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平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金 構想普及支援事業(Ⅰ事業化可能性調査)
成果報告書要約版
浜松市中央卸売市場における面的エネルギー利用事業化可能性調査
事業者名:○株式会社建設技術研究所、◎富士電機株式会社、
ミツイワ株式会社、浜松市
対象地域:浜松市
実施期間:平成27年10月~平成28年2月
3.調査の結果
事業化の可否の結論: 条件付き可
検討項目
実施方法
事業化予定時期:平成30年度
検討結果
①EMSの構成 市場全体の需給制 CEMSを中心に、市場内の需要家のエネルギー消費量と
御が可能なシステム フォークリフトの充電状況の一元把握や、大規模な冷蔵・冷凍
庫や空調の制御、太陽光発電・CGS・燃料電池の稼働制
構築を検討。
御等を行う。
1.事業の背景・目的
浜松市では、エネルギーに不安のない強靭で低炭素な社会「浜松版スマートシティ」
の実現に向け、浜松市スマートシティ推進協議会を設立しており、本事業はその一環と
して、中央卸売市場を対象に面的なエネルギー利用事業の実施に取り組むものである
。生鮮食料品を取り扱う浜松市中央卸売市場では、鮮度が落ちやすいため食品衛生
管理対策として温度管理を行っている。温度管理は各工程(産地からの出荷、市場で
の卸売会社の荷受け・荷卸し、保管、場内搬送、仲卸売場からの配送)において必要
であり、多くのエネルギーを消費する状況にある。
本事業は、再生可能エネルギーやCGS等の導入、市場全体の統括的なエネルギー
マネジメントにより、平常時には省エネや平準化を実現し、緊急時には自立エネルギー
源を確保することを目的とする。
②EMSの効果 電力消費量および電 ①空調制御・給水噴霧により年間約920万円の電力料金
力料金の削減効果を を削減
算出。
②冷蔵冷凍庫等の適切な日常管理による省エネ
③フォークリフトの充電制御によるピークカット
④見える化サービスや省エネアドバイスサービスの提供
市場内の3カ所(新設ポートの屋根、低温倉庫の屋根、調
太陽光発電の導入
③再生可能エネ
整池機能のある駐車場)に計600kWの太陽光発電を整備
可能性を調査し、概
ルギーに関する
略設計を実施。
できる可能性が把握された。
調査
発電量は、すべて自家消費が可能であり、最大電力需要
(任意)
の抑制に効果的と判断された。
④事業実施体 民間事業者によるエ 市場内にエネルギー管理組合を新設し、一括受電を行う。
制・事業スキー ネルギーマネジメント 申請事業者等で構成するエネマネ事業者(SPC等)は、こ
ム・スケジュール 事業の実施を前提に の組合とパフォーマンス契約を結び、電力の削減量に応
検討。
2.補助事業の概要
浜松市中央卸売市場を対象に、面的なエネルギー利用と市場全体に対する統合的な
エネルギーマネジメントを実施するため、事業スキームの立案および経済性評価を実
施した。
また、地産地消の自立エネルギー源として、再生可能エネルギーやCGS、燃料電池な
どの導入可能性を検討するとともに、これらの設備から発生する熱の活用の可能性に
ついて検討した。
その結果、太陽光発電による創エネ効果と、空調管理や省エネサービスの提供による
省エネ効果により、一定の光熱費の削減が見込まれ、これを収入源としたエネルギー
マネジメント事業が成立する可能性が把握された。
じた報酬を得る。事業者は、電力削減の方法として、自ら
の投資に基づき、太陽光発電等の電源の整備、省エネシ
ステムの導入、省エネサービスの提供等を行う。
平成30年度の事業開始を目指すが、市場の再整備計画
が別途策定中であり、方針、工程等が未定であることから、
その検討結果を踏まえた事業計画の策定が必要。
⑤事業採算性評 エネルギーマネジメ 電力料金の削減分を、すべてエネルギーマネジメント事業
ント事業者による設 者の収入として想定した場合、設備投資の単純投資回収
価
備投資の単純投資 年は約6年程度となっている。ただし、実際は削減効果の
回収年
一部を需要家に還元する必要があることから、精査が必
要となっている。
⑥他地域への展 他地域の卸売市場 卸売市場は、全国に1,171箇所が開設されている。今回の
への展開の可能性 調査により、省エネ余地が極めて大きいことは明白である
開
について整理。
⑦今後の展望・
課題・対策
とともに、エネルギー需要のパターンが極めて特殊であり、
専門的な知見に基づくトータルなエネルギーマネジメント
の展開に対するニーズは大きい。
卸売市場は、「卸売市場整備基本方針」が整備されるなど
転換点を迎えており、その中でエネルギーに対する注目も
高まっている。この潮流に乗って、今回の成果に基づくエ
ネルギーマネジメントの水平展開が望まれる。
4.地産地消型エネルギーシステムの概要
本事業では、市場内の全ての事業者・設備について一括受電を行い、CEMSを中心に各需要家と発電設備の電力を一元管理し、主に空調の制御とデマンド監視、冷蔵・
冷凍庫等の運用管理に対する省エネアドバイスサービスにより、エネルギーマネジメントを行う。
CEMSの機能】
・ デマンド監視
・ 空調制御
・ 電力料金収受(将来的に料金の弾力設定)
・ 省エネアドバイスに必要なデータ解析
断面図
平面図
新設ポートの屋根を活用した太陽光発電の導入(約300kW)
【エネルギーマネジメントシステムの構成】
アイテム
対象需要
市場全体(大卸4社、仲卸20社、中央冷蔵(株)、青果低温倉庫組合、市)
既設
CEMS : 電力需給の統合管理
需要家の子メーター(38カ所) : 市場内の事業者の電力使用量の把握
計測器(フォークリフト受電盤4か所) : フォークリフトの充電状況の監視
エネカット給水噴霧システム、PMC空調機制御システム : 空調の自動制御と室外機への給水噴霧による省エネ
平成29年度(新設)※
太陽光
出力:調整池機能付き駐車場(陸置き:150kW)、青果低温倉庫(屋根置き:15okW)、新設ポート屋根(屋根置き:300kW)
用途:全量自家消費(太陽光発電の発電ピークと市場の需要ピークはほぼ重なる)
平成29年度(新設)※
コジェネ
ガスコジェネレーション(25kW) : リサイクルセンターの発泡スチロールの蒸気洗浄の熱源として利用。電力は全量自家消費。
平成29年度(新設)※
200kw×3台(市場の全体需要の約50%) : 平常時および緊急時の電源 (発電のみのシステム)
平成29年度(新設)※
EMSシステム
電源・
熱源
導入予定時期
(既設or新設)
設備概要(出力、容量、用途、台数等)
燃料電池
※ 各設備の導入予定時期は、市場全体のリニューアルの工程と連動する予定である。市場のリニューアルの方針、工程は現在検討中であり、その結果に応じて導入予定時期にも変更が生じる。