1 地域包括ケアは多職種連携 「プラットホーム」 の構築で 吉 沢 浩 志 私は日医介護保険委員会の委員として、 今期 (平 等の官公庁関係始め、コンピュータ・通信、機械、 成26・27年)の会長諮問「地域包括ケアを構築す 流通業の分野でも多用されている。Facebook、 るための多職種連携のあり方について~地域医師 iPhone、LINE、Apple、Amazon、Google、楽天、 会を中心にして~」の検討に加わってきた。 諸クレジットカード等の企業もプラットフォーム 日医は地域包括ケアの構築を「地域の方々が住 ビジネスで急成長していて、 ネットワーク効果(製 み慣れた地域で安心して暮らすこと」 の出来る 「地 品やサービスのユーザーが増えれば増えるほど、 域づくり」であり、そのリーダーシップは地域生 それぞれのユーザーがその製品・サービス自体か 活を支える医療を担う「かかりつけ医」と「地域 ら得られる効果や価値が大きくなる)が働きやす 医師会」が担うものであり、地域医師会を中心と いことが成長のエンジンだという(一部 Fujitsu した多職種連携を確立することは地域包括ケア時 Japan.com から引用) 。尾原和啓氏は著書『ザ・ 代の医師会の使命とする。その多職種連携を地域 プラットフォーム』の中で、プラットフォームは 医師会が中心となって推進するためには、多職種 「いろいろなものが乗っかってくる土台」で、一 同士が互いに目標を確認・共有してそれぞれの機 番の土台はマッチングであるが、何かを提供する 能を引き出し合いながら、フラットな関係でコ 人と何かを受け取る人を適合させるマッチングだ ミュニケーションを図り、連携を推進し統合化に けでなく、お互いにある不便・不満・不安などい 発展する場づくり、 所謂目的達成協働体による 「プ ろいろな「不」を解消できるという効用があると ラットホーム」を構築することが答申の核である。 述べている。また、 「いま、新しい時代に即した 医療と介護の連携が重要と言われて久しいが、 地域コミュニティを再生するためには、このプ 未だに課題として「敷居が高い」 「垣根が高い」 ラットフォームという考え方が必要だと言われて 等が挙げられ、多職種協働の「顔の見える関係づ いる。それは、地域課題、生活課題が行政やボラ くり」が薦められる状況にある。医療職は「疾病 ンティア・NPO の単体だけ、あるいはそれらが モデル」で介護福祉職は「障害・生活モデル」と 連携したネットワークだけでは解決が難しい面が 言われるように、両者間ではモデル、制度や情報 あり、さまざまな地域資源が一体化したプラッ が異なる。また、言葉も文化も違い、情報ギャッ トフォームとして解決にあたる必要がある」 プ・コミュニケーションギャップを埋めるための (iwate-volunteer.jp ずっぱりボランティアいわて 情報連携が必要との指摘もある。プラットホーム HP から引用)とあるように、プラットホームは は多職種の関係者が対等なパートナーシップの下 地域の関係主体が参画する協議の場でもあり、地 で、それぞれが持つネットワークを活用して連携 域包括ケアネットワーク構築における医療・介護 を深める台場であり、そこは敷居も垣根もないフ 連携上の課題を解決する鍵だと考える。 ラットな地域づくりの場である。 諸課題を解決できるのは地域自体であることを 最近、ネットワークに関連して様々な分野でプ 共通認識し、地域住民も参画して本音が語れる膝 ラットホーム(P)という言葉が使われている。 を詰めたコミュニケーションの場がプラットホー 総務省「地域情報 P」 ・ 「政府共通 P」 、観光庁「観 ムとご理解頂いて、前進できたら幸いである。 光地域づくり P 支援事業」 、中小企業庁「地域 P」 (県医副会長) 新潟県医師会報 H28.3 № 792
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