ASD(自閉症スペクトラム障害)

「ASD
(自閉症スペクトラム障害)
の不思議な世界」
~時間・空間・人間を視覚化しよう~
ASDについて
対人関係の
難しさ
言葉の遅れ
(軽い⇔重い)
(平易⇔困難)
A S D
(自閉症スペクトラム障害)
こだわり
(弱い⇔強い)
知的障害
3つの症状と
(軽い⇔重い)
知的レベルによって
支援内容・方法が異なる
ASDについて
・有病率 1/1,000人 ➟ 1/100人
・男女比 4:1
・女児の場合は重い知的障害を伴う場合が多い
・15~25%がてんかん発作を伴う
・4つのタイプ(年齢によっても変化する)
(1)孤立型:幼少期に多い 他者に興味を示さない
(2)受動型:最も数が少ない 他者が関わったら応じる
(3)積極奇異型:他者に活発に近付く 一方的話す印象が強い
(4)大仰型:過度に礼儀正しい(使い分けができない)
おおぎょう 人をイライラさせる
言語レベルは良好
ASDの特性
・社会性の障害(対人関係の困難さ 察することが難しい)
・コミュニケーションの障害(言葉の理解や表現が独特)
・想像力の障害(見通す力や変化に弱い 不安傾向が強い)
・こだわり(同一性保持 物への執着 順序の固執)
・常同行動(手のひらひらさせる 飛び跳ねる)
・サヴァン症候群(あるジャンルで特異な能力を発揮する)
・感覚異常(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚・体温調整)
・視覚優位(聴覚刺激より視覚刺激を処理しやすい)
・記憶の仕方の違い(機械的記憶は得意 編集力の障害)
・時間や空間の理解が困難(昨日➟今日➟明日が苦手 自由が不自由)
・複数の情報処理が苦手(同時に1つのことしか処理できない)
・全体を把握することが苦手(部分・細部に注目する)
・振り返る力が弱い(トラブルの原因が分からない ネガティブ傾向)
・動作がぎこちない(粗大・微細運動、手先が不器用)
心の理論
~相手の心を推測する力 相手の視点に立って状況を理解する力~
1
かご
箱
2
3
4
自分が感じていること・知っていることが一番という考え方
(他者と自分とは異なる意識をもつと考える力が弱い)
関係性の理解
×
○
○
○
○
×
×
×
1 自分と他者の関係性は分かる
2 他者同士の関係性は難しい
社会性
○顔の表情が読めない
・相手の気持ちが読み取れず、思ったことを口にする
「その服、似合わないね」→トラブル発生
・相手との距離感に無頓着で近すぎる距離で話したり顔をそむ
けて話したりする
○その場の状況が読み取れない
・指示されないと暗黙のルールが分からない
友達との秘密を話してしまう 「また来てね」→毎日遊びに行く
まだ書いている人がいるのに、黒板を消してしまう
○折り合いを付けるのが難しい(白黒思考 0か100)
・思い込みが強く、二択で物事を考える all-or-nothing
相手と意見が違うと「あの人は分かってくれない」
100点が取れないと破ってしまう
社会性を高める支援
1 2つの視点をもつ(私・あなたの視点)もう一人の自分
話を聞く(自分の気持ちを振り返る→気持ちを理解する・共感)
相手の思いに気付けるような言葉掛け(相手の視点に切り替える)
相手の気持ちとすり合わせる
※○or×ではなく○and×の考え方(大きな△があることを教える
いろいろな選択肢を考える
○ and ×
社会性を高める支援
2 怒りと不安をコントロールする
深呼吸 おまじない 水を飲む
ミサンガやハンカチに触る
別室で休む ヘルプサインを出す
3 ソーシャルストーリー
例:窓から飛び降りようとする生徒
1 窓の1メートル以内には近寄らない
2 もしイライラしたら 深呼吸する 保健室で休む・・・
3 どうしても不安なときは 親に連絡して迎えに来てもらう
社会性を高める支援
4 暗黙のルールを可視化する(直感的に理解できない)
・9:55 新入生入場(新入生入場と言ったら拍手をする)
・まっすぐ帰りなさい(寄り道をしないで帰ること)
ト書きの部分を書いて伝える
・相手の身体に関することは思っていても言葉にしない
「あなた、太っているね」
5 努力しているプロセスと
最後のフィードバックを大切にする
・結果よりも過程を評価する
・うまくいった方法を具体的に伝える 「△△すると○○できるんだ」
・子どもの報告にはすぐに対応する
コミュニケーション
○曖昧な表現や代名詞の理解が困難
「もうちょっと」 「はやく」 「きちんと」 「それ・これ・あれ」
○字義通りに解釈する(冗談、慣用句、比喩、皮肉が苦手)
「バカだな」→本気で怒る 「骨が折れる仕事」 「顔が広い」
「靴下が汚れてるんじゃない?」 「つまらないものですが・・・」
「勉強なんかしなくていい」→喜ぶ 「遅いな」→「はい、12分の遅刻です」
○文脈の理解が困難(省略化した言葉が理解できない)
「お母さんいる」 「ご飯にする」 「お風呂見てきて」 「名前を書いて」
○状況に応じて使い分けが困難、一方的に話す
声の大きさの調整が下手 不自然な表情や姿勢 雑談に入れない
誰にでも敬語を使う アニメのヒーローやアナウンサーの口調
コミュニケーション
否定語 曖昧な表現 遠回しな表現はNG
コミュニケーションを高める支援
1 具体的な言葉で 絵になる言葉
「きれいに片付けなさい」➟「絵の具を片付けよう」
2 文字やイラストを活用する 視覚支援
「もうちょっと」➟「赤いテープまで」
3 予定や見通しを伝える 予告
事前に活動時間・場所・内容・手順を示す
4 指示は一つずつ 一時一事の原則
やってほしいことを一つだけ指示し、それが終わったら次の指示
5 やってほしいことを伝える 肯定的な表現
「廊下を走ってはダメ」➟「廊下を歩きましょう」
6 指示する前に注意を促す 前振り
名前を呼び、「はい」を促す
「これから~の話をします」
想像力
~見えないものを記憶・理解するのが苦手~
1 予定外・未知のことを想像する力が乏しい
初めての場所や活動が苦手、急な予定変更に混乱・抵抗する
2 興味・関心の偏りが大きい
車・電車・漢字、歴史・コンピューター・設計・制作等へのこだわり
3 新しいことを嫌がる(ルーティンを好む)
毎日同じ時刻に、同じ場所で、同じことをしたがる
4 妥協することが苦手(完璧主義)
小さなことで友達と衝突する 問題の解決策を見付けにくい
5 肯定的な言葉掛けが意味になる
否定語(「~してはダメ・いけない」)は混乱する
こだわり
変えない
変更を予告する
元の場所に返す説明をする
洗濯するから別の服にして
「認めるけど部分的に譲って」
やめない
最初にルールを決めておく
条件を付けて認める
利用する
こだわり
はじめない
一番へのこだわり
初めて対策をする(視覚化)
リハーサルをする(動作化)
見通しと安心感もたせる
必要以上に巻き込まれない
新しいシナリオ(価値観)を
教える
感覚異常
・理解する
・無理をさせない
・許容範囲を設ける
・予防する
・代替手段を活用する
認知の仕方
同時に二つのことが行えない
同時に二つは視覚に入らない
認知の仕方
勉強する場所
絵を描く場所
食事をする場所
一つの空間が
多目的に利用されると混乱
認知の仕方
同時に複数のものに焦点をあてられない
(木を見て森を見ず)
記憶の仕方
記憶は静止画像として保存(編集力の障害)
未編集な画像が散らばった「過去」と、断片的な静止画が並ん
だ「未来」との間を生きている
その日の出来事が答えられない 注意されたことを忘れる
昔の出来事をあたかも先ほどの出来事のように言う
すき間を埋めて「いま」をつくる
➟スケジュール等で視覚化する
数字で伝える
振り返る力
行動を起こす
判断・反省材料
相手の反応 場の雰囲気
行動を修正・調整
自己の価値観や経験
こだわりや思い込みが強く、振り返る力が弱い
過去の経験を振り返り、この先の経験と結び付ける
般化できるように よい行動・方法を具体的に伝える
自閉症の人のメッセージ
・障害者にとって辛いことは、みんなができることができないこと
ではなく、できない気持ちを分かってもらえないこと。
・心が通じるとは、自分の思いを相手に理解してもらうことでは
ない。自閉症の人に対して、伝えたいことが伝わらないのは、
言葉が通じない理由だけではない。相手が心を開こうとしてい
るのか、相手も自分と同じように心を通わせたいと考えている
のか、そのことを忘れてはいないか。
・僕は人に伝えることができる以上のものを感じられる。一番感
じるのは、あなたが「僕にできる」と思っているかどうかだ。
自分の役割を果たしながら
社会で必要とされていることを実感させる
まとめにかえて
信頼関係を築きながら
一人一人に合った えこひいきをしよう!