1 - 京都国際統計会議

1
全15枚
統計学の各分野における教育課程
編成上の参照基準について
成蹊大学理工学部情報科学科
岩崎 学
[email protected]
2
はじめに(経緯)
• 大学教育の質保証
• 学術会議からの要請:学士力とは
• 産業界からの期待(懸念) ⇒ 舟岡報告(報告集 p. 290)
• 産業会への期待
• 田栗報告(連合大会報告集 p. 158)
• 2010年8月,統計関連学会連合は「統計学分野の教育課程
編成上の参照基準」を公表
• 他の学問分野に先駆けるもの
• 各大学はもとより,文部科学省を始めとする各省庁や産業界に広く配布
• 一定の評価をかち得ている.
3
「参照基準」とは
「第1版」より
• 各大学の教育課程編成に当たって、学生に求める価値観・倫
理観や基本的な素養(知識・能力・スキル)を教育目標として
定め、そのために必要な学習内容・学習方法を具体的に検討
する際に参照されるべき基準
• その際、統計学分野に関連する具体的な職業生活を想定し、
それを支える基礎を如何に培うかという観点も視野に入れて
検討を行う。
4
第1版の策定者 (2010. 8)
• 統計関連学会連合理事会
美添泰人(理事長),椿 広計,渡辺美智子,白旗慎吾,
水田正弘,大橋靖雄,佐藤俊哉,菊地賢一,山岡和枝,
岩崎 学,狩野 裕,馬場康維
• 統計教育推進委員会
田栗正章(委員長),水田正弘,折笠秀樹,山口和範,
渡辺美智子,林 篤裕,今泉 忠,岩崎 学,岡太彬訓,
竹村彰通,田村義保,椿 広計
• 協力者
大森裕浩,角間辰之,鈴木和幸,柳井晴夫
5
参照基準第1版
• 8分野:「大学基礎課程」,「心理学・教育学」,「経済学」,「社
会学」,「経営学」「数理科学」,「工学」,「医学・薬学」
• 策定者一覧(1ページ)
• 要約(1ページ)
1.「統計学分野の教育課程編成上の参照基準」策定に際して
の基本的考え方(2ページ)
2.統計学の様々な分野における参照基準の基礎となる“統計
学の考え方・ポイント”(1ページ)
3.各分野の内容:『理念』,『到達目標』,『教育内容・評価方
法』の各項目
A4に2ページずつというコンパクトで読みやすい形
6
2010年以降の動向
• 初等中等教育での統計の教育内容の充実
• 統計学に対する社会の期待
• 2011年,統計検定開始
• 2012年,統計教育大学間連携ネットワーク(JINSEと略称)の取り組み
開始
• 2013年は国際統計年 (International Year of Statistics)
• 学術会議における各分野の参照基準の策定
• JINSE の質保証委員会と協力し,
参照基準の改訂作業を開始
7
さまざまなマスコミなどで (2013)
8
学術会議参照基準(数理科学)
9
今般の改訂
• 各大学に設置されている学部をできるだけ網羅する形
• 12分野:「大学基礎課程」,「人文科学」,「政治学」,「社会
学」,「経済学」,「経営学」,「数理科学」,「情報科学」,「総合
理工学」,「品質管理」,「生物科学」,「医歯薬学」
• 第1版の分野:「大学基礎課程」,「心理学・教育学」,「経済学」,「社会
学」,「経営学」,「数理科学」,「工学」,「医学・薬学」
• 各教育分野における記載の分量および構成は,基本的に第1
版を踏襲
• 『理念』,『到達目標』,『教育内容・評価方法』
• 内容を基礎部分と発展部分に分け,各大学の実情に即した
利用ができるよう工夫
10
改訂版の策定者 (2014. 8)
• 統計関連学会連合 理事会
鎌倉稔成(理事長),川崎 茂,瀬尾 隆,石橋雄一,
栗原考次,大橋靖雄,椿 広計,菊地賢一,岩崎 学,
国友直人,今泉 忠,竹内光悦
• 統計教育推進委員会
田栗正章(委員長),福井武弘,水田正弘,松山 裕,
植野真臣,岩崎 学,竹内光悦,
• 統計教育大学間連携ネットワーク 質保証委員会
西郷 浩(委員長),荒木万寿夫,和泉志津恵,大森拓哉,
小野寺剛,岸野洋久,駒木文保,櫻井尚子,竹内惠行,
椿 広計,鄭 躍軍,浜田知久馬,三中信宏
11
1 大学基礎科目としての統計教育の参照基準
1.1 当該分野の理念
• 統計学は、自然科学、人文科学、社会科学、生命科学のあらゆる学問
領域において、データに基づく実証研究を科学的に行うための学問体
系である。
• 仮説の発見・構築や検証のための実験、調査、観察研究の過程で得ら
れるデータに基づいて正しく推論を行う力は、すべての学問分野で必要
とされている。
• 大学基礎科目としての統計教育においては、全学問分野に共通に、実
験や調査によるデータ収集のための計画を立案し、データから有用な
情報を過不足なく抽出した上で、現状の把握と同時に新知見獲得の契
機を見出すという統計的思考力の育成が重要である。
• この際、高等学校での学習内容を踏まえ、専門諸専門科目への円滑な
接続に配慮する必要がある。
12
1 大学基礎科目としての統計教育の参照基準
1.2 到達目標(身に付けるべき知識・能力・スキル)
統計学の役割と公的データの活用能力,記述的統計解析スキル,推測
的統計解析スキル,統計解析の結果判断能力と分析スキル
1.3 目標を達成するための教育内容・評価方法の例
・基礎的内容
① 統計学の役割と活用事例
② データの要約とグラフ化(記述統計的手法)
③ 研究の種類とデータ収集法
④ 確率と確率分布
⑤ 統計的推測
⑥ コンピュータの利用
・発展的内容
[評価方法]
13
今後の取組(学術会議)
• 統計学分野の参照基準の策定に向けての議論開始
• 丁寧に手続きを踏んで
• 学術会議会員,連携会員を中心に.
• 学術会議の場では,統計教育に関する理念などの大所・高所
からの議論を期待
• 第1版の第1章,第2章に相当
• 現状を追認するものではなく,将来を見据えて当該学問の教育が如何
にあるべきかについての基本的な考え方を述べたものであることが必
要であろう(田栗 p. 158)
• ”統計学の芯は何か”,”応用面について若干の記述を行なう”
• 今回の連合改訂版は,第1版の第3章に相当
• 学術会議での議論の具体化の位置付け
14
今後の取組(JINSE)
• 統計教育大学間連携ネットワーク (JINSE) の組織構造
外部評価委員会
⇓
質保証委員会
⇓
カリキュラム策定委員会
• 外部評価委員会からの提言を(も?)踏まえ,カリキュラム
策定委員会において,具体的なカリキュラム案の検討が進
められている
15
今後の取組 (Last Slide)
• 社会からの負託に的確に応えるための議論
• 統計教育の刷新
• 大学教育全般の刷新
• MOOC,JMOOC (gacco)
• ICT技術の進歩,ビッグデータ
• 各省庁などのホームページの充実
• 「参照基準」は大学教育向けであるが,それにとどまらず,社
会人教育,生涯教育を視野に
• 学会のみならず,統計を生業とする人間すべての責任
• すぐに成果が現れるとは思えないが,今やらないと今後10年,
20年後に大変なことになるという懸念
• という訳で,共に努力しましょう