G7伊勢志摩サミットに向け 「米ドル/円」は中間反騰に!

【2016年3月30日公開】
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【スペシャルレポート】
『G7伊勢志摩サミットに向け
「米ドル/円」は中間反騰に!』
執筆者:株式会社CKキャピタル 代表取締役CEO
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
2015年最後のスペシャルレポートで紹介したとおり、2016年の「米ドル/円」の「マーケット
コンセンサス」は「円高」。そしてターゲットは「110円」としていた。
それが2月という2016年初頭に、「米ドル/円」はターゲットにあっさり到達した。そのきっかけ
はSQショックである。
●SQ1ショックであっさり年初のターゲットである 110 円台に到達
2月12日(金)は日経225オプションのSQ。SQ前日はマーケットが荒れる傾向にあるのだが、2
月SQ前日の2月11日(木)は日本市場が建国記念の日のため休場、中国も春節(旧正月)で休場。
そのため流動性が枯渇する中、ヘッジファンド勢に狙い撃ちされ、急速な株安・円高を誘引した
といわれている。
実際、2月の日経平均のSQ値は1万5156円という安値で終わっている。
そしてSQ値がほぼ最安値で決まったあとは、日経平均と「米ドル/円」はあっさり反発した。
つまり、SQ前日の流動性の薄い中、ヘッジファンド勢はまず急速な円高を誘引し、結果SQ当日の
日経平均は15,000円を割り込む展開となった。
SQが決まった後は、彼らは売った「米ドル/円」を一気に買い戻し、結果SQが終わった後、つま
り投機筋の利益確定が終わった後の日経平均と「米ドル/円」は何事もなかったかのように急速
に回復した。
SQ絡みはヘッジファンド勢の思惑が大きく影響するのだが、今回は彼らの思惑がうまくいった典
型ともいえる。
このヘッジファンドの思惑がうまくいった大きな理由は、1 月 29 日(金)に発表された日銀の
マイナス金利である。
1日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3
月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている。
米ドル/円 日足
●マイナス金利の効果の見極めは4月から
黒田日銀総裁が切り札として投入した「マイナス金利」であるが、マーケットの評判は芳しく
ない…。
まず発表された時期が1月29日(金)だったという日程。
確かに中長期の運用者は今回の「マイナス金利」の発表を受けて、運用難に直面することになり、
REITや外債、そして株といったリスクアセットへの転換を迫られることになる。
しかし、1月29日(金)という時期に発表されたこともあり、多くの運用担当者は、2016年度の
運用計画を大幅に見直す必要に迫られ、会議の連続へ…。
そのため、彼らがリスクアセットへの転換をせまられても、実際に変更された運用が実行される
のは4月からとなる。
つまり「マイナス金利」が発表された後の2月から3月というのは、「マイナス金利」に効果があ
るのかどうかを判断することはできないのである。
見方をかえれば、「マイナス金利」は金融機関の収益を圧迫することになるため、2月の邦銀の
株価は急落することになり、そして金融機関の株価が急落したことにより、「マイナス金利」は
短期的には「株安、円高」を誘引したこととなり、マーケットの評判は芳しくない状態となる。
ただ、4月からは本邦企業は新年度入りするため、黒田日銀が導入した「マイナス金利」の効果
を測るのは4月からということになる。
●G7 伊勢志摩サミットに向け、「米ドル/円」は中間反騰に
2月早々に今年のターゲットに到達した「米ドル/円」であるが、その後は110円から115円のレ
ンジでのもみ合いに終始している。
しかし4月以降、政治的な思惑により、「米ドル/円」は反発の可能性が高まっている。
まず重要なイベントとして、5月26日(木)から27日(金)のG7伊勢志摩サミットが挙げられる。
安倍首相はG7伊勢志摩サミットで議長国としてのまとめ役となり、その議長国が消費税を上げる
というのは、まとめ役としては求心力に欠ける、ということになる。
つまり、今回も消費増税は延期される可能性が高いということになる。
そして、マーケットで噂になっているのが、7月10日(日)のダブル選挙。安倍首相は、最低で
も5兆円規模の財政出動を決行するといわれている。
G7伊勢志摩サミットをまとめ上げ、消費増税延期、そして財政出動を決断。
その成果を携え、7月10日(日)のダブル選挙に臨むといわれている。
そしてこの選挙に向け、必須なのが日本株の上昇である。
4月以降、選挙に向け政治的イベントが相次ぎ、当局が「日本株」と「米ドル/円」を再び押し上
げるというのが徐々にコンセンサスとなりつつある。
テクニカルに「米ドル/円」の動きをチェックしても、2 月・3 月と 110 円台でトリプル・ボト
ムを構築し、「米ドル/円」は反発する可能性が高まっている。
懸念された原油も反発傾向にあり、本丸であるNYダウも底堅く推移。
ダブル選挙が終了するまでの中間反騰に終わるかもしれないが、115から116円レベルへ反発の公
算が高まっている「米ドル/円」の動向に注目である。
----------------------------------------------------------------------------------【執筆者:西原宏一氏プロフィール】
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部
門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャ
パンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラ
ー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交
流が深い。
------------------------------------------------------------------------------------【本レポートの趣旨】
本レポートは株式会社CKキャピタルより発行されているレポートであり、情報提供のみを目的と
しております。
本レポート中のコメントは独自の見解に基づいたものであり、株式会社CKキャピタル、およびワ
イジェイFX株式会社共にレポート中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示
的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。
また、本レポート内のコンテンツ、データに関する著作権は株式会社CKキャピタルに帰属してお
ります。
コンテンツ、データ等は私的利用の範囲内で使用し、無断転載、無断コピー等はおやめください。
さらに、かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、株式会社CKキャ
ピタル、およびワイジェイFX株式会社は一切責任を負いません。
最終的な投資判断は、他の資料等も参考にしてご自身の判断でなさるようお願いいたします。