相俟って、月央には、昨年 12 月以来
となる高値 6.4576 まで上昇した。その後は、米ドルに連れて下落
するも、月末にかけて再び反発。本稿執筆時点では、6.46 台半ばで
推移している(第 1 図)。オフショア人民元(中国国外市場、CNH)
も同様に、安値圏となる 6.55 台半ばで寄り付いた後、ドル売り圧
力の高まりを背景に反発。月央にかけては、高値となる 6.43 台後
半を記録した。その後は、米ドルの動きに連れて上下するも、イエ
レン FRB 議長によるハト派な発言を受けて再び反発。6.47 台前半
にて越月しそうだ。
第 1 図 : オンショア人民元相場と対ドル基準値の推移
(人民元)
6.70
0.40
オンショア人民元と対ドル基準値の価格差
6.60
0.35
オンショア人民元相場
6.50
0.30
対ドル基準値
6.40
0.25
6.30
0.20
6.20
0.15
(スプレッド)
6.10
0.10
6.00
5.90
0.05
5.80
0.00
5.70
15/01
-0.05
15/04
15/07
15/10
16/01
(年/月)
(資料)中国人民銀行、Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
人民元の先安観が足許
で後退
オンショアとオフショアの価格差縮小(第 2 図)や、通貨オプ
ション市場におけるリスクリバーサルの低下(ドルコール・人民元
プットオーバーの縮小/第 3 図)が示唆する通り、人民元の先安観
が足許で後退している。こうした動きの背景には、①ドル売り圧力
の再燃の他、②政府・当局による金融および財政政策への期待感、
③当局による各種資本規制の強化(個人の外貨両替規制の厳格化や、
窓口指導等を通じた企業の外貨買い制限およびオフショアへの資金
移動制限など)が挙げられる。当局からも「国境を越えた資本フ
ローを巡る圧力は大幅に低下」との発言が報じられる等、資本流出
を背景とした元売り圧力は足許で後退(第 4 図)。外貨準備減少に
ついても、ひとまず歯止めがかかった格好だ(第 5 図)。
18 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
第 2 図 : オンショアとオフショアの価格差
第 3 図 : リスクリバーサルの推移
(人民元)
(%)
6.80
6.70
6.60
0.5000
オンショアとオフショアの価格差
6.00
USDCNH リスクリバーサル(3ヶ月物)
0.4500
オンショア人民元相場
0.4000
オフショア人民元相場
6.50
0.3500
6.40
0.3000
6.30
0.2500
6.20
(スプレッド)
6.10
0.1500
6.00
0.1000
5.90
0.0500
5.80
0.0000
5.00
4.00
3.00
5.70
15/01
0.2000
-0.0500
15/03
15/05
15/07
15/09
15/11
16/01
16/03
(年/月)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
第 4 図 : 銀行為替取引データの推移
2.00
1.00
0.00
15/01
15/03
15/05
15/07
15/09
15/11
16/01
16/03
(年)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
第 5 図 : 外貨準備高の推移
(兆ドル)
(兆ドル)
0.15
4.50
外貨準備前月比増減(右目盛)
4.00
中国外貨準備高
0.10
3.50
0.05
3.00
2.50
0.00
2.00
1.50
-0.05
1.00
-0.10
0.50
0.00
-0.15
05
(資料)中国国家外為管理局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
全人代は供給側改革の
断行を強調
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(資料)中国人民銀行より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
第 12 期全国人民代表大会(全人代)は 3/16、「第 13 次 5 ヵ年計
画(2016 年~2020 年)」を採択の上、閉幕した。李克強首相は
「供給側(サプライサイド)改革の断行」を強調すると共に、「中
高速成長の維持」と「失業増の回避」を訴えた。供給側改革に伴う
実体経済への下押し圧力を、機動的な政策運営で下支えする構えを
示し、ハードランディングに陥る可能性を否定。2016 年の成長率
目標を 6.5%~7.0%(第 6 図)に設定した他、今後 5 年間(2020 年
まで)は年平均 6.5%以上の成長を目指す等、習近平指導部が掲げ
る「2020 年までに国内総生産と所得を 2010 年対比倍増する」との
目標に平仄を合わせた格好だ。市場では総じてポジティブに捉えら
れ、年初来つづいたリスク回避の動きがひとまず後退している。
第 6 図 : 中国における 2016 年の主要目標
2015 年目標
2015 年実績
2016 年目標
実質 GDP 成長率
7.0%前後
6.9%
6.5%-7.0%
消費者物価指数
3.0%以内
1.4%
3.0%前後
都市部登録失業率
4.5%以内
4.1%
4.5%以内
都市部新規雇用創出
1000 万人
1312 万人
1000 万人
12.0%
13.3%
13.0%前後
マネーサプライ(M2)
(資料)政府活動報告などを参考に三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
19 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
中国経済を巡る不透明
感は根強い
とはいえ、中国を巡る不透明感は依然として根強い。過剰生産、
過剰設備を背景に固定資産投資(第 7 図)や鉱工業生産(第 8 図)
が伸び悩む他、小売売上高も冴えない。供給側改革に伴う実体経済
への下押し圧力を、金融および財政で下支えすることは容易では無
く、今後は、これらの実現性(政府および当局の政策手腕)に注目
が集まるだろう。
第 7 図 : 固定資産投資の推移
第 8 図 : 鉱工業生産の推移
(前年比累計、%)
(前年比累計、%)
40.0
22.0
第1次産業
20.0
第2次産業
35.0
第3次産業
30.0
18.0
固定資産投資
16.0
不動産開発投資
25.0
14.0
20.0
12.0
10.0
15.0
8.0
10.0
6.0
5.0
4.0
0.0
2.0
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(資料)中国国家統計局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
CFETS 指数の下落が通
貨政策の変化を想起
07
(年)
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(資料)中国国家統計局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
加えて、足許では、輸出統計(第 9 図)の悪化が警戒される。実
質実効為替相場の高止まりが一因と見られ、当局が暗に元安誘導に
踏み切る可能性も排除できない。無論、当局はこれを否定し、「輸
出拡大目的で人民元を切り下げる事はしない」と発言している。し
かし、13 通貨で構成される CFETS 指数(人民元のバスケット指数)
はこのところ下落を続ける等(第 10 図)、通貨政策を巡る不透明
感が再び高まってきている。
第 9 図 : 輸出統計(前年比伸び率)の推移
第 10 図 : 人民元バスケット(推計値)の推移
(前年比、%)
(指数) 2014/12=100
60
108
輸出伸び率
↑ 人民元高
50
106
40
104
30
20
102
10
100
0
98
-10
96
-20
対USD指数
人民元バスケット
94
-30
↓ 人民元安
-40
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(資料)中国国家統計局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
今後の見通し
92
15/01
15/04
15/07
15/10
16/01
(年/月)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
以上の通り、人民元相場を巡っては、資本流出圧力の減退、米早
期利上げ観測の後退等を背景に、足許で底堅い動きを続けているが、
一方では、過剰生産および過剰債務を背景に景気への一段の下押し
20 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
圧力が警戒される。実質実効為替レートの高止まりが輸出の悪化を
もたらす中で、当局が通貨高を今後も許容し続ける公算は小さい。
余程強い米ドル売り圧力が加わらない限り、元高圧力は徐々に和ら
ぐと予想する。来月は、4/15 の第 1 四半期 GDP 統計がメインイベ
ントとなるが、人民元相場が主体性を欠く中、引き続き米ドル主導
の展開が見込まれ、方向感を見出し辛い時間帯が続くだろう。もっ
とも、足許のドル高期待の剥落を考慮し、年度を通した予想レンジ
を、全体的に下方修正している。
予想レンジ
USD/CNY
CNY/JPY
4 月~6 月
7 月~9 月
10 月~12 月
1 月~3 月
6.400~6.600
16.4~17.9
6.450~6.650
16.1~17.7
6.350~6.550
16.2~17.9
6.300~6.500
16.2~18.0
アナリスト
21 為替相場の見通し | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
藤瀬 秀平
予想レンジ
USD/JPY
EUR/USD
EUR/JPY
AUD/USD
AUD/JPY
USD/CNY
CNY/JPY
4 月~6 月
7 月~9 月
10 月~12 月
1 月~3 月
107.0~117.0
1.05~1.17
124~134
0.69~0.79
79~89
6.400~6.600
16.4~17.9
106.0~116.0
1.04~1.16
122~133
0.68~0.78
78~89
6.450~6.650
16.1~17.7
105.0~115.0
1.03~1.15
119~131
0.70~0.80
78~90
6.350~6.550
16.2~17.9
104.0~114.0
1.02~1.14
117~130
0.71~0.81
78~91
6.300~6.500
16.2~18.0
(1) ドル円
130
120
110
100
90
80
70
Jan-10
Jan-11
Jan-12
Jan-13
Jan-14
Jan-15
Jan-16
Jan-17
(2) ユーロ
1.60
対ドル
1.50
1.40
1.30
1.20
1.10
1.00
0.90
Jan-10
Jan-11
Jan-12
Jan-13
Jan-14
Jan-15
Jan-16
Jan-17
160
対円
140
120
100
80
Jan-10
Jan-11
22 予想レンジ | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
Jan-12
Jan-13
Jan-14
Jan-15
Jan-16
Jan-17
(3) 豪ドル
1.20
対ドル
1.10
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
Jan-10
Jan-11
Jan-12
Jan-13
Jan-14
Jan-15
Jan-16
Jan-17
110
対円
100
90
80
70
Jan-10
Jan-11
Jan-12
Jan-13
Jan-14
Jan-15
Jan-16
Jan-17
(4) 人民元
7.00
対ドル
6.80
6.60
6.40
6.20
6.00
Jan-10
Jan-11
Jan-12
Jan-13
Jan-14
Jan-15
Jan-16
Jan-17
22.0
20.0
18.0
16.0
14.0
12.0
対円
10.0
Jan-10
Jan-11
Jan-12
Jan-13
(注) 網掛け部分は当面の予想レンジ
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
23 予想レンジ | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
Jan-14
Jan-15
Jan-16
Jan-17
マーケットカレンダー
月
火
水
木
金
2016/4/1
米/雇用統計(3 月)
ISM 製造業景況指数(3 月)
建設支出(2 月)
自動車販売(3 月)*
中/製造業 PMI(3 月)
日/日銀短観 概要
米・クリーブランド連銀総裁講演
日・黒田日銀総裁挨拶
4
5
6
7
米/製造業受注指数(2 月)
米/貿易収支(2 月)
米/FOMC 議事要旨(3/15,16 分) 米/消費者信用残高(2 月)
ユーロ圏/生産者物価指数(2 月)
ユーロ圏/ECB 理事会議事録
ISM 非製造業景況指数(3 月) 独/鉱工業生産(2 月)
失業率(2 月)
求人労働異動調査(2 月)
日/景気動向指数速報(2 月)
日/日銀短観
ユーロ圏/小売売上(2 月)
調査全容、業種別計数 豪/RBA 理事会
米・ボストン連銀総裁講演
米・ミネアポリス連銀総裁討論会
米・シカゴ連銀総裁講演
11
中/消費者物価指数(3 月)
生産者物価指数(3 月)
マネーサプライ M2(3 月)*
日/機械受注(2 月)
米・クリーブランド連銀総裁講演
米・ダラス連銀総裁講演
12
米/輸出入物価指数(3 月)
財政収支(3 月)
対外対内証券売買契約等
の状況(3 月)
景気ウォッチャー調査(3 月)
米・イエレン FRB 議長討論会
米・カンザスシティ連銀総裁講演
日・黒田日銀総裁挨拶
13
米/地区連銀経済報告
小売売上(3 月)
生産者物価指数(3 月)
企業在庫(2 月)
ユーロ圏/鉱工業生産(2 月)
英/MPC(BOE 金融政策委員会、
8
米/卸売在庫・売上(2 月)
独/貿易収支(2 月)
日/国際収支速報(2 月)
14
15
米/消費者物価指数(3 月)
ユーロ圏/消費者物価指数確報
米/NY 連銀景況指数(4 月)
鉱工業生産(3 月)
設備稼働率(3 月)
(3 月)
英/MPC(BOE 金融政策委員会)
MPC 議事録
豪/雇用統計(3 月)
~14 日)
中/貿易収支(3 月)
ミシガン大消費者信頼感指数
速報(4 月)
証券投資収支(2 月)
ユーロ圏/貿易収支(2 月)
EU27 ヵ国新車登録台数
(3 月)
中/GDP(1Q)
鉱工業生産(3 月)
小売売上(3 月)
日・黒田日銀総裁挨拶
欧州議会本会議(~14 日)
米・アトランタ連銀総裁講演
固定資産投資(都市部、3 月)
米・パウエル FRB 理事証言
G20 財務大臣・中央銀行総裁
米・シカゴ連銀総裁講演
会議(~15 日) IMF・世界銀行春季総会
米・30 年債入札
(~17 日)
米・サンフランシスコ連銀総裁講演
米・3 年債入札
米・10 年債入札
18
19
米/住宅着工件数(3 月)
建設許可件数(3 月)
ユーロ圏/経常収支(2 月)
独/ZEW 景況指数(4 月)
豪/RBA 議事要旨(4/5 分)
20
米/中古住宅販売(3 月)
日/貿易収支速報(3 月)
21
米/フィラデルフィア連銀景況
22
ユーロ圏/製造業 PMI 速報
指数(4 月)
FHFA 住宅価格指数(2 月)
景気先行指数(3 月)
ユーロ圏/ECB 理事会
ECB 総裁定例会見
(4 月)
サービス業 PMI 速報(4 月)
消費者信頼感指数速報(4 月)
米・ニューヨーク連銀総裁挨拶
米・ボストン連銀総裁講演
25
米/新築住宅販売(3 月)
独/Ifo 景況指数(4 月)
ユーロ圏財務相会合
EU 経済・財務相理事会(~23 日)
米・5 年 TIPS 債入札
26
米/FOMC(~27 日)
耐久財受注速報(3 月)
27
米/FOMC
ユーロ圏/マネーサプライ M3
28
米/個人所得・消費支出(3 月)
シカゴ PM 景況指数(4 月)
(4 月) ユーロ圏/失業率(3 月)
ケース・シラー住宅価格指数
(3 月)
独/消費者物価指数速報
(2 月) 独/小売売上(3 月)*
CB 消費者信頼感指数(4 月) 英/GDP 速報(1Q)
(CPI、4 月)
日/日銀金融政策決定会合
日/日銀金融政策決定会合
経済・物価情勢の展望
(~28 日)
豪/消費者物価指数(1Q)
29
米/GDP 速報(1Q)
ユーロ圏/欧州委員会景況指数
消費者物価指数速報(4 月)
GDP 速報(1Q)
日銀総裁定例会見
消費者物価指数
(都区部 4 月、全国 3 月)
完全失業率(3 月)
家計調査(3 月)
鉱工業生産速報(3 月)
住宅着工件数(3 月)
米・2 年債入札
米・5 年債入札
*印は作成日(3/31)現在で日程が未確定のもの
24 マーケットカレンダー | 平成 28(2016)年 3 月 31 日
欧州議会本会議(~28 日)
米・7 年債入札
日市場休場
為替相場推移表
平成 28 年 3 月
U$/円
寄付
高値
安値
終値
3月1日
3月2日
3月3日
3月4日
3月7日
3月8日
3月9日
3 月 10 日
3 月 11 日
3 月 14 日
3 月 15 日
3 月 16 日
3 月 17 日
3 月 18 日
3 月 22 日
3 月 23 日
3 月 24 日
3 月 25 日
3 月 28 日
3 月 29 日
3 月 30 日
112.42
113.91
113.49
113.68
113.84
113.50
112.68
113.25
112.85
113.77
113.83
113.11
112.78
111.38
112.14
112.26
112.43
112.84
113.47
113.36
112.67
114.18
114.56
114.28
114.25
113.85
113.51
113.45
114.45
113.92
114.00
114.17
113.82
112.96
111.75
112.49
112.90
113.00
113.32
113.69
113.80
112.70
112.16
113.22
113.30
113.12
113.23
112.42
112.23
112.61
112.75
113.51
112.63
112.34
110.67
110.83
111.38
112.14
112.30
112.82
113.15
112.61
112.02
3 月 31 日
112.39
112.67
113.00
113.53
日付
月間平均
25 為替相場推移表| 平成 28(2016)年 3 月 31 日
U$/円
公表相場
EUR/円
公表相場
SF/円
公表相場
£/円
公表相場
A$/円
公表相場
114.00
113.46
113.70
113.79
113.46
112.63
113.30
113.21
113.85
113.81
113.19
112.55
111.39
111.56
112.40
112.38
112.90
113.10
113.46
112.72
112.43
112.49
113.96
113.67
113.62
113.70
113.03
112.49
113.31
113.29
113.89
113.90
113.31
112.85
111.17
111.93
112.21
112.42
113.31
113.44
113.26
112.66
122.33
123.93
123.55
124.40
124.98
124.53
123.67
124.41
126.76
127.04
126.42
125.91
126.46
125.78
125.80
125.83
125.71
126.42
126.51
126.85
127.27
112.70
114.31
114.05
114.64
114.40
113.63
112.81
113.46
115.09
115.85
115.40
114.87
115.35
115.00
115.43
115.26
115.26
116.13
116.02
116.32
116.59
156.64
159.00
159.97
160.94
161.58
161.20
159.77
160.93
161.73
163.69
162.63
160.25
160.92
161.06
160.90
159.62
158.61
160.33
160.21
161.41
162.02
80.10
82.34
82.85
83.50
84.26
84.23
83.58
84.65
84.45
86.24
85.44
84.65
85.46
85.01
84.78
85.65
84.36
85.29
85.10
85.50
86.02
112.11
112.57
112.68
127.70
116.74
161.92
86.25
112.43
112.99
113.03
125.56
114.97
160.70
84.53
照会先:三菱東京 UFJ 銀行 グローバルマーケットリサーチ
チーフアナリスト 内田 稔
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号 139189)、英国金融行為監督機構の規制とプルーデンス規制機構の限定された規制の対象となっています。英国プルーデンス規制機構による BTMU ロ
ンドン支店の規制の範囲の詳細は、ご請求いただいた方にお渡ししております。
26 FX Monthly | 平成 28(2016)年 3 月 31 日