「第3のデフレの波」は 終了

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21 世紀の投資テーマ
お客さま用資料
PERSPECTIVES
2016 年
3月
「第 3 のデフレの波」は
終了
新興国を起点とする今回のデフレの波によって、世界中の貿易と
生産は規模も価格も激しく落ち込みましたが、先進諸国はよくこ
れに持ちこたえました。
フィデリティ・インターナショナル
グローバル株式最高投資責任者
ドミニク・ロッシ
金融環境を引き締めてきたドル高時代が終わるとともに、この
「第 3 のデフレの波」
(1 度目は 2008∼09 年の金融危機、2 度目は
2011∼12 年の欧州ソブリン危機)も今や終了したものと思われ
ます。
実際、ドル高は最終的に各国中央銀行間の政策調整を促し、現在
は金融緩和状態が続いています。米国が景気後退に突入するか
もしれないとの懸念は杞憂であり、私は米国株式が再び上昇相場
に戻ると予想しています。
中央銀行が調整に動くとすぐに緩和した金融環境
ここ数ヶ月、各国の中央銀行の行動は各方面からもっ
況を確保する責任は FRB にあります。
ともな批判を受けてきました。私は以前、中央銀行側
の説明不足が原因で金融環境が不必要に逼迫し、株式
残念なことにドル高が続いたため、各国の中央銀行は
市場が変動したと指摘しました。とりわけ、米連邦準
事実上自国の国内問題にかかり切りになるという厳し
備制度理事会(FRB)は市場が 2016 年の利上げを過小
い事態を経験しました。これは誤りでした。ただし不
評価していると示唆していましたが、私はそのトーン
幸中の幸いだったのは、ドル高が続いた結果、いやもっ
が強すぎると感じていたのです。
と正しく言えば各国中央銀行が協調的でなく独立的に
動いたことによって、米ドルは金融の安定性に脅威と
世界の金融市場が近年引き締まり気味になってきた主
なるほどの水準に達したのです。最近の各国中央銀行
な要因はドル高にありました。世界の金融市場とコモ
の動きは、通貨に関して長年みられなかったほどの強
ディティはドル建て表示のため、ドルが上昇すると、ド
い協調体制が取られたことを示しています。1980 年
ル建てでの資産価格は下落することを意味しました。
代のプラザ合意やルーブル合意並みと言うつもりはあ
ドル高の理由はいくつも挙げられるので、FRB が唯一
りませんが、主要中央銀行間には、さらなるドル高から
の原因ではありませんが、FRB だけが米ドルを発行で
利益を得る者はいないという重要な認識が生まれたよ
きる以上、ドル高が経済活動の制約につながらない状
うです。
※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。
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中国人民銀行は、人民元の切り下げを行わないと明確
性に関する積極的な姿勢を後退せざるを得なくなりま
に述べ、外国為替市場におけるその後の行動は明らか
した。今後の利上げに対する姿勢を(図表 1 に見るよ
にその立場を守っています。欧州では、欧州中央銀行
うに、2016 年中に 4 度の利上げから 2 度へと)修正し、
(ECB)による量的緩和プログラムの拡大はそもそも、
現在は市場予想に一致しています。その結果ドル安が
ドラギ総裁が外国為替市場を用いることに二の足を踏
進行しました。
んでいることを示唆しています。ドラギ総裁は、金融
緩和スタンスとマイナス金利の導入がユーロをショー
連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安は、本格的な
ト(空売り)する機会の提供とみられることを明らかに
ドル安トレンドの始まりだとは思えませんが、ここ数
懸念していました。その結果、政策理事会後の記者会
年(とりわけ 2014 年半ば以降)続いていたドル高時代
見を意図的に利用して「これ以上利下げの意志はない」
が終わったとは言えそうです(図表 2 を参照)。FOMC
と発言したのです。そしてドラギ総裁の思惑通りユー
直後から金融状況は緩和状態となっており、高かった
ロ安は反転しました。
金融市場のボラティリティ水準も今後は低下するで
しょう。
一方、FRB は 12 月に示していた今後の政策金利の方向
図表 1:FRB が予想する政策金利が下方にシフト
2015 年 9 月時と 2016 年 3 月時において 17 名の各 FOMC 理事が予想した各年末での政策金利誘導目標水準の変化
%
5
4
政策金利目標水準
3
2
1
0
2016
9月と同様と予想
2017
9月より低いと予想
2018
長期
9月より高いと予想
出所:米連邦準備理事会(2016 年 3 月)
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「デフレの波」に持ちこたえた先進諸国
金融環境が緩和してくるとともに次第に明らかになっ
は否定できず、そうなれば再びデフレの波に襲われる
てきたのは、先進諸国が「デフレの第 3 の波」の影響に
ことになるでしょうが、このリスクは大幅に低下した
実際よく持ちこたえたという事実です。確かに、貿易
ようにみえます。
財と工業生産高は量、価格ともに劇的に落ち込みまし
たが、米国の国内経済は好調さを維持し、ユーロ圏と英
新興国市場とコモディティは構造的な課題を足下に抱
国も一定の底堅さを示しました。わずか数週間前に
えており、その解決にはまだ何年もかかりそうです。
は、米国の景気後退入りが懸念されていましたが、これ
いずれも最近反発しましたが、これは長続きしないと
は杞憂だったと私はみています。
みて間違いないでしょう。今後の市場を先導するの
は、最近の動きの影響を最も受けなかった分野だと思
むしろ、今後は健全な金融状況を背景に安定成長の時
います。すなわち、情報技術( IT )やヘルスケアをはじ
代が到来し、米国株式市場を再び先頭に、先進国の株式
めとする無形資産と知的所有権を豊富に抱えたセク
市場には新たな上昇相場を迎える準備が整ったと考え
ターです。
ます。もっとも、中国人民元が切り下げられる可能性
図表 2:ドル高時代の終演:主要通貨に対する貿易加重ベースでみた米ドルの推移
100
90
80
70
2016/01/01
2015/09/01
2015/05/01
2015/01/01
2014/09/01
2014/05/01
2014/01/01
2013/09/01
2013/05/01
2013/01/01
2012/09/01
2012/05/01
2012/01/01
2011/09/01
2011/05/01
2011/01/01
2010/09/01
2010/05/01
2010/01/01
60
出所:データストリーム(2016 年 3 月)
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フィデリティ・インターナショナルは、アジア太平洋、欧州、中近東、ラテンアメリカの 24 か国において投資家向けに資産運用サービ
スを展開しています。運用資産 33 兆円※、従業員数約 7,000 名を有し、世界有数の資産運用会社としてさまざまなアセットクラスを網
羅する投資商品や、リタイアメント・ソリューションを提供しています。資産運用に特化し、優れた運用ソリューションとサービスに
よって、お客様の求める資産形成を実現することを使命としています。フィデリティ・インターナショナルは 1946 年米国ボストンで
創業された「フィデリティ・インベスメンツ」の国際投資部門として 1969 年に設立されました。1980 年に米国の組織から独立し、現
在は経営陣と創業家が主要株主となっています。
(※ 1 ドル= 120.295 円で計算、データは 2015 年 12 月末日現在)
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