寺田先生 の「ESD の視点から見 る高等学校数学科 の指導の在 り方」 の講演を聴いて 愛知教育大学数学教育講座 市 延 邦 夫 一協 調 的 学 習 の実 践 を 通して 感じ た 数 学 科 教 育 の展 望 と課 題 一 寺 田 先 生 の 講 演 タイトル の副 題 であ る。 寺 田 先 生 の 狙い であ る 「 連 携 性 」と 「 責 任 」を生 徒 に身 に付 け てもらう手立 て の一 つ で あ る 「協 調 的 学 習 」 に 焦 点 を当 て てみ たい 。 今 回の 講 演 を 聴 いて 初 め て耳 にし た グ ループ 学 習 の 手 法 の一 つ であ る「 ジ グソ ー 法 」 に とて も興 味 を持 つた か らであ る。 私 は 現 在 大 学 にお い て グ ル ープ 学 習 を実 践しており、 グ ループ 学 習 に対 して何 が 良 い” 方 法 は ない かと常 日頃 考 えて い た。 ここ で 寺 田 先 生 の用 い た「 ジグソ ー法 」 を 説 明してお く。 20 名 クラス の 授 業 に 対 して、5 人 グ ル ープ を4 つ 作 り、 各 グ ループ に別 々 の計4 つ の 問 題 を割 り当てる 。 解 法 を話 し合 わ せ た後 、グ ル ープ を 解 体し4 人 グ ル ー プ を5 つ 作 る。 そ の 際、 各 グ ル ープ に はそ れぞ れ 異 な った 問 題 を 話し 合 った 生 徒 が 一人ず つ 所 属 す るように する。 そこ で初 め のグ ル ープ で 話 し合 っ た内 容 を新 しい グル ープ で 発 表 し あう。 以 上 が ジ グ ソー法 の流 れであ る。( ジグ ソー法 には 複 数 の 方 法 が あ ることを断 ってお く) 寺 田 先 生 はESD ( 持 続 可 能 な 発 展 の た め の 教 育 ) の 視 点 を 理 解 し 、 数 学 科 に お いて どの ように 教 育 を 行ってい くの か 、 また、 本 務 校 の特 徴 をどの ように 指 導 に 生 かして い くの か を授 業 実 践 を 通して 考 えてい る。 現 実 社 会 の 複 雑 に 絡 み合 っ た問 題 に対 して 貢 献 してい く人 材 を 育 成 す るた め に、 基 礎 的 知 識を 得 るた め の「 学 び 方」 や「 考え 方」 を身 に付 け さ せるこ とを 目的 とし 、 指 導 の 中 で「 他 者と の 関 わり」 や「 論 理 的 な 思 考・判 断・ 表 現 」 を協 調 的 に 学 ぶ こ とを重 視し た 授 業 を 試 みて い る。 そ の 授 業 を効 果 的 に行 うた め の 事 前 課 題 として 生 徒 一人 ひ とりが 責 任 を持 って学 習 に 参 加 する 姿 勢 を 挙 げ てい る。 また 留 意 点 として 次 の3 つ を挙 げ て い る。 一 つ 目は 生 徒 一人 ひとりが 時 間 を か け て取 り 組む ため に 事 前 に 問 題 を提 示 する 。 二 つ 目は 生 徒 同士 が 話し 合 い を 持 つ よう にす るた め に、 多 様 なアプ ロ ーチ が 出 来 る問 題 を 提 示 する。 三つ 目は 本 実 践 で 重 要 視して い る責 任 を 持 って学 習 に参 加 する 姿 勢 を身 に付 け て もらうた めに「 ジ グソ ー法 」 を取り入 れ る。 授業実践結果としての生徒アンケートからは寺田先生の狙いである生徒同士の「連携性」や「責任」 について意識した感想が見られる。私自身も講演後に「ジグソー法」を実践し、学生が「連携性」と「責 任」について意識してくれたと実感した。その意味で私はグループ学習における「ジグソー法」は”良 い ” 方 法 であ ると考 える。 し かし 、 問 題 点 が ない わけ で はな い。 講 演 後 の 質 疑 に 出て きた 問 題 点 は、 評 価 す る方 法 や 事 前 課 題( 宿 題) につ い てで あ る。 評 価 する方 法 につ い て は 私 も実 践 して 感じ たこ とだ が 、 一人 ひとりをしっ かりと見 ること は不 可 能 であ るゆえ 、 何 を 評 価 対 象 とす るの か を 指 導 する 側 がし っ かり認 識 してお く必 要 が あ る。 また、 宿 題 に 関 して は興 味 深 い も の であ っ た。 生 徒 は忙 し い ので 宿 題 をや ってくる の か、 というもの であ る 。 大 学 生 も今 は( 勉 強 よりも) バ イトで 忙 しい と よく 聞く。 時 代 は 変 わって いくものな の か もし れ ない が 普 遍 的 なもの が あって もよい の で は ない だろうか。
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