平成28年3月号 ひまわりだより 有働病院 ひまわりの会 ◆ 話 題 ひまわりの会「統合失調症」 ◆ お知らせ(4月のひまわりの会) vol.84 家族教室 3月に入り、寒さも一段落して少しずつ暖かくなってきました。 しかし、花粉症に苦しむ人も多いことでしょう。症状を抑えるためにいろいろ努力している人もいると思い ます。 今回のひまわりの会は統合失調症で苦しむ人の対応の仕方です。基本的な考え方を知ることで、本人 はもちろん、家族の方のつらい気持ちが少しでも楽になるお手伝いができればと思います。 統合失調症 ● ご家族の支援が重要です ご本人にとって、いちばんの支援者はご家族のみなさんです。 退院してから一年後の再入院率を調査したデータによると、家族からの支援がなかった人だと 約80%の人が再入院をしています。家族から支援を受けた人の再入院の率は20%以下で、 家族の支援の重要性がデータからも得られています。また、家族の関わり方が適切でなかった 場合、約52%の人が再発しており、関わり方が適切であった場合は20%の再発率でとどまっています。 ● 支援のポイント 『病気について正しい知識をもちましょう』 ご家族の方の支援や適切な関わり方で再入院や病気の再発を少なくすることができます。また、 統合失調症は親の育て方が原因ではありません。ご家族がご自身を責めることはかえってご本 人のこころの負担になってしまいます。ご本人、ご家族がこの病気について正しい知識をもつ ことが大切です。 『ご本人のつらい状態を理解しましょう』 統合失調症の見た目の症状にとらわれず、ご本人がつらいと感じていることを理解し、支えま しょう。 『毎日の服薬ができるよう手助けしましょう』 お薬を飲むことが治療の基本ですが、お薬を飲み始めて症状が良くなったと思うと飲み忘れが多 くなります。お薬の飲み忘れや自己判断で止めてしまうと、病気の悪化や再発につながってしま います。医師が処方したお薬を確実に飲めるよう、ご家族の方が手助けしてあげましょう。しか し、どんなお薬にも副作用があります。ただし、副作用の出かたは個人差があります。副作用が つらくてご本人がお薬を飲みたくないと感じている場合は、主治医に相談するように伝えてあげ ましょう。ご本人が副作用についてうまく説明ができない場合は、ご家族が主治医の診察に同席 して副作用で困っていることを主治医に説明してあげてください。 『ご本人の感覚を理解しましょう』 統合失調症には目で見たり、耳で聞いたりして入ってきた情報を理解して、その場に適した行動 をとることが難しくなってしまうことがあります。頭の中で情報をうまく処理できず混乱した状 態になり、「幻聴」や「妄想」、「誰かに操られている」「誰かに監視されている」などの症状 のほかに、自分の考えをうまく伝えられない、相手の言っていることが理解できない、イライラ する、夜眠れなくなるといったつらい症状が現れます。これらはご家族からみると「独り言が多 くなった」「訳のわからないことを言う」「急に大声を出す」「暴れる」「夜中のあいだずっと 起きてごそごそやっている」「人が変わってしまった」といったように見えるでしょう。 このとき、本人はとてもつらい思いをしていて、本人なりになんとかしようとしている場合もあ ります。ご家族は統合失調の症状を理解し、本人がどのようにそれを感じているかを把握してく ださい。 『治療が続けられるよう励ましましょう』 適切な励ましや手助けは、回復への大きな力になります。ただし、不用意な叱咤激励は逆効果に なることもあるので注意しましょう。話し方として、 ・はっきりと具体的に話す 「台所を片付けて」では台所のどこを片付けてよいのかわからずに困ってしまいます。この 場合では「流し台に置いてある食器を洗ってくれるかな」といったように具体的に伝えましょ う。このとき、「○○してくれると、助かるわ」と気持ちもあわせて伝えるといいでしょう。 ・会話1回につき1つの指示(質問)にする たくさんの質問や指示は本人を混乱させてしまいます。また、指示をするときは命令口調にな らないようにしましょう。 「今日は楽しかった?」(答えを待つ) 「誰と一緒だったの?」(答えを待つ)・・・ ・否定的な言葉を言わない 「毎日同じ服を着つづけるなんて、同じ服を着てはダメ。幼稚園児だってしないわ。まったく」 など、本人を否定するような言葉や、感情的な言葉を言わないようにしましょう。 ・幻覚、妄想の話で議論せず、同意しない程度にとどめる。皮肉で対応しない 幻覚や妄想といった現実にはないことを本人が訴えてくることがあります。しかし、本人には 現実に起こっていることなので、それを頭から否定されるのはとてもつらいことです。そのよ うな時は、本人の気持ちを理解し、その気持ちに寄り添った言葉をかけましょう。 「悪口が聞こえると信じているのはわかったけど、私には聞こえない」 「悪口が聞こえるとつらいよね」 『あせらず、ゆっくり見守りましょう』 病気になる前に、当たり前にできていたことができなくなってしまうと、喪失感を感じることも あるでしょう。しかし失われたものにとらわれているとさらに喪失感が増します。ご本人のあり のままを受け入れることが大切です。できなくなったことを数えるのではなく、できるようになっ たこと、小さな変化をほめてあげるようにこころがけてください。そしてご家族ご自身もご本人 のためにいちばん良いと思ったことを愛情もって一所懸命やっていること認め、自分をねぎらっ てください。 参考資料 「統合失調症をよく知るために」 ヤンセンファーマ株式会社 (2014年12月作成) 編集後記 高校野球も始まり、プロ野球ももうすぐ開幕します。もう世の中は春ですね。テレビでも桜の開花の話がでてきました。 花見や歓迎会などのイベントも増えてくると思います。みなさん、春を満喫しましょう。 次回おしらせ 4月のひまわりの会はお休みです。
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