展 望 - JA 全中

自己改革の実践初年度を迎えて ◆ Outlook by Choe Okuno
展 望
JAの進むべき道
自己改革の実践初年度を迎えて
昨年の第27回JA全国大会では、
この 5 年間、私たちは全国の協同
「農業者の所得増大」
「農業生産の
の力で支援を続けてまいりました
拡大」
「地域の活性化」を 3 つの基
が、いまだ復興途上という現実を
本目標として、
「創造的自己改革へ
前に、あらためて被災地の方々が
の挑戦」に取り組むことが、JAグ
真に必要とする支援に取り組んで
ループの総意として確認され、今年
まいる所存であります。
度はその実践初年度となります。
私がこの実践に最も必要と考え
奥野長衛
(JA全中会長)
ているのが、協同組合の原点である
JAグ ル ープ は 大 きな 組 織 で
す。この協同の力をいかんなく発
揮すれば、これほどまでに強くし
組合員に必要とされる事業づくりと、そのた
なやかな組織は、日本には存在しないでしょ
めにJAグループ全役職員が知恵を絞ること
う。しかし、大きな組織であるが故に、組合
であります。
員の視点を忘れたり、組合員の意見や願いを
今、農家組合員からJAに最も期待されて
伝達する間に目詰まりを起こしやすいのも事
いるのは営農・経済事業の強化であり、マー
実です。あくまで私たちJAグループの役職
ケットインへの発想の転換、他業態との連携
員は組合員とともに、この組織をいかにより
による付加価値創出、輸出やインバウンドな
良い組織とするか、そしてこの組織を通じて
どの新規需要開拓などの取り組みは、確かに
いかにこの社会をより良い社会とするかにつ
新たな挑戦でありリスクも伴いますが、組合
いて、知恵を絞ってまいらねばなりません。
員にどう役立つかという視点を忘れなけれ
知恵は決してひとりで生み出すものではあ
ば、たとえ失敗してもその挑戦は必ず次につ
りません。自由に意見や情報が行き交い、闊
ながります。
達な議論があって初めて、知恵が組織に実装
また、東日本大震災から 5 年が経過しまし
されるのです。私はJA全中の会長として、
たが、被災地では、着実な復興の歩みが進む
このJAグループをそうした風通しの良い組
一方で、沿岸部の中山間地域では営農・生活
織に変えてまいるため、尽力いたします。
基盤の復旧が遅れており、また福島県を中心
ともに知恵を出し合い、この難局に立ち向
に原発事故による風評被害が続いているな
かってまいりましょう。
かっ
たつ
ど、いまだ「農業の復興」途上にあります。
2016/04
月刊 JA
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