2016年度事業計画 - 経済広報センター

2016年度事業計画
2016年4月1日
一般財団法人 経済広報センター
経済広報センターは、経済界と国内外の社会との継続的なツーウェイ・コミ
ュニケーションを通じ、社会各層との相互理解促進と活力ある経済社会を構築
することを使命とする。この使命を果たすため、日本経済の実態、企業活動の
意義および経済界の主張について国民各層や諸外国のオピニオン・リーダーな
どに情報を発信し理解促進を図るとともに、内外の社会の考えを経済界や企業
にフィードバックすることに努めている。
わが国は、少子高齢化と財政悪化という構造的課題を抱えている。経団連は
2015年1月、15年後の2030年を展望し、望ましい国の形とは何か、また、それ
を実現するため、われわれは、どのように行動し何を成し遂げなければならな
いかについて具体的に示す「経団連ビジョン」を発表した。
「経団連ビジョン」の考え方に基づき、社会保障と税・財政の一体改革、エ
ネルギー・環境政策の再構築、IoT(Internet of Things)、ロボット、人
口知能を含む科学技術イノベーション政策の推進、ICTの利活用、多様な働
き方の推進、女性の活躍推進、起業の促進、ジャパンブランドの構築、少子化
対策の推進、観光振興などに積極的に取り組む必要がある。
また、世界情勢が不透明化、不安定化する中で、米国との一層の緊密な関係
の構築、対中・対韓関係の安定化に尽力することが重要である。さらに、アジ
ア太平洋地域のダイナミックな成長をわが国経済の成長に取り込むため、大筋
合意したTPP(環太平洋経済連携協定)の速やかな発効を促すとともに、日中
韓FTAおよびRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を早期に妥結し、2020
年のFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の実現に向けた道筋をつけること
が望まれる。
経済広報センターとしては、このような状況を踏まえ、2016 年度においても、
日本の直面している諸課題とその解決策について、経済界の主張や企業活動に
関する情報を様々なツールを活用し、生活者・消費者をはじめ国民各層に発信
するとともに、企業や経済界に対する社会の様々な声に耳を傾けることに注力
する。対外関係においては、諸外国のオピニオン・リーダーの招聘や交流など
を通じ、ネットワークを一層強化し、対日理解のさらなる促進を図るとともに、
日本の経済界や企業のメッセージを海外に発信する。
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具体的には、以下の事業に積極的に取り組むこととしたい。
【国内広報事業】
1.重要政策テーマに関する広報
わが国がデフレ脱却と経済再生を確実に実現し、将来にわたって活力があり、安
心・安全で豊かな社会を実現するため、①経団連ビジョン、②デフレ脱却と経済再
生、③イノベーション、④財政・社会保障制度改革、⑤エネルギー・環境政策の再
構築、⑥経済連携の推進、⑦地方創生の推進、⑧人口問題への対応、⑨女性の活躍
推進、などの重要政策テーマに関して、経団連および業界団体と連携し、広報を実
施する。
上記テーマに関する経済界の主張を広く社会に伝えるため、①シンポジウム・講
演会・対話集会などの開催、②各地講演会への講師派遣、③新聞・雑誌の活用、新
聞の突き出し広告、④インターネットの活用、⑤パンフレットの作成、などの手段
を連動させた広報を展開する。
2.教育界との交流促進と教育支援
次代を担う人材に、経済や企業について正しく理解してもらう観点から、教育界
との交流を促進するとともに教育支援事業を実施する。
(1)教員の民間企業研修
小・中・高等学校の教員に企業活動の実体験を通じ、企業への理解を深めても
らい、その体験や見聞を学校教育や学校経営に生かしてもらうことを目的に、夏
休み期間中に「教員の民間企業研修」を実施する。
(2)企業人派遣講座
大学生にわが国産業の最新動向などについて実感をもって把握してもらうことを
目的に、大学に企業のトップや専門家を派遣する「企業人派遣講座」を実施する。
実施大学は、早稲田大学(商学部、国際教養学部、基幹理工学部・創造理工学
部・先進理工学部)、慶應義塾大学(商学部、総合政策学部・環境情報学部)、
東京工業大学(大学院)、同志社大学(経済学部)、広島市立大学、横浜国立大
学、上智大学。このうち、慶應義塾大学(総合政策学部・環境情報学部)、同志
社大学、広島市立大学における講義は同時遠隔講義として実施する。
(3)環境、エネルギー、産業教育推進事業
小・中学校の教員を対象に、環境教育、エネルギー教育、産業(金融、工業・
貿易・流通)教育の促進を図る事業を実施する。具体的には、業界団体や企業の
協力を得て教材を作成し、その活用方法を紹介する教員向けセミナーやシンポジ
ウムを支援しているが、2016年度は、エネルギー、金融に関する模擬授業全国大
会を開催する。また、エネルギー教育においては放射線教育、産業教育において
は工業・貿易・流通分野に重点を置く。
3.生活者との対話促進
広く社会との対話を促進するため、全国の消費者・生活者、企業人、学生などか
ら募集した「社会広聴会員」(約4,000名、うち約3,100名はインターネットを利用
してコミュニケーションを行う「eネット会員」)を対象に各種事業を展開する。
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(1)アンケート調査
「eネット会員」を対象に重要政策テーマなどに関し2~3回程度のアンケー
ト調査や、生活者の企業観に関するアンケート調査を実施し、企業への期待、信
頼度などを把握する。アンケート調査は分析の上、マスコミに発表するとともに、
会員企業・団体にフィードバックし、企業活動の参考に供する。
(2)重要政策テーマに関するミニ講演会
重要政策テーマに対する理解を促すため、社会広聴会員を対象としたミニ講演
会を開催する。
(3)「企業と生活者懇談会」
生活者に企業活動の実態を理解してもらうとともに、企業には生活者の率直な
意見を経営に生かしてもらうため、「企業と生活者懇談会」を開催する。また、
企業のPR施設等での見学会を開催し、社会広聴会員に経済活動・企業活動に対
する理解を促す。
(4)『ネットワーク通信』
上記アンケートの分析結果および企業との意見交換会の模様などを伝える社会
広聴会員向けの機関誌『ネットワーク通信』(季刊)を発行する。
また、エネルギー問題に対する国民的な関心喚起を図っていくため、生活者向け
エネルギー広報を引き続き実施する。
4.マスコミとの対話促進
マスコミとの意見交換、交流を目的に、「広報担当役員とオピニオン・リーダー
との懇談会」(主要会員企業・団体の広報担当役員とテレビ等でのコメンテーター
などとの懇談会)を開催するほか、「メディア・フォーラム」(主要会員企業・団
体の広報部長と在京メディアの編集局幹部〔主要新聞の経済部長、テレビの報道局
長・経済部長、主要経済誌の編集長〕との懇談会)および「マスコミ編集局幹部と
の懇談会」(主要会員企業・団体の広報部長と新聞・テレビの社会部長、産業部長、
生活部長等との懇談会)、パーティ形式での「マスコミ幹部との交流会」(会員企
業・団体の広報担当役員・広報部長と新聞・テレビの幹部との懇談会)を開催する。
5.企業広報活動への支援
企業の広報活動は、企業活動のグローバル化やソーシャルメディアの普及などに
より大きく変化している。こうした状況を踏まえて、企業・団体の広報活動の発展
を支援するため、ソーシャルメディア対応、グローバル広報、危機管理広報、イン
ターナルコミュニケーション等を主なテーマとし、次のような事業を実施する。
(1)優秀企業広報の表彰事業
企業広報の発展を図るため、優れた広報活動を実践している企業や個人を表彰
する事業を実施する。
(2)機関誌『経済広報』および「企業広報プラザ」での企業広報に関する情報提供
機関誌であると同時に広報専門誌でもある『経済広報』(月刊)を発行する。
また、企業広報に関する基礎知識や参考文献、企業のPR施設など、企業の広報
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担当者の参考となる情報をウェブサイト上で紹介する。
(3)企業広報担当者向け会合
「企業広報講座」(広報テーマ別の基礎講座)、「メディアトレーニング」(模
擬記者会見)および企業を取り巻く社会環境の変化や広報テーマを取り上げる
「企業広報講演会」、企業広報に関する勉強会である「企業広報委員会」、広報
の若手担当者を対象にした「実践フォーラム・交流会」「広報実務担当者とマス
コミとの交流会」を開催する。
(4)企業広報に関する調査・出版
ソーシャルメディア時代における企業広報の在り方やグローバル広報、インタ
ーナルコミュニケーション、コーポレート・ステートメント等、企業広報に関す
る調査・ヒアリングを実施する。また、調査の成果等を報告書や出版物として発
行する。
【国際事業】
経済広報センターは、諸外国の要人、有識者、ジャーナリスト、教育関係者等とわ
が国経済界が協同・交流するプラットフォームである。
グローバル経済がますます進展
する中、海外のステークホルダーとの関係をより一層、強化すべく、このプラットフ
ォームとしての機能を高めていく。
1. 諸外国の要人、有識者との連携
わが国経済界関係者と諸外国の要人、有識者等との連携を強化すべく、様々な活
動を行っていく。
(1) 米国シンクタンク研究者招聘事業の実施
戦略国際問題研究所(CSIS)、ランド研究所、ならびにルーズベルト研究所
より、中国の政治・経済の専門家(計3名)を招聘し、中国との建設的な関係の発
展に向けた、日米協力のあり方等について、経済界、政府・政界、学界関係者等
との意見交換を実施する。加えて、会員向けのシンポジウムを開催する。
(2) 米国ビジネススクール教授招聘事業の実施
コロンビア大学、マサチューセッツ工科大学等、米国を代表するビジネススク
ールの教授陣(計5名)を招聘し、
「激動する世界経済におけるマネジメント」を
テーマに、経済界、政府・政界、学界関係者等と忌憚ない意見交換を行う。これ
により、わが国企業の経営ビジョンの発信を図るとともに、米国経営学の最先端
の知見を得る機会とする。加えて、会員向けのシンポジウムを開催する。
(3) 駐日大使懇談会シリーズの開催
わが国経済界と極めて重要な関係を有する諸外国の駐日大使と、主要会員企
業・団体の役員が忌憚なく意見交換する場を継続的に設ける。当面は、アセアン
諸国の駐日大使を中心に、懇談会を開催する。
(4) 日米次世代リーダープロジェクト(仮称)の実施
日米関係は、政治・経済の両面において、わが国外交の基軸である。そこで、
日米関係の中長期的な発展に資するべく、次代を担う各界の人材を集め、二国間
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ならびに国際社会の重要テーマについて意見交換するフォーラムを開催する。
上記に加え、わが国企業関係者がアジア、欧米諸国の要人、有識者等と協同・交
流する多彩な機会を設ける。
2. 外国メディアとの協力
わが国経済界の対外発信強化に向けて、海外の主要メディア等との協力を強化す
る。
(1) 欧州ジャーナリスト招聘事業の実施
欧州主要メディアの有力ジャーナリストを招聘し、会員企業トップ等との意見
交換を通じて、対日理解の促進を図るとともに、わが国企業の経営ビジョン等の
対外発信を図る。
(2) 外国特派員協会(FCCJ)との連携強化
外国特派員協会と協力し、在京外国ジャーナリストとわが国企業関係者との交
流の機会を拡大する。具体的には、わが国企業の最先端の取り組み等についての
懇談会等を開催する。
(3) 支局長・特派員との連携強化
在京支局長・特派員の要望等に照らし、適宜、取材等に協力する。また在日中
国人ジャーナリストの企業訪問を含め、各種交流会や諸外国の有力紙誌の編集方
針に関する懇談会等を開催する。
3. 海外での情報発信強化、草の根国際交流推進
対日理解促進の観点から、シンポジウムの開催等を通じて、海外においても積極
的に情報発信する。加えて、海外の教育関係者、学生等との交流事業を引き続き実
施するとともに、その取り組みについて、関係国政府等の理解促進を図る。
(1) 米国各地での日本企業幹部によるシンポジウムの開催
全米日米協会連合との共催で、わが国企業幹部が事業戦略や地域社会への貢献
などを説明し意見交換するシンポジウム「ビジネス・スピーカー・シリーズ」を
各地で開催する(2012 年以降、18 回開催)。幅広い企業関係者の協力を得るとと
もに、本会合を通じ、各州関係者との関係強化を図る。
(2) 北米中高社会科教師招聘事業の実施
全米日米協会連合の協力を得て、米国、カナダの中高社会科教師 10 名を招聘し、
わが国の教師・生徒、企業関係者、有識者等との交流の機会を設ける。同時に、
本事業での体験・経験が帰国後の授業で積極的に活用されることを担保する。36
年目を迎え、被招聘者が 600 名を超えた実績を踏まえ、本事業に対する米国連邦・
州政府等の理解と支援の強化を図る。
(3) 中国人大学生招聘事業の実施
広東省人民対外友好協会、中国青年報の協力を得て、北京、上海、広東の大学
生等計8名を招聘する。イノベーションへの継続的取り組み等、日本企業の活動
についての理解を得る。また、中国人留学生の企業訪問を行う。
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4. 国際的情報発信ツールの充実
(1) 英文国際比較統計集の発行
グローバル化の進展によりわが国の現状等を積極的に説明する必要性がますま
す高まっている。このため、国際的情報発信の重要ツールとして、英文国際比較
統計集を編集・発行する。
(2) 日本と国際関係に関する e-Newsletter(日英)の発行
わが国経済社会の現状、新たな動き、ならびに国際関係の課題等につき、内外
の 有 識 者 が 自 ら の 意 見 を イ ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て 発 信 す る 場 ( 「 KKC
International Platform」)を設ける。これにより、公共政策論議の活性化等に
貢献するとともに、内外有識者との連携強化を図る。
5. 重要政策テーマ等に関する会合の開催
(1) 内外有識者によるシンポジウム・講演会等の開催
諸外国の情勢やわが国との関係等につき、内外の有識者によるシンポジウム・
講演会等を適宜開催する。
(2) 欧米企業日本法人トップ向け懇談会の開催
わが国経済社会の現状と課題等につき、欧米のグローバル企業の日本法人トッ
プと有識者が忌憚なく意見交換する機会を設ける(「KKC Global Company
Roundtable」)。これにより、国際的相互理解の促進と、グローバル企業のネッ
トワークを通じた情報発信を図る。
6. 国際対話プロジェクトの推進
グローバル化が急速に進展する中、わが国にとり、経済外交の推進はますます重
要になっている。そこで、米国、中国等、主要国との協力・信頼関係を強化する観
点から、内外の要人や有力者による高いレベルでの率直な意見交換を行うべく、国
際対話プロジェクトを推進する。
【総務・会員関係事業】
1.役員会合等の開催
(1)「理事会」を開催(2回)し、2015年度事業報告・収支決算の承認および
2017年度事業計画・収支予算の承認のほか、当センターの業務執行に関する
事項などを議決する。
(2)「評議員会」を開催(1回)し、2015年度事業報告・収支決算の承認、役
員および評議員の選任のほか、当センターの重要事項を議決する。
(3)「監事会」を開催(1回)し、財産状況および業務執行状況を監査する。
(4)主要会員団体・企業の広報担当部長で構成する「事業企画委員会」を開催
(6回)し、理事会、評議員会提案事項はじめ重要事項を審議するほか、各
事業の内容、実施方法などについての検討および実施結果の評価を行う。
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(5)「事業活動に関する懇談会」を開催(東京2回、大阪1回)し、当センタ
ーの事業活動全般について、会員に説明するとともに、意見交換を行う。
(6)会員団体・企業との意見交換の場として、
「会員との懇談会」を開催する。
2.会員への情報提供
(1)事業活動に関する懇談会などの開催に併せ、「有識者による講演会」を開
催(3回)する。
(2)当センターが展開する事業についての情報および企業の社会活動や広報関
係の情報をより効果的にインターネットを通じて提供するため、「ウェブサ
イト」(http://www.kkc.or.jp/)の運営・管理を行う。
以 上
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