「学校に行く学校医」と保

【シンポジウム④】13:00~15:00 A 会場(3 階コンベンションホール)
「学校に行く学校医」と保健教育 ―「守る」から「育てる」へ ―
座長 岡山大学大学院教育学研究科
教授 伊藤 武彦
岡山大学大学院教育学研究科 特命教授(教育) 田嶋八千代
学校医は従来学校保健法により保健管理の専門的事項に従事し,主に子どもたちの健康を「守る」
スタンスが中心であった。しかし疾病構造や教育現場でのニーズの変化などがあり,平成 20 年の中央
教育審議会でも示されたように,特別活動などの機会での保健指導を通して,子どもを育てる「教育」
の力を発揮していくことが望まれるようになった。
このシンポジウムでは,子どもを育てる観点から既に積極的になされている取り組みを紹介するな
かで学校保健における学校医の積極的な関与がどのように子どもたちの健康を守り育てていくのかに
ついて学校経営の視点も交えながら考察を進めたい。また,総合討論ではフロアから現場での学校医
や他の学校三師(学校医等)との協働について,達成感や困難感のあった事例を発言してもらい,今後
学校医等が「子どもを育てる」視点からどのように学校と協働して行けるか,どのような協働が望ま
れているかについて意見交換をし,「子どもを守り育てる学校保健活動」を推進する力としたい。
○「健康教育で育てる『自ら考え学ぶ子』
~学校医との連携を通して~」
福山市立野々浜小学校 前校長 池田 真理子
社会環境の変化が加速し,多様化・複雑化する中,子どもたちに関わる健康課題を解決するために,
学校は保護者との連携を中心に非常に熱心に取り組んでいるが,そのなかで専門家や関係機関との連
携の効果を知りつつも十分活用しきれていない場合もある。
学校医などの専門職との連携・協働の成否にかかわるキーポイントについて,実践にもとづく話題
を通して,学校医などの専門職と「連携」する際のハードルをいかに低くするか,養護教諭,教育行
政,管理職を経験した立場で考察する。
○「学校医は楽しんで学校へ行こう!
~健康教育で子ども達に迫る~」
ぽよぽよクリニック 院長 田草 雄一
今日の学校医には,健康診断,健康相談,健康教育,学校保健委員会,その他,いくつもの職務が
期待されている。今回は「健康教育」に焦点を当てて,学校での健康教室や喫煙防止教室の実践につ
いて報告する。また「学校から飛び出して地域で進める健康教育」についても,生活習慣,アウトメ
ディア,コミュニケーション,命の授業などの事例をもとに,学校医と学校現場や地域が連携・協働
し,子どもたちとともに進める「楽しい活動」を紹介する。
○「学校医は学校現場で連携協働!
~誇りあるパートナーとして~」
南寿堂医院 院長 岩田 祥吾
学校保健は,子どもたちにとって人格と感性を形成する大変重要な時期に位置する。この時期を健
康かつ安心・安全に過ごすことは,心身の発育や学力の向上のみならず,社会性を育み,価値ある人
生を過ごす試金石となるだけに,適切な保健教育が必要である。そして,このように大切な発育発達
期の子どもたちの保健教育は,学校医と養護教諭のパートナーシップを基盤とし,学校と地域と家庭
が三つ巴になって連携・協働すると有意義であることを,(地域の人々を繋ぐ)学校医ができる実践
例として紹介する。
○「附属学校の学校医を経験して」
岡山大学教育学研究科 教授 伊藤 武彦
養護教諭養成機関の教員として学校保健の教育と研究に従事してきたが,8 年前から兼務として附
属学校の学校医を担当している。学校医の実務を経験することで,学問としての学校保健が,児童生
徒や教職員の生活の場での実践として活き活きと見えてきた。今更ながら学校医も教員と同じように
教育実践の中で育つことを実感し,その学びを教員養成の場に還元できることが多いのではないかと
感じるようになった。附属学校での若干の実践例を交えつつ考察したい。