平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金 構想普及支援事業(Ⅰ事業化可能性調査) 成果報告書要約版 青森県弘前市金属町・青樹町地区エネルギー地産地消事業化可能性調査 事業者名: 弘前市 〇オムロンフィールドエンジニアリング株式会社 株式会社シーケンスサービス 株式会社ブルーマウステクノロジー タムラファーム株式会社 株式会社日本再生エネリンク ◎株式会社エヌパワー 対象地域:青森県弘前市金属町・青樹町地区 実施期間:平成27年7月~平成28年2月 1.事業の背景・目的 弘前市金属町・青樹町地区は、金属工業団地があり、旧来より工場が集まっている地 域である。かつての賑わいは失われ工場の数こそ減っているものの、工場団地の体を十 分なしている。近年、高齢者向けの施設が増え、人口の減少、高齢化に伴う地域経済の 低迷という課題を示している。地域資源を利用した再生可能エネルギーを導入し、地域 のエネルギーマネジメントシステムを構築することで、課題を持つ地域の経済を活性化 する仕組みをつくる。 仕組みづくりの主な観点は以下の通り。 1.木質バイオマスを使った熱と電気のエネルギー供給プラントを設置し地産地消型 のエネルギーシステムへの転換を実現させ、エネルギーの面的な最適利用を行う。 2.熱のカスケード利用による融雪を当該地域で行うことが出来れば、弘前市の除雪 費用が削減でき、エネルギー地産地消のモデル事業となり得る為、調査する。 3.地域資源として、りんご剪定枝の活用など、地元燃料に拘る仕組みづくり。 2.補助事業の概要 1.弘前市金属町・青樹町地区のシードル工場と民間高齢者福祉施設のエネルギー 需給調査並びに近隣エリアにおける再生可能エネルギーの普及状況及び賦存量 の調査 2.導入実現可能なエネルギーマネジメントシステムの具体策調査、検討 上記各施設のエネルギー設備運用状況、各施設におけるデマンドレスポンス実施 可能性、熱導管ルートの策定と費用、木質バイオマスコジェネの設計と費用、バイオ マス燃料調達方法の調査と課題の抽出並びに熱カスケード利用による融雪サービス の可能性調査 3.地域エネルギー会社の設立スキームと事業化可能なビジネスモデルの構築検討 熱・電の売買スキームと課題調査 地域エネルギー会社の事業性評価・資金調達等の考察 3.調査の結果 事業化の可否の結論: 可(バイオマスコジェネ) 検討項目 ①EMSの構成 実施方法 事業化予定時期: 平成29年度 検討結果 金属町・青樹町地区のエネル ・木質バイオマスガス化熱電供給設備、 ギー需要調査に基づき、高齢 蓄熱槽(貯湯タンク)、熱交換器、熱導 者向け福祉施設への熱供給シ管及びセンサ等制御用機器によるシス ステムについて検討を実施し テムを検討、効果を確認した。 た。電力はFIT制度での売電。 上記システムにおける湯量制 ・蓄熱槽を用いた熱需要と電力発電の 御及び化石燃料からの燃料転 両立を目指し、システムの優先順位と ②EMSの効果 換がもたらす効果について検 熱供給先ならびにコジェネシステムを制 討を実施した。 御する投資効果の高いEMSの在り方を 確認した。 りんご剪定枝等の近隣地域資 ・ボイラー単独による熱供給は技術的 源を活用した木質バイオマス 課題少なく実現性高いが、熱供給価格 ③再生可能エネル 熱電供給システムの導入可能 の低さから事業性が困難。FIT制度で売 ギーに関する調査 性について、資源の賦存量や 電する木質バイオマスガス化コジェネは エネルギー供給方法の技術的 事業性があるが、国内では確立されて (任意) 実現性等について調査を実施 いない技術であり、その運転等に関す した。 るノウハウの蓄積が必要と判断。 木質バイオマスボイラー熱供 ・事業体制は議論中 ④事業実施体制・事業 給及びバイオマスガス化発 ・木質バイオマスガス化は国内では未 スキーム・スケジュー 電・熱供給事業について、最 だ技術的に確立したものではなく、今後、 適な事業運営体制案の検討を プラントの運転ノウハウを含め技術ノウ ル ハウの獲得後に事業化を行う 実施した。 ⑤事業採算性評価 ⑥他地域への展開 以下を指標に、20年間の事業 採算性について評価を実施 ・IRR(PIRR、EIRR) ・投資回収期間 ・現在の原油価格ベースでの熱供給価 格では不採算(投資回収不可能) ・木質バイオマスガス化発電・熱供給事 業の試算 PIRR4.4%・EIRR6.6%投資回収期間15年 本調査で検討したエネルギー ・小規模な老健施設は弘前市内に散在 事業と同様の事業を他の地域 しており、同じようなバイオマスガス化に にも展開可能かどうかについ よる熱電併給は可能であり、特に山間 部などの他地域への展開は期待される て検討を実施した。 ところである。 本調査の結果を踏まえ、事業 ・木質バイオガス化プラントの運転ノウ 化の進め方について燃料調達 ハウを青森県試験場などの専門家と共 ⑦今後の展望・課題・ 先となるタムラファームと課題 に研究し、実用化を目指す。 対策 ・リンゴの剪定枝などをガス化燃料とし を共有した て使用できる研究を行う。 4.地産地消型エネルギーシステムの概要 ・弘前市金属町・青樹町地区のシードル工場と老健施設についてエネルギー需給調査を実施。ボイラー単独による熱供給事業と木質バイオマスガス化システムによる熱電併給 について事業性を判断した。なお、融雪サービスの提供については経済的合理性見出せずに早期に断念した。 ・熱供給単独事業は熱供給価格が低迷し、投資回収不可能となり、熱電併給のEMSの在り方を検討した。また、原料調達方法や熱導管敷設に伴う費用逓減方法等事業性を 高める手法の検討を行った。(ただし、熱供給価格は短期の原油相場に関係なく、長期的な視点で形成されるべきものであり、ユーザーとの間で適正価格での合意が望まれる。) ・検討の結果、下記のように木質バイオマスガス化熱電供給システムの事業化を目指す方向となった。 <プラント側> <需要家側> 【エネルギー関連設備の配置イメージ】 【エネルギーマネジメントシステムの構成】 アイテム 対象需要 EMSシステム 設備概要(出力、容量、用途、台数等) 導入予定時期 (既設or新設) 熱電供給事業:老健施設2ヶ所 5軒、熱需要計約360kW 稼働/非稼働制御及び蓄熱槽による需給変動吸収 平成29年度予定(新設) ガス化コジェネ出力:45kW×6基 平成29年度予定(新設) 太陽光 風 力 電源・ 熱源 バイオマス 水 力 コジェネ等 蓄電池 その他 計270kW
© Copyright 2024 ExpyDoc