フィデリティ・インターナショナルが考える ■ 21 世紀の投資テーマ お客さま用資料 PERSPECTIVES 2015 年 12 月 2016 年の見通し 先進国株式の見通しは 明るい 2016 年の株式市場は 2015 年よりも明るい見通しが期待できます。 2015 年は、新興国の経済成長率が予想を大幅に下回って株式市場がか なり混乱しました。しかし、3 年間に及んだ新興国市場の著しい出遅れ は、いよいよ終わりに近づいているように思われます。2016 年は、先進 フィデリティ・インターナショナル グローバル株式最高投資責任者 ドミニク・ロッシ 国(とりわけ米国の)消費が著しく拡大すると思われます。賃金と雇用 の伸びに加え、多くの財やサービスの価格が下がっているからです。 したがって、現時点における 2016 年の経済成長見通しは、とりわけ先 進国については 2015 年当初の時よりも大幅に健全で、これが米国をは じめ各国の株式市場に楽観的な投資環境をつくり出しています。ただ し、世界の株式市場の様相を変えてしまうほどの破壊的な力をもつイノ ベ―ション関連銘柄の影響が増大するため、注意深い分析が引き続きき わめて重要です。 デフレーションが貿易の重石に 2015 年に大きな課題の一つとなったのは、新興国を発端と り得るからです。デフレが起きるとまず貿易量が減少するの する世界的なデフレーションの脅威でした。それが最も顕著 は、世界各国の輸出データによっても、世界の貿易量データ に表れたのがコモディティ価格の長期低迷でした。デフレは でも詳細に確認できます。中国をはじめとする新興国はすぐ まさに両刃の剣と言えます。経済に著しい悪影響を与えかね には本格的な景気回復には向かいそうにないことから、貿易 ませんが、同時に経済力を再生させる力強いきっかけにもな 財の流れは当面軟調が続くでしょう。 恩恵を受ける消費支出 デフレにはプラスの副作用もあります。デフレ傾向はコモ 財)価格の下落という恩恵をためこみ、実質所得が増えてい ディティ価格と原油価格だけでなく、多くの財の価格にも現 るにもかかわらず貯蓄率も高まって、これが投資家を大きく れ、これ自体が実質所得水準を上昇させるのです。米国で 悩ませました。ただし、この影響は一時的なものと思われま は、そして米国ほどではないにせよ英国でも労働市場は引き す。2016 年は、米国の消費者が出費を再開するなど、雇用状 続き好調で、雇用者数、賃金ともに伸びて実質所得をさらに 況の改善が消費パターンに反映されるでしょう。自動車販売 押し上げます。 と住宅建築では、この動きがすでに本格化し始めている兆候 2015 年には、米国の消費者はエネルギー(およびその他の が表れています。オンライン取引の破壊的な影響のおかげ ※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。 また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。 1 PERSPECTIVES フィデリティ・インターナショナルが考える ■ 21 世紀の投資テーマ 2015 年 12 月 お客さま用資料 で、消費データを読み取ることが以前より難しくなり、個人 のようなオンライン事業の売上高が改善しているかもしれ 消費にどれだけの力があるのかがいくぶん見えにくくなっ ないのです。けれども、全体として見れば、消費者はさまざ てきています。たとえば、ウォルマートのような対面型が中 まな恩恵や賃金上昇を受けて、以前よりも自信を持って消費 心の小売店舗の売上高が事前予想を下回る一方で、アマゾン するのではないでしょうか。 力強い経済に支えられる米国株 要するに、米国の消費者は 10 年ぶりに強力な力をため込ん り落ち込んだ状況になお苦しめられているからです。 だ状態で 2016 年を迎えようとしているのです。米国の個人 米国は国内経済が好調なため、株式市場も他の市場に比べ金 消費は、予想される若干の利上げを容易に乗り越え、国内経 融引き締め政策に対処しやすいでしょう。つまり、米ドル 済は驚くほどの伸びを見せるかもしれません。米国の国内経 ベースで見ると、米国株式市場は今年も他の市場のパフォー 済は、世界経済にとっての安全バルブとしてもある程度機能 マンスを上回るとなお期待できます。 すると思われます。米国以外の国々は、新興国を中心にかな イノベーションが前面に 投資家にとって 2016 年の主要テーマの一つはイノベーショ 全体として、市場はイノベーションとそれ以外とに分岐し続 ンです。多くの産業では破壊的イノベーションが市場の様相 けると思われます。そして間もなく、投資家は 1990 年代後 を変えるでしょう。テクノロジー分野ではソーシャル・メ 半と同じように、 「オールド」エコノミーと「ニュー」エコノ ディアやインターネットに、医薬品分野では腫瘍学などの新 ミーについて再び論じ始めるでしょう。アクティブ運用は時 たな治療法の飛躍的な発展として、またゲーム分野でさえ数 価総額を重視する投資家よりも明確に有利になるはずです。 多くのゲームがオンラインゲームになるといった形で、イノ 時価総額重視の投資家は「オールド」エコノミーを保有しが ベーションが起きています。イノベーションは世界の株式市 ちになりますが、これは過去の成功に基づく投資ですから、 場を変革するでしょう。そしてそのリーダーとして今後も隆 遅かれ早かれ新たに勃興してくる経済秩序に乗り遅れてし 盛を誇るのが米国企業だと思われます。ナスダック市場はこ まうからです。市場を先導できるほどの革新的な銘柄とセク のストーリーの中心的な舞台として、力強い利益モメンタム ターはまだ少ないですが、いったん出現すると、持続的に市 が見られる情報技術やバイオテクノロジーセクター発の破 場を先導し、長期投資家にとって主たるリターンの源泉にな 壊的な力の恩恵を最も受け続けるでしょう。 ることでしょう。 欧州の見通しは改善 欧州の先行きは徐々に改善しています。欧州の域内需要はま ルでの突然の緊張激化という欧州周辺国につきもののリス だ緩やかとはいえ、以前よりも着実に安定してきています。 クだけです。ECB は認めたことはありませんが、ユーロ安は 大方の見方に反し、欧州は、南東地域からの移民の波により 今後もその政策目的の一つになると私は考えています。現時 恩恵を受けるかもしれません。欧州中央銀行( ECB )が金融 点においては、ユーロがそれほど大きく反発し、景気回復の 緩和策を継続できるのは、この域内の景気回復には政治リス 障害になるとは思えません。 クがほとんどないからです。例外はギリシャまたはポルトガ 新興国の経済状況は引き続き弱い 世界の新興国の景気見通しは来年も予断を許しません。成長 クが上昇し始めており、とりわけ中国人民元がさらに調整す 率が鈍化するとともに構造的な諸問題も次々と明らかになっ る可能性も(米ドル高が進行するのであればなおさら)高まっ ています。しかも、米国の利上げサイクルが各国経済の重石 ています。 になろうとしているのです。新興国ではどこも通貨安が一段 しかし、新興国の場合、株式市場のパフォーマンスと経済状況 と進むと思われ、コモディティ価格が復活して各国経済を支 とを区別することが重要です。というのも両者の動きは乖離 える見込みもほとんどありません。特に中国ではデフレリス する可能性があるからです。中国と新興諸国の景気減速が一 ※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。 また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。 2 PERSPECTIVES フィデリティ・インターナショナルが考える ■ 21 世紀の投資テーマ 2015 年 12 月 お客さま用資料 段と進むことを予想し、2015 年の新興国とアジアの株式市場 れてくるはずだからです。中国の経済データは景気減速をさ は大変厳しい結果となりました。多くの投資家にとって、新 らに指向し、ブラジルやロシアの経済状況は悪化の度合いが 興国通貨が下落したことは米ドル建てでのパフォーマンスの 一層ひどくなるでしょう。つまり、新興国に関する企業や経 悪化を増幅する結果をもたらしました。 済に関するニュースは引き続き、明るい材料は期待できない しかし、こういった新興国株式市場の大幅な調整と、3 年間に と思われます。この点からすると、2016 年も大変厳しい 1 年 及んだ他市場からの著しい出遅れは、いよいよ終わりに近づ となることは疑いありません。しかし株式市場はこうした悪 いているように思われます。絶対水準で言えば、多くの投資 材料の多くを既に織り込み済みであると思われます。 家がすでにタオルを投げてしまった(新興国市場に完全に見 私たちは構造改革に真剣に取り組んでいる新興国を引き続 切りをつけた)ように見える今こそ、投資家が投資機会を慎重 き選好していきます。こうした国々が自国の構造問題にきち に物色し始める絶好の機会かもしれないのです。ただし、現 んと対処していくことは、投資家にとって今後の投資に深い 在のようにまだ確実ではない投資環境では、厳しさの続く経 自信を持たせることになるからです。それが不可能な国々は 済環境にうまく対処できる投資戦略が必要になります。新興 投資家から見放されることになるでしょう。 国の資本市場が今日軟調であることは、明日の実体経済に現 ※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。 また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。 3 PERSPECTIVES フィデリティ・インターナショナルが考える ■ 21 世紀の投資テーマ 2015 年 12 月 お客さま用資料 フィデリティ・インターナショナルは、アジア太平洋、欧州、ラテンアメリカの 24 か国において投資家向けに資産運用サービスを展開 しています。運用資産 31 兆円※、従業員数約 7,000 名を有し、世界有数の資産運用会社としてさまざまなアセットクラスを網羅する投 資商品や、リタイアメント・ソリューションを提供しています。資産運用に特化し、優れた運用ソリューションとサービスによって、お 客様の求める資産形成を実現することを使命としています。フィデリティ・インターナショナルは 1946 年米国ボストンで創業された 「フィデリティ・インベスメンツ」の国際投資部門として 1969 年に設立されました。1980 年に米国の組織から独立し、現在は経営陣 と創業家が主要株主となっています。 (※ 1 ドル= 119.765 円で計算、データは 2015 年 9 月 30 日現在) • 当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、正確性・完全性について当社が責任を負うものではあ りません。 • 当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いず れも将来の傾向、数値、運用結果等を保証もしくは示唆するものではありません。 • 当資料に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等 の売買を推奨するものではありません。 • 当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き当社に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固く お断りいたします。 • 投資信託のお申し込みに関しては、下記の点をご理解いただき、投資の判断はお客様自身の責任においてなさいますようお願い申し 上げます。なお、当社は投資信託の販売について投資家の方の契約の相手方とはなりません。 • 投資信託は、預金または保険契約でないため、預金保険および保険契約者保護機構の保護の対象にはなりません。 • 販売会社が登録金融機関の場合、証券会社と異なり、投資者保護基金に加入しておりません。 • 投資信託は、金融機関の預貯金と異なり、元本および利息の保証はありません。 • 投資信託は、国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とし投資元本が保証されていないため、当該資産の市場におけ る取引価格の変動や為替の変動等により投資一単位当たりの価値が変動します。従ってお客様のご投資された金額を下回ることも あります。又、投資信託は、個別の投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスク の内容や性質が異なりますので、ご投資に当たっては目論見書や契約締結前交付書面を良くご覧下さい。 • 投資信託説明書(目論見書)については、販売会社またはフィデリティ投信までお問い合わせください。なお、販売会社につきまして は以下のホームページ(http://www.fidelity.co.jp/fij/fund/japan.html)をご参照ください。 • ご投資頂くお客様には以下の費用をご負担いただきます。 ・申込時に直接ご負担いただく費用:申込手数料 上限 4.32%(消費税等相当額抜き 4.0%) ・換金時に直接ご負担いただく費用:信託財産留保金 上限 1% ・投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用:信託報酬 上限 年率 2.0844%(消費税等相当額抜き 1.93%) ・その他費用:上記以外に保有期間等に応じてご負担頂く費用があります。目論見書、契約締結前交付書面等でご確認ください。 ※当該手数料・費用等の上限額および合計額については、お申込み金額や保有期間等に応じて異なりますので、表示することができ ません。ファンドに係る費用・税金の詳細については、各ファンドの投資信託説明書(目論見書)をご覧ください。 ご注意)上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。 費用の料率につきましては、フィデリティ投信が運用するすべての公募投資信託のうち、徴収する夫々の費用における最高の料率を記 載しておりますが、当資料作成以降において変更となる場合があります。投資信託に係るリスクや費用は、夫々の投資信託により異な りますので、ご投資をされる際には、事前に良く目論見書や契約締結前交付書面をご覧下さい。 フィデリティ投信株式会社 金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第 388 号 加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 BCR151124-1 ※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。 また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。 4
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