見る/開く - Kagoshima University Repository

Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
垂直上昇及び垂直下降管内の気液固系混相流に関する流
体力学的研究
幡手, 泰雄; 野村, 博; 碇, 醇
鹿児島大学工学部研究報告, 25: 127-135
1983-11-01
http://hdl.handle.net/10232/12458
http://ir.kagoshima-u.ac.jp
垂直上昇及び垂直下降管内の気液固系混相流
に関する流体力学的研究
幡手泰雄・野村博*・碇醇
(受理昭和58年5月31日)
VERTICALFLOWOFGAS-LIQUID-SOLIDPARTICLESSYSTEM
YasuoHATATE,HiroshiNOMURAandAtsushilKARI
Itissignificanttoknowthehydrodynamiccharacteristicsofthesysteminthede‐
s
i
g
n
a
n
d
s
c
a
l
e
u
p
o
f
r
e
a
c
t
o
r
s
c
o
n
t
a
i
n
i
n
g
g
a
s
l
i
q
u
i
d
s
o
l
i
d
p
a
r
t
i
c
l
e
s
s
y
s
t
e
m
・
Asafundamentalstudyofsuchathree-phaseflow,thegasholdupandthepressure
dropweremeasuredintheverticaltubes,throughwhichvariousmixturesofair,water,
andfineglass-sphere,particleswerepassed・Threekindsofglassparticleswereused
theaveragesizesofwhichwere30,60and90皿.Twokindsoftubes,15and26mm
indiameter,wereusedfortheexaminationintoverticalupwardanddown-wardflows・
Themeasurementswerecarriedoutunderthefollowingconditions:
gasvelocity=0∼800cm/s,
liquidorslurryvelocities=15∼100cm/s,
andtheconcentrationofparticles=0∼60wt%・
Formostexperimentalconditions,thebehaviorofthethree-phaseverticalflowof
thegas-liquid-fineparticlessystemhasproventoshowaclosesimilaritytothatofthe
g
a
s
l
i
q
u
i
d
t
w
o
p
h
a
s
e
v
e
r
t
i
c
a
l
f
l
o
w
.
緒 口
近年,気・液・固系装置の大型化に伴い,気・スラ
的研究として,ガスホールドアップについては,
Nicklinら21,Hughmarkら31及びOrkiszewski4lのも
の等があり,圧力損失については,Sasaki5)及び
リー系の流体力学に関する基礎的研究の重要性が増し
Orkiszewski4Iの研究等が認められる.しかしながら,
てきている.しかしながら,気・スラリー系に関する
気液二相流についても,全ての条件に適合する相関式
データのほとんどは,懸濁固体を含む気泡塔(懸濁気
及び整理方法は見あたらないのが現状である.
泡塔)や,三相流動層の様な垂直上昇流で,しかも,
そこで,本研究では,気・液・微小固体粒子系混相
ガス及びスラリー流速共に比較的小さい気泡流領域に
流につき,ガス及びスラリー共に比較的速い流速にお
限られている.垂直流で,上述の領域外の上昇流や下
ける流動特性を明らかにする為に,以下の実験的検討
降流については,ほとんど研究がなされておらず,こ
を行なった.即ち,気体として空気,液体として水,
れらの流れについては,不明な点が多い.また,気・
微小固体粒子としては,平均径がおよそ30,60及び
液・固系混相流において,固体粒子濃度がゼロに相当
90浬mの3種類の微小ガラス球を用い,垂直管として
すると考えられる気液系混相流に関しては,すでに今
は,内径がおよそ15及び26mmの2種類の透明なアク
日まで数多くの研究がなされており,流体力学に関す
リル管を使用して,ガスホールドアップ及び圧力損失
る種々の相関式が提案されている.その中で,Lock‐
の測定を行ない,固体粒子径,管径及び固体粒子濃度
hartとMartinelli1)の方法は古くから使用されており,
のこれらに及ぼす影響について検討した.
今日でも依然として有用な方法である.その他の代表
*徳山ソーダ㈱
128
鹿児島大学工学部研究報告第25号(1983)
1.気.液二相垂直流に関する代表的推算
式の概略
気.スラリー系混相流に関しては,ガスホールドア
ップ及び圧力損失についての推算法は確立されていな
い.最も実際的な方法として,流動特性が類似してい
0.2∼4000cm/sの垂直上昇流の全ての流動様式につい
てのガスホールドアップは、
(紺叩券差謡”
によって相関づけられる.(相関図省略)
4)Govieretal6)(1960)
る気.液二相流に対して提案されている推算式を用い
管径1.27∼7.62cm,液流速2∼224cm/s,ガス流速0
て推算する方法が考えられる.以下,気・液二相流に
∼2200cm/sの垂直上昇流の全ての流動様式について
対して提案された代表的な相関式について概説する.
のHoldupratioは,RvD1/3,Rv及びULで相関づけ
,)Lockhart-Martinel'i')('949)
られる.
気.液二相流の圧力損失やガスホールドアップは’
5)Oshinowoetal7)(1974)
気体を無視し,ガスのみ単一流としたガス側基準の圧
管径が1.6∼6.4cm,液流速が0∼76cm/s,ガス流速
力損失との比Xによって相関づけられる.気●液二
が3∼900cm/sの垂直下降スラグ流領域において,ガ
相流の圧力損失(△B/L)TPと単一流基準の圧力損失
スホールドアップは,次式で示される.
との比①は上述のパラメータXで表わすことができ
る.(相関図省略)X及びのの定義は以下の通りで
ある.
UG/UT
Ec=1.10-0.33/,/戸弄一(8)
ただし,FrT=UT2/gDT,UT=UG+UL
x
=
│
(
半
)
L
/
(
半
)
。
│
“
一(1)
2.実験装置および実験方法
ただし,
(半)‘=2ノ機一'2)
(半)F銃器一③
Fig.1に実験装置の概略を示す.空気はコンプレッ
劃SolenoiE
ここで,./、は管摩擦係数であり,ガス及び液について
のそれぞれの空塔基準レイノルズ数を求め,次式によ
り求められる.
OlD
・層流の場合ノー16/Re.−(4)
・乱流の場合./・=0.046Re 0.”−(5)
(△B/L)Tp=①G2×(△P'/L)G
(△P,/L)Tp=のL2×(△P'/L)L
−(6)
ガスホールドアップも上と同様に,パラメータXと
相関づけられている.(相関図省略)
Q、
O
I
C
隅
Fig.1Schematicdiagramofexperimental
equipment
LockhartとMartinelliの相関式は,管径がO‘149∼
サーにより供給され,エアフイルター,エアオイルセ
2.58cmの全ての流動様式が適用範囲である.
2)Nicklinetal21(1962)
パレーターにより塵芥,水分及び油分等の不純物を除
管径が1.6∼6.4cm,液流速が0∼76cm/s,ガス流速
去した後,塔内へ送り込まれる.撹枠槽内の微小ガラ
が3∼900cm/sの垂直上昇スラグ流領域において,ガ
ス球・水スラリーはポンプを用いて塔内へ供給される.
スホールドアップは次式で示される.
空気及び所定濃度の固体粒子を含むスラリーは,垂直
上昇管の底部にあるT字管で混合された後に,垂直
上昇管から垂直下降管を通り,気・液分離タンクへ排
出され,再び撹枠槽内へ戻る.垂直上昇及び下降管の
UG/UT
E
C
=
1
.
2
0
+
0
.
3
5
/
1
/
F
罵
弄
−(7)
ただし,FrT=UT2/gD,UT=UG+UL
3)Hughmarketal3)(1961)
管径1.0∼5.9cm,液流速0.5∼70cm/s,ガス流速
両端には,ガスホールドアップを測定する為に,電磁
弁が取り付けられている.各部の差圧を測定する為に
幡手・野村・碇:垂直上昇及び垂直下降管内の気液固系混相流に関する流体力学的研究129
1.0
60cm間隔でマノメータ用の孔が設けてある.その際,
ガス及び微小ガラス球がマノメータ内へ侵入するのを
防ぐ為に,圧力タップ直後に小さなタンクを取り付け
0
.
5
U
I
f
ている.
測定法差圧の測定は空気及び所定濃度の固体粒
子を含むスラリーをそれぞれ所定の流速で5分間以
上運転し,定常状態に達せしめた後,マノメータによ
り行なった.ガスホールドアップの測定は,定常状態
達成後,塔両端の電磁弁を瞬間的に閉じ,気体とスラ
リーを分離し,気体容積分率を求める事により行なっ
た。同一の条件の下で,この様な操作を圧力損失につ
いては2回,ガスホールドアップについては7∼10
回繰り返し,それらの平均値をそれぞれの測定値とし
02004006008001000
UGIcmノsl
Fig、2Effectoftubediameterongasholdup
inverticaltwo-phaseupflow
ついて行なった気液二相流でのガスホールドアップの
実験値を示す.同一流速で,両者を比較すると,管径
の小さい方がガスホールドアップは幾分小さくなって
た.固体粒子濃度は,気・液分離タンクから,スラ
いる.この原因を探る為,高速ビデオカメラによる目
リーを2∼3回採取し,それらの平均の乾燥固体粒子
視観察を行なった.ガス流速が200cm/S,液流速が
重量分率を求め,決定した.
15cm/sの場合,管径が1.55cmの方は激しいフロス流
であるが,フロス通過後の管内では液が管壁を伝って
降下し,管の下部に液溜りが生ずる場合があるが,管
3.実験結果及び考察
径が2.59cmの方は,フロス通過後,液が管を降下す
tablelに,本実験で使用した3種類の微小ガラス
球A,B及びCの密度及び平均径を示す.table2に
えられる.
GIassspheres Density Average S
ize〔仰〕
.p
3
2
l
d
p
5
d
A
2.52
2
9
2
8
B
2.52
6
3
C
2.52
6
3
9
8
Flow
Upward
2
6
S
l
u
r
r
y
U
L
S
O
I 掴S COnCIn劃u『Ty
C
S
1
5
2785
TUbClcngth1mml
Airflow ratC
C
U
G Icm尼el
8
3.1,2粒子径の影響
Fig.3に,管径が2.59cm,液流速が15cm/s,
p
9
4
Table2Experimentalconditions
TubCd砲meterImm】
これより,管径が1.55cmの場合,液溜りが生じてい
る分だけガスホールドアップが幾分小さくなったと考
TablelPropertiesofglassspheres
〔
g
ノ
c
『
T
f
〕
るものの,液溜りはほとんど生じない事がわかった.
Downward
2
6
8
1
5
2797
0∼800
O∼800
O∼80
O∼80
0∼65
O∼65
:羅鑓lま
UL=15cmノs
0
200400
UG【cmノs】
F
i
g
.
3
Effectofaveragesizeofsolidparticles
ongasholdupinverticalupflow
上昇流及び下降流につき,管径,管長,ガス速度,ス
Cs=15∼30Wt%で一定とし,粒子径が異なるA,B
ラリー速度及び固体粒子濃度に関する実験条件を示す.
及びCの3種類の粒子を用いた場合のガスホールド
3.1垂直上昇流のガスホールドアッブ
アップの実験値を示す.図より,本実験で取り扱った
粒子径範囲(平均径:30∼90鰹、)では,粒子径を変
えてもガスホールドアップには全く変化が現われず,
3.1.1管径の影響
Fig.2に,管径が1.55cm及び2.59cmの2種類に
ガスホールドアップに及ばす粒子径の影響は無視でき
ることがわかる.
130
鹿児島大学工学部研究報告第25号(1983)
q
る計算値を示す.これらの計算値と実験値を比較する
3.1.3粒子濃度の影響
Fig.4及び5に,A粒子を使用して管径が2.59cm
5
0
−1−.の叩
鍵篤
と最もよく一致している.
C
s
wtツ
妬一帥
C
s
KeyIW
t
q
I
胸一▽|①
1.0
と,本実験範囲がほとんどスラグ流領域であるために,
この領域について提案されたNicklinらによる計算値
3.2垂直下降流のガスホールドアップ
3.2.1管径の影響
:A
Fig.6に,気液二相流で管径が1.55及び2.59cm,
2.59cm
謬回岬⑥
UGIcmノsl
榊砂
一
一
00
①①
①
T
K
ey D
【
c
m
】
0.5 d
P
一
課
1−
Effectofsolidparticlesconcentrationin
slurryongasholdupinverticalupflow
F
i
g
.
4
四
一
○
1.55
①
1.55
□
2.59
田
2.59
1.0
0
r恥一幅一帥一幅一帥一
︹’一の地
200400
四囲
1.0
,15cmノs
0
Fig.6Effectoftubediameterongasholdupin
5
−1]○W
00
08
80
0
2J
0O
04
40
0060
00
11
00
0m
0
UGIcmノS】
verticaltwo-phasedownflow
また,液流速が15及び60cm/sでガス流速を変化さ
せた場合のガスホールドアップの実測値を示す.液流
0200400
UG【cmノs】
速が15cm/sと小さい場合には,ガスホールドアップ
は管径によらないことがわかる.しかしながら,液流
速が60cm/sより大きい場合,ガス流速が100cm/s
Fig.5Effectofsolidparticlesconcentrationin
s
l
u
r
r
y
o
n
g
a
s
h
o
l
d
u
p
i
n
v
e
r
t
i
c
a
l
u
p
f
l
o
w
ホールドアップは幾分小さくなっている.この場合,
で液流速がそれぞれ15cm/s及び60cm/sの場合につ
高速ビデオによる状態の観察によると,管径の小さい
いて,固体粒子濃度を変化させた時のガスホールドア
場合には管径の大きい場合に比べ,管下部により多く
ップの実測値を示す.ただし,図中においては,固体
液溜りが生じており,この為に管径が小さい方がガス
粒子濃度が9∼21Wt%のものを15Wt%,24∼36Wt
ホールドアップが小さくなったと考えられる.
より大きい領域については,管径の小さい方がガス
%のものを30Wt%,39∼51Wt%のものを45Wt%,
3.2.2粒子径の影響
54Wt%以上のものを60Wt%として示した.他の粒
子を使用した場合もこれらの図と同様,ガスホールド
Fig.7に,管径が2.59cm,液流速が15cm/s,固体
アップに及ぼす粒子濃度の影響は全く見られず,本実
験範囲では粒子濃度はガスホールドアップに影響を全
1.0
く与えない事がわかる.したがって,垂直上昇流では
気・液・固系混相流のガスホールドアップは気液二相
流のものと全く一致することが明らかになった.
ー
《
、
0
.
5
“
3.1.4計算値との比較
Figs、3∼5に,気液二相流について提案された
0
UGIcmノs1
Govierら6),LockhartとMartinelli(L−M)’),
Nicklinら2)及びHughmarkら31の4通りの方法によ
2004006008001000
F
i
g
.
7
Effectofaveragesizeofsolidparticles
ongasholdupinverticaldownflow
幡手・野村・碇:垂直上昇及び垂直下降管内の気液固系混相流に関する流体力学的研究131
粒子濃度30∼45Wt%で粒子径が異なるA,B及び
の固体粒子A及びCを使用した場合も同様に観測さ
Cの3種類の粒子を用いた場合のホールドアップの
れた.管径が1.55cmの場合には,すべての条件でガ
実測値を示す.本実験で取り扱った粒子径範囲では,
スホールドアップに及ぼす固体粒子濃度の影響は観測
ガス流速が50cm/s以下の領域について,やや実測値
されなかった.
にばらつきが見られるものの粒子径の違いによる傾向
は見あたらない.他の管径,液流速においても同様の
結果が得られており,本実験で取り扱った粒子径範囲
ではガスホールドアップに及ぼす影響はないといえる.
3.2.4計算値との比較
Figs、7∼9に示されている曲線は,気液二相流につ
いてのLockhartとMartinellilIの相関式による計算
値及びOshinowoらの相関式を若干修正した式による
3.2.3粒子濃度の影響
計算値である.LockhartとMortinelliの相関式は,
Figs、8∼9に,固体粒子としてB粒子,管径
主に水平流についてなされたものである為,垂直下降
流の実測値と大きくずれている.Oshinowoらの相開
Oshinowoetal.
1.0
式は,実測値よりもわずか大きくなる傾向はあるが,
ほぼよい一致を示している.Oshinowoらの相関式は
C
S
ー
K
e
y IwtqAl
ー
L−M
,
テ
0
.
5
SOlid:B
DT=2.59cm
管径2.59cm,液流速60cm/s,ガス流速200cm/s以
○
0
△
3
0
下の30Wt%以上の固体粒子を含む系を除き,本実験
□
4
5
結果を良く表わしているといえる.
▽
6
0
3.3垂直上昇流の摩擦による圧力損失
UL=15cmノS
200400600800
0
U
G
C
s
Key【w
t
q
I
o
l
1.0
O副Tinowoetal.
愛
Solid:B
DT=2.59cm
UL=60cmだ
0
3
0
4
5
①
6
0
200400600800
U
G
Icmノsl
2.59cmの場合に液流速がそれぞれ15cm/s及び60cm
/sについて,固体粒子濃度を変化させた時のガス
ホールドアップの実測値を示す.液流速が15cm/sの
時は,ガスホールドアップに及ぼす粒子濃度の影響は
60cm/Sと比較的大きい時には,ガス流速が200cm/s
以下の領域において,非常に大きな影響があらわれて
くることがわかる.固体粒子濃度が大きい程,ガス
ホールドアップの値は大きくなっている.これは,他
0
0
L−M(UL=60cmノs)
撫餓跨崖参
0
蕊
DT=2.59cm
1
ほとんど認められない.しかしながら,液流速が
Uも【cmノSl
Fig・lORelationbetweenfrictionalpressuredrop
andgasvelocityinverticaltwo-phaseupflow
︷星団α︺Nb−x二世ぐ
EffectofsolidparticlesConcentrationon
gasholdupinverticaldownflow
02004006008001000
1
F
i
g
.
9
□
▽
1
L今M
0
1
5
㈹
6
9
0
.
5
0
△
0
、 一 一
Figs、10∼11に,液流速がそれぞれ15及び60cm
壱星屈﹂︺N︲○一×︲ゴばく
gasholdupinverticaldownflow
0
0
EffectofsolidparticlesConcentrationon
1
F
i
g
.
8
3.3.1管径の影響
【cmノSl
0
0
0200400600
UG〔cmノS】
F
i
g
.
1
1
R
e
l
a
t
i
o
n
b
e
t
w
e
e
n
f
r
i
c
t
i
o
n
a
l
p
r
e
s
s
u
r
e
d
r
o
p
andgasvelocityinverticaltwo-phaseupflow
132
1
︾一繍
鹿児島大学工学部研究報告第25号(1983)
10
0
0
0
馴/言
イ
ーE一興﹂︺甲○一×]一世ぐ
02004006008001000
0
0
0
−02004006008001000
UG【cmノSI
UG【cmノs】
F
i
g
.
’
2
R
e
l
a
t
i
o
n
b
e
t
w
e
e
n
f
r
i
c
t
i
o
n
a
l
p
r
e
s
s
u
r
e
d
r
o
p
a
n
d
g
a
s
v
e
l
o
c
i
t
y
a
t
v
a
r
i
o
u
s
s
o
l
i
d
p
a
r
t
i
c
l
e
s
concentrationslinverticalupflow
F
i
9
.
1
4
R
e
l
a
t
i
o
n
b
e
t
w
e
e
n
f
r
i
c
t
i
o
n
a
l
p
r
e
s
s
u
r
e
d
r
o
p
a
n
d
g
a
s
v
e
l
o
c
i
t
y
i
n
v
e
r
t
i
c
a
l
u
p
f
l
o
w
固体粒子濃度の影響はほとんどないことがわかる.ス
∼60Wt%の場合について,2種類の管を使用した時
ラリー流速がこのように小さい場合は,管径,固体粒
子の種類にかかわらず,本図と同様の傾向が認められ,
摩擦による圧力損失に及ぼす固体粒子濃度の影響は無
の摩擦による圧力損失の実測値を示す.これらの図よ
視できる.しかしながら,Fig.15に示すように,液
/sで,気液二相流の場合,またFig.12に,スラ
リー流速60cm/sでB粒子を用い,固体粒子濃度40
り単一流体の流れの傾向と同様に,管径が1.55cmと
圧力損失の増加が著しい事がわかる.
3.3.2粒子径の影響
Fig.13に,管径が1.55cm,液流速が60cm/sで,
s
K
9y C
I
W
t
O
M
。
】
。
g
工
呈
当
_
。
一
0
△
0
4
5
△
6
0
S
O
l
i
d
D
T
U
L
B
2.59cm
60cmノs
0
0
0200400600
UGIcmノS1
F
i
g
l
5
R
e
l
a
t
i
o
n
b
e
t
w
e
e
n
f
r
i
c
t
i
o
n
a
l
p
r
e
s
s
u
r
e
d
r
o
p
a
n
d
g
a
s
v
e
l
o
c
i
t
y
i
n
v
e
r
t
i
c
a
l
u
p
f
l
o
w
1
︹E甫匹 ︺N︲○一×J一世手
1
10
0
1
一FE佃匹︸Nb妄ご匝杢
小さい場合の方が,ガス流速の増加に伴う摩擦による
流速が60cm/sと比較的大きい場合には,固体粒子濃
02004006008001000
UG【cm/sI
F
i
g
l
3
R
e
l
a
t
i
o
n
b
e
t
w
e
e
n
f
r
i
c
t
i
o
n
a
l
p
r
e
s
s
u
r
e
d
r
o
p
度の違いによる影響が認められる.粒子濃度が大きい
場合(Cs=45∼60Wt%)には,摩擦による圧力損失
の増加が著しいことがわかる.また,粒子濃度が大き
a
n
d
g
a
s
v
e
l
o
c
i
t
y
u
n
d
e
r
v
a
r
i
o
u
s
s
o
l
i
d
p
a
r
t
i
c
l
e
s
く,ガス流速が小さい場合には,負圧が得られること
A
,
B
a
n
d
1
C
i
n
v
e
r
t
i
c
a
l
u
p
f
l
o
w
がある.この現象は植田8)や今野ら9)によって,すで
A,B及びCの3種類の粒子を使用した場合の摩擦
による圧力損失の実測値を示す.この図から,粒子径
は,本実験範囲では,摩擦による圧力損失にほとんど
影響を及ぼさないことがわかる.
3.3.3粒子濃度の影響
Fig.14にスラリー流速が15cm/s,管径が1.55cm
でB粒子を使用した場合の種々の固体粒子濃度に対
する摩擦による圧力損失の実測値を示す.この場合,
に指摘されている.この場合の流動状態を高速ビデオ
によって観察すると,流れはスラグ流であるが,たび
たびかなりの量のスラリーが管壁に沿って降下してい
るのが認められ,液の降下が支配的である為に,この
ような負圧現象が生じたと考えられる.
3.3.4計算値との比較
Fig.10∼15の中の曲線は,LockhartとMartinelli
の相関式による計算値である.この計算値と,気液二
相流に対する実測値とを比較すると,摩擦による圧力
幡手・野村・碇:垂直上昇及び垂直下降管内の気液固系混相流に関する流体力学的研究133
損失が負になる様なガスの低流速領域を除いては,比
較的よい一致を示している.また,気液固系混相流の
今後,検討を重ねる必要がある.
3.4.2粒子径及び粒子濃度の影響
場合には,液流速が大きく,ガス流速が小さい場合を
Fig.18及び19に,それぞれB粒子及びC粒子を
除いて,この相関式が適用できる.
3.4.1.管径の影響
Fig.16及び17に,それぞれ液流速が15cm/s及び
−L−M(DT=2.59cm,UL=15cmノs)
仏
駅
へ
▲
'
1
鳥
脇
l
K
c
y
l
1
魚
,
’
1 1 1
2.59 4
5
0
1.55 4
5
1 1 1
▲
婆遷磯6
0
▽
0
0
▽
4
5
△
1
5
①
6
0
lV
lgU
⑨△
一
(L−M
Solid:B
DT=2.59cm
UL
1
=60cmノs
1
0200400600
へ
K
ey
△
ー
0
0
DT=1.55cm,UL=15cmJS)
C
s
C
s
K
ey【wrM0J K
e
yIwWbl
ー
偽幽帥
蝿
Solid:B
UL =15cmだ
10
0
1
︷星&︺Nb−x︺蚤↑
3.4.垂直下降流の摩擦による圧力損失
2.59
戸
UG【cmノs】
F
i
g
.
1
8
R
e
l
a
t
i
o
n
b
e
t
w
e
e
n
f
r
i
c
t
i
o
n
a
l
p
r
e
s
s
u
r
e
d
r
o
p
a
n
d
g
a
s
v
e
l
o
c
i
t
y
a
t
v
a
r
i
o
u
s
s
o
l
i
d
p
a
r
t
i
c
l
e
s
concentrationsofsolidparticlesBin
verticaldownflow
s
K
ey C
【
W
r
ソ
b
J
C
s
Key 【wtⅧ
一
0
○
0
▽
4
5
△
1
5
①
6
0
lV
lgU
難聯Q2
画
(
L−M
Solid:C.
l
DT=2.59cm
UL=60cmノs
l
l
l
l
l
1
0
0
︻E−ma︺N︲○一×三座ぐ
1
︹↑星卯﹂︺甲○一×ご産ぐ
1
0
0
0200400600
Ub【cmノs】
〕200400600800100C
UGIcmノs1
F
i
g
・
l
7
R
e
l
a
t
i
o
n
b
e
t
w
e
e
n
f
r
i
c
t
i
o
n
a
l
p
r
e
s
s
u
r
e
d
r
o
p
a
n
d
g
a
s
v
e
l
o
c
i
t
y
a
t
U
L
=
6
0
c
m
/
s
i
n
v
e
r
t
i
c
a
l
downflow
Fig.19Relationbetweenfrictionalpressuredrop
andgasvelocityatvarioussolidparticles
concentrationsofsolidparticlesCin
verticaldownflow
使用して,管径が2.59cm,スラリー流速が60cm/sの
場合の種々の固体粒子濃度における摩擦による圧力損
60cm/sでB粒子を使用し,固体粒子濃度45∼60Wt
%の場合の摩擦による圧力損失の実測値を示す.スラ
リー流速が15cm/sの場合には,いずれの管において
も,ガス流速と共に摩擦による圧力損失が減少する傾
向にある.この場合,摩擦による圧力損失に及ぼす管
失の測定結果を示す.これらの図から,実測値にやや
ばらつきがあるが,摩擦による圧力損失とガス流速の
関係は,粒子径及び粒子濃度によってほとんど影響を
受けない事がわかる.上記以外の管径やスラリー流速
の場合も同様の結果が得られた.
径の影響はほとんど認められない.しかしながら,ス
ラリー流速が60cm/sの条件では,管径が小さい場合
にはガス流速と共に増加するのに対し,管径が大きい
場合は減少するという,見掛け上かなり異なった傾向
を示している.これらは管壁付近のスラリーの流速分
布の違いによると考えられるが,この点については,
3.4.3計算値との比較
Figs、16∼19の中の曲線はLockhartとMartinellillの相
関式による計算値である.この相関式は,主として気液
二相水平流に対して提案されたものである.この相関
式は垂直上昇流に対してはかなり有効であったが,本
134
鹿児島大学工学部研究報告第25号(1983)
○
図にみられるように垂直下降流に対してはほとんど無
力である.垂直下降流に関する研究は,その必要性が
少ないためか非常に少なく,現在のところ,実測値と
によって予測できる.しかしながら,垂直下降流に
ついては,適用可能な相関式が現在のところ見あた
らない.
よい一致を示す相関式は見あたらない.
Nomenclature
結 巨
研究より得られた結果を示す。
ガスホールドアップ本実験範囲の気液固系混相
流は,次に述べる下降流の極く限られた操作条件下を
除けば,気液二相流と全く同様に取り扱える事がわか
った.
、管径の影響は,極くわずかであるが認められる.
⑥粒子径の影響は,全く認められない.
@ガスホールドアップに及ぼす固体粒子濃度の影響は,
f
プ及び圧力損失に及ぼす管径,固体粒子及び固体粒子
濃度の影響について考察し,更に気液二相流の代表的
な相関式による計算値との比較を行なった。以下,本
ほとんどの場合認められないが,垂直下降流で,液
流速が大きく,しかもガス流速が小さい場合にのみ
認められる.この場合,固体粒子濃度が大きい程,
ガスホールドアップの値は大きくなる。
降流の場合は,上記の@の固体粒子濃度の影響が認
[
"
m
]
=50%particlesiZe
い、]
=Froudenumber
[
]
=frictionfactor
[
]
=gravitationalacceleration
=length
[
c
m
/
s
2
]
[
c
m
]
=
f
r
i
c
t
i
o
n
a
l
p
r
e
s
s
u
r
e
d
r
o
p
[
P
a
]
=Reynoldsnumber
[
−
]
=UG/UL
[
]
=
s
u
p
e
r
f
i
c
i
a
l
v
e
l
o
c
i
t
y
=massflowrate
=holdup
[
c
m
/
s
]
[
9
/
s
]
[
]
=vlscos1ty
[
c
、
p
、
]
=density
[
9
/
c
n
f
]
=surfacetension
[
9
/
c
㎡
]
[
d
y
n
/
c
m
]
<
S
u
b
s
c
r
i
p
t
s
>
gas
l
i
q
u
i
d
o
r
s
l
u
r
r
y
P
められる領域以外はOshinowoらの相関式で予測す
[
m
]
=Sauteraveragesize
GLT
④垂直上昇流の場合は,Nicklinらの相関式,垂直下
=tubediameter
20T
るガスホールドアップ及び圧力損失の測定を行なった.
これらの流れ方向おのおのにおけるガスホールドアッ
凪一山一山hf9L皿脱凡UWE“p,ぴ
気体,液体及び微小固体粒によりなる混相流の流動
特性を明らかにする為に,垂直上昇管及び下降管の空
気・水・微小ガラス球系混相流の種々の条件下におけ
Cs=solidparticlesconcentrationin s
l
u
r
r
y
[
w
t
%
]
twophase
ることができる。
摩擦による圧力損失本実験範囲における気液固
系混相流は,以下述べるように気液二相流とほぼ同様
Literaturecited
に取り扱える.
、単一流の場合と同様,管径の影響が認められる.
⑤粒子径の影響は認められない.
@粒子濃度の影響は,垂直上昇流で液流速が大きい場
合に存在し,固体粒子濃度が大きい程,ガス流速の
増加に伴う摩擦による圧力損失の増加が著しい.垂
直上昇流で,固体粒子濃度が大きく,ガス流速が小
さい場合には,摩擦による圧力損失の値が大きな負
の値になることがある.
④垂直上昇流は,スラリー流速,固体粒子濃度共に大
きい領域を除いてLockhartとMartinelliの相関式
1)R、W・LockhartandRC・Martinelli,CAe77z.
E'2gPmg,4539(1949)
2),.』、Nicklin,』.O・WilkesandJ.F・David‐
S
o
n
,
乃
c
z
7
z
s
.
’
〉
z
s
t
刀
.
C
ノ
h
e
?
7
2
.
E
7
Z
g
7
:
s
、
,
4061(1962)
3)G・AHughmarkandB.S・Pressburh,AICルE
J
b
z
"
●
'
2
α
1
,
7
6
7
7
(
1
9
6
1
)
4)J、Orkiszewski,J;剛.、cル.,(June,1967)
8
2
9
5)T・Sasaki,KZZgzz肋AQgZzル",28110(1964),28
幡手・野村・碇:垂直上昇及び垂直下降管内の気液固系混相流に関する流体力学的研究
19
1
8
117(1964)
1
3
5
T、Ueda,Tツzz?2s.』:SME,33601(1967)
)
6
G・WGovier,B、A、S・BrownandG.A・
H・Konno,MToda,E、Harada,MKuriyama
Sullivan,Qz".‘ZCル‘?'Z.E"9,3862(1960)
T・OshinowoandM.E・Charles,Qz".』:Cルe77z・
andS・Saluta,KZZgzz伽KbgZz伽Ro7z加冗Sy泌,8380
)
7
恥9,5225(1974)
(
1
9
8
2
)