平成 24 年度新潟薬科大学薬学部卒業研究Ⅱ 論文題目 「2011 年版 違いのわかる医療用語集」の作成 Creation of “2011 editions the medical glossary which understands a difference” 情報薬学研究室 6 年 07P154 宇野 宗司 (指導教員:土橋 洋史) 要 旨 臨床の現場において、医療関係者同士の会話のなかに、医療関係の専門用語が使用 されており、また、文献や医療関係の雑誌などを読んで理解するためにはその専門用 語の意味を理解する必要がある。著者は、臨床実務実習において、他の医療関係者と の会話の際に、医療関係の専門用語が認識出来ず、円滑なコミュニケーションを図る ことが困難な場面を経験した。したがって、医療関係者との円滑な連携を図るために は、その専門用語を理解することが必要であり、意味を理解することで円滑なコミュ ニケーションが可能になるものと考えられる。また、薬剤師が患者に説明する際にも、 あらかじめ症状や検査項目の略語や正常値などの医療用語を理解しておく必要があ ると考えられる。 情報薬学土橋研究室では「医薬品副作用症例データベース」を作成し、土橋 1 は実 際の症例データを入手したデータベースを作成している。「医薬品副作用症例データ ベース」を作成していくなかで、意味不明な用語が多々存在したので、これらの用語 の意味を判りやすくまとめたものが、 「違いのわかる医療用語集」2 である。 著者は、2006 年 10 月に出版された「違いのわかる医療用語集」の更新、新規用語 の追加および旧用語の意味の修正を行い、「2011 年版 違いのわかる医療用語集」を 作成した。 キーワード 1.医薬品副作用症例デー 2.HyperCard タベース 3.違いのわかる医療用語集 4.新規の医療用語 6.医療用語 7.略語 5.新規の略語 目 次 1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 3.結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 4.考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 2.対象と方法 謝 辞 引用文献 論 文 1.はじめに 臨床の現場において、医療関係者同士の会話のなかに、医療関係の専門用語が使 用されており、また、文献や医療関係の雑誌などを読んで理解するためにはその専 門用語の意味を理解する必要がある。著者は、臨床実務実習において、他の医療関 係者との会話の際に、医療関係の専門用語が認識出来ず、円滑なコミュニケーショ ンを図ることが困難な場面を経験した。したがって、医療関係者との円滑な連携を 図るためには、その専門用語を理解することが必要であり、意味を理解することで 円滑なコミュニケーションが可能になるものと考えられる。また、薬剤師が患者に 説明する際にも、あらかじめ症状や検査項目の略語や正常値などの医療用語を理解 しておく必要があると考えられる。 情報薬学土橋研究室では「医薬品副作用症例データベース」を作成し、土橋 1 は 実際の症例データを入手したデータベースを作成している。「医薬品副作用症例デ ータベース」を作成していくなかで、意味不明な用語が多々存在し、これらの用語 の意味を判りやすくまとめたものが、 「違いのわかる医療用語集」2 である。しかし、 臨床の現場では常に新しい医療用語や略語が使用されており、それらの意味や定義 などについて改めていく必要がある。具体的に 2004 年に「痴呆症」が「認知症」 に、2007 年に「高脂血症」が「脂質異常症」に修正され定義なども変化してきて いる。 著者は、2006 年 10 月に出版された「違いのわかる医療用語集」について、その 更新、新規の用語の追加および旧用語の意味の修正を行い、「2011 年版 違いのわ かる医療用語集」を作成した。 2.対象と方法 Ⅰ.使用システム構成 開発機器は、Power Book(366 MHz)を用いた。OS は MacOS-10.6.1 を用い、エ ミュレーターとして SheepShaver を用いて、MacOS-9.2.0 が起動する環境を作成 し、OS-9 より以前の環境で動作する HyperCard を用いて、スタックを作成した。 「違いのわかる医療用語集」 (2006 年 10 月版)は、略語(主に英語)、カタカナ (例えばアカシジアなど)および医療用語(例えば曖気など)と同義語とその説明 とで構成されていた。 1 3.結果 Ⅰ.新規の医療用語スタック 新規の医療用語 70 項目を HyperCard のスタックの各フィールドへ転送し、作 成した。 a b g c d e h f 図1「新規医療用語 2011」スタック a はタイトル名(医療用語)、b はひらがなの頭文字、c は医療用語名、d は医療用語の同義語、e は医療用語の意味、f は参考資料、g は読み仮名および h は補足事項を示している。 2 Ⅱ.新規の略語スタック 新規の略語 14 項目を HyperCard のスタックの各フィールドへ転送し、作成し た。 a b f c d e 図2「新規略語 2011」スタック a はタイトル名(略語)、b はアルファベットの頭文字、c は新規の略語名、d は新規の略語の同義 語、e は参考資料および f は略語の意味を示している。 Ⅲ.略語スタック、カタカナスタックおよび医療用語スタック 「違いのわかる医療用語集」 (2006 年 10 月版)を用いて「略語」260 項目、 「カ タカナ」232 項目および「医療用語」1130 項目を HyperCard のスタックの各フィ ールドへ転送し、作成した。 e a f b c g d 図3「略語」スタック a はタイトル名(略語)、b はアルファベットの頭文字、c は略語名、d は略語の同義語、e はスタッ ク数、f は「違いのわかる医療用語集」における項目ごとのページ数および g は略語の意味を示し ている。 3 a f g b c h d e 図4「医療用語」スタック a はタイトル名(医療用語)、b はひらがなの頭文字、c は医療用語名、d は医療用語の同義語、e は医療用語の意味、f はスタック数、g は「違いのわかる医療用語集」における項目ごとのページ数 および h は読み仮名を示している。 新規の医療用語および新規の略語と「違いのわかる医療用語集」(2006 年 10 月 版)の現在の用語数とを合計すると 1706 項目になった。 4.考察 —「違いのわかる医療用語集」の使用— 臨床の現場において、医療関係者同士の会話のなかに、医療関係の専門用語が使 用されており、その専門用語を理解することによって、医療関係者とのコミュニケ ーションの向上につながるものと考えられる。また、薬剤師が患者に説明する際に、 症状や検査項目の略語や正常値などを理解しておくことでより極め細かい説明が 可能となるものと考えられる。 「違いのわかる医療用語集」 (2006 年 10 月版)は、1622 項目の専門用語が記載さ れており、様々な専門用語の意味を理解することができるものと考えられるが、現 場では常に新しい医療用語や略語が使用されており、それらの意味や定義などにつ いて更新する必要がある。 —「2011 年版 違いのわかる医療用語集」— 著者は、「2011 年版 違いのわかる医療用語集」の作成において、図 4 のように HyperCard にてスタックを作成し、項目(医療用語、カタカナおよび略語)、医療 用語の意味、読み仮名および同義語を記載した。また、新規の医療用語を 70 項目 4 および新規の略語を 14 項目追加し、 「違いのわかる医療用語集」の現在の用語数と 合計すると 1706 項目と成り、また、誤字脱字を 12 項目訂正することによって、 信頼性の高いものとした。 —今後の課題— 「違いのわかる医療用語集」の出版された 2006 年 10 月時点では収載できなか った用語があり、記載されていない用語もある。時と共に医療用語は増加していく ので、今回追加した医療用語が 70 項目あった如く、様々な医療用語を収集し、意 味を与え、修正していくことで、「違いのわかる医療用語集」がさらに有用性の高 い書籍になると考えられる。 また、薬剤師が症状の意味や用語の意味の理解を深めることで、患者へ説明する 場合や医療関係者とのコミュニケーションを取る場合などに応用し、速やかな会話 を生み出すことが可能になるものと考えられる。 この医療用語集は医療関係者向けに作成している用語集であり、最新の情報を専 門的に詳細に表現し、作成していく予定である。それを理解し、噛み砕いて患者に 伝えることも薬剤師の役割であると考えられる。今後の医療用語の集積および書籍 の発展が期待される。 5 謝 辞 本研究にあたり終始御懇切なるご指導を賜りました、恩師、新潟薬科大学、土橋洋史 准教授に心からの感謝の意を表します。 6 引 用 文 献 1. 土橋洋史:医薬品副作用症例データベースの応用 1 医療費換算を用いた重み付け による危険指標値の試み.医学と薬学 60(2);195-220,2008. 2. 土橋洋史:違いのわかる医療用語集: 2006.10. 7
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