1.2.3 美容サービスに対するニーズ

1.2.3 美容サービスに対するニーズ

技術・施術ニーズ

ヘアに関する施術ニーズ
美容室を訪れる顧客のほとんどはヘアに関する何らかの施術を求めている。図 20 を見ると、美
容室において利用されるメニューを、利用率の高い順に並べると、「カットのみ」、「カラー+カット」、
「トリートメント」、「パーマ+カット」となる。
この結果から、美容室を訪れた顧客は、基本的に「カット」を求めて来店し、それぞれのニーズに
合わせて「カラー」や「パーマ」を組み合わせて利用していることがわかる。「トリートメント」は「シャ
ンプー」に付随するメニューであるから、「シャンプー」を必要とする「カット」の利用率が高ければ、
それに伴って利用率が高くなっていると推察される。
図 20 美容室における各メニューの利用率19

ネイルに関する施術ニーズ
ネイルサロンにおける各メニューの利用率は図 21 に示すとおりである。これを見ると、フットより
ハンド、ハンドの中では、「ジェル(ケア含)」に対するニーズが突出して大きいことがわかる。
19
ビューティ総研、「美容センサス 2013 年上期 美容室・理容室編」から引用
http://r-bmr.net/data/census201305hair.pdf
なお、この資料において、Fx 層は年齢層を意味し、F1 層は 20~34 歳を、F2 層は 35~49 歳を、F3
層は 50 歳以上を、それぞれ指している。
98
図 21 ネイルサロンにおける各メニューの利用率20

エステに関する施術ニーズ
図 22 はエステティックサロンの利用者に対して、「受けた施術」と「受けたい施術」をたずねた
結果である。
0
フェイシャル
痩身
レーザー脱毛
岩盤浴
リラクゼーション
ボディ美肌
毛穴対策
ヘアエステ
ネイルケア
ブライダルエステ
アロマテラピー
しみ・あざ・ニキビ対策
まつげパーマ
リフレクソロジー
しわ対策
ゲルマニウム温浴
温浴(スパ)
イオン導入
電気脱毛
フォトエステ
ケミカルビーリング
タラソテラピー
アートメイク
ロミロミ
アーユルヴェーダ
泥エステ
ワックス脱毛
10
20
30
40
50
60
70
64.2
30.8
30
23.8
34.2
28.2
37.1
26.9
24.3
42.2
28.2
23.5
38.3
22.9
22
41.3
28.8
21.8
11.2
20.9
33.1
20.7
37.3
20.6
19.1
20.5
30.5
18.6
40.3
16.5
27.3
16.4
15.5
14
12.5
12
10
30
21
6.6
受けたい施術
22.2
13.1
13.9
6.1
日本・エステ 受けた施術/受けたい施術
(受けた施術の割合の大きい順)
19.3
6.1
5.8
受けた施術
19.4
17.8
9.8
8.2
80
77.7
18.6
9.7
図 22 エステサロンにおける各メニューの利用率(受けた施術と受けたい施術)21
20
ビューティ総研、「美容センサス 2013 年下期 ネイルサロン編」から引用
http://r-bmr.net/wp-content/uploads/2013/11/4_201311nail.pdf
21
矢野経済研究所、「エステティックマーケティング総鑑 2014 年版」から作成
99
90
%
「受けた施術」の割合は、「フェイシャル(美顔)」が圧倒的に大きく、3/4 を超えている。また、「フ
ェイシャル」は「受けたい施術」の割合も 1 位で、約 2/3 である。以下、「受けた施術」の割合は大
きい順に、「痩身」、「レーザー脱毛」、「岩盤浴」、「リラクゼーション」となっている。
一方、「受けたい施術」の割合は、「フェイシャル」に続いて、「リラクゼーション」、「ヘアエステ」、
「しわ対策」、「毛穴対策」、「しみ・あざ・ニキビ対策」となっている。
全体として、「受けた施術」の割合に比べて、「受けたい施術」の割合のほうが大きく、既利用者
においても他の施術ニーズのあることがうかがえる。

技術・施術ニーズ以外のニーズ

美容サロンの利用目的
図 23 は各種美容サロンの利用目的についてたずねた結果である。これを見て、「美容サロンを
利用したいとき」を、その種別にまとめると、次のようになる。
・美容室…「きれいになりたい時」,「気持ちを切り替えたい時」
・リラクゼーションサロン…「疲れた時」,「リフレッシュしたい時」
・エステサロン…「きれいになりたい時」,「自分にご褒美を…」
・ネイルサロン… 「きれいになりたい時」,「誕生日などのイベントで」
女性の「美」に対する意識の高さがうかがえると同時に、美容サロンの利用に対して、自分の「気
持ち」を切り替えたり鼓舞したりする機会を求めていることもうかがえる。
図 23 美容サロンの利用目的22

外形的な事項に対するニーズ
図 24 は美容サロンを選ぶ際に重視する点に関するアンケート結果である。この結果から、美容
22
ビューティ総研、「美容センサス 2010 年下期」から引用
http://r-bmr.net/data/census201010.pdf
100
サロンに対する外形的事項のニーズとして、次のようなことがいえる。
・「スタッフの接客態度が良いこと」がどのサロンについても、最も求められている。
・美容室・美容院・ヘアサロンについては、高い技術が求められている。
・どのサロンに対しても、料金の明確性・妥当性・信頼性が求められている。
まとめると、ホスピタリティや信頼性の高さに対するニーズが大きいということがわかる。
図 24 美容サロン選びで重視すること23
23
ビューティ総研、「美容センサス 2011年上期」から引用
http://r-bmr.net/data/census201104.pdf
101

海外の状況
日本の企業が 2011 年に、中国・韓国・台湾からの留学生に対して実施したアンケート調査24が
ある。本報告書ではその中から、美容サービスに対して求めているものがわかるいくつかの調査
結果を紹介する。

ヘアサロン利用時の重視点
図 25 は、ヘアサロンを利用する際どのような点を重視しているかについてたずねたアンケート
調査結果である。全体として、「技術が優れていること」の選択割合が最も高く、中国からの留学
生と韓国からの留学生では、この点が第 1 位になっている。一方で、台湾からの留学生では、「信
頼できる感じがすること」が第 1 位で、「料金がリーズナブルであること」が第 2 位となっている。
図 25 ヘアサロン利用時の重視点

情報入手経路
図 26 は美容に関する情報をどのような経路・手段で入手しているかについてたずねたアンケ
ート調査結果である。情報入手経路として、全体的には、「感度の高い友人・知人」、「テレビ番
組」を挙げる者が多かった。一方、韓国人は「その他」と回答する割合が大きかったが、その内容
のほとんどは「インターネット」に関連したものであった。
24
ビューティ総研、「美容に関する国際比較調査」。この調査は、福岡に在住する中国・韓国・台湾出
身の女性留学生 450 名を対象に実施されたアンケートをまとめたものである。回収数は 225 名(中
134,韓 54,台 31,他 6)である。2011 年 3 月 14 日~4 月 4 日に実施されている。そのレポートは次
の URL などから入手できる。本項で掲載した図は同ファイルからの引用である。
http://r-bmr.net/wp-content/uploads/2013/07/international1.pdf
102
図 26 情報入手経路

興味のある「美容」テーマ
図 27 は興味のある「美容」テーマについてたずねたアンケート結果である。自分自身の興味に
ついて、全体としては、「ダイエット」→「美白」→「パーマ」→「前髪カット」の順である。出身地域別
に見ると、韓国人は他の地域に比べて「美白」「ナチュラルメイク」に興味があり、台湾人は「角質
ケア」「美肌ケア」に興味があるという傾向が観察される。
図 27 興味のある「美容」テーマ
103