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平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金 構想普及支援事業(Ⅰ事業化可能性調査)
成果報告書要約版
ハウステンボス地区における地産地消型エネルギー供給事業の事業化可能性調査
事業者名:株式会社スマートエナジー、HTBエナジー株式会社
対象地域:長崎県佐世保市
実施期間:平成27年9月~平成28年2月
3.調査の結果
事業化の可否の結論: 可
検討項目
1.事業の背景・目的
本事業は、典型的な熱需要のある大規模施設であるハウステンボス(以下
「HTB」という。)をコアな対象地域として、コージェネレーションシステム・再エ
ネ等の分散型電熱源を卸電力取引所等からの調達電力と併用した熱電併
給エネルギーマネジメントによる事業化可能性調査を基盤としつつ、需要・
供給を周辺地域に拡大した場合の事業化への影響・採算改善効果を明らか
にすることにより、国内類似地域(熱需要ある大規模施設とその周辺地域な
ど)へ展開可能なモデル構築を目指すものである。
次世代エネルギーパークに認定されているHTBとしても、子会社である
HTBエナジー㈱(以下「HTBE」という。)による電力小売事業へ参入した中、
既設コージェネレーションの更新・有効性を高めるための稼働率向上やエネ
ルギーの外部供給も視野に入れた展開を目指していく必要があると認識し
ている。
2.補助事業の概要
HTBを対象とした需要家PPS事業、コージェネレーションシステム・卸電力
取引所・再エネ等を電熱源としたエネルギーマネジメントの需給双方の範
囲を変えることによる事業性シミュレーション、電力自由化による新制度の
活用等を調査し、熱需要のある大規模施設を中心とした地域のエネルギー
マネジメントとPPS需給管理を融合したエネルギー供給事業モデルの実現
可能性を調査した。
①EMSの構成
事業化予定時期: 平成28年度
実施方法
検討結果
HTBや周辺需要家等の熱電需要およ CGS(既設ガスタービンおよび導入中
び太陽光やCGSの設備仕様、既設熱 のガスエンジン)、CGS蒸気を活用す
供給設備を調査し、HTBEの電力小売 る熱供給、太陽光に加えて、吸収式
事業も考慮に入れて最適かつ実現性 冷凍機およびHTBEによる外部への売
のあるシステム構成を検討した。
電を組み合わせる。
最適運用シミュレーターにより、供給 ガス単価の影響が大きいが、安価な
範囲等を変えた複数ケースのシミュ ガス単価であれば、EMSの最適運転
レーションを行い、HTBとHTBE合算の により供給範囲の拡大に伴う採算性
②EMSの効果
収支が最大となる最適運用計画およ の改善が見られた。
びベースケースと比較したメリットを算
出した。
地域の再生可能エネルギーの賦存量、
長崎県全域において、海洋エネル
利用状況の現況、及び将来の見通し ギーのポテンシャルは高い一方、実
③再生可能エネ
に関する県による過去の調査ポイント 用化事例がなく、短期的にHTB域内で
ルギーに関する調 の抽出を行い、特にHTBにおけるバイ 活用に至るには特に技術的・収益的
査 (任意)
オマス発電、潮流発電の潜在的な導 な観点から課題が見られた。
入可能性を検討した。
CGSの最適運転のための域内のエネ CGSのオーナーであるHTBと、電力小
④事業実施体制・ ルギーマネジメントと、卸市場等の域 売事業者として登録されたHTBEを中
事業スキーム・ス 外へのアクセスをもつHTBEを融合で 心として、ローカルなEMSと全国規模
きるような、体制、スキームおよびス の電力小売事業を融合したスキーム、
ケジュール
システムの計画を策定していく。
ケジュールを検討した。
⑤事業採算性
評価
⑥他地域への
展開
⑦今後の展望・
課題・対策
シミュレーション結果、需要家PPS事 CGSを主たる電熱源とするには安いガ
業の試行結果から、本モデルの事業 ス単価の調達が必要。電力小売事業
採算性を改善するポイントを抽出した。との融合モデルとしては、需要家対策
や市場調達の活用により、事業採算
性を確保していくことは可能。
HTBの様な熱需要のある大規模需要 本システムの導入の事業性が確保で
家を擁する地域への展開、および地 きる大規模施設を、CGSの累計導入件
域のエネマネと電力小売事業の融合 数から約500件と推算した。
モデルとしての他地域の取り込みとい
う2つの観点から検討。
本調査(最適運転シミュレーション結 自ら推進可能な取り組みとしては、事
果やPPS事業の試行等)の過程で抽 業主体の協議や、融合システムの構
出された、事業性、スキーム、情報収 成・機能の検討、ガス調達方法の検
集や法規制上の課題についての展望 討、地域エネマネ範囲の検討等を行う。
や対策を検討した。
4.地産地消型エネルギーシステムの概要
・地域(HTBおよび周辺)のエネルギーマネジメントと電力小売事業とを統合したエネルギーシステムを検討していく
・自家発、再エネ等の設備は、現状の設備(導入中のガスエンジンや太陽光発電を含む)を前提として、将来的にその他の追加可能性を検討する
・HTBエナジーが外部の電力市場との結節点となり、余剰があれば売電、不足があれば調達を行うことが可能なシステムとする
・改革が進展している電力市場等の仕組みも活用できる仕組みとする
・地域エネルギーマネジメント範囲の拡張可能性(DHCおよび近隣配電網買取の実現可能性を含む)は将来的に検討する
・全国規模の電力小売事業との融合を図り、熱需要のあるコアな需要家を擁する国内他地域へ横展開できるシステムとする
図1:シミュレーションにおいて検討したエネルギーフロー
図2:事業スキーム図
【エネルギーマネジメントシステムの構成】
アイテム
対象需要
EMSシステム
電源・
熱源
導入予定時期
(既設or新設)
設備概要(出力、容量、用途、台数等)
エネルギーマネジメントの対象需要、規模(kW、J)
収支の最大化を目的として、CGS運用や電力調達を最適化する
新設(平成29年度)
太陽光
250kW
既設
風 力
なし
バイオマス
なし
水 力
なし
コジェネ等
ガスタービンCGS 1,500kW×3台
ガスエンジンCGS 7,500kW×1台
蓄電池
なし
その他
温水吸収式冷凍機
既設
新設(平成28年度稼働予定)
新設(平成29年度)